西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年4月9日

(令和3年4月9日(金) 19:19~20:10  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 本日、午前7時半から基本的対処方針分科会を開きまして、まん延防止等重点措置について諮問をいたしました。
 実施すべき区域に東京都、京都府、沖縄県を追加し、東京都については4月12日から5月11日まで。それから、京都府、沖縄県については4月12日から5月5日までとすること、このことについてご了承を頂き、先ほど政府対策本部で決定いたしました。総理もぶら下がり会見でご説明されたところであります。
 状況はもう皆さん、お分かりだと思いますけれども、首都圏、1都3県の状況、やはり専門家の皆さんからも常に分析をいただき、そして、状況を確認してきているところでありますが、見ていただいたら分かりますとおり、陽性率はまだPCR検査で4%前後でありますが、東京が10万人当たり21人。そして、病床はまだそれぞれ30%台、20%台ですが、東京の療養者数、ここが28人ということで、入院すべき人、療養すべき人がどれだけいるかということを示しているわけですが、ここが上がってくるということは、まさに緊急事態宣言の時に経験したように、自宅にいなければならない、調整中で待たなければならない、こういう人がたくさん出てくる、いわば病床がひっ迫する最初の兆しがここで表れてくるわけでありますので、変異株の割合も東京で上がってきていることも含め、1.15ということで上昇傾向にありますので、今回、東京を対象にしました。
 3県についても、様々、今日も分科会で議論がございました。尾身会長からもご説明があるかと思いますけれども、私もこの間、それぞれの知事と意見交換をしたり、事務的にもかなり緊密に連絡を取ってどうしていくかということを判断してきましたけれども、数字を見ていただくと、それぞれまだステージ3にも感染者の状況はなっておらず、埼玉が3.8%、病床もまだ比較的、20%台、30%という状況であります。
 もちろんそれぞれの知事も危機感を持っておられます。急激に上がった時には対処しないといけないということでありますが、一つ参考になるのが、京都の数字でありますけれども、大阪、兵庫が先行してこれだけ悪くなったわけです。変異株で感染が広がった。ところが京都は比較的まだ、この大阪、兵庫が決定した時には落ち着いていたわけでありますが、やはり関連性があるということでだんだん上がってきたということでありますので、遅れてでありますが、昨日の数字はお示ししていたと思いますが、まだステージ3から4に行くような状況ではありませんけれども、特にここの1.89、一昨日ぐらいまでは2を超えていたと思いますが、非常に高い数字で増加率が速いということを受けて、やはり早めにやるべきだと。
 京都の数字は、これは昨日の数字かもしれませんが、病床は38%ということでありますし、重症者は12%ですので、まだ大阪、兵庫に比べれば低いですが、それでもやはり関連性があるということと、伸びが急激だということを受けて、今回、京都は対象にさせていただきました。
 そういう状況で、この3県も非常に危機感を、知事も持っておられますし私も持った上で、今回の状況、ステージの判断からいくと、まん延防止等重点措置を今回は東京を対象にして、東京をまず抑えるという判断をさせていただきました。
 言わずもがなですけれども、私権の制約を伴う強い措置でありますので、いわば早い段階でやればそのほうが収まるというのはよく分かりますが、必要最小限の措置ということもあります。そういったことも踏まえて判断をさせていただきました。
 それからより広い目で見れば、首都圏全体で感染源はやはり東京が中心で広がっていく。その東京を抑えると。いわば、まん延防止等重点措置の考え方でありますけれども、首都圏全体を抑えるためにはその中の中心部の東京を抑える。そして、東京の中心部を抑えるという発想で、今回は東京にその措置を取るということであります。
 さらに、注目をして、感染が非常に高い所は常に見ているわけですけれども、沖縄についてはもう既に病床が6割を超えておりますし、赤が幾つか灯っているという状況ですので、ステージ3からこのままいくと4になってしまうということで対策を講じることにいたしました。
