西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月12日

(令和3年2月12日(金) 21:15~21:56  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 それでは、今日は諮問委員会、それから対策本部を開きましたので、概要はもう議運でかなり説明しておりますので、ポイントだけを御説明したいと思います。
 まず、10都府県につきまして、今日、何か諮問委員会にお諮りをしたわけではありませんし、何か解除のこととか他の追加とか、特段の議論があったわけではありません。
 御案内のとおり、新規報告者数10万人当たり、東京が23人、今、全国は10人まで下がっていまして、全体的にはここだけを見るとステージ2まで下がってきております。全都道府県で25を切りました。1週間の10万人当たりです。したがって、感染減少は続いている状況で、あとで詳しく言いますが、先週今週比は0.6、0.7、0.8ぐらいが続いております。
 他方、もう何度も申し上げておりますけれども、病床、重症者を含めて、まだまだ医療は非常に厳しい状況にあります。療養者数も首都圏、関西圏、それから福岡も含めて総数はかなりあります。この数が入院調整中の方であったり、入院できずに自宅にいる方もおられるわけでありますので、まだまだ医療の逼迫は続いているという状況であります。
 そうした中で医療への負荷を下げなければいけない。今日も何度も申し上げましたけれども、ワクチン接種も始まりますので、医療機関はこの接種の方もお願いをしなければいけないわけであります。コロナへの対応、通常医療への対応に加えてそういった業務もお願いしますので、とにかく医療への負荷を下げることが何より大事でありますので、そうした視点からも、引き続き新規報告者数、陽性者の数を下げると同時に、病床の確保を含めてしっかりと支援をしていかなければいけない状況が続いております。
 次をお願いします。これが1週間前との増減比をとったものですが、12月から1月にかけて、これが1ですから先週より今週が多いケースです。2倍ぐらいまで1月上旬は増えました。その後、緊急事態宣言の効果もあって減少傾向になって、急激に落ちてきたんですけれども、ここから見ていただいたらいいのですが、さらに落ち続いているのですが、この落ち方が緩くなっています。これが1月下旬から落ち方が緩くなっています。
 次のページをお願いします。10万人当たりの数も、東京は一時90人という桁違いの数字に、年末から年始にかけてぐっと増えたわけですが、その後、急激に下がりました。緊急事態宣言がちょうどこのぐらいの時期で、その後、下がってきていますけれども、ただ、見ていただいたら分かりますように、落ち方が緩くなってきています。傾きが緩くなってきていることがお分かりになると思います。全国も下がってきたものが緩くなっています。神奈川も急激に落ちましたが、その後、緩やかになってきていることがお分かりになると思います。減少が鈍化してきているということであります。
 次のページをお願いします。これは東京の陽性率、以前ずっと出していましたけれども、このところはあまり明確には出していませんでしたが、陽性率は一時期、十数%まで上がったものが、ぐっと下がってきましたが、ここも落ち方が緩やかになって、今は5%でかなり下がってはいるんですけれども、もう一段下がらないと、この5月はもう1%とか2%、緊急事態宣言を去年の春に解除した頃はそうでしたし、9月、10月の落ちきらなかったといわれている時も3~4%までは落ちていますので、もう一段下がらないといけないと。この傾きがまた緩やかになっている、これはお分かりいただけると思います。
 次をお願いします。なぜなのかということをいろいろ分析を進めていますが、何度も繰り返し申し上げておりますとおり、テレワーク実施による朝の出勤者数の7割減が、一時期は4割を越えて落ちたのが、またちょっと戻ってきています。関西圏も29%ぐらいでずっと同じぐらいででこぼこしていますが、やっぱり去年のように7割、やればできるということが分かったはずだと思いますし、経験を積んでいます。その後もいろいろありましたけれども、経験を積んできていますので、効率がよくなかった、生産性が落ちたという声も多かったですけれども、経験を積んできてさらにできるはずなのに、まだこれが進まない。しかも、逆に悪くなってきているわけです。これは朝の出勤の数です。
