西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月9日

(令和3年2月9日(火) 9:48~10:12  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 私からコロナの関係で2件と、経済関係で1件申し上げたいと思います。
 まず、本日、閣議におきまして、13日からの特措法の施行に伴い整備が必要となる政令について閣議決定いたしました。
 政令の中では、一つは、まん延防止等重点措置を実施すべき事態の要件として、新規陽性者数や感染経路不明者数の発生の状況を踏まえて、都道府県において感染拡大の恐れがあること、それに伴い医療の提供に支障が生ずる恐れがあると認められることを規定しております。
 また、そのまん延防止等重点区域におけるまん延防止のための措置につきまして、従業員に対する検査を受けることの勧奨、入場者の整理、発熱症状を呈している者の入場禁止といったことを規定しております。13日の施行に向けまして、分かりやすい周知に努めていきたいと思っております。
 今日、知事会と午後に懇談いたします。テレビ会議をいたしますので、その時にこの政令運用の考え方などを私からも御説明し、事務的にもしっかりと説明したいと思います。また、都道府県からの御意見もお聞きしたいと思っております。政令は閣議決定ですけれども、実際の運用などについてしっかりとお話ししたいと思っています。
 それから本日、予備費で、一つには、いわゆるモニタリング検査を行う予備費の約81億円を追加的に措置することを決めました。
 これは2日に決定いたしました基本的対処方針の中に書き込んであるんですけれども、緊急事態宣言が解除された地域などにおきまして、感染が再拡大しないように早期に探知するというために、いわゆる繁華街などにおいて幅広くPCR検査を行っていくということ、そのモニタリングを行っていきます。そのデータを分析して、感染拡大の予兆を探知していきたいと考えております。
 もちろん、このデータだけではなくて、予算計上しておりますSNS上の様々なつぶやきを人工知能で分析しながら、そういったデータも参考にしたいと思っています。熱があるというつぶやきがある地域で多くなっているとか、あるいは飲み会へ行こうという話が大きく盛り上がっているとか、様々なデータの分析も行いたいと思っています。
 それから、もちろん各都道府県、市町村において行政検査として行っておりますので、そういった検査のデータも分析したい。さらには今、都心部では新宿とか新橋とか、民間の検査機関が検査を行っております。精度とか陽性になった場合の通知・報告の課題はあるんですけれども、個人情報はもちろんしっかりと保護しながら、しっかりとしたところのデータをいただき、それも分析したいと思っています。
 そういう意味で、今申し上げた4つのこと。一つは予備費でさらに拡充しました81億円のモニタリング検査、SNS上の分析、それから、いわゆる一般的に行っているPCR検査、行政検査、それから民間の検査、こういったもののデータを集めて分析を行って、どこの地域で感染拡大の予兆が見られるかというところをつかんでいきたいと考えております。
 この私どもの行うモニタリング検査につきましては、今後解除された地域であるとか、あるいは、やはり大都市部から地方に広がるということでありますので、東京、大阪などの繁華街、そういったところで1日も早くモニタリング検査を開始することができるよう、早急に対策を整えたいと思っております。複数の地域、地点での合計で、少なくとも1日1万件以上はできるように早く体制を作りたいと思っております。具体的にどういった形で行うのか、どの場所で行うのか今、専門家にも意見を聞いているところでありますし、また、自治体とも連携して対応していきたいと考えております。
 あわせて、私どものcorona.go.jpのホームページにモニタリング検査に関するページを立ち上げようと思っております。ここで、検査キットの確保や検査の実施に御協力いただける民間検査機関を募集するためのフォームも設けたいと考えております。できるだけ迅速にモニタリング検査をやりたいと思っておりますので、民間検査機関の御協力もいただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 いずれにしましても、自治体としっかり連携して、民間検査機関の協力も得ながら、このモニタリング検査をやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それから、あわせて本日の会議で予備費で、時短営業に応じていただける飲食店向けの協力金の支払いのための必要な経費として8,802億円、それから、経産省が今詳細を取りまとめております中小企業に対する一時支援金、最大で60万、30万の支援金に必要な経費としての2,490億円、これを本日閣議決定いたしました。合計、本日は1兆1,372億ということになります。残りが2.2兆6,700億ということになります。
 それから経済の関係で申し上げます。
 毎月勤労統計が出されました。2020年の年を通しての給与総額が出されました。昨年に続いてマイナス1.2ということでありますけれども。何点かポイントを申し上げると、リーマンの時はマイナス3.8まで落ちました。しかし今回、マイナス1.2にとどまっています。特に、この赤が特別給与、この冬のボーナスが確かに厳しい状況にあったんですけれども、リーマンの時に比べるとそこまで落ち込んでいないということであります。経済全体のインパクトで言えば、昨年のマイナス幅はリーマンショック並み、それ以上であったわけですけれども、今回、給与総額を見るとリーマンほどではなかったということであります。