 奈良については国会でも答弁をいたしましたけれども、非常に高い数字も出てきています。33人ですし、病床についても62%ですから、知事と何回もやりとりをいたしました。国会答弁で申し上げましたが、奈良は何か大きなクラスターが出ていると、飲食店とかそういうことではなくて、本当に大阪の通勤圏内の中で、大阪で感染して奈良で戻ってきて家庭内感染、これが7割、8割という見方をされておられました。やはり大阪を抑えなければならないということであります。昨日、関西経済団体とお話しをしまして、奈良在住の人、和歌山も今日は増えておりますし、京都も増えているわけですので、とにかくできる限りテレワークをやって欲しいという要請をさせていただきました。
 それと併せて、通勤をしている奈良大阪間の主要駅で、通勤の鍵となる駅でモニタリング検査、無症状の方に検査を増やしていこうとしております。こういったことによって対策を講じていきたいと思いますが、少ないとはいえ奈良市内、中心部にはやはり繁華街、飲食店がありますので、そこは県と市で連携をして、一軒一軒に呼び掛けて調査も行っていくということでありますので、そういった対策を講じることで知事とお話をさせていただいたところであります。
 状況も見ながら、さらに機動的に対応していきたいと考えておりますけれども、その点は埼玉、千葉、神奈川と同様であります。まさにまん延防止等重点措置は機動的に講じていくことが大事でありますので、分科会で昨日お話しがありましたように、いわゆるサーキットブレーカーという形で緊急性をより示す、そうした指標もお考えいただいておりますので、入院率とか、こういったところで機動的にさらに判断をしていきたいと考えております。
 それから、まん延等防止措置については、もう大阪、兵庫、宮城の時に申し上げましたが、いわばその中心部は今回それぞれの都府県で指定をされますけれども、京都なら京都市、東京なら23区プラス6市、沖縄なら本島の9市、ここで対応されますけれども、いわばこの地区だけを見れば緊急事態宣言を出してもおかしくないようなレベルになってきているということでありますので、緊急事態宣言と同等の強い措置を、いわば地域限定の緊急事態宣言のような強い措置を講じていくことになります。
 それが20時までの時短であり、これは最大600万円までの協力金の支援を行いますし、そして命令、罰則もあるということであります。是非、支援策、協力金を講じておりますのでご協力いただきたいと思いますし、併せてイベントも5,000人までに限る。さらには一店一店に見回り、呼び掛けを行っていく。このアクリル板とか換気がちゃんとできているか、飲食の間でもしゃべっているお客さんにはマスク着用を奨励していく、こういったことの徹底をやっていただくことになります。
 もうご案内のとおり、こういうアクリル板の支援には持続化補助金、経産省の補助金がありますし、換気を良くするものについては環境省の補助金もありますのでご活用いただきながら、飲食店の皆さんには是非感染防止策の徹底をお願いしたいと思いますし、利用される方々には是非そういうお店を使っていただけるように、それぞれの都府県で認証制度をさらに充実してもらいますので、お願いをしたいと思います。
 関連して言えば、全国各地で歓送迎会でクラスターが発生しています。何度も申し上げていますとおり、食事を伴う機会、研修会とか歓送迎会が多い季節ではありますけれども、大人数の食事はやめていただきたい。これはもうあちこちで大人数の歓送迎会でクラスターが発生しています。少人数、4人以下でということ、同居の家族の方と、あるいは4人以内、できれば普段一緒にいる仲間のほうがリスクは低い、久しぶりに会う人はリスクが高い、こういったことも是非ご理解いただいて、徹底した感染防止策をお願いしたいと思います。
 これはやはり変異株への脅威、極めて強い危機感を持っております。感染力が1.32倍ということで感染研から報告がなされました。これまで以上に感染が強い。濃厚接触者の中でも感染がその分たくさん出ているわけであります。基本的な対策はもちろんマスクと手洗い、消毒、3密の回避ということは同じでありますけれども、感染力が強いということを是非ご理解いただきたいと思いますし、さらにいえば、比較的若い世代も重症化するリスクが報告されています。
 是非この変異株の強さ、このことには最大限の注意を払っていただきたい。これまで以上に飲食の機会はご注意いただきたいと思いますし、できる限り、尾身先生も言われておられますとおり、人混みは避ける、人が多い時間帯、そういった場所は避けていただくようにお願いしたいと思います。
