西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年1月29日

(令和3年1月29日(金) 11:23~11:45  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 まず、コロナの状況ですけれども、全体の数が、昨日もアドバイザリーボードが開かれておりますが、全体として先週、今週比で首都圏は0.7ぐらいから0.8。栃木は少し落ち着いてきています。愛知、岐阜なども0.7、0.8、0.9、まだ京都は0.9ぐらいですね、先週比でそうなってきています。
 陽性率も、若干落ちてきているところと。それから千葉あたりはまだ上昇、前の日と比べて上がっていますし、神奈川も13.5%、京都も11%。引き続き病床が、やはり東京も72%、埼玉65%を初めとして、関西圏も7割を超えるということで、ここも上昇傾向にあります。
 日々状況は変わりますので、週単位ぐらいで見なければいけないんですけれども、いずれにしても、重症者もこの報告者のピークから二、三週間遅れてきますので、そういったことを含めて、病床の確保に引き続き全力を挙げているところであります。東京も病床数を増やしていると。これは厚労省と一緒になって対応しています。都立の病院なども含めて、増やしていると聞いております。
 そうした中で、全体として飲食に関わるクラスターは減ってきています。年末の分の増加がとれてきているんだろうと思います。ざっとした計算で、まだ精査していないんですけれども、直近10日間で飲食関係の会食なども含めてのクラスターは、全体の10分の1ぐらいであります。
 むしろ多いのが、半分が高齢者施設でありまして、高齢者の増加が見られています。いつも示している資料ですけれども、東京都における60代以上、2,000人前後が毎週続いておりまして、人数はもうはるかに桁違いに春よりも多いんですが、パーセントがほぼ同水準になってきています。春と同様の状況で重症化される方が多いリスクが高い中で、病床が引き続き厳しい状況になるということであります。特に70代以上も千数百人のレベルで毎週続いておりまして、春と同様の19%前後の比率になってきています。桁違いに重症化される方が多いということであります。
 引き続きこうした状況を都道府県それぞれと連携しながら、病床の確保については厚労省を中心に行っておりますし、私どもも様々な分析、あるいはクラスター対策を含めて専門家と分析を進めているところであります。
 そうした中で、小樽と宮古島でかなり感染が広がってきております。小樽では大きなクラスターが複数発生して、昨日も33名、一昨日も35名ということで、非常に高い感染者の数になっています。医療機関への負荷も高まっているところですが、大きなクラスターが発生しているということで、かなり濃厚接触者を初め、追いかけています。北海道庁より、医師、保健師、事務職員のチームを現地に派遣しておりますし、県の振興局からも保健師等を派遣しているということで聞いております。それから、時短も出す予定と聞いております。国としても、しっかりと支援していきたいと思います。
 それから、宮古島も3日連続で新規感染者の数が30名を超えておりまして、非常に厳しい状況になっております。既に感染研からクラスター班を派遣しております。また、県立病院、民間病院で病床確保・拡大をしているところであります。また、宿泊療養のホテルも、今まで1つだったものを2つにして、部屋数を確保して対応しております。それから、県の医師会が医師・看護師を派遣中であります。国としても、この医療体制の支援、調整をしながら全力で支援していきたいと考えております。国としてやれることを、様々な準備をしながら調整し、応援していきたいと考えております。また、学校は休校し、外出・往来自粛をしているということであります。既に時短を行っておりまして、これだけの感染者が出ておりますので、かなり多くの店が閉めて対応してくれているということでありますが、国としてもしっかりと支援していきたいと考えております。
 それから経済についてでありますが、幾つかの指標が発表されましたので御説明したいと思います。
 まず、私どもから本日、GDP統計、国民経済計算の参考系列として作成しております家計の可処分所得・貯蓄率につきまして、7-9月期の計数がまとまりましたので発表させていただきました。
 この可処分所得でありますけれども、2012年以降、増加傾向、増加基調であります。昨年の4-6月期で9.8%プラス、そしてこの7-9月期は7.3%減となっておりますけれども、基調としては増加傾向の中で、この4-6月期の増加は特別定額給付金9.7兆円が給付されたことによって可処分所得が増えております。7-9月期も2.9兆円給付されていますので、基調よりも高めの数字となっております。合計12.7兆円、ほとんどがこの4月から9月にかけて給付されているわけですね。したがって、こういう伸びになっております。
