西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月15日

(令和3年2月15日(月) 18:33~18:59  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私からGDPの1次速報、1次QEについてお話しします。もう既に談話を発表していますので、御覧いただいているかと思いますが、実質成長率は前期比プラス3.0%、年率換算はプラス12.7%ということで、2四半期連続のプラスであります。前期が年率でプラス22.7%と非常に高い数字。その前の4月―6月期が年率でマイナス29.3%でしたから、7月―9月期に続いて、10月―12月期も回復基調にあるということであります。
 そんな中で個人消費につきましては、各種施策の効果もありプラス2.2%。それから民間設備投資も半導体製造装置、それからロボット、こういったところが堅調であります。こうした機械投資を中心に、底入れの動きが出てきているのかなと見ています。
 それから輸出も海外経済の改善に伴って、前期比プラス11.1%と非常に高い伸びであります。これは特に中国・アジア向けの電子部品、それから自動車、こういったものがプラスとなっております。全体として日本経済の潜在的な回復力、これを感じさせる内容となっているのかなというところで、評価したいと思っております。
 ただ、これは赤がリーマンです。リーマンの時よりも、これが第2四半期です、が大きく落ち込んで、ペントアップ需要も含めて回復基調にあるわけであります。まだ以前の水準には戻っていないのは御案内のとおりです。
 前年比で、年を通してみますと、2020年はマイナス4.8%ということで、リーマンの時のマイナス5.7%よりかは小さいですが、年で見ると非常に大きな落ち込みであります。まだ回復道半ばということであります。
 これは以前にもお示ししました現金給与総額、全員のものでありますが、リーマンの時にマイナス3.8%となりましたが、2020年はマイナス1.2%であります。残業時間が減ったこと、特別給与が減ったこと、リーマンの時に比べればそれほどではないにしても、大きな落ち込みとなっております。ただ、特別定額給付金、お1人10万円も給付していることもあり、家計の実収入は前年に比べてプラスになっているということであります。
 ということで繰り返しになりますが、潜在的な回復力を感じさせる、そういった内容となっていることを評価したいと思っております。しかしながら今申し上げたように年では大きな落ち込みでありまして、回復は道半ば。
 しかも緊急事態宣言を1月から発出しておりますので、飲食、宿泊、サービス業を中心に、非常に厳しい状況におられる事業者の皆さんがたくさんおられます。協力金であったり、一時支援金であったり、雇用調整助成金、無利子・無担保の融資枠の拡充・拡大、こういったことを通じて、しっかりと支援をしていきたいと考えております。
 その上で株価が今日3万円を超えまして、30年半ぶりの高水準ということで、終値でいうと1990年8月2日以来ということで、30年と半年ぶりということであります。
 一つ一つの毎日の株価については、そのレベルについてはコメントを差し控えておりますけれども、今日のこの高値については、市場関係者の間では、前週末、米国の株式市場が上昇したこと、それから日曜日に国内でのファイザーのワクチンが承認されたこと、それを受けて景気の回復期待、それから今申し上げたGDP速報が、民間の予想が年率換算9%台だったと思いますが、12.7%ということで、それを上回ったということなどで、今日の株価上昇につながっているのではないかと聞いております。
 株価は以前から申し上げていますけれども、経済の先行指標とも言われております。当然、企業を評価する時も、今の企業の現状ではなくて、大体半年ぐらい先の収益を見ているということで、大体半年ぐらいの先行指標と言われています。そういう意味で企業の今後の収益、資産、特に将来の収益の期待ということが反映されているものと思いますので、こうしたマーケットの評価は素直に、ポジティブに受け止めたいと思っております。
 ただ、足元の緊急事態宣言の下での厳しい状況がまだありますので、手放しで喜ぶということではなく、厳しい状況にある事業者の皆さん、そして国民の皆さんの事業、生活、雇用、これをしっかりと支えていきたいと考えております。引き続き2.7兆円の予備費がありますので、これを機動的に使うことを含めて、必要な対策を講じていきたいと考えております。
