西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月2日

(令和3年2月2日(火) 21:03~21:49  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から、本部決定、対処方針の概要、それから経済支援策など、お話をさせていただきます。諮問委員会の様子などを含めて、尾身先生にも御質問いただければと思いますし、それから、分科会の提言を今日、私は受けておりまして、そのことにつきましても、多くは基本的対処方針の中に盛り込ませていただきましたけれども、分科会ならではというか、独特の専門家の立場からの御意見もありますので、それについても後ほど尾身先生からお話しいただければと思います。
 まず、緊急事態宣言についてでありますが、もう御案内のとおりだと思いますのでポイントのみ申し上げます。
 栃木を対象から除外するということ、それから、期間については残りのところを3月7日まで延長しました。その理由については、もう申し上げているんですけれども、ここにありますように、栃木県は赤がなくなりました。全てステージ4の指標を下回ることになりました。新規の10万人当たりの1週間の数も9人ということで、もうステージ2の段階になっています。陽性率も3.4ということで、減少傾向が続いています。先週比も0.6です。ただ、解除いたしますが、病床が47%ということでありますので、引き続き医療提供体制はしっかりと確保していくことが求められております。
 それから、これは栃木を対象にする時に申し上げましたけれども、当時、入院調整をしている方が900人ぐらいおられました。1,000人近くおられたわけですけれども、昨日時点で、直近で149人まで減りました。この点も、今日の諮問委員、栃木のことに限定したわけではありませんけれども、入院調整に非常に時間がかかっている保健所の負担、それから自宅療養の方、宿泊療養の方の健康観察ですね、これについても諮問委員会でも指摘があったところでありますが、栃木はこの点も大幅に改善がなされています。こうしたことを昨日、福田知事とも私は確認いたしまして、今回解除するということにいたしました。その旨も諮問委員会にお諮りし、御了解いただいたところであります。
 ただ、今申し上げたように病床が50%を下回ったとはいえ、まだステージ3の指標で47%であります。それから、減ったとはいえ、まだ160名を超える方が昨日時点で入院調整をされているということでありますから、病床、公衆衛生、この体制は引き続き改善に向けて努力していただくということでありますし、この点、厚労省を中心にしっかりとサポートしていきたいと思います。
 それから、今、栃木とも事務的にも調整しておりますけれども、8日以降、この時短などをどうしていくか検討を進められています。当然、もう全て解除ということではなく、段階的に解除、段階的に緩和ということでありますので、どういう形にするか検討し、調整していくことになります。最終的には県の判断でやられますけれども、外出自粛とかテレワークの実施なども、一遍にもう戻していいということではありませんし、テレワークはある意味で「新たな日常」の象徴であるということを私はずっと申し上げていますけれども、感染が収まってきたとしても、新たな働き方、地方分散の一つの象徴でありますので、引き続き継続はしていただきたいと思っております。こうしたことで県の方で検討されると思います。
 それから、それ以外の都道府県については御案内のとおり、かなり改善してまいりました。新規の陽性者の数ですね。これは総理の御発言にもありました。先週、今週比も0.7とか0.6台で、かなり改善してきております。全国でも0.71ということでありまして。
 ただ、10万人当たりの陽性者の数は、まだ東京41人とか、神奈川、千葉も30人前後、京都も26人。そして、陽性率も神奈川は11%でありますし、何より、何より病床がやはり7割、6割、非常に厳しい状況が続いております。今日も諮問委員会で御指摘のあったところであります。とにかく、ここを改善しなければいけないということであります。
 引き続き、こうした状況を受けて10都府県については3月7日まで緊急事態措置を継続することにいたしました。このことについても了解をいただいたところであります。