 これまで感染しなかったケースでも感染するということが報告されているわけであります。感染力が強いということ、重症化するリスクは高いということを是非ともご理解いただきたいと思います。
 そのためにこのエリアでは非常に強い措置を取っていきます。20時までの時短に加えて、一店一店、こうした形で協力要請をお願いしていきますし、こういったことにも強い措置もありますので、是非お願いをしたいと思います。
 それと併せて、この変異株が首都圏でも広がりつつある。関西圏ではもう7割、8割ということであります。できる限りこのまん延防止等重点措置のなされている都道府県との間の行き来は、極力控えていただけるようにお願いしたいと思います。東京、大阪、兵庫、京都、関西圏、そして宮城、沖縄、こういった所との行き来は極力控えていただきたいと思います。変異株が広がれば急速な拡大に繋がります。出張なども本当に必要な出張なのかどうか、是非吟味をいただいて、できる限り、オンラインでできるのであればオンラインで対応をお願いしたいと思います。
 そうしたことの基本的対処方針も変更させていただきました。変異株について、今、申し上げたような記載。それから、変異株についての入院等の扱いについて、昨日、厚労省からも通知が出されております。これまでのウイルスと同様の措置で、コロナと同様の措置ということでありまして、これまで入院が原則、あるいは個室が原則、あるいは変異株とこれまでの株とを一緒にしないとか、あるいは2回PCRで陰性とならないと退院できないとか、様々、変異株について特別な扱いをしておりましたけれども、それにつきまして通知がなされておりますので、病床のひっ迫につながってきたことが、これを軽減していくものと考えています。
 いずれにしましても、まん延防止等重点措置を機動的に活用することによって感染を抑えていきたいと考えております。それ以外の地域についても、感染拡大、状況を見ながら対応したいと思います。
 京都が入りました。先ほど申し上げた数字、病床が38%、重症者ベッドは12%、陽性率は大阪、兵庫に比べれば低いですが7.3%まできています。そして、17人まできていますので、ステージ3の状況になってきている。これと変異株の状況、この1.89という多さ、スピードの速さ、ここを着目しながら今回対象とさせていただきました。
 ちなみに山形、愛媛は少し高い数字がありますが、陽性率も落ちてきました。山形は4.9%まで落ちて、愛媛も6.1%。そして、経路が追えない割合が30%前後と低くなっております。これはそれぞれの繁華街でクラスターが起きて、その範囲で時短をやり、また重点検査をやることによって抑え込んでいくということで今、取り組んでいますので、もちろん愛媛県知事も何度か電話でやりとりをしています。何かあればお願いすることになるし、連携してやっていきたいというお話しを頂いております。是非この時短と重点検査が効果を挙がることを期待したいと思っております。
 私からは以上であります。

(尾身茂会長)私の方から簡単に、今日、どんな議論が行われたかということで、実は冒頭から1つ、活発な議論が行われたのは、東京の、特に埼玉、千葉、神奈川を一緒にするかどうかという話はかなり議論がありまして、ここは2つの考え方があったかと思います。
 1つは、そもそも重点措置というのはステージ3になって、4になるのは困るからということで、ステージ3というのが1つの条件で、そういう意味では埼玉、千葉、神奈川は今、大臣がおっしゃったように、特に感染者、ここはまだステージ2だということで、趣旨、原則というものはやはり守らないとなかなか説明性がなかなか難しいという意見が一方であって、それは政府の方の考えが基本的にはそういう立場に立っていたと思います。
 一方、メンバーの方からは、そうは言っても重点措置というのは早めにやるものだし、ここの3県は1つの生活圏という、そういう考えがあるので、一緒にやるということも考えたらどうかという議論がありました。
 ここはなかなかそれぞれの考えにある程度理屈があるわけです。その中で、私がどう考えるかというと、このいろんな指標というのは県全体です。県の平均ですから、神奈川であろうが埼玉、東京と近い区域というのは各県にあるので、そこは言ってみれば、神奈川県だけど都民みたいな、そういう感覚はあります。そういう意味では、これからまた同じことあるので、そういうときにはそういう部分も、仮に県全体としてはまだステージ2であるけれども、生活圏が一緒の部分は入れたら良いという意見がありました。