 次をお願いします。それから休日のデータをずっととっています。昨日2月11日まで、祝日、休日だけ、昼間の人流をとっています。12月は非常に多かったものが、1月に入って下がりました。緊急事態宣言もこのあたりで出しましたので、下がりました。しかし、これが1月下旬ぐらいから緩んできています。新宿駅の利用者数はまた増えています。感染者が減ったことを受けてではないかと思いますが、まさにこの1月下旬がこの辺です。今の2週間前の姿です。このあたりからぐっと増えて、これは大宮駅、それから渋谷のセンター街がこれです。渋谷のセンター街も一回ぐっと下がったんですけれども、またここに来て増え始めています。これは川崎駅です。川崎も一旦減ったものがまた増えてきている。
 次をお願いします。関西も、梅田も緊急事態宣言で一回落ちました。ところが感染者が減ってきたこともあって、また増え始めています。その他の所はまだそんなに増えている感じはありませんけれども、梅田は非常に顕著であります。
 申し上げたいのは、ここまで国民の皆さんの御協力、事業者の皆さんも8時の時短をしていただいて、ここまで下がってきていますが、やっぱり感染者の数が減ったということで油断が出てきているのだろうと思います。いま一度、もう一段、ここで緩んでしまうと本当に緊急事態宣言は長引いてしまいます。ずるずる行くことになってしまいますので、何としてもここで感染を抑える。そして病床をしっかり確保する。今なお厳しい状況が続いている医療体制を何としても負荷を下げる。そのことが円滑なワクチン接種にもつながってくるわけでありますので、いま一度、明日、明後日も土日ですけれども、休日も含めた不要不急の外出自粛。それから来週もまた、是非テレワークを今まで以上にやっていただいて、去年の春並みには、7割の出勤者の削減を是非お願いをしたいと思います。ここでもう一段下げないと、医療の負荷が下がりません。是非、皆様方に改めてお願いをしたいと思います。
 夜は多くの事業者の皆さんが厳しい中で、8時までの時短に多くの事業者に協力をしていただいています。感謝申し上げたいと思います。夜の人流も減っています。もちろん去年の春ほどではないですが、多くの皆さんが協力していただいて、飲食店のクラスターも減っています。
 今はむしろ、繰り返しになりますけれども、高齢者施設でのクラスターが顕著になっていますので、それぞれの都道府県で高齢者施設の従事者の方々の全員検査を実施していただくことにしております。入所されている高齢者の方々の命をお守りするためにも、従事者の方々の全員の検査、これは計画を今日中に出していただくことになっております。何件かは出てきておりますが、今晩中に出てくるだろうということで、厚労省の方で今、督促もされているのだろうと思います。是非もう一段の御協力をお願いしたいと思います。
 次をお願いします。今日、対策本部で決めたことを含めて、何点かポイントのみを申し上げます。後ほど少し申し上げますが、まさに緊急事態宣言を解除することも視野に入れた今後の対策として、常々申し上げています5つの事柄を中心に、1つは、まず対策を段階的に緩和する、時短、テレワーク、イベント制限、もう一遍に一度に自由にするわけではなくて、今、栃木で21時まで時短を行っていますが、そうしたやり方。去年の東京も段階的に緩和をしていきました。そして、クラスター対策をしっかりやること。検査を拡充する、これは今申し上げた、高齢者施設における集中検査。そして、私どもでやる、繁華街等におけるモニタリング検査。予兆を探知するということ。そして、ワクチン接種があり、明日から施行となります、まん延防止等重点措置を活用し、何か探知を見つけたら、クラスター対策をやると同時にまん延防止措置で、その地域で封じ込めていくということを実施していきたいと思います。
 次をお願いします。それを絵に描きますと、措置の段階的緩和をやっていくという中で、モニタリング検査の実施をし、これは常々申し上げていますとおり、SNS上のつぶやきなんかのデータもあわせて分析をすると。医療機関等行政検査の、陽性率に限らず検査データ、民間検査機関のデータ、これを人工知能も使いながら分析をしていきます。そして再拡大の予兆をつかめば、それぞれの地域でクラスター対策でしっかり封じ込める。そしてまん延防止措置でその地域で封じ込める。あわせて、ワクチン接種が始まるということで、もう再拡大をさせないということで進めていきたいと思っております。