 特に、新規陽性者の数が減ってきたとはいえ、入院される方の数、あるいは重症となる方の数、これは遅れてきますので、2週間から重症者の方は特に3週間程度遅れてピークを迎えますから、遅れて山が来るわけですね。ですので、この部分は引き続き、東京は重症者の数は常に、これは計算の仕方があるんですけれども、100%を超えているということ。それから更に、療養者の数がこれだけ、84人も10万人当たりいるということで、これはもう首都圏、関西圏ともに非常に高い数字でありますので、引き続きこの改善をしていかなければいけないということで、今日も基本的対処方針を変更するに当たって分科会の提言をいただいて、医療の提供体制、そしてこの調整をスムーズに進めるというところを強く御提言をいただきまして、対処方針に書き込んでるところであります。厚労省において、こうしたことに取り組んでいくということであります。後ほど、少し私の方からも簡潔に申し上げます。
 それから、東京における60代以上の方の数ですね。これが、去年の春のピーク時30%弱でしたけれども、全体に数が300人前後だったのが今、2,000人を超えていたのが若干緩和されて1,600人。それでも30%近いパーセント、去年の春並みのパーセント。絶対数はもうはるかに多いわけでありますので、ここは下がらなければいけない。これ、60代以上ですね。
 70代以上の方、ここも千数百人だったのが1,100人まで落ちてきましたけれども、春の19%を上回る20%ぐらいの方が今、70代以上の方で新規陽性者の報告があります。
 クラスターの数は出るかな。クラスター、これは私どもで18日から27日、この1月の、先月の10日間のざっとした計算ですので正確な数字と若干誤差があるかもしれませんけれども、この間、クラスター220で、2,500人のクラスターですけれども、高齢者施設・福祉施設が1,300で半分以上。件数で半分、人数は半分以上であります。
 飲食関係がかなり減りました、133。それから、飲食店外の外食、家庭のパーティーとか、これもまだあるんですけれども、9件とか12件ありますが、件数はかなり減って、人数もかなり減っています。これは8時までの時短の効果が出てきているものと思いますし、国民の皆さんの不要不急の外出自粛の協力のたまものだと思いますけれども。もちろん、ここには成人式後の飲食もかなり件数としてはあります。各地であれだけお願いしたんですけれども、やはり成人式の後の大人数での飲食で広がっているケースもあります。
 申し上げたいのは、高齢者施設・福祉施設、そして医療機関でこれだけのクラスターが半分以上出て、人数も6割以上。この高齢者施設・医療機関で占めているということでありますので、ここ、尾身先生にまた解説していただければいいんですけれども、年末は若い人たちの感染が多かった。それが様々な理由で、帰省もあったのかもしれません。家庭内、職場で、高齢者施設までたどりついて、今は高齢者の感染が非常に増えている状況でありますので、これを何とか抑えないといけないと。重症化リスクが高い方が多いわけでありますので、命を守るためにも、ここを抑えないといけないということで、今日も議論をいただいたところであります。
 それから、元に戻っていただいてもう一点。
 毎日申し上げている出勤者の数ですけれども、去年の春は7割、青の関西圏でも65%以上ありました。夏も、去年の夏は大阪もかなり感染が広がった中でやっていただきましたが、残念ながら今回、まだ4割と3割前後ということで、このテレワークを徹底していただけると、もっと効果があると。去年の夏、そして去年の春、これは8時までの時短とテレワーク7割をやっていただいたんで、接触も減り効果があったわけでありますので、これを何としても改めて、経済会の皆さんに、それぞれの11地区の経済界の皆さんにお願いいたしましたけれども、是非、改めてお願いしたいと思います。
 この緊急事態宣言をもう長引かせないためにも、早く感染を抑えるためにも、お願いしたいと思います。
 今日の対処方針の改定のことをポイントだけ申し上げます。
 対象区域については、引き続き時短7割、外出自粛、それからイベント制限も継続します。
 そして、御提言からありました医療提供体制、経済体制ですけれども、高齢者施設でこれだけ出ていますので、チームを作って、1件でも出れば集中的に検査をやる。それから、感染が出れば定期的にやっていくことは当然ですし、この支援チームを派遣していくこと。それから、民間の検査がかなり広がってきていますので、この精度管理や医療機関との提携、これをしっかりと進めていくこと。それから、病床については、役割分担を明確にした上で病床の確保。それから、転院支援の仕組み。こういったことについて盛り込みました。後ほど、尾身先生から詳しく御説明いただければと思います。