 最後にどうなったかというと、ここは言ってみれば緊急事態宣言とまん延防止等重点措置との違いがあって、そういう考えで、この周辺地域をどうするかというのは十分これからも議論していく必要があると思います。
 こういう意味では、今回一つの新しい経験ですから、それを評価するということと、それからやはり重点措置というのは緊急事態宣言に比べてはるかに機動的に、センテンスで機動的というところがあるので、こうした3県も仮にこういう状況が悪くなれば、遅滞なく重点措置の対象に、そうなればなるということです。それが今回の全体の今の県に、隣接県に、ということであります。
 その他、いろんな、それが1つ大きく、その後のほとんどの時間は、むしろその議論の後には、一体これから何をやるべきかと。重点措置対象地域を中心に。そういう中で幾つかキーワードがありまして、1つはやはり政府、自治体は今、実行を実現する、言葉じゃなくて、ということはまた今日も出ました。
 それから、変異株のことは当然で、これをやはりしっかりと一般市民に説得力を持って語って、今はもう違うフェーズに来たということ。感染が非常にしやすくなっているフェーズなので、しっかり、それから一般の若年層にも重症化する。それからあとは、かなり強調されたのは、これからはやはりワイワイ、ガヤガヤしたような所になるべく行かないで、ディスタンスのことですよね。昔の3密。このことをやはりこれからさらに強調すべきということがありました。
 それから、県を越えての、これは今日、基本的対処方針にも明確に書いていただきましたけれども、移動ということですが、変異株があるので県を越えての入りと出については十分に注意してもらわないと、変異株があっという間に広がる。
 そういうようなことを中心に、かなり強い政府、自治体へのお願いと言いますか、大体そういうところが今日の議論のまとめです。

2.質疑応答

(問)まずお二人にお尋ねしたいと思います。措置については、1週間前に3府県ということで、今回また3都府県ということで、だんだん広がっていると。東京については1カ月前に緊急事態宣言が明けている状況であります。なかなか感染が抑制しきれないということについては、どのようにお考えか、お二人にお尋ねしたいです。
 それから、これは西村大臣にお尋ねしたいのですが、これによってまた経済的な損失が出てくると思います。これについて新たな支援策、それから補正も含めたことは念頭にあるのかということをお尋ねしたいと思います。
 それから、またこちらも西村大臣にお尋ねしたいのは、新しい指標の考え方、入院率というのが出てきましたが、これだと、全国の、例えばそういう指標について、感染状況への評価がだいぶ変わってくる可能性もあると思いますが、これはどのように受け止められていらっしゃるのかをお尋ねしたいと思います。
(答)まず、このコロナについては、今回、変異株がかなり広がってきているという、また追加された危機感というか、極めて強い危機感を持っていますけれども、まさに何度でも流行が起こるということで、これは私、何度も申し上げてきています。1回収まってもまた起こる。しばらくゼロの田舎でも突然起こる、こういうウイルスであります。
 ですから、何度でも、一番最初に私が感染症対策で尾身先生たちに教えられたのは、ハンマー・アンド・ダンス、大きくなれば叩く、その後も何度も起こる、その度に叩くというのが感染症対策であるということでありますので、何度も波は起こりますから、もちろんそれを緊急事態宣言のような大きな流行にしないために、兆しを見つければ叩いていくということで、そういう意味でその叩く道具としてこのまん延防止等重点措置、これはいわば機動的に何回でもやると。そして、出てくればそこで叩くという、業種を絞り、地域を絞り、本来、短期間でそこで叩いて抑える。また出てくれば叩いて抑える。これはもう何度でも起こる、何度でもあり得ると考えています。
 ですので、今回、京都がどうなるかということで、先週の段階ではまだ低い水準でしたけれども、やはり上がってきた。そうしたら叩くということですし、3県についても、東京でまず抑えたい、ここで何とか抑えたい。行き来もできる限りテレワークなどをやってもらって、できる限り人との接触、今、ディスタンスと尾身先生が言われたように、距離を取りながら、人混みには行かない。こういったことを徹底することによって何とか抑えたいと思っておりますが、上がってくれば叩くということですので、これはもう機動的にまん延防止等重点措置を使っていきたいと考えております。
