西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年3月9日

(令和3年3月9日(火) 10:08~10:36  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 私から、まず経済の指標を幾つかお話しします。
 まず、本日公表しましたGDPの2次速報ですけれども、既に事務方から説明があったと思いますけれども、これを見ていただけたらお分かりのとおり、年率換算で12.7%、10-12月のGDPですね、これについてプラス11.7%に若干の下方修正しております。前期比プラス3.0%から2.8%に下方修正しております。
 一つは、設備に、法人企業統計が出ましたので、設備がプラス4.5%から4.3%に若干の下方修正ですけれども、4.3%ということで、引き続き堅調な数字であります。それからもう一点、これは寄与度で見ていますけれども、今申し上げたとおり2.0%、内需、寄与度が1.8%ということですね。全体で3%を2.8%に、0.2ポイント若干の下方修正。今申し上げた設備について4.5%から4.3%。それから、在庫ですね、民間在庫がマイナス0.4%からマイナス0.6%ということで、ここもマイナス0.2ポイント下方修正でありますけれども、これは在庫の動きで、昨年秋、冬の例のLNGが不足したことの、LNGの在庫が減ったということではないかと見ています。
 いずれにしましても、設備投資は3期振りの増加ということでありますし、全体として個人消費、輸出も増加しておりますので、GDP全体として日本経済の潜在的な回復力を感じさせるものという評価は変えておりません。持ち直しの基調は続いているものと見ています。ただ、この後、家計調査の話をしますけれども、本年1月から緊急事態宣言を発出しておりますので、その影響を見ていかなければいけないということであります。
 家計調査でありますけれども、1月の調査が発表されました。前月比でマイナス7.3%ということで、かなりの減少幅であります。これは去年の夏の感染拡大のとき以来の大きな幅でありますが、去年の4月、5月の緊急事態宣言を発出したときほどの落ち込みとはなっておりません。
 これは毎週お示ししているものでありますけど、昨日もお示ししましたけれども、グレーのゾーンが過去3年の幅ですね。去年の4月、5月は大幅に下回って、経済全体を止めることによって感染を抑えました。その後に、8月もかなり消費を抑えることによって感染を止めたんですけれども、様々な経験、知見、データの分析によって、今回、飲食の8時の時短をお願いするということにかなり焦点を絞った対策ということで、過去3年の幅の1月は特に下に張りついている格好になっています。2月後半、若干この3年の幅に入ってきていますけれども、いずれにしても下に張りついている格好で、去年のようにぐーっと過去3年の傾向よりも下に行っていることはないという状況であります。
 そして、いずれにしても低い状況ですので中身を分析しますと、このような形でありまして、実質消費が7.3%落ちているんですけれども、これをよく見ますとこういうことで。一つは、大きいのはこの濃いブルーというか、これ、教養娯楽ということで、旅行とか、当然、緊急事態宣言の下でここは減っています。それから、このオレンジの波線が外食を含む食料ということで、外食・飲食を抑えていただいているということだと思います。それから、ここが被服及び履物ということで、買い物も少し抑えられている。自宅におられる方も多いので、少しここを控えていただいているということで、ある意味、効果、緊急事態宣言で自粛をしていただいていることで感染が抑えられているということでもあります。
 白が非常に大きいんですけれども、その他。これ、いろいろ分析しているんですが、実はこれにはいわゆる贈与、お年玉ではないかと見られていまして、本来、1月は家族が集まって、おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんたちにお年玉を渡すという、そういう機会を今回は控えていただいているんだと思います。ということで、この贈与でお金を渡す部分が減っていると分析しています。
 いずれにしても、このような形でサービス消費を中心に消費を抑えていただいている。これは、ある意味で、緊急事態宣言の下で外出自粛や飲食などに気をつけていただけるようにということで、そういったことに御協力いただいていることの裏返しでもあるのかなと見ています。いずれにしても、サービス消費が非常に弱くなっているというところを全体として留意しなければなりません。
 それから、本日、いわゆる毎月勤労統計、毎勤ですね、これが発表となりました。