 そして今回、補正予算で30億確保しているんですけれども、再度の感染拡大の予兆を早期に探知すると。これは、特に感染が落ち着いて解除した時に再び感染拡大しないように。これは今、広島で20何万件やろうとしていますけれども、一つの試みとして私も注視しているところ、評価しているところでありますけれども、歓楽街等において幅広くPCR監査をいわばモニタリング的にやって、そのデータを分析して早期に探知すると、そして再拡大を防ぐということを進めていきたいと考えております。
 それから、自宅療養や宿泊療養の場合に、医療通信機器を用いて診療、オンラインでできるような体制を作ろうと。それから、パルスオキシメーター、血中酸素濃度を貸与して健康観察をしっかり行なっていこう。それから、地域で協議会を作ってもらっているわけですけれども、機能に応じた役割分担をしっかりした上で、病床の確保に努める。
 それから、法48条、緊急事態宣言の下で臨時の医療施設ができます。今回、法改正ができれば、これは対策本部が立ち上がった段階で臨時の医療施設ができますので、いわゆる野戦病院というか、プレハブでも医療法とか建築基準法の特例でできますので数を増やせる。もちろん、人員の確保も設備も必要ですけれども、より早く、あるいは導入すればできるという空いたビルなどを活用してできますので、こういったことも進めていくと。
 それから、転院支援ですね。回復した患者さんの転院支援、これをしていくことも非常に重要であります。
 こういったことを、これから厚労省を中心に都道府県と連携して取り組んでいくことになります。そして、この緊急事態宣言の延長に伴いまして経済支援策ですけれども、今日、先ほど本部で決定いたしました。
 中堅・中小企業者への一時金ですけれども、この緊急事態宣言地域の飲食店の時短営業の影響、そこに納めている。そして不要不急の外出・移動自粛がなされている。その影響によって1月、2月の売上が前年比50%以上落ちた場合、地域・業種を問わず、これは農林水産業、農業・水産業でも東京に納めている。それがもう飲食店が時短でがたっと減ったというような場合は、全国の地域問わず、業種問わず、法人40万円としておりましたけれども、今回の延長に伴って60万円、それから個人は30万円ということにいたします。そして、詳細は今、経済産業省で詰めておりますので、制度設計しておりますので、改めて詳細は経産省から発表があります。
 それから、総理から表明がありましたけれども、いわゆる緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付でありますが、この総合支援貸付を3カ月間貸付できるということで、これまで最大140万円でしたが、プラス60万円の追加があります。したがって140万円をもう既に借りている方でもプラス60万円の追加があります。これは2人以上の世帯ですね。それから、単身世帯でも45万円の追加がありますので、既に110万円借りている方も45万円があります。追加で貸付を受けることができます。そして、これは返済免除付、償還免除付でありますので、住民税非課税が令和3年、4年度で確認できれば一括免除になります。ということで、この要件を今回明確化したところであります。これは既に厚労省から発表がなされています。
 それと、この間、国会でも論点になっておりました、与党からも御議論いただきました、大企業の非正規の方が雇用調整助成金は受けられます。雇調金、これはパート・アルバイトの方も含めて1人上限33万円まで、月額受けられます。そして、飲食店あるいは全国どこでも3カ月30%以上減少すれば、大企業も100%国が助成します。よく報道で、テレビで、いや、もう雇用が大変だからと言われている企業の方がおられるんですけれども、是非、御活用いただきたいと。飲食店の場合は、もう100%国が1人33万円まで、これは全額休業手当を助成しますので、是非ともお使いいただきたいと。大企業であっても100%国が助成しますということを改めてお願いしたいと思います。
 協力金180万円と、この雇用調整助成金で固定費はかなりの部分カバーできると思います。もちろん、規模の大きいお店は大変だということでよくお聞きしていますけれども、従業員の方については全員の分を出すことができます、33万円まで。更に、固定費、家賃の分も180万円までは月額換算支援がありますので。もちろん、規模が大きければ、その分体力があるということだと思いますし、それから、大企業であっても店舗ごとに出しますので、10店舗持っていれば180万円かける10倍ですから、1,800万の支援があります。是非、この協力金とそれから雇用調整助成金で、大企業の方は特に雇調金を使っていただいて、雇用の維持にこの雇調金を活用していただければと思います。