 お願いします。そして、感染防止策徹底の中で何点か申し上げますと、この時短要請の徹底をするということ。あわせて飲食店のガイドラインの遵守の働きかけ、これを個別に働きかけを実施していきます。都道府県に今その実施計画を策定してもらって、私の所に提出していただいて、取組状況公表、あるいは好事例も横展開をしていきます。今もどのぐらい協力に応じてくれているかというデータは上げてくれているんですけれども、もう呼びかけを徹底してやっていくということを行いたい。それから、ガイドライン遵守のための見回り。これも業界団体や直接実施をする中で調査をし、随時公表していきたい。守っていない所にはただちに改善の指導をする。それから、予約サイトを通じて遵守状況を可視化していく。ここは守っていますよということを、あるいは守っていない所はそもそも「GoToイート」の対象になりませんので、指導をしていくということであります。
 次をお願いします。それから先ほど申し上げた高齢者施設の集中的計画を今日までに策定をし、3月中を目途にその検査を実施していくことになりますので、その検査結果について公表をしていきます。
 それから若者たちへの働きかけで、全ての国公立、私立大学などに対して文科省から通知をしておりまして、2月中にフォローアップをやるということですが、特に感染リスクが高くなる場面を注意喚起していきます。学生寮の対策、部活動。これはかなりそれぞれの大学でやってくれていまして、かなり減りました。昨年11月、12月、1月にかけては運動部あるいは学生寮、合宿などでかなり出ましたけれども、今はだいぶ減ってきました。それから懇親会の自粛など、こういったことの注意喚起。学生生活の配慮事項。
 それから、尾身会長からも既に言われていますけれども、卒業式、入学式の式典、あるいはそれに伴う行事、謝恩会などです。それから、卒業旅行の自粛。こういったことへの注意喚起を是非徹底して行っていければと考えています。卒業式、入学式も距離をとってというかたちはあり得ると思うんですけれども、飲食を伴う謝恩会とか、卒業旅行、こういったものは是非延期、自粛をお願いしたいと思います。
 それから、私どものモニタリング検査を1日1万件程度以上やっていくということでありますので、徹底的に検査を繁華街などで行って、何か感染拡大の兆しが見えたら、ただちにクラスター対策、そして、もちろん状況によりますけれども、まん延防止措置も使えますので対応していきたいと思っております。
 次をお願いします。そして企業に対しては、経産省を中心に様々な働きかけをやっていきますけれども、5つのポイントということで、テレワーク、時差出勤をやっています。体調が悪い人は気兼ねなく休める雰囲気を作っています。職場では距離確保、換気、仕切り、マスク徹底をやります。密にならない。それから例の5つの場面、休憩室、更衣室、喫煙室、それから昼休みのお弁当をみんなで食べる、こういった所の対策の呼びかけを行うこと。それから当然の基本的な感染防止策である、手洗い、消毒、せきエチケット、こういったことをやっていると。こういったことを各企業に確認を含めて宣言を出してもらおうということを進めていきます。
 次をお願いします。そして経済支援策につきましては、厚労省から特に今日は雇用のパッケージを発表いたしましたので、発表があるかと思いますけれども、雇用調整助成金の特例措置、月額33万円まで、パート、アルバイトの方、シフトが減った方も含めて対象になる。大企業も最大100%支援をするということについて、4月末まで延長することを決めました。5月、6月も1日1万3,500円ですが、約30万円に下がりますけれども、引き続き対応をやっていきます。そして、この要件の緩和で最大100%の支援をする場合に、大企業、中小企業の全てについて今年の1月8日以降の解雇の有無で判断をするということで緩和をしていきます。
 次をお願いします。それから休業支援金、これまで国会でも議論になっておりました。与野党それぞれからいろんな議論、提案をいただいていましたけれども、これは御存じのとおり、休業手当を受け取っていない中小企業で働く方が直接申請できる仕組みで、休業前の賃金の8割を上限として受け取ることができます。これもパート、アルバイトの方、シフトが減った方が使える制度であります。しかし、中小企業で働くという条件、大企業は雇用調整助成金があるので基本的には休業手当を出してもらうということでありましたが、今回、大企業でシフト等で働く方も対象にしようということで、1つには、本年1月8日の緊急事態宣言以降の休業の場合、シフト減の場合。それから例外的に、去年の11月7日以降に時短要請が出ていますので、これに伴う都道府県についてはこれの対象にする。それから、去年の緊急事態宣言の間とその翌月の6月末までの間も、これも対象にしようと。ただし、当時はまだ休業手当が大企業は10分の10でありませんでしたし、既に休業手当とのバランスを考えて6割までということですが、去年の緊急事態宣言の時期の方も対象になります。