 感染者の方につきましては、昨日は1,362名でありますが、一昨日が1,356名であります。聞いていただいたら分かるように、ちょっと減少が鈍化してきています。このことを非常に危惧しています。
 全体としては東京も直近1週間で、10万人当たり19人ということで、レベル4から下がってきています。全国は8人でありますから、もうレベル2の段階になっていますが、他方で繰り返し申し上げているように、病床の方のまだ逼迫が続いております。療養者数も非常に高い数字。これは自宅療養、調整中の方を含めておられますので、ここをやっぱり減らさなければいけないということであります。
 東京の新規陽性者の数、以前にもお示ししましたけれども、1万人を1週間で超えていたものが2,700人台ということで、4週間それから6週間、実質1月12日から時短が始まっていますので、この週からすると7割ぐらい下がってきていますが、ここに来て今日の数字が266名で、先週の月曜日が276ですから、10人しか減っていないという、鈍化しているのが明らかになってきていると思います。
 日曜日の数字も429人、先週が371人ですから、もしこのように7割6割と落ちているとすれば、300人前後まで落ちるはずなんですけれども、残念ながら371、266と、この落ち方がちょっと鈍化してきていますので、このことを非常に危惧しています。人出がかなり出ているということで。
 もう一つ、陽性率もぐっと上がったものが下がってきたんですが、ここに来て5%前後で、ちょっと横ばいの状況が分かっていただけると思います。
 そして平日の昼間の人出も、新宿でこのレベルまで上がってきました。1月は非常に低い水準で、12月から比べて皆さん自粛をしていただいて、恐らくテレワークなど、オンライン会議などをやられたと思うんですが、ここに来て12月の水準まで戻ってきています。これは横浜もそうです。渋谷も上がってきています。ということで平日の昼間も、いつもお見せしているテレワークも、4割前後からちょっとまた上がってきています。
 関西圏でも、梅田も昨年12月のレベルまで戻ってきました。関西圏はテレワーク3割弱ですので、ここは是非、徹底したテレワーク、もう一段の御協力をお願いしたいと思います。
 これは感染拡大を抑えるという意味と、新たな日常を作っていくこと、まさにその象徴であります。要はこれができないと、将来の成長はないということです。もうデジタルの世界を作っていくわけです。それができない企業に成長はないということだと思いますので、是非、昨年の経験も生かしていただいて。
 もちろんエッセンシャルワーカー、工場の現場、交通機関や金融や医療現場の皆さんは、もちろんテレワークできません。そういった方々にも配慮しながらでありますけれども、できる業態は是非やっていただきたいと。これが新たな日本の経済の成長の源泉になっていく。そして新たな社会を作っていくわけでありますので、その象徴だと思います。
 昨年からもう1年間、経験をしてきている中で、生産性が落ちるとかいろいろ課題はあります。ありますけれども、これまでの経験を生かして、それを乗り越えて、新たなこうしたスタイル、ビジネスモデル、新たな経済・社会を作っていく象徴として是非、実施をお願いしたいと思います。
 中小企業の皆さんも厳しいと思いますけれども、いろんな支援策を用意しておりますので、そういったものを活用していただきながら、是非、対応をしていただきたいと思います。
 休日も新宿、渋谷、横浜、この1月は非常に低い水準。12月に比べてかなり自粛をしていただいたんですけれども、2月に入ってかなり高まっています。これは感染者の数が減ったということもあると思いますし、天気もいい日が続いていますので、今日は雨ですけれども、休日、暖かい天気も続きましたので、そういったこともあるかと思いますけれども、是非昼間も含めて、土日も含めて、不要不急の外出自粛を是非お願いしたいと思います。緊急事態宣言を長引かせないためにも是非、御協力をお願いしたいと思います。
 そして医療の負荷。先ほども申し上げたように、感染者の数が減っても、遅れて医療に負荷がかかる。重症者が増えてくるわけであります。コロナへの対応、そして通常の医療もお願いしていますけれども、これからワクチンの接種も、医療機関の皆さんにお願いすることになっていきます。