 そして、雇調金が活用されずに休業手当が支払われない場合があります。中小企業の場合は、いわゆる休業支援金ということで個人が直接請求できる仕組みがあるんですけれども、大企業はきちんと制度も整っているから、人事もしっかりしているから、労務管理もしっかりしているから雇調金をやるというのは建前であります。休業支援金を、いわば全て認めてしまうと、大企業はむしろ従業員の方に休業支援金でやればいいではないかということになりかねませんので、これまで大企業の方は雇調金を是非お願いしますということを申し上げてきました。これは大企業の責任として、社会的責任として、是非、休業手当をお支払いいただいて、国が100%、一人当たり、33万円までは支援しますので、是非ともこれをやっていただきたいと。
 国会でも申し上げました。今は厳しいかもしれないですけど、将来コロナが収束して、また人手不足になった時に、そういう大企業に勤めたいと思うかということですよね。是非とも社会的責任として、そして大企業として、国が33万円まで全額やりますので、雇用調整助成金で雇用の維持に努めていただきたいと思います。それでも、なお活用されない場合に、様々な御議論をいただいておりますので、今日総理から、「検討を進め早急に対応する」ということで表明がありました。この点も、総理自ら田村大臣と一緒にこういう厳しい状況にある方と先週会われたわけであります。野党の議員と一緒に会われたわけであります。そうした切実な声を聞いて、こうした対応をとるということでありますので、詳細、厚労省で検討を急いでいますので発表が近々あると思いますけれども、是非、まずは大企業の方は雇調金を使っていただきたいということを改めて私からお願いしたいと思います。
 私から以上であります。

2.質疑応答

(問)今回の宣言延長が3月7日までになりまして、国会で特措法、感染症法の改正案が明日にも成立する見込みです。周知期間を置いて施行をされる見込みですが、宣言中に施行される場合、法案にある過料措置などは適用されるという理解でよいのでしょうか。
 また、その改正案、まん延防止等重点措置というのも新たに設定されますけれども、大臣はステージ3相当の地域が該当すると説明されていましたが、例えばステージ4、5を脱却して宣言を解除した地域というのが、この措置の対象になるということも考えられるんでしょうか。
(答)仮に成立した後に公布を行うことになります。そして公布の後に、その日から起算して10日を経過した時に施行ということになりますので、明日審議がスムーズに進められて、参議院で可決がなされれば成立ということになりますので、公布の手続を急ぎたいと思います。迅速に行いたいと思います。
 そこから起算をして10日で施行となりますので、緊急事態宣言を3月7日まで延長しました。今日、総理からもありましたように、病床も含めて急速に改善するようなことになれば、それまでに解除するところが出てくるかもしれません。改善すれば専門家の御意見を聞いて判断をしていきたいと思いますけれども、仮に緊急事態宣言中であっても施行がなされれば、当然、様々な対策、法律に規定されたことが使えるようになるということであります。
 ただ、命令・罰則、8時の時短に応じていないからといって、その日のうちに直ちにそれが全部できるということではありません。手続をしっかり踏むことになります。特に要請に応じていただけるように、しっかりとお願いをするでしょうし、それから応じていただけない場合に、要請の趣旨を文書でしっかりと御説明するということにしております。
 現行法でも指示を行う前にそういう手続を踏むことにしておりますので、当然、要請の趣旨を今後も文書によってしっかりとお示しして御理解をいただきながら、手続を進めることになります。
 その上で命令・罰則の適用に当たっては、法文上、知事が特に必要があると認める時に限り命令をする。そしてそうした要請をそもそも行う、命令を行う、こういう必要があるかどうかについても学識経験者、専門家の意見を聞いて行うということになっております。私権の制約につながるものでありますから、そうした手続を丁寧に踏んで、基本的人権にも配慮しながら、丁寧な運用をしていければと考えています。
 さらに知事の命令、これについては行政不服審査法による不服審査の対象ということになりますし、過料をその後科す場合、これも知事が裁判所に通知をしなければいけませんので、その日のうちに一遍に全部できるということではありません。非訟事件手続法の対象となって、裁判所において判断をされていくということですので、しっかりと手順を踏んでというか理解をしていただきながら、私権の制約でありますので、人権にも配慮しながら丁寧な運用をしていきたいと考えております。