 次をお願いします。そして、求職者支援制度というものがあるんですけれども、これは職業訓練を受けながら月10万円の給付も受けられるというものであります。是非、雇い止めになられた方、失業された方はこういった制度を使っていただいて、職業訓練で次へのステップの準備をしながら、月10万円の給付があると。これについて、収入要件が月8万円以下ということで、何かアルバイトをやりながらということもあったんですけれども、シフト等で働く場合には12万円以下ということで要件緩和を行います。それから公的職業訓練は様々あるんですけれども、2カ月からとか、標準で3カ月でありましたけれども、短いもの、2週間からの仕組みを作ったり、1カ月からの仕組み、コースを作ったりする。そして、訓練時間も緩和をして受けやすくするということで、新たに職業訓練を受ける、いろんな職、技能を身につけていく、そのための訓練の緩和をしていくということであります。
 次をお願いします。これはもういいですね。まん延防止等重点措置、御案内のとおり、ステージ3の段階で上に上がっていくのを防ぐためにやると。下がってきた時に、全体としてはステージ3相当になっているけれども、ある地域でまだ上がっている場合にそれを実行することによって下に下げていくというケース、上に上がらない、再拡大しないためにやるケースです。
 以上、私からであります。いずれにしても、新規陽性者の数がかなり減少傾向にありますが、その減少の度合いが少し鈍化してきた、これが1月下旬以降、少し人出がまた戻ってきている、これも原因ではないかと見られます。今、よく分析を専門家の皆さんともしているところですけれども、何とか緊急事態宣言を長引かせないためにも、今一度、それぞれのお立場での御協力を改めてお願いしたいと思います。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2問お伺いします。
 1点目、緊急事態宣言解除の判断の時期なんですけれども。先ほど議運で大臣は「週単位」というような御発言をされていましたが、それでは来週末が一つのめどになる、と考えてよいでしょうか。
 2点目、コロナ対策本部で示された経済支援策の中で「緊急事態地域以外の協力金は4万円」という記述があるんですけれども、これはまん延防止措置の地域は4万円になる、と考えてよいでしょうか。
(答)まず1点目は、御案内のとおり曜日によってばらつきがあります。検査件数はどうしても土日が少なくなって、日月の数字、特に月曜日が大体いつも、陽性者の数は低く出るわけでありますけれども、木曜日、金曜日あたりが多くなるという傾向があります。ですので1日で下がったからといって、それで決めるということではなくて、週単位で見ていかなければいけないというのが基本だと思っています。
 ですので、先ほども申し上げたような1週の単位の数字を出しているわけでありまして、基本的にその数字を見ながら、週ごとの単位で判断をしていきたいと思いますが、次の判断する予定を決めているわけではなくて、日々。病床は病床でこれもちょっと癖があるというか、数字のでこぼこがあって。
 これは地域によっても若干違うんですけれども、退院する人が多い日、そうでない日などもありますので、ここも日々の数ではなくて、何日か週単位で見ていくのがやはり大事かなと思っていますが。
 いずれにしましても日々、分析はしておりますし、知事は知事で、それぞれの知事がそれぞれの状況を分析しながら、それぞれのお考えをまとめていっていると思いますので、都道府県とよく情報を共有しながら、私自身も知事と頻繁に話していますが、私どものスタッフもそれぞれの県庁の皆さんとお話を、情報を共有しながら、それをまた専門家の皆さんにも日々分析していただきながら、一定の方向性が出てくれば判断をしていきたいと思いますが、今の段階でいつやると決めているわけでもありませんし、予断を持って何か言うことは差し控えたいと思います。
 申し上げたいのは、減少傾向が鈍化しているということを非常に危惧しております。確かに1カ月以上、緊急事態宣言になっていますので、だんだんだんだん皆さん自粛疲れということだと思いますけれども、明日、明後日は暖かいんですかね。