 他方、雇用者報酬は増加基調できております。これは賃上げの流れが継続していることもあります。最低賃金の引上げもあります。そうした中で、報酬についても4-6月期落ちて、再び7-9月期で改善傾向になるんですけれども、注目していただきたいのは消費ですね。家計消費も、いわば12年あたりから増加基調であるんですけれども、やはり報酬が落ちたことによって消費も落ちています。可処分所得は増えているんですが、4-6月期は特に、4月、5月は緊急事態宣言の影響もあり、また7-9月期もそれほど伸びていません。
 これを見ていただくと分かりますように、可処分所得は増加しておりますので一定の安心につながっているのだと思いますが、他方、消費の方は、やはり雇用者報酬と感染状況などに影響を受けるということであります。
 家計の貯蓄率も発表いたしました。高齢化の進展に伴って、貯蓄率は全体としては落ちてくる傾向で。14年は、ここが落ちたのは4月から消費税増税がありましたので、駆け込み需要でいろんな物を買われたということで貯蓄率が落ちたものと思いますが、その後、増加基調でありましたが、19年もそれほど落ちていませんので、余計な話、本論と関係ないんですけれども、19年の駆け込み需要がそれほど大きくなかったとみています。
 他方、その後、急激に上がっているわけですけれども、これは特別定額給付金などの影響で貯蓄率が上がったものと思います。
 そして、先般、国会で、野党の維新の馬場さんから、世帯当たりの可処分所得はずっと落ちているというデータがあって、質問時間の制限であまり議論はできなかったんですけれども、私どももこうした分析はずっと進めておりまして、一人当たりで見ると、可処分所得というのは12年以降増加傾向にありまして、これは、一世帯当たりの人員の数が減っています。高齢者のおひとり住まい、あるいは若者もひとり住まいがありますので、全体として家計の人数が少子化の中で減ってきている中で、一人当たりで見ると増えているということであります。参考までに、こうした様々な分析を行っておりますので、また、いろいろまとまったところで、消費とこうした所得の状況は折に触れてお示ししたいと思います。
 以上のことから、先ほど申しましたように、特別定額給付金は貯蓄率の増加などを含めて、家計の安心・将来の備えには大きな効果を持ったものと思います。他方、消費は、一時的に増えたからといって消費を急激に増やすということではなくて、やはり雇用や賃金・報酬の動向に影響を受けます。何より大事なのは、雇用を確保していくことと賃上げの流れの継続ということであります。
 そうした中で今、労使交渉が行われていますが、こうしたモメンタムの継続、これは経団連も大きな方向性を示していただいていますので、是非期待したいと思います。
 もちろん、個別の業態によって大きく影響を受ける業態もありますので、全ての業種で一律にということは難しいんだと思います。そのことは十分理解しております。可能なところは、全体としてやはり日本経済を前に進めていく中で、この賃上げの流れの継続を、モメンタムの維持をお願いしたい、期待したいと思います。
 雇用の調査も発表がなされました。12月の雇用統計であります。
 雇用者の数は12月に若干減り、そして失業者の数が6万人増えるということでありますが、6月から12月の比較を見ると、全体としては改善傾向は続いております。休業者も195万でそのまま維持、変わりがありません。12月の段階で10時までの時短もお願いしておりましたけれども、ここは必ずしも多くの事業者に協力をいただいたわけでもないこともあり、恐らく、パート・アルバイトも含めて休業がそんなに大きくなかったんだろうと思います。
 ある意味、これから見ても、それほど大きな時短を協力していただいたわけではないのかなと思いますが、1月は緊急事態宣言の下で8時までの時短をお願いしております。地域よってはまだ6割、7割というところもありますけれども、9割近く協力していただいている地域もありますので、そういう意味で、休業者が1月は少し増える可能性があると思います。
 そして、非労働力人口も少し減ってきています。御案内のとおり、3月から4月にかけて多くの女性が、子供たちが学校を休まなければいけないという中で労働市場から一旦撤退して非労働力となったわけですけれども、その後、ここは減ってきておりますのでいいんですけれども、雇用者が少し減り、失業者が少し増えたという点。