 もちろん大きな流行となってくれば、これは国民の皆さんの命を守るためには緊急事態宣言もちゅうちょしてはいけませんけれども、そうならないようにしっかり叩いていくということだと思います。
 まん延防止等重点措置もそのエリアに限って見れば、緊急事態宣言と同等の強い措置ですので、これで何とか抑えていけるように。特に変異株がありますので、国民の皆さんにはこれまで以上に距離を取っていただいて、こうしたアクリル板とか換気とか、是非ともこれまで以上の注意、感染防止策をお願いしたいと考えています。
 そして、指標について先に申し上げれば、昨日かなりの議論がありまして、そしていろんな意見が出ましたので、尾身先生の方で今、整理をされていると思いますけれども、私の理解は、まさにより緊急性を示す指標、これが入院率。本来、入院すべき人ができていない状況を示す指標と。1つはそういう風に理解をしていますし、陽性率も今、ステージ3、ステージ4、それぞれ10%ということですので、3も4も同じということではなくて、やはりステージ3はもう少し低い段階でしっかりチェックをしようということなど、専門家の皆さんで議論がなされています。
 昨日の議論の整理を待ちたいと思いますけれども、その指標で仮に見たとしても、今、大阪、兵庫、宮城は当然厳しいし、沖縄も厳しい状況であります。東京は今の指標とそんなに変わらないですが、少し悪い指標も出てきますので、ほかの3県はあまり変わらない状況だと思いますけれども、いずれにしても、もう新指標も何らかの形で導入されてきますので、それもわれわれは見ながら判断しておりますけれども、現時点では今の指標で見て、何より状況がよく分かる知事の意向、知事の状況判断もお聞きしながら、国として判断をしているところであります。
 そして、経済についていえば、当然、まん延防止等重点措置で影響を受ける事業者の皆さん、国民の皆さんも出てこられると思います。特に飲食店の皆さんには度重なる、先ほどのご質問のとおり、終わったと思えばまた始まるということで、大変厳しい状況に置かれると思います。
 今回、大企業も含めて最大月額換算600万円までの支援。これも売上げが減少している中小企業でも、場合によっては最大600万円まで使えますので、これを活用いただいて、そしてアクリル板とか換気の補助金もありますので活用いただきながら、何とかご協力に応じていただいて、対応していただければと思いますし、納入されている事業者なども、名称はまだ決まっておりませんけれども、緊急事態宣言の時の一時支援金と同様の枠組みを、経産省において今、細かい制度設計をしているところですので、そうした形で支援をしていきたいと思いますし、さらには、雇用調整助成金は大企業も含めて、これはパート、アルバイトの方のシフトが減る分も含めて、月額換算最大33万円まで、全額国が支援するということで仕組みがありますので、これも活用いただいて、休業やシフトが減る場合も、そうした雇用者の方々の賃金、所得が減らないように応援をしていきたいと考えております。
 加えて、1兆円の地方創生臨時交付金で、それぞれの地域の特性に応じて、国の支援は、先ほどの一時支援金は50%以上減った方ですけれども、30%減った方に支援をしていこうという県もあります。両方使える県もあります。様々な工夫をされておられます。最大は岩手県の200万円の支援からありますが、100万円とか70万円とか、少ない所でも20万円とか30万円の支援もあります。こういったものも活用いただきたいと思いますし、これは予備費なども使って対応してきているところでありますが、加えて、3次補正、当初予算、まずはこれをしっかりと執行していくこと、今、申し上げた予算も含めて執行していくことが何より大事だと考えています。
 もう1つ例示を挙げれば、予備費で活用しました、一人親の世帯、そして二人親であっても住民税非課税世帯のお子さん、1人当たりに5万円、特別給付金で給付することにしておりますので、こういったものを速やかに実行していくことが何より大事だと。厳しい状況にある皆さん方に迅速に支援を届けていきたいと考えております。
 今後の状況、感染状況や経済の状況を見ながら、新年度の予算、予備費5兆円を計上させていただいておりますので、これの活用も含め、必要な対策を機動的に講じていきたいと考えております。
(尾身茂会長)今なぜ感染が抑制しきれていないのかという話ですけれども、私は基本的には、大きくは2つあると思います。一つは、人々の側のことです。意識ということ。もう一つのほうは、ウイルスの、やや比喩的に言えば密度ということだと思います。