 それから、青い部分は所定外、つまり残業が減った分ですね。これは当然マイナスになってしまっているんですけれども。所定内、白の部分がわずかにプラスになっていまして、要は安倍政権ができて以降、所定内、賃上げに取り組んできた結果、15年以降プラスになるまで、19年、ちょっとマイナスになっていますが、20年はプラスでありますので、いわゆる給与については昨年までの動向ではしっかりしているということでありますが。今、もちろんボーナスはマイナスになっておりますので、厳しい状況にある方もおられるわけでありますけれども、労使交渉が行われているわけでありまして、是非ともこの賃上げの流れの継続、モメンタムを維持していただけるよう、業種によってかなり、企業によって業績は様々ですので、なかなか厳しいと思いますけれども、是非ともこうした流れの継続をお願いしたいということを申し上げているわけであります。
 パートタイムの方々の11月、12月を見ますと、厳しい時期にあったと思うんですけれども、全体として前年比22%のプラスで、これは同一労働同一賃金が着実に広がってきているというか、実施されているということで、業種によっては電力・ガスとか医療・福祉など着実にプラスになっております。
 実収入、これは先週出されました家計調査ですけれども、2020年の年を通して見ると、実収入は4%のプラスとなっています。世帯主収入はマイナス1.5%、特に臨時収入・賞与がマイナス4.1%ということでボーナスが低かったわけですけれども。一つには今申し上げた配偶者の収入、これが同一労働同一賃金を含めてプラス7.6%、それから特別定額給付金のお1人10万のものが効いているんだと思いますが、特別収入が非常に大きなプラスで、全体としてはプラスということになっています。
 それから、消費の足元の動向を見ていただきますと、いつも申し上げていることですけれども、このグレーのゾーンが平年の幅ですけれども、2月3日まで緊急事態宣言のさなかでありますが、いわばこの真下のところからさらに、最小値が19年の1万4,100円ですけれども、それを下回る1万3,600円ということで、平年に比べてかなり低い水準になっています。
 これは経済の面からするとマイナスなわけですけれども、いわば自粛をしていただいて感染を抑える効果を持っているわけでありまして、今の感染減少に多くの皆さんが貢献していただいている、自粛していただいて御協力いただいている、そのたまものだと思います。これは以前から申し上げているとおり、昨年の4月、5月も過去3年の幅よりも非常に低かった、また、8月も非常に低かった。経済的にはマイナスにありますけれども、しかし、自粛していただくことによって感染を抑えてきたわけであります。
 残念ながら12月がこのように非常に高い水準、例年に比べると若干低いんですけれども。このことが、いわば例年どおりに12月消費が行われた、多くの皆さんが12月に街に出て、飲食もされたということも含めて感染が広がった要因だと専門家は分析しています。そうした中で今回、自粛していただいているということのあらわれでもありますので、改めて国民の皆さんの御協力に感謝申し上げたいと思います。
 まだ緊急事態宣言のさなかでありますし、土日の昼間の人出を初めとして、あるいは朝の人出もまだ昨年の緊急事態宣言の時に比べると減りが少ない、つまり人出が多いわけでありますので、なんとしても今回、感染拡大を抑えるということから、引き続きのそれぞれ自粛をお願いしたいと思います。
 昨日発表しました景気ウォッチャーですけれども、もう御案内のとおり、現状判断、先行判断、水準判断も非常に低い水準であります。特に現状判断の水準も非常に低いということで、昨日も国会で、4月、5月のどっちが厳しいんですかと聞かれましたが、一概にどっちが厳しいということを言えるわけではありませんが、景気ウォッチャーの数字から見ると、4月、5月は意図的に多くの事業者の皆さんに休んでいただきました、時短もやっていただきましたので、こういう非常に厳しい状況でありました。
 今回は、これまでの経験を踏まえて業種を絞った対策にしております。全ての事業者の皆さんに休んでいただくということは行っていないわけでありますが。これはこれまでの経験、春、夏の経験を踏まえて、そして様々なデータ分析も踏まえて、専門家の意見もいただきながら、飲食店とそこにつながる人流を減らすということでお願いしています。特に昨年の春も夏もそうですけれども、8時までの時短とテレワーク、そして不要不急の外出自粛、これによって効果があるということがこれまでの経験、データの分析で分かっております。それを今回も皆さん方に実践していただいて、ここまで今、減らすことができております。
 ただ、まだ水準としては高い水準でありますし、病床は引き続き逼迫、厳しい状況が続いておりますので、さらには入院調整中の方とか、あるいは自宅療養の方も数多くおられますので、こうした医療の体制をしっかりと守っていく、そのためにも引き続きの御協力をお願いしたいと。不要不急の外出自粛、そしてテレワーク7割、これも企業の皆さんには、是非、お願いしたいと思います。もちろん、エッセンシャルワーカーの方もおられますので、そういった方々への配慮も必要でありますけれども、是非、引き続きの御協力をお願いしたいと思いますし、時短に協力いただく皆さんには、予算もまた今日予備費でしっかり確保いたしましたので、引き続き8時までの時短、是非とも御協力をお願いしたいと思います。
 先行きは少しプラスになってきていますが、まだ水準は低いので、引き続き厳しい状況にある方々への支援、これはもう既に国会でも総理からも表明されております緊急小口支援、あるいは住居確保給付金の支援、そして休業支援金の対象の拡大、こういったことを通じて、厳しい状況にある方々への支援をしっかり行っていきたいと思います。