 今申し上げたのはこういうことですね。4月、5月は緊急事態宣言で、6月を底として、雇用者の数が順調に改善傾向にはあったんですけれども、ここにきて少しその傾向が鈍化し、足踏みしている状況だと思います。3月の水準に戻ってきていたんですけれども、残念ながら少し足踏みの状況です。もちろん、6月の底の時点からは増加傾向ですけれどもということですね。
 有効求人倍率、今日、職業安定業務統計も発表されましたけれども、求人が、11月が非常に多かったこともありますので、ならして見なければいけませんけれども、12月が少し減少ということで、改善のテンポが鈍化していると。有効求人倍率は同じでありますけれどもということであります。
 それから、日次の有効求人も私どもはとっておりますけれども、12月までの求人が増えていくペースが少し鈍化してきたということであります。
 したがって、全体として雇用情勢はまだまだ弱い状況で、改善傾向が続いてきていたんですけれども、そのペースが鈍化してきているという状況だと思います。
 そして、生産統計、鉱工業生産も発表されまして、11月、12月と少しマイナスになっていますが、全体として改善傾向。そして1月の予測は非常に高い数字でありますので、ここも少しならして見なければいけないんですけれども、生産は全体として底堅い感じが受けてとれます。3カ月平均でもプラスを維持しております。1月も、5G関連など電子部品が非常に旺盛な見込みであります。赤のところですね。非常に旺盛ですし、輸送機械、生産用機械、汎用機械も含めて、それぞれ引き続き底堅い動きとなっておりますので、一服感はありますけれども、全体としては底堅い動きとなってきていると思います。
 その上で、先ほども申し上げたように、雇用の確保、賃上げの流れの継続ということは大事だと思います。
 昨日成立いたしました補正予算。まず、雇用調整助成金、2.1兆円の予算を確保しております。大企業に対して10分の10の支援を行うということでありますので、緊急事態宣言によって影響を受ける大企業、これは全国どこの地域も3カ月、平均で3割落ちていれば対象となりますので、これを活用いただいて、是非、雇用の維持につなげていただければと思います。昨日、ドイツとの比較も国会で議論になりましたけれども、日本は全額出しますので、支援のレベルとしては遜色のないレベルだと思っています。
 そして、出向の仕組みによる維持などの支援策。今回、在籍しながら出向する、送り出す事業主、送り元と受け入れ先、送り先、両方に支援するということで、補正予算で46億円、当初で545億円支援を行うことになっております。
 それから、人材開発の支援として、3次補正で10億円、当初で322億円。職業訓練を行う、あるいは賃金の一部を補助と。業態転換についても助成の対象に追加しております。必要な部門に移していく。こちらも必要としている事業体はIT関係とか医療・福祉とか、物流とか、必要なところはありますので、求人の多いところに出向という形でスムーズに異動ができるように、こういった支援を使っていただければと思います。
 そして、早期再就職の支援ということで、トライアル雇用。国会でも度々、厚労大臣からも御発言があります。トライアル雇用をする事業者に対する条件の緩和ということで、これは補正ではなく当初予算ですけれども、今年度予算ではもう既に対応しておりますので、既存の予算の中で対応しております。
 それから、キャリアアップ助成金の拡充。これも当初で658億円。これは正社員化していく、賃金も上がっていく、そうした助成の対象。これは今年度の予算でも、もう既に対応しております。
 それから、地域活性化の創造プロジェクトということで、3次補正で11億円、当初で100億円。都道府県が提案する事業で正社員を確保していく、そうした事業について事業費を補助しております。これも今年度の予算でも対応しておりますし、補正もありますので。
 こういった昨日成立した補正予算の中で、雇用を確保し、そして大きな流れの中で賃金、所得が上がっていく。そうした予算を十分に確保いたしております。予備費の3.8兆円もありますので、様々な状況を見ながら機能的に、臨機応変に対応していきたいと考えております。厳しい状況にある事業者の皆さん、そして雇用、これをしっかりと守っていく、そうした予算を用意しておりますので、是非とも御活用いただいて、今の状況を何とか乗り越えていっていただければと考えております。
 人流だけ申し上げます。
 これを見ていただいたら分かるんですけれども、首都圏40%前後、関西圏3割前後で、引き続きそんな感じで止まっておりまして。繰り返し言いますけれども、前回は首都圏は7割、関西圏は7割近く通勤の乗客数が減りましたので、同等のことをやっぱりお願いしたいと。ここが進まないと完全には下がっていかない。8時までの時短とテレワーク、それと不要不急の外出自粛。これが徹底できれば、これはこれまでの経験、データの分析、それから専門家の御意見を聞いても必ず効果が出るということでありますので、このことを改めてお願いしたいと思います。