 そうしたこともしっかりと知事の皆さんは御理解されていると思いますけれども、これまでも指示を行う時には、事前に要請内容を文書でお示しすることにしておりましたので、改めてしっかりと都道府県にもお示しをしたいと考えております。
 それからまん延防止措置については、感染が拡大している局面で緊急事態宣言にならないようにするために、その前段階で、ある地域で感染が拡大している、そこで封じ込もうという発想であります。
 これは去年の夏の経験、大阪であったり東京であったり。東京は新宿、大阪はミナミ、愛知は名古屋の繁華街、あるいは北海道、札幌のすすきのであったり、そういったところで感染が広がって、特に東京の場合は新宿から都内全域に、それが全国に広がったということもありますので、そこで封じ込める、そこで抑えるための対策であります。
 私自身、去年の春夏の経験から、こういったことができないのかということをずっと考えてきたわけですけれども、私権の制約につながるということもあって、10月の分科会での慎重論もあり、法制局とまさに憲法上の議論も含めて、慎重に議論を進めてきたところであります。
 そして今回の法案提出になったわけですけれども、逆に今度は緊急事態宣言が解除された場合も、それを確実なものとしていく。ステージ3相当になれば解除になってくるわけですが、ステージ2を確実にしなければいけない。それ以下にしなければいけない。これは対処方針にも書き込みました。専門家の皆さんからもそれを強く言われているところでありますので、そのためにまん延防止措置が有効に機能する。
 つまり再拡大を防ぐために、緊急事態宣言のように幅広くやるのではなく、あるエリア、ある業態に絞ってやることが再拡大防止につながるという場合、まん延防止等重点措置は、そういった場面は使えると考えておりますので、それぞれの地域の状況に応じて、法が成立した後、施行された後にはこの活用も考えていきたい。
 都道府県知事とよく連携して、最終的には都道府県知事がその中で対策、区域、業態を決めてやっていきますので、よく連携して対応していければと考えております。
(問)今回の緊急事態宣言の延長は、多くの国民が納得して疑いの余地はないと思うんですけれども。これとは切り離しての質問なんですが、先ほどの総理会見で、今回の宣言の少し前から昨日までの感染者数の推移をグラフでお見せしていたと思います。これをそのまま率直に見ると、感染者数に限っていえば、今回の第3波はピークアウトしたという理解でよろしいんでしょうか。これが1点目です。
 2点目は、大臣の経済支援策なんですけれども、どういう訳かテレビではほとんど報道されておりません。ネットでは大臣主導の経済支援策への評価は高いんですけれども、これとは別に個人への支援策を求める声がかなり多いのも事実です。かつての10万円給付のようなものは全く念頭にないのか。この2点につきましてお願いします。
(答)一つ目のピークアウトについては、尾身先生から少し解説をしていただいた方がいいかと思いますけれども。
 1枚目の表ですが、確かに新規陽性者の数は先週比で、先ほど申し上げたように0.7とか0.6ということで。曜日で見なければいけない部分もありますので、ある特定の日とある特定の日を比べる時は、できれば同じ曜日の方が。
 土曜日、日曜日の検査件数が少ないこともあって、どうしても月火は少ない傾向、そして木金が多い傾向がありますので、そのあたりも見なければいけません。むらがありますので、週単位で見ていくということで、我々は週単位でこのあたりは見ていっています。
 そういう意味で、先週今週の比も0.7と0.6ということで、かなり下がってきておりますし、実効再生産数もここまで落ちていないと思いますけれども、1を切ってきていますので減少傾向にあるということだと思います。
 しかしながら新規陽性者の絶対数がまだ40人とか30人ということでありますので、ここが減らないと病床への圧迫はずっと続いていくわけです。そもそも病床がこれだけ高い数字になっていますし、しかも重症者の病床は遅れて増加しますから、そういう意味では早く下げなければいけない。しかもその後2週間3週間は、ずっと病床の確保をしなければいけないということでありますので、何より重要なのが病床の確保。
 この指標を分科会で議論された時も、一番目は病床の逼迫具合だと。新規陽性者の数は4番目なんです。一番大事なのは病床、そして療養者全体がどのくらいいるか、陽性率がどうか、こういうことです。そして先週今週。市中感染の度合いを示すことになりますし、クラスターが追えていないということですから、感染経路がわからない、リンクがわからないというのも大事です。クラスターが追えていればここは低くなります。