 前年と比べてマイナス0.8%ということで、12月は、このオレンジの部分の特別給与、ボーナスがかなり減ったということで、1月も若干、ボーナスが出る企業があると思いますけど、ここも少し減っていますが、所定内給与は若干のプラス。それから所定外、ここも若干の、傾向としては減少幅が小さくなってきている大きな方向が分かると思います。これを見てみますと、所定外、残業時間ですね、4月から5月はほとんど残業がなかったわけですけれども、それが徐々に徐々に回復していまして、若干のプラスがずっと続いてきています。所定外の労働時間にプラスの傾向が続いているということであります。これは5月と比べれば小幅にとどまっておりますので、これも飲食とそれにつながる人流を減らすということに焦点を絞った裏返しなのかなと見ています。
 次の、毎回申し上げるパートタイム労働者の方々の特別給与ですけれども、前年比でプラス20%ということで。いつも申し上げていますが、金額としてはそんなに大きくありませんけれども、電気・ガスで4万円とか、あるいは学術研究、学習で1万円強になっています。同一労働同一賃金、大企業で適用されているものが着実に実施されているものと思います。4月からは中小企業にもこの同一労働同一賃金が適用されますので、非正規の方、パート、アルバイトの方もこういった、同じ仕事をしていれば同じ処遇、待遇を得られるということで、全体としての賃上げに働いていくものと思います。
 こうして見ますと、1月-3月のGDPは、これは民間予測でマイナス1.8%というのが平均的に出されていますけれども、マイナスは覚悟しなければいけないのかなと思っております。しかし、昨年の春に比べると、意図的に経済全体を止めることによって感染を抑えたその状況とはかなり違いますので、消費も含めて潜在的な回復力があるものと感じています。
 まずは今の感染拡大、この緊急事態宣言を長引かせないということが大事でありますので、引き続き国民の皆さんには、是非、特に1都3県の皆さんには不要不急の外出自粛をお願いしたいと思いますし、8時までの時短の協力を飲食店の皆さんには御協力をお願いしたいと思います。
 引き続き厳しい状況にあるこうした飲食店の皆さん、あるいはそういった飲食店と取引のある皆さん、あるいは不要不急の外出自粛で影響を受けている皆様方に対しては、協力金であったり、一次支援金が昨日から申請が始まっておりますので、そういったことでしっかりと支援していきたい。また、雇用調整助成金、休業支援金などもありますので、働いている皆さん方も仮に休業とか仕事が減ったとしても、その分をしっかりと支えていきたいと考えています。
 総理が表明されていますとおり、女性の正規の方とか、あるいはひとり親の方々、様々な困難を抱える皆さん方、また、孤独や孤立に悩んでおられる方々、不安を抱える方々に対する支援策を今月中旬にも閣僚会議を開いて取りまとめるということでありますので、現状の分析を含めて関係省庁と今、連携して対応しているところであります。予備費も2.7兆円ありますので、この活用も頭に置きながら、機動的に必要な対策を講じていきたいと考えております。
 また、賃上げについては、所定内の給与が少し伸びていますけれども、今、労使間で真摯な交渉が行われていると思います。来週にも1回目の結果が公表されるものと思いますけれども、この賃上げの流れ、このモメンタムを、是非、継続していただけるように、労使双方の真摯な議論をお願いしたいと思います
 全ての業種というわけにいかない、特にサービス産業は非常に影響を受けておりますので厳しい状況にあることも承知しておりますけれども、製造業を中心に非常に回復してきています。貿易額は、もうコロナ前を上回る水準に戻ってきていますので、製造業の輸出、電子部品や自動車など、活気を取り戻してきている業種もありますので、是非、真摯な議論、そして賃上げのモメンタム、流れが継続していくことを期待したいと思います。
 それから、コロナの感染状況については、昨日は全国で599名ということで、月曜日ですので、大体いつも曜日で少ない日でありますけれども、11月の確か上旬以来の数字だと思いますが、週を通して見なければいけないということでありまして。週を通して見ると、全国で1.02ということで横ばい、少し微増の感じであります。10万人当たりで見ますと全国では6人ですから、もうステージ3を大きく下回っていますし、陽性率も2.1%と非常に低位であります。病床も安定的に推移しておりますが、まだ首都圏で言いますと埼玉、千葉が40%台ということで、病床の確保に厚労省がそれぞれの県と連携して対応しています。
 そして、首都圏で下げ止まっている感じが強まっています。埼玉、神奈川でも1.02、1.10ということで、先週比で1を超えてきています。10万人当たりの1週間も、東京、千葉で13人ということですから、ステージ3の15人も下回ってきていますけれども、ここをしっかり下げないと。下げていくことによって、遅れて病床も改善していきますので、是非、引き続き、1都3県の皆様方は不要不急の外出自粛、それからテレワーク。