 もう皆さんご存じのように、緊急事態宣言の発出期間内でも後半になると、人々の人流というのが増えてきていたわけです。ということは、これは何度も私は申し上げましたけれども、なかなかこの1年以上のコロナ疲れという、非常にそういう意識が一般の市民の中に広がっている。
 特に今、この年度末のこういう時期のこともあると思いますけれども、社会全体が、何とかこういう生活から解放されたいという気持ちがベースにある。その気持ちが実は行動に反映して、人々が緊急事態宣言の発出期間内にも既に出ていて、解除されれば、さらにその傾向が加速されるという。これは誰が悪いわけではなくて、人間社会も慣れてきましたので、なかなか同じような、去年の4月のような意識、これが非常に私は大事です。
 従って今回の対策の肝の1つは心理学です。人々の心理、意識というもの。ウイルスと戦っています。そういう要素があるということは間違いないと思います。
 それから2点目は、これは先ほど比喩的と申しましたけれども、ウイルスの密度が以前に比べて高くて、いろんなところで感染しやすい状況になっている。この2つが大きく分けてあると。それに加えて、さらに今回は変異株という新たな要素が出てきているということがあります。
 従って今私が申し上げた2つプラス変異株のこと、これはなかなか今は非常に難しい局面に、まさに我々は入っている。このことを実はどうやって社会の全員とシェアして。私が何度も申し上げているように、6月ぐらいに高齢者。
 今回は重症化もしやすくなっているかもしれないという話が、先ほど大臣からもありましたけれども、コロナに疲れてきたのは分かりますが、だからといってその現実を受け入れてしまうと、この局面は打開できないと思います。
 どうしても人々の意識と行動を変えてもらわなければ、ただこれを単に、しつこいようで申し訳ありませんが、国民、一般の市民に協力をお願いしますだけでは、もうこれは私は乗り越えられないと思います。
 従って何度も申し上げますように、国、自治体は、人々が今の状況に何とか立ち向かう気持ちが起こるような環境づくりが、ものすごく重要だと思います。それが汗を今まで以上にかいていただく。環境を作らない限り、ただ言葉で言ってもそれは伝わらないので、そういう意味では幾つか。
 例えば先ほどから議論があるように、飲食店はこれからも重要ですけれども、そこにただ行かないでください、時短要請ということじゃなくて、しっかりそこには認証制度だとか、CO2のモニターの機械を入れるのに何かの援助をするとか、見回りだとかそうしたこと。
 あとは高齢者施設での検査です。職員なんか。ここは高齢者で重症化が出る。今だんだんと若い人たちからそういうところに感染が移って、そこで多くの感染者が出ていることは、皆さんご承知だと思いますけれども、これについての検査というのが、去年からなかなか遅々と進まなかった。今は少しずつ、今日も国会でその話が出ましたけれども、高齢者施設の検査について徹底的に行ってもらう。
 こうしたことが伝わることが極めて重要で、私は今そういう厳しい状況にあるということの認識を共有するために、まず最初に始めるのは国や自治体の、先ほど言った、しっかりした実際に取組みを可視化するということ。そしてそれに呼応する形で、一般市民もたぶん分かってくれると、今まで以上に。
 6月までが非常に厳しい時期です。ここを何とか乗り越えないと、医療のひっ迫というのがまた起きる可能性があるので、その意識を共有。残念ですけれども、みんなもう社会に戻りたいです。
 だけれども戻りたいと言って、今のウイルスの現状を楽観的な気持ちで変えることができれば、祈れば変わるのだったら、そういう風にはなりませんから。絶対にならない。そういう行動の変容が起きない限り、全体に感染は。しかしそれは、ただお願いするベースじゃなくてということで、結論は先ほど言ったとおりであります。
(問)大臣と先生、それぞれにお伺いしたいのですが、大阪のまん延防止等重点措置の適用開始が、4月5日からではありましたけれども、大阪府が要請を決定したのが4月1日で、住民は確実に意識を持たれたと思います。これを起点とすると1週間以上経過しているわけですけれども、改善する傾向が見えているのでしょうか。
 逆に改善の兆しの要素があるとしたら、教えてほしいですけれども、変異株のことを踏まえると、明日の土日で人流等が減らない状況であれば、措置の重さはほぼ同じだとしても、肝心の住民の行動変容につながらないとすれば、先生も先ほど言われましたが、行動心理学的にも緊急事態宣言を考える時期ではないでしょうか。重点措置の効果を見るのであれば、東京で見られるのではないでしょうか。