 非常にいい天気だと、どうしても出たいという雰囲気になるかもしれませんけれども、また寒くなることも考えられますし、雪が降っている地域もあるわけで、乾燥している地域もあるわけでありますので、是非ここで踏ん張って感染を抑えないと今の鈍化ペース、あるいは人出がこのまま増えていくと、また増加傾向になってしまいますので、是非とも御協力をお願いしたいと思います。
 その上で今申し上げている支援策については、緊急事態宣言とそれ以外の地域で6万円と4万円。緊急事態宣言をやっている地域は是非とも協力をしていただきたいですし、やっぱり大都市部が多い。
 私どもは全国の家賃などを分析しながら対応してきていますけれども、今はそういう整理をしております。今日、明日でまん延防止措置が出てくるわけではない状況ですので、引き続きまん延防止等重点措置をやる地域について、どういうふうな支援策を行っていくか、引き続き検討を進めたいと思っています。
 附帯決議でも、まさに経営への影響の度合い、公平性、それから支援の執行のスピード、こういったことを勘案して、配慮しながら、必要な対策をしっかりと講じてもらいたい、という趣旨が書かれていますので、そうしたことも踏まえながら要請に応じていただけるように、必要な対策となるように、検討を進めていきたいと考えています。
(問)2点ほど質問します。
 1点目はワクチンについてですけれども。河野太郎ワクチン担当大臣の2月10日のブログによると、2月中旬から医療従事者を対象に、ファイザー社のワクチン接種を開始され、4月頃から高齢者の接種が始まる予定です。
 しかしノルウェーでは、ファイザー社のワクチンを接種した高齢者23名が死亡したと報じられており、ワクチンが致命的な影響を与えた可能性があると言われています。また、アストラゼネカ社のワクチンの南アフリカ変異株への有効性について、南アフリカ政府は公式に効き目がないと判断し接種を見送っています。西村大臣はこうした不安要素を抱えたままで、本当に接種を開始してよいとお考えでしょうか。それが1点目です。
 2点目が検査についてですけれども。昨日2月11日、東京でボクシングチャリティーイベント「LEGEND」が開催され、入場者に対してその場でPCR検査を行い、陰性の結果が出た人のみが入場できるという新しい試みが行われました。
 一企業がこのように感染予防対策を徹底してイベントを行う努力をしているのですから、五輪を開催するかどうかにかかわらず、日本政府がPCR検査抑制の方針を解いて、国民全員に検査を行う方向にかじを切るべきではないでしょうか。菅政権は国民に対して全員検査を行わないのに、どうして自民党員には全員検査を行ったのか御教示ください。よろしくお願いします。
(答)まず1点目のワクチンについてでありますが、ファイザー社のワクチンにつきましては、本日18時からの薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、製造販売承認について審議され了承されたというふうに聞いております。
 恐らく田村大臣が会見されたのではないかと思いますが、この了承後速やかに承認されると聞いております。日本人に対する一定の治験を行って、その結果を踏まえての判断だと思います。もちろん海外のデータなどもしっかりと踏まえながら、このファイザー社のワクチン、アストラゼネカ社のワクチン、それからモデルナ社のワクチン。
 アストラゼネカ社のワクチンは、申請がもう既になされております。モデルナ社のものはまだでありますけれども、1月から国内の治験に着手をしているということでありますので、それぞれその治験の結果で、安全性・有効性がしっかりと審査をされるわけでありますが、それぞれの特性もあると思いますので、それに応じてどういった方に接種をしていくのか、そういったことも含めて、これは基本的に田村大臣の下で判断がされ、そしてその上で接種に当たっては河野大臣の下で、自治体と連携しながら接種の体制を整えていくと。物流を整え、体制を整えていくことになりますので、私の立場からもしっかりとサポートしていきたいと考えております。
 それから2点目の検査につきましては、先ほど申し上げましたように、一つには高齢者施設、これは本当にリスクが。今、あちこちでクラスターが起こっていますし、高齢者が入所されていますので、重症化するリスクが高いわけであります。
 入所されている方は基本的に中におられますので、狭い範囲で、外に出て活発に活動するわけではありませんので、非常にリスクはないわけです。従事者の方々が何かの拍子で感染した時に、中に持ち込んでしまうということですので、この方々にはもう全員検査をするということで、これは行政検査で行いますので、何か負担がその施設などにかかるわけでは、個人にもかかるわけではありません。そういった形で進めていく。