 ワクチンの円滑な接種を進めていくためにも、医療機関の負荷を下げなければいけませんので、是非このことを改めてお願いしたいと思いますが、そのために感染者の数をぐっと減らさなければいけませんので、是非、不要不急の外出自粛、テレワーク7割をお願いしたいと思います。飲食店の皆さんには、9割を超える皆さんが協力をしていただいております。8時までの時短、引き続き協力金などで支援をしてまいりますので、是非とも御協力をお願いしたいと思います。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日発表された2020年10―12月期は、予想を上回る高値で回復基調ということだったんですけれども、年明け以降は大臣がおっしゃっているとおり、宣言の再発令などでかなり厳しい状況かと思います。足元の景気をどう見ているかということ。また、2021年度中にコロナ前の水準をGDPで回復する、という政府の見通しは変わりありませんでしょうか。以上2点お願いします。
(答)足元は1月から緊急事態宣言を発出して、3月7日までということで、今申し上げたような対応をお願いしているところであります。いろんな業態に影響が出ておりますので、協力金それから一時支援金、雇用調整助成金、そして休業支援金の拡充など、あるいは総合支援資金、厳しい状態にある方への貸し付け、これは返済条件付きのものでありますけれども、こういったことを通じて雇用、事業、生活をしっかりと支えていきたいと考えております。
 ただ、昨年の春に幅広い業種に、休業なり時間短縮なりをお願いしたのとは異なり、今回はかなり焦点を絞っています。飲食店の皆さんには御負担をおかけしていますけれども、8時までの時短、そしてそれにつながる人出を、人流を減らすということで、テレワーク7割であったり不要不急の外出自粛ということであります。
 昨年は映画館、百貨店あるいは遊園地、それからイベント、こういったものを全て休業、あるいは自粛していただきましたけれども、今回は映画館は半分までで、8時までで呼びかけは行っています。半分までは入れる。あるいは百貨店も、感染拡大防止策を徹底していただきながら営業を続けてもらっています。
 イベントも50%・5,000人ということで、その範囲で継続をしていただいております。遊園地なども同じように50%、あるいは5,000人までということでお願いをしておりまして、経済を意図的に全体を止めるということではなく、焦点を絞った対応。これはこれまでスーパーコンピューター「富岳」を使ったシミュレーションとか、あるいはデータに基づいて対応してきました。
 特に8時までの時短は、昨年夏に大阪や愛知県でこれに対応して、1カ月で半減以上の効果を持ったということで、これのデータ分析を私どもで行って、そうしたデータに基づいて対応してきたところでありますし、今申し上げた映画館や遊園地などについてはスパコンなどを使って、科学的根拠に基づいて今回対策を講じているわけであります。
 したがってこういった科学的なデータ、科学的な根拠に基づいて対応してきたと。ある意味、下がってくること。専門家の皆さんとも協議をしながら対応してきましたけれども、ある意味、これまでの知見、経験を生かして、焦点を絞ったやり方で、一定の成果が出てきているものと思います。
 しかしながらここに来て、少しその落ち方が鈍化してきておりますので、もう一段のお願いをしているところですけれども。いずれにしても、去年の春のような大きな落ち込みはないであろうということは考えられますが、しかし厳しい状況におられる方々がたくさんおられますので、その点はしっかりと事業、雇用、生活を支えていきたいと考えております。
 繰り返しになりますが、2.7兆円の予備費がまだありますので、機動的に必要な対策を講じていきたいと。よく経済の指標の分析をしていきたいと思います。
 そしてその上で2020年度、私どもは実質成長率マイナス5.2%、21年度はプラス4.0%程度ということを見通しの中でお示ししているとおりでありまして、この見通しに変更はございません。
 したがって2021年度中には、コロナ前の経済水準を回復するということを見込んでおりますので、そうなるように引き続き全力を挙げて対応していきたいと。今申し上げたような機動的な対応も含めて、事業、雇用、生活を支えながら対応していきたいと考えております。
(問)GDPのことで2点伺います。
 一つは、今回の10―12月期はすごく高い伸びになりましたけれども、一方で年末にかけて感染が拡大したということがありました。経済の活動と感染防止の両立の難しさというのが、浮き彫りになった結果ではないかと思うんですけれども、これについての大臣のお考えをお聞きしたいのが1点です。
 もう一つは、この先の見通しのところなんですけれども、大臣は今、21年度中にコロナ前の水準、GDPを回復する目標は変えませんということなんですけれども、一方でなかなか「GoTo」の再開など見通しが立たない状況です。
 分科会の尾身会長からも、リバウンドを防ぐために花見だとか、あるいは謝恩会だとかを自粛するようにというお話もありました。そういった経済活動がなかなか再開できない中で、来年度の目標を達成できるという、その根拠について教えていただけないでしょうか。