(答)先に私から、人流の話をまず説明させていただきます。
 まずこれが、関経連をはじめ関西経済団体、3団体にお願いをしましたけれども、4月1日などはちょっといろいろ初日で、かなり10%台に戻ったのですが、20%、これは低過ぎると。
 先ほど申し上げた奈良とかの話もあります。和歌山も増えてきていますので、できる限りテレワークをやってくれと。もちろん工場の現場とかエッセンシャルワーカーもおられますから、全員が全員は無理にしても、せめてこの3割ライン。去年は6割7割まで関西圏もやってくれたわけですので、やればできるということでお願いをしています。
 人の流れをいいますと、昼の15時、夜の21時の時間帯ともに、関西圏はかなり人出が落ちてきています。梅田あるいはミナミ、それから神戸では三宮、こういったところの人出がかなり夜は減ってきていますので、このことの効果がやはり1週間、10日以降で出てきますので、2週間の間に出てきますから、これをしっかり見たいと思っています。
 今は800人900人のところまで上がってきていますので、ここからどのようになっていくのか、しっかり見たいと思っています。
 それから吉村知事もかなり強い発信をしておられます。マスクの会食というか、会話のときのマスクであったり、あるいは一店一店の見回りも強力に今は進めていますので、そういったことの効果が出てくることを期待したいと考えていますが、ただ、かなりのスピードで上がってきていますので、様々な状況、事態を考えながら、尾身先生をはじめ専門家の皆さんのご意見を聞いて、ここも適切に判断をしていかなければならないと思っています。
(尾身茂会長)大阪はかなり危機感を持っていると思います。それで大阪の場合は何もしなければ、間違いなく医療のひっ迫のところまで行ってしまうと思います。そういう意味では、重点措置を出したことは非常に適切。これは早かったか遅かったという議論は常にあると思いますけれども。
 今、人流の話について、やはり特に夜間のレジャー目的の人流というのが、ものすごくこれからの感染の減少、あるいは増加というものを占う。もちろんその後のいろんなPCRの陽性率とか入院率、先ほどの話はあれですけれども、即座に分かるのは、明日、明後日分かるのは、特に夜間の人流というのは非常にいい指標になっていますので、それを見て。
 そしてそのこと自体が、実は一般の市民にフィードバックがかかりますから、少しも減っていないとなると、多くの日本の国民の人は非常にそういうことに、情報ですよね、かなり自分たちで判断して行動変容をするという傾向が、他の国よりたぶん、私は他の国と分析する余裕はありませんけれども、そういうこともあるので、やはりしっかりとした人流のデータ等々を、しっかりとシェアすることが大事だと思います。
(西村大臣)朝8時は先ほど申し上げたテレワークなどと、あと4月1日に大勢の人が出たということもあったので、その後ちょっと戻っていますが、1月に緊急事態宣言を始めたレベルにはまだ達していませんので、これを落としていかなければならないと思っています。
 これは15時です。15時、これは4月に入ってかなり落ちてきましたが、1月の緊急事態宣言でこの落ちたレベルまでもう少しですので、この3万のレベルまで落ちてくれることを期待しています。
 21時は、これはミナミのデータですけれども、4月に入って、緊急事態宣言のときのこの1万のレベルに近いところまで、かなり落ちてきました。
 そして神戸・三宮も緊急事態宣言を解除した後はかなり出ていましたが、この1月のレベルに近いところまで落ちてきていますので。
 仙台は先に県独自の緊急事態宣言を発出されましたので、これだけ落ちてきていますので、仙台も少し落ち着いた。もちろんまだ医療はひっ迫していますけれども、この効果は出ていますので、この落ちた効果が今後出てくることを期待したいと思っておりますが、医療はかなりひっ迫しておりますので、いざというときに備えて人材の派遣とか、様々な枠組みを準備しておかなければならないと思っております。
(問)専門家の先生が分科会の記者団の取材に「ワクチン接種についても議論した」と明らかにしています。その中で有事の選択として「1人2回の接種方式や配分方法を巡って見直しが必要ではないか」という意見が出たとされています。議論の詳細と、それを受けて制度方針に変更があるかどうかを伺えますでしょうか。