 雇用調整助成金は、もう大企業も含めて100%、パート・アルバイトの方も含めて月額最大33万円まで国が全額支援するという枠組みもつくっておりますので、大企業の皆さんにおかれては、是非、これを活用してシフトを減らす、あるいは休業してもらう方々に休業のための助成、これは国が100%出しますので、是非、休業手当の支給を行っていただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)本日、政令が閣議されまして、13日の特措法施行前に大阪府が宣言を解除し、まん延防止措置への移行要請を今日最終判断とすることになっていますが、その後、知事と協議する御予定などありますでしょうか。よろしくお願いします。
(答)府知事とはまだお話ししていません。今のところ事務的に少しやり取りを行っています。
 それぞれの都道府県知事の意向は、しっかりと受け止めて対応していきたいと思います。その上で、私どもは今、数字の分析も専門家の皆さんにお願いしております。確かに感染者、新規陽性者の数はかなり減ってきております。
 大阪で言いますと、今、15人まで1週間当たり減ってきておりますし、先週比で0.6まできています。陽性率も3.7ということで、非常に改善してきているのはよく分かります。大阪の皆さんに御協力いただいているんだと感謝したいと思いますが、まだ病床は5割を超えておりますし、それから療養者の数が37人ということで、自宅療養、あるいは調整中の方を含めて、このあたりの分析をしっかりと行って判断していきたいと思います。
 今日、全国知事会とは意見交換しますので、その中で、先ほど申し上げましたように今後の考え方、特にまん延防止等重点措置の運用の仕組みなど、考え方などをお話ししたいと思っております。
 パブコメも行っていろんな意見もいただきましたので、これは国会でも審議をいただきました。恣意的な運用にならないように、人権に配慮した運用にしていきたいと。要請する際、あるいは命令する際を含めて手順を文書でしっかり示すということで、手順を、しっかりそういったこともお示ししたいと考えております。基本的な人権、私権の制約に伴うものでありますので、配慮した運用になるように努めていきたいと思っております。
(問)2つあるんですけれども。新しい特措法で盛り込まれたまん延防止措置なんですが、これは緊急事態宣言と同様、仮に発令する場合には一定の期限を政府として示すものなのか、期限などは具体的に示さず、改善するまでというものなのか決まっていたら教えてください。
 それとあと、五輪の森会長について、西村先生から何かコメントをいただくことはできますでしょうか。割とお立場が近いと思うんですけれども、今回の発言を受けて、御所見と今後どうあるべきか、お話しできる範囲でお願いします。
(答)まん延防止等重点措置につきましては、法律にも規定がありますように期間を区切って公示することになります。これはその状況によりますので一概に申し上げられませんけれども、緊急事態宣言が1カ月を一つの、2週間対策を行って2週間様子を見るというようなことで対応をこれまで、基本的な考え方としています。というのが様々な対策。様子を見るのを1週間すれば3週間という考え方もあるわけですので、基本的には、今日対策を講じて2週間後にその効果が出るということでありますから、そういったことを踏まえて、感染状況を見ながら期間を区切って対応していくということになります。
 それから、森会長の発言につきましては、私もあってはならない発言だと思います。政府全体として女性の活躍、このことがいわば安倍政権以来、私どもの政権で進めてきた大事な優先的な政策課題の一つであります。そしてまた、五輪の考え方においても、当然、女性も活躍ということも書かれているわけでありますので、そういった趣旨が書かれていると理解しておりますので、あってはならないことだと思います。発言を撤回され、私自身は直接話をしておりませんので、もれ伝わる話でしかありませんけれども、相当反省しておられるということでありますので、二度とこういった発言がないように。
 そして、根本的にこの菅政権として女性の活躍を是非ともさらに大きく進めていく。私の立場から言えば、これまでも申し上げてきた、女性の就業者の数は非常に増えたわけですけれども、200万人以上増えたわけですが、非正規の方が引き続き多いという中で、意欲のある方、能力のある方、是非とも正規社員として頑張っていただきたい。そうした環境を作っていければと思っておりますし、同一労働同一賃金はその一つのステップ。ある意味、主婦の方が働きに出られて、そしてこれまで非正規で賃金が低い状況だったけれども、正規社員と同一労働同一賃金になってきた。これはデータ上も表れてきております。4月からは中小企業も対象になりますので、こういった取組を着実に進めていくこと。それから、コーポレートガバナンスコードの中で外国人や女性の活躍、これをしっかり書き込んでいこうという取組も今、進めております。
 経済演説でも申し上げましたけれども、日本の企業がどうしても男社会、しかもおじさんの男社会が中心であったわけでありますので、私もいい年になっていますけれども、できるだけ女性や若い人にこうした活躍の場面を作っていくことが何より大事でありますので。
 オリンピックでも女性、そして若い人はどんどん出てきています。そうした人たちの活躍を是非期待したいと思いますし、そのことが大きく社会全体、経済全体が進化していく大事なモメンタムになっていくと思いますので、私の立場でも進めていきたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)