(答)両立は本当に難しいです。私も命と暮らしの両方を守らなければいけない、そういった任務をいただいている中で、本当に苦慮しながら毎回判断をして、政策で対応してきています。
 今申し上げたように昨年春の経験、夏の経験、そしてこの冬の経験、それを様々データ分析、スーパーコンピューターも使っていますし、人工知能も使っていますし、また、内外の研究者のいろんな研究、国会でも議論になった、東大の仲田先生ほか何人かの先生方のシミュレーション、これを分科会でも先般、議論させていただきました。いろんな方々の研究を、成果を生かしながら、私どもは取り入れながら対策を考えています。
 今申し上げられるのは、まずは感染拡大を抑えること、これに最優先で取り組むということであります。これができないと、ずるずるずるずる経済へも悪い影響、感染もおさまらないという状況になりますので。今は本当に多くの皆さん方に御不便をおかけしますけれども、御協力をいただいてここまで下がってきていますので、もう一段の、もうしばらくの御協力をお願いして、早く感染を抑えること、早く医療機関の負荷を下げること、これが何より重要だと考えています。
 その間、厳しい状況にある方には、先ほど申し上げたような様々な支援策で、協力金であったり、雇用調整助成金であったり、一時支援金であったり、迅速に給付をしながら対応していきたいと考えています。
 さらに言えば、繰り返しになりますけれども、そうした経験を踏まえて、焦点を絞って対応していくということです。幅広い業種で、意図的に経済を止める形で休業していただくようなことは今回はせずに、かなり焦点を絞った対応をしてきている。だからこそ、人出が少しまた今増えてきている状況だと思います。
 映画館や百貨店や全部閉めてもらっているわけではありませんので、感染防止策を徹底してもらいながらやっていただいています。そうした中で、何とかこの感染を抑えることを最優先にお願いをしたいということであります。
 その上で今後、緊急事態宣言を長引かせないという方針で、まずは感染拡大を抑えていく。そして医療機関の負荷を下げるということで取り組んでいきますけれども、その後も、今、栃木県で21時までの時短をやっていますけれども、段階的にこうした制限を緩和していくこと。イベントなどもそうです。去年の春もそういう取組をさせていただきました。それがまず第一であります。段階的に経済のレベルを引き上げていくということです。
 そして2点目は再拡大の兆しをつかむということで、この11都府県については、全ての高齢者施設で従事者の方々の検査を行う。しかも1回だけではなくて、定期的に行うということで今進めています。さらに繁華街であったり空港であったり、様々なチェックポイントで、これは今、専門家の皆さんと自治体と相談を始めていますけれども、そこでモニタリング的に検査を行って検知をしていく、兆しを早くつかむということにも取り組んでいきたいと考えています。
 そして兆しをつかんだ時にクラスター対策で、その関係者の範囲で抑え込んでいくこと。それからまん延防止等重点措置が活用できること。こういった対策を機動的に講じることによって、感染の再拡大を抑えるということで取り組んでいきたいと思います。さらにはワクチン接種が始まっていきますので、これを円滑に進めることによって、海外の事例でいきますと、感染も一定程度抑えられております。こういったこともしっかり見ていきたいと思います。
 もちろん発症予防であったり重症化予防であるというワクチンの目的などについては、正確な情報をしっかりお伝えしていきたいと思いますけれども、ワクチン接種も始まっていきますので、こういった幾つかの対策をやりながら、感染再拡大を抑えて、経済活動との両立を図っていくということになります。
 いずれにしても、これまでの経験を生かしながら、そしてデータに基づいて命と暮らしを守る。今は感染拡大抑止、防止、これを最優先で、医療機関の負荷も下げるということを最優先で取り組んでいく。そして長引かせないことが、何より経済へのマイナスの影響が小さくなるということでもありますし、その後も再拡大を抑えていく。
 小さな流行は起こります。何度も申し上げていますけれども、ゼロにするのはなかなか難しいウイルスです。だけれども、兆しをつかんで大きな流行にしないということが大事だと思っていますので、これまでの経験、そして科学的なエビデンスに基づいて、両立を図っていきたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)