 あわせて元々、自治体で、繁華街などで感染の拡大が見られる時に、去年の夏にやったような新宿の呼びかけであったり、大阪や名古屋でも行った、症状がなくとも幅広く呼びかけを行って、沖縄でもやりました。ススキノでもやりました。
 そうした取組をそれぞれの自治体が進めているケースもありますし、今回、私どもは補正予算と予備費を活用しまして、約90億円で先ほど申し上げた1日1万件以上、繁華街を中心に感染が拡大しないように、再拡大の兆しをつかむ、探知をする、その検査を進めたいと考えております。これによって探知した場合にはクラスター対策、あるいはまん延防止等重点措置なども活用しながら、その範囲で封じ込めていく。
 ゼロコロナとよく言われますが、ゼロにはなかなかできないウイルスであります。したがって小さな波は今後も起こり得ますので。数日前も石川県で繁華街を中心に、これはホストクラブですけれども、30人かな、のクラスターが発生しました。また、一昨日ぐらいに青森の医療機関で40人のクラスターが発生しました。
 ほとんどずっと少なかったのが突然出る、そういう性質のものであります。ですのでゼロにはできませんけれども、その波を探知した時に、地方の場合は濃厚接触者、関係者でPCR検査をわーっとやれば、その範囲でかなり封じ込めができると思います。
 これまでも繰り返し述べていますように、私の地元、淡路島でも70人を超える高齢者施設でずっとゼロだったのが、突然出ましたけれども、関係者のPCR検査をやって、1週間とか10日ぐらいで、その範囲で大体封じ込めができるようになっていますので、これはクラスター対策も重要だということですし、御指摘のように検査も極めて重要であります。
 その上で、ゼロにできない小さな波を探知するということでやっていきたいと思いますが、その上で民間の検査期間もかなり精度の問題と、陽性になった場合の報告の問題が、仮題はありますけれども、多くの事業者が今検査を行っていますので、そういったところも活用しながら、例えばイベント会場で行うというのも1つのあり得るケースだと思います。できる限り私どももそういう探知をつかむ。
 実はそういうデータも我々は利用させてもらって、人工知能で分析する際にいろんな各地でやっている、いろんなデータを分析して、どこかに感染拡大の芽がないか、ということをつかんでいきたいと思っていますので、協力もしていきたいと考えています。
 ただ、日本国民全員に一時にできるかというと、なかなか今は物理的には難しいわけですし、今日陰性だからといって、かかっていないとは限らない。つまり昨日、一昨日に感染していればまだ今日はウイルスが少なくて、陽性にはならないケースもあります。
 だから陰性であるといって安心して、マスクを外していろんな人と会話をしてしまいますと、うつしてしまうこともあり得ますし、今日本当にかかっていなくて陰性でも、明日はまた分からない。明後日はまた分からないわけですので、かなり頻繁に検査をやらなければいけない。
 今、プロ野球機構、Jリーグ機構にもお願いしまして、沖縄でキャンプをやられていますけれども、1週間に1度はPCR検査をやられています。そうした範囲で、これは自分たちの負担で、民間の検査でやられていますけれども、これは事業を継続していくために必要なことということで、ある意味コストとして見てやられています。
 これで今のところ全く陽性者は出ていないという報告を昨日、プロ野球機構からも受けましたけれども、そうしたことで民間の検査を活用していくというのも、1つの手法であります。
 引き続き検査のあり方については、分科会にも検討をお願いしているところであります。今回、1つのステップとして、そういうモニタリング検査で、繁華街などで予兆をつかむという検査を始めますけれども、これもある意味1つの試みというか、一歩踏み出して、これまで以上の取組をやるわけでありますけれども、実は感染がずっと少なくなってしまうと、1,000件やっても1人とか2人しか出ない可能性もあるわけです。陽性率がぐっと下がってしまうと。
 実は広島も80万人にやろうとしていましたけれども、日々の感染者の数が物すごい減ってしまいましたので、やっても何人かしか出ない。そこに10億円というお金をかけるのかという議会との関係、予算の使い方の関係もあって、湯崎知事が発表されたと思いますけれども、ある意味、我々がやっているのに近い、モニタリング的に監視をしていくような検査に切りかえられました。