 人流、いつもお示ししている人の流れですけれども、また少し、40%を首都圏で切ってきていますので、今日夕方、経済界にも改めてまたもう一段の取組をお願いしようと思っていますが、是非、人の流れを減らしていくこと、このことを経済界に改めてお願いしたいと思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日もよろしくお願いします。GDPに関して2つ伺います。一つは、今回の修正の要因の在庫の下振れのところなんですけれども、先ほど大臣はLNGの価格の影響のことをおっしゃっていましたけれども、例えば、製品在庫で見ても自動車が減っていたりとかして、本来積み増すべき在庫が積み増されていないという見方もできるかと思うんですが。これは経済が上手く回っているために在庫が圧縮されているのか、それとも、先行きが不安だから在庫が圧縮されているのか、そこの見方を教えてください。
 もう一点は先行きについてですけれども、今も1-3月期はマイナスを覚悟しなければいけないというお話がありました。そのマイナスの深さについてはどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか、教えてください。
(答)一点目は、在庫についてはいつも見方がいろいろあります。在庫が減っている場合に、それは、どんどん、どんどん出荷されているのでプラスということも考えられますし、そもそも生産していないから減っているということもあると思いますけれども、在庫循環で見ていくのが通常の経済の循環を見ていくということでありますけれども。様々なヒアリングで聞いています範囲では、今回はLNGの部分が大きかったと見ていますけれども、製造業は非常に好調であります。特に電子部品、そして電子部品の半導体製造装置なども好調でありますし、自動車も堅調な動きをしていると聞いていますので、そういう意味で、良い意味でしっかりと生産して、輸出を中心にそういったことが進んでいるという見方をしていますけれども。いずれにしても、今回は一番大きいのはLNGということで評価されています。
 それから、民間の予測がこの1-3月期マイナス1.8ということで平均聞いております。緊急事態宣言を1月から始めて、首都圏については3月21日までということで、飲食店の皆さんには大変厳しい状況におかれていると思います。もちろん、しっかりとした支援を行っていますけれども、しかし、そうした状況の下で不要不急の外出自粛もお願いしておりますし、県をまたぐ移動も自粛をお願いしていますので、旅行、外食、そして様々な人と人とが接触するような接客のサービス業については厳しい状況にあると思いますので、そういう意味でマイナスを覚悟しなければいけないと見ています。
 しかし、2つ言えるとすれば、一つは去年の5月の状況とはかなり違うと。先ほどのマクロミルの数字を見ていただいても、過去3年から大きく下回っている4月、5月と異なり、過去3年の幅のぎりぎりのところか下のところでこういう状況であるということで、消費について見てもこういう状況。それから、雇用・所得の環境も失業率2.9%で、雇用調整助成金のこれも一定の効果があると見ていますけれども、雇用を守るというところで、欧米のように失業率が大幅に上がってはいないというところでもありますし、所得環境も徐々に残業が増えてきている。これは製造業中心でありますので、そういう意味では、サービス業が厳しい状況の反面、製造業が海外の需要の回復に伴って生産も戻ってきているという状況だと思いますので、そうした中で改善も、残業も少しずつ戻ってきているという状況だと思います。
 したがって、4月、5月のような大きな落ち込みはないと見ていますけれども、引き続き、厳しい状況にある方々をその事業、雇用、生活をしっかりと支えていくということ。そして、さらにこの時期に感染防止策をしっかりやってもらうための持続化補助金とか換気の補助金とかを活用してもらいつつ、その後の様々な「新たな日常」に備えていただく。そして、デジタル化なども今、進めることによって感染防止と経済活動との両立ができるわけでありますので、様々なオンライン化、キャッシュレス化、こういったことの取組を是非支援していきたいと考えています。
(問)「Go To Eat」のオンラインのポイントについてお伺いしたいんですけれども。今、ポイントが3月末までで期限が来るという話がありまして、一部サイトでは延長しているんですけど、一部サイトでは3月末まで。大臣が日頃からおっしゃっているとおり、感染リスクは変わらないから、近しい人と、家族と、なるべく控えるということ。でも、一方で、やっぱり飲食店を応援するポイントが3月末で切れてしまうとなくなってしまうと、応援するポイントがなくなってしまうという事態に陥って、慌てて使う人もいるかもしれない。どちらにしろ駄目な状況だと思うんですよね。そのオンラインのポイントの期限を、例えば延長するように事業者に訴えるとか、そういうようなお考えはありますでしょうか。
(答)「Go To Eat」の扱いについては、農林省と、それからそれぞれの都道府県の考え方も尊重することになっていますので、そうした中で対応を検討されているものと思います。詳細はまだ聞いておりません。