 この後12時から経済9団体、緊急事態宣言の出ている首都圏、関西圏、中部圏、それから福岡のそれぞれの地域の経済界とオンラインで会議を行います。そこで改めて出勤者7割削減、テレワークの7割、そして不要不急の外出自粛、県をまたいだ移動の自粛、出張なども不要不急のものは控えていただくよう、このことを改めてお願いしたいと考えております。何としても、人の流れが減るように御協力をお願いしたいと思います。
 朝はこのように十数%落ちてきていますが、もう毎日公表していますので、後で見ていただければ結構です。
 ですが、緊急事態宣言の時に比べると、まだ数十%多いということですね。
 昼も同様ですね。夜も同じように、去年の12月に比べると数十%、半分ぐらいにはなっていますが、去年の春に比べると、まだ数十%高い状況は、同じような状況は続いておりますので、是非、これは本当に国民の皆さんに不要不急の外出自粛をお願いしたいと思いますし、テレワークなど自宅でできることは自宅でお願いしたいと。オンラインの会議なども活用していただいて、お願いしたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)幹事から2点お伺いします。
 1点目が、昨日、特措法の改正案をめぐる与野党の修正協議で、大幅に罰則を軽くする方向で合意されました。大臣が考えられているベストな内容から大きな変更が加わるわけですが、受け止め、実効性が担保されるか御所見をお願いします。
 あともう1点、緊急事態宣言の首都圏への再発令から3週間になりますけれども、冒頭御説明されたとおり、目安からは遠い水準で推移しています。現時点で宣言延長の必要性についてどう考えているか教えてください。
(答)まず、与野党協議ですけれども、昨日、合意に至ったと聞いております。私どもとしては最善な案と思って提出いたしましたけれども、様々な観点から与野党で協議が進められたということで合意に至り、また、本日から審議入りできるということ、早期成立に向けて与野党でそうした真摯な議論、そして協力がなされていることを改めて感謝申し上げたいと思います。
 特措法については、この過料の減額など幾つかの合意がなされておりますので、それぞれの合意事項を踏まえて、私の立場で、まずは国会審議が今日から始まりますので、こうした合意を尊重し、真摯に対応してまいりたいと考えております。
 それから、現在の状況は先ほども申し上げましたけれども、昨日のアドバイザリーボードでの評価も1月上旬をピークに減少傾向とはなってきていますけれども、引き続き依然として多数の報告者があるという状況、そして、先ほども申し上げましたけれども、重症者の数などの増加傾向、これは通常二、三週間遅れてきますので、そういったことで医療提供体制、そして保健所、こういったところに大きな負荷がかかっているということであります。入院調整の事例も依然として多数見られるということであります。先ほど申し上げましたように、飲食については、8時までの時短、あるいは呼びかけに応えていただいていることもあり減少傾向です。もちろん、成人式の後の飲み会とか、あるいは飲食店が閉まっているから家で集まって飲もうという宅飲みとか、路上で何人か集まって飲むというようなことも見受けられますので。これはもう、飲酒、長時間、近距離でマスクを外しての会話は非常にリスクがありますので、屋外だからといって安心できるわけではありません。これまでも申し上げていますように、屋外でやっているバーベキューでもクラスターの例が幾つもあります。そういったことも含めて、外だからいいだろうということではありませんので、是非、不要不急の外出自粛、マスクを外しての会話、長時間・大人数での飲酒など、食事など、家であろうとこれは是非、控えていただきたいと思います。
 いずれにしても、まだ高い水準の報告者の数もあり、病床も引き続き逼迫してきている状況でありますので、こういったところを、あるいは人流のデータなども専門家の皆さんと日々、分析も進めてきているところであります。
 先般、委員会で、予算委員会だったですかね、尾身会長からも、今週後半から来週、できるだけデータを見て効果を見極めていきたいという御発言もございました。こうした状況を各都道府県とも今、緊密に連携しながら分析・評価もしているところであります。
 2月7日までとなっておりますので、来週、適切なタイミングで諮問委員会を開いて専門家の御判断をいただいて、今後の対応を判断していきたいと考えております。
 ありがとうございました。

(以上)