 広島のそうした試みを、私も1つの試みとして注視していましたけれども、やはり感染がもう収まってくると検査の数。もちろんそこで無症状の人をつかまえるというのは、もちろん大事なことなんですけれども、非常に検査を頻繁にやる割には、つかまえる人の数がすごい減ってしまいますので、そういう意味ではやはりリスクの高いところに重点的にやっていくのが、1つの考え方であります。
 ただ、数を増やすことによってコストも下がりますので、国会でも議論がありました。いわゆる妊娠判定機のように、自宅で30分ぐらいで検査ができる。これがもし数百円とか100円とかになれば頻繁にできるようになります。もちろん精度の問題もありますし、陽性になった時の報告のそういった課題はありますけれども、様々な可能性を追求していきたいと考えています。
 まずは感染拡大、再拡大させないように、モニタリング検査。民間の協力も得ながら、また自治体とも連携して取り組んでいきたいと考えています。
(問)まん延防止等重点措置の適用についてお尋ねします。
 緊急事態宣言は栃木県は解除されましたが、まん延防止等重点措置への移行が一時、政府内で検討されたとの報道もありました。栃木県の適用に関して、これまでの政府の検討の過程と、適用にならなかった理由を改めて確認させてください。
 もう1点お願いします。今お話にありました、歓楽街でのモニタリング検査についてなんですが、早急にという話だと思うんですが、2月内ですとか年度内とか、そういった具体的な見通しがあれば。見通しがもしお聞きできるようであれば教えてください。
(答)まず1点目の栃木の件ですけれども、栃木県の状況は非常に改善しております。一時期、独自の緊急事態宣言をやっていた熊本とか長崎、宮崎とか、沖縄とか、幾つかの県、全てではありませんが、一時期ちょっと増えていたところを今抽出していますが。
 これを見ていただいたら分かりますように、栃木県は10万人当たりの1週間の人数も5人ということで、もうステージ3を下回ってきています。先週比も0.68。それから感染経路不明も11%ということで、かなりの程度追えていますので。陽性率も4%まで来ていますし、病床も31%。
 それから今、最新の数字は持っていませんが、緊急事態宣言を発出した1月7日・8日の頃は、入院調整が900人ぐらいおられて、これが福田知事と意見交換をした時に、私は最も強く印象を受けた。
 当時、熊本とか宮崎も対応していましたけれども、全然桁が違っていたんです。これはもう大変な状況だということでしたわけですけれども、昨日の数字ぐらいで30人とか40人とかまで減ってきていますので、今、手元に正確な数字はありませんが、そういう意味でかなり病床も含めて改善をしてきているということで、緊急事態宣言を解除したところでありますが。
 こうした状況からすると特段、例えば栃木県宇都宮でまだ感染レベルがステージ4に近いレベルであるとか、そういったことは聞いておりませんので、栃木県にまん延防止等重点措置を適用するということを、現時点で考えているわけではありません。
 それからモニタリング検査については、専門家の意見も今伺いながらやっておりまして、この11都府県、栃木も意見交換をしながら、宇都宮であるとか繁華街を中心にモニタリング的な検査も、場合によってはやりたいと思っていますが、かなり下がってきていますので。
 もうステージ2のレベルになってくるのであれば、どこまでやるかなというのはありますけれども、栃木県は高齢者施設は全部やるということで発表されていると思いますので、そうした状況も見ながら、栃木県のケースは判断していきたいと思いますが、全体としては今はまだ10都府県については、保健所も含めてかなり大変な状況が続いておりますので、今の段階で直ちにモニタリングを始めて、陽性者の数が出てくると保健所にまた負担がかかりますので、そういったことも勘案しながら、始めるタイミングなども考えたいと思いますし、また、どのポイントでやるのか。
 東京で、どこで、何カ所でやるのかと、これも例えば東京都ともよく調整をしたいと思いますし、また、民間事業者の選定もしなければいけませんので。今日明日中にやるとか、この2~3日中にやるとかということではありませんけれども、緊急事態宣言はやがては解除されるわけでありますし、再拡大しないように、適切なタイミングで始められるように、それぞれの都道府県と緊密に連携を取って、調整を進めたいと考えています。ありがとうございました。

(以上)