 私から申し上げられるのは、そもそも「Go To Eat」の条件として4人以下ということになっていますし、緊急事態宣言がどこかで解除されるわけですけれども、仮に解除されたとして、その後も同じようなやり方で飲食を繰り返すと、これは大人数だったり、長時間だったり、マスクを外しての会話をやったりということであれば、また12月と同じように感染が広がる恐れがあります。繰り返しになりますが、こういうアクリル板とか、換気の良いお店を選んでいただく、それから会話のときにはマスクをする、こういったことを徹底していかないと同じようなことが起こってしまいますので、改めてそういったガイドラインの再検討も含めて、強化も含めて、今検討を関係省庁と進めているところでありますので、そういったことを踏まえて「Go To Eat」をどうしていくか、あわせて検討されるものと考えています。
(問)よろしくお願いします。設備投資の見通しについてお伺いしたいんですけれども。若干下方修正されたんですが、2021年に入ってどういうふうな動きが見られるでしょうか。お願いいたします。
(答)まず、世界経済全体にIMFなども上方修正していますとおり、これはワクチン接種への期待とか、あるいはアメリカの大型の追加予算など、様々な期待から世界経済の回復を期待する声が、評価が出ているわけでありますので。そういった中で、特にこのデジタル化の大きな流れの中で電子部品、関連部品のそうした需要に応える形で生産、また、自動車も回復してきていますので、そういったことに対する需要、こういったことを背景として設備投資、若干の下方修正でありますけれども、前期プラス4.3%ということで、3期振りの増加となった姿に変わりはありませんので。そういう意味で、こうした業種においては引き続き前向きな投資を期待したいと思っています。
 それから、もう一つは、やはりソフトウェアをはじめとする「新たな日常」に対応する投資、さらに言えば、デジタルに加えてグリーン、それから人材に投資していくヒューマンという、私の申し上げている3つのニューディールで政府支出を、まさに民間の投資を喚起する、そうした予算、税を組んでおりますので。そういったことに対して内部留保、240兆円もの現金がありますので、これを是非、将来に向かって投資していただきたいと思っています。このことが日本の経済、社会を新たな姿に作り上げていく、未来を切り開いていくことになると思いますので、是非、民間企業の皆さん方にはこうした投資をお願いしたいと思いますし、それをある意味、後押しする形でコーポレートガバナンス・コードの改訂も進めておりますので、外国人や女性や多様な視点で将来に向かっての投資を是非、進めていただきたいと考えています。
(問)LNGの在庫減が電力需給の逼迫につながって、年始の電力供給が非常に綱渡りの状況になったという状況の中で、これからのエネルギー安全保障政策はどういうふうになっていくかということ、マクロ経済運営の司令塔としてのお立場で御所見をお願いします。
(答)直近の状況を詳しく報告を受けているわけではありませんが、少し寒さも緩んできておりますし、あと、アメリカの寒波の状況がどうなっていくのかということなどもあると思いますけれども、何よりエネルギーは安定供給、そして安定的な価格で供給されることが重要だと思います。他方、これまで競争原理があまり働いてこなかった中で需要市場を作り、競争原理を導入し、新たな参入も増やしていく、さらにはまさにグリーン化の流れの中で2050年カーボンニュートラルということを目標に掲げていますので、これまでの化石燃料から再生可能エネルギーに大きくシフトしていく。また、水素なども総理が浪江の製造施設を視察されましたけど、私も昨年視察してきました。日本のそういった先端的な技術を生かしていくこと。また、川崎重工の水素船も見させていただきました。そうした新たなフロンティアへの挑戦を、先ほどの話で投資もしていただきたいと思いますし、民間企業の様々な発想で新たな開発、投資、こういったことが進むことを期待しています。
 いずれにしても重要なことは、日本はそもそも資源の少ない国でありますので、安定供給。それは送電網も含めて安定な供給が必要ですし、価格が安定していることも重要だと思います。加えて、グリーン化の大きな流れがありますので、そうした中で様々な事象が起こります。今年の冬、こうした経験、そしてテキサスの経験などもあります。そうしたことを踏まえながら、より、ある意味安定した市場、安定した供給価格、こういったものを目指して進化を続けていくということが大事だと思います。
 経産省、資源エネルギー庁ともよく議論しながら、経済のやっぱり基礎でありますので、そういったことを進めていきたいと思いますし、さらに言えば、当面まだ石油の必要性はなくなりませんので、中東への依存度であるとか、そういった安全保障面での観点も加えて、幅広い視点からの議論をしていきたいと考えています。
 ありがとうございます。

(以上)