 ということでありますので、この数字だけを見ると、幾つかのところは4から3になってきて、黄色になってきているわけですし、岐阜も13ですから、15を切ってステージ2。
 ここだけを見ると2ですし、確かにここも48で、かなり改善してきていますが、愛知と岐阜はこの経済圏・生活圏を考えると、名古屋と岐阜は15分で行けて非常に近いので、一体的に考えていかなければいけないということも含めて、なかなか今の段階では解除できるレベルではないということで。ピークについては尾身先生から少しお話しいただければと思います。
 もう1点、東京の検査件数と陽性率です。陽性率が10%を切ってきています。これは1月18日からの1週間ですが、1週間で9万件以上やっています。去年の3月4月は1万件程度だったので、かなりの件数をやっている中で陽性率も下がってきていますので、いい傾向。
 要は検査が少ないのではないかと。濃厚接触者を追えなくなって検査が少なくなって、感染者の数も減っているのではないかということが言われますけれども、そうではなくて、検査はある程度やっているということ。これまで以上に過去最高ぐらいやっているということ。
 大阪も春の段階では1週間に5,000件ぐらいだったのが、今はもう4万件ぐらいの数までいっています。かなりの数をやって人数が減ってきているので、陽性率も落ちてきているということですので、このあたりは是非、御理解をいただければと思います。
 そして去年の春は全国に緊急事態宣言を出したということもありますし、特にコロナのことがよく分からなかった中で、とにかくステイホーム、多くの事業者に休んでいただいたという中で、様々な支援策を用意して、生活・事業を支えていくということに取り組みました。
 今回は分科会で分析を重ねていただいて、飲食を起点として、そこから広がっているということで、飲食店の8時までの時短ということを中心にしながら、そこにつながる人の流れを減らすということで、テレワークの7割、不要不急の外出自粛ということをお願いして、イベントも一定の制限をかける。
 イベントも去年は中止してもらったわけです。しかし今回はスーパーコンピューターを初めとして、様々なエビデンスに基づいて、5,000人まではいいことにし、あるいは映画館も半分まではいいことにして対応していますけれども、そこでクラスターが広がったということはありません。
 もちろん沖縄の状況とかもありますので、県の要請もあり、プロ野球とかJリーグについては無観客で。私も県の要請には従って、PCR検査を定期的にやってくださいということなど、それぞれの団体と話をさせていただきました。
 そうした取組がありますけれども、本当に厳しい方に特に重点を置いてということで、今回は2人以上の世帯ではプラス60万円、単身世帯にはプラス45万円、そして引き続き厳しい状況が続いて住民税非課税となれば一括免除ということで、こういった支援策を用意させていただいております。
 そして影響を受けるところの一時金についても、今回は60万円と30万円ということで、去年のような持続化給付金ということで200万や100万に比べると、額は少し少ないですけれども。しかし今回は緊急事態宣言を延長したということもあって、昼間だけ営業している飲食店とか、夜の時短に従っている飲食店に納入している方とか、あるいは外出自粛によってお客さんが来なくて、厳しい状況にある土産物屋さんとか、こういった方々について前年比50%以上、1月から2月の売上が減っていれば対象になるということでありますので、今回はこういった形で整理をさせていただいております。
 ただ、厳しい状況にある事業者の方、あるいは厳しい状況にある方々、こうした経済の状況を引き続き注視していきながら、予備費もまだありますので、必要な対策は機動的に打っていきたいと考えております。

(尾身茂会長)ピークアウトの話は、昨日のアドバイザリーボードの方でもあったように、1を切って0.8。そういうことで、とりあえず感染が下火に来ていることは間違いないんです。かなり感染の減少が続いているんですけれども、やっぱり実態をよく理解した上でこれからの対策ということだと思うんですけれども。
 実は何度も申し上げたように高どまりから少し増えていって、年末年始で急に上がりましたよね。それでまた急に下がって今がある。一体なぜ急に上がって、急に下がっているのか。このことを理解することが非常に重要だと思うんです。
 例えば年末年始に休みになると、かなり感染が拡大する可能性があるので、控えてくださいということがあったんだけれども、なかなかメッセージが伝わらず。これは間違いなく年末年始の忘年会とか、そういうもので広がって急に上がったことは。それが全ての原因ではなく、他の原因もあると思いますが、1つの重要な要因だった。