(答)これは後で聞きましたが、私が閣議で席を外しているときのご議論だったようであります。他方、「1回接種でも一定の予防効果がある」という研究成果が出されていることも承知しております。
 ただ、ファイザー製の今打っていただいているワクチンは、2回接種を前提に有効性・安全性が確認され、薬事承認されたものであります。現時点で1回接種で十分な有効性が確保されるのかどうかについては、データに基づいた慎重な検討が必要であるということであります。
 引き続き情報収集を行って、必要に応じて科学的な根拠を基に適切な対応が、厚労省においてなされていくものと承知しております。
(問)今回、京都は重点措置の対象になって、奈良が入らなかったということですけれども、指標を見ますと、奈良はステージ4相当が3つ、京都は現状ではステージ4は無いというところで、同様に京都も奈良も、大阪との人の往来は頻繁にあって、感染が急拡大しているという意味では、今週前週比も、奈良は2倍近い数字だったと思いますが、それも変わりはないというところで、京都は出て奈良は出なかったというのは、比較の上でいうと、どういうところに起因すると考えればよろしいでしょうか。
(答)両知事とも、特に奈良県の荒井知事とは本当に何度もやりとりをさせていただきました。私自身も奈良の状況に強い危機感を持っておりましたし、今も持っております。
 ご指摘のように感染状況を見ますと、奈良の数字は下から三つ目ですので、10万人当たり33人、陽性率も8.5%ということで、非常に高い数字であります。病床も62%ありますので、全てが京都より、場合によっては、状況は厳しいと言ってもいいと思います。
 他方、この感染のスピードは、同じぐらいのスピードで上がっていっているということで、恐らく変異株の影響もあると思います。そうした状況の中で、先ほどのお話しと重なる部分もありますけれども、奈良の場合は大きな繁華街があるわけでもなく、奈良の中でどこかの施設。医療機関はクラスターが出ていますが、それ以外に工場とか学校とかで大きなクラスターが出ている、それがまた幾つもあるという状況ではなくて、7割以上が大阪に勤務している人が、大阪で感染して帰ってきて、家庭内に広げているという状況ですので、奈良の中でクラスター対策のようなことを一生懸命やっても、もちろん家庭内もありますし、当然いろんなところで濃厚接触者はおられますから、そこは当然クラスター対策をやっていくわけですけれども、奈良で特別な対策をやればそれで収まるというよりは、大阪で対策を取ることが、感染を減らしていくことに繋がるということで、ここは何度もやりとりをさせていただきました。
 その結果というか、それへの対応として先ほど3点申し上げましたけれども、一つが関西の経済界、奈良から大阪に働きに行っている人は、テレワークをできる限りしてください、ということの要請をいたしました。往き来をできるだけ減らすということであります。
 そして二つ目が、この往き来をしている主要駅で、私どものモニタリング検査を今行うべく調整をしております。ここで端緒が分かれば、対策をそこで講じていくということであります。
 そして3点目が、奈良市は、そうは言っても一定の数の飲食店などがありますので、奈良市長と直接私は話しておりませんけれども、まん延防止等重点措置にも前向きだという風に、知事からお聞きしました。そこで県と市で連携をして、飲食店対策の見回り調査、こういったことを徹底してやっていくと。
 その中で何か感染源になるようなところが見つかったりしていけば、それはもうちゅうちょなくまん延防止等重点措置をやりましょう、ということでお話しをしておりますので、これまでの県とのやりとりの中では、そうした対策を強化することで、奈良の感染を抑えていこうということであります。
 他方、京都は、中心部の京都には大きな繁華街がありますので、過去もそこで大きなクラスターが幾つも出ておりますし、緊急事態宣言も発出したわけでありますので、西脇知事も非常に強い危機感を持って、上昇していることについてまさに検討しようということで、私どもが決定をする今日、京都府の本部として国への要請対応を決定されたということでもありますので、そういう意味では歩調を合わせて、知事と連携をしながら、緊密に対応して、この感染を抑えていく。
 大阪との往き来も、もちろんこれも大事ですので、ここも注意をしなきゃいけないし、対策を取っていかなければならないですが、繁華街での感染も抑えていく、ということで対応したいと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)