 年末年始が終わればそのファクターが消えてくるから、当然下がってくるわけですよね。そのことがまず急に下がってきたことの原因だということ。
 そして3週間以上たったわけです。今の段階では緊急事態宣言後の効果というのが、また大事になってくる。これもやっぱり私はあったと思います。これはだからさっき言った2つの。
 先ほど大臣の方から「高齢者」という話がありましたけれども、これは実は比較的年齢が若い50以下の人たちが、忘年会とかに行った。ところがその人たちがそれほど遠くに行かなかったけれども、近くで移動して近隣に行ったり家庭に行って、だんだんと若者が多かったのが、世代を超えて感染が広がった。そういうことが今は起きているんだということが重要だと思います。
(問)先ほど高齢者施設でクラスターがかなり出ているという御紹介がありまして、本日の政府対策本部の決定にも、高齢者施設への集中的な検査、これが入ってまいりました。ただ、高齢者施設への定期検査というのは、昨年の8月28日の政府対策本部の決定に既に入っております。5カ月たってまだ徹底できていないことが、今、重症者や死者数を抑えきれていない要因なのではないでしょうか。この点、御所見を伺えればと思います。
(答)この点も後ほど、尾身先生から言っていただけるとありがたいと思いますけれども。
 正確な日にちはあれですけれども、国からは何度も都道府県に、11月12月にも要請をしておりますし、私も直接、何人かの知事にはお願いをしてきました。この点を申し上げましたけれども、ある県の知事は、リスクが高いから全員やってください、行政検査でできますから、国もしっかり支援をやっていますからと。
 そして1兆円の地方創生臨時交付金の配分が今日、坂本大臣から示されていますけれども、これも活用できますので、実質、国費でできるわけですので、そういったことも含めて是非対応をということで、何人かの知事には。特に高齢者施設で出ているところの知事には、私から直接要請をしたこともあります。
 ある知事は「1人も感染者が出ないと、地元の専門家の皆さんが『それはやる必要はない』と言われるんです。1人出ればやりましょう。そういう地元の専門家の皆さんの意見もあるんだ」ということを言われる知事もおられました。改めてリスクが高まればやってください、ということを申し上げてきました。
 それぞれの都道府県で事情は様々あると思いますけれども、これまでも重ねてきましたし、改めてこれだけのクラスターが出て、高齢者はリスクがあるわけですので、厚労省を中心にしっかりと取り組んでいくということで、進めていきたいと思います。

(尾身茂会長)高齢者施設のことは前から言っていたのにという話ですが、実は高齢者施設へのいろんな対策というのは、一生懸命いろいろ訓練をしたり、こういう場合にはどういう対応をしてほしいということで、国の方も随分通知を出しているんです。
 ただ、実際にここに来て高齢者施設での感染が広がっているということで、医療機関に比べて、実態として医療機関には医師がたくさんいるわけです。しかし高齢者施設の場合には必ずしも医師が常駐しているわけではないということで、感染対策に必ずしも慣れていないというのが事実です。
 したがって感染が起きた場合は、高齢者施設だけでコントロールするということがどうしても難しい。ということで感染が広がったところが結構ある。だけど一方で、ある自治体なんかは、そういう現実があるからこそ、高齢者施設だけで対応するなんていうことじゃなくて、自治体の感染症対策の課と高齢者を担当する課、この2つが非常に連携して、しかも医療機関がちゃんとサポートできる、地域でのしっかりした取組があるところは、結構うまくいったところもあるんです。
 したがって今回私たちは、2つのことを高齢者施設の職員に対して定期的な検査をするということを1つ提案。それからいざ何かあった時には、やっぱり専門家のチームを送ってくれということ。それからこれは厚労省が一生懸命頑張っていますし、今日の分科会の提言でも出ましたけれども、この問題は厚労省の中に責任者を決めたチームを。
 みんな忙しいですよね。一生懸命頑張っているんだけれども、やることがたくさんあるということで。特に今は重症、死亡というものを我々は防ぎたいわけです。そういう意味でこのテーマについては、厚労省の中で、この人が責任者で、この人たちが中心にやるんだというチームを是非明確にしてほしいということで。そういうことで何とか差別すればいいというふうに願っています。

(以上)