西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年1月26日

(令和3年1月26日(火) 18:26~18:52  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 感染状況について幾つか申し上げます。
 全国の状況ですけれども、昨日は2,761名で、東京は618名でした。今日は1,026名と聞いております。
 それで、先週、今週比はこういう形で1を下がって少し減少が見られるわけです。陽性率も9%で、今、下がってきている。ただ、10万人当たりは、引き続き東京で56人、首都圏で三、四十人と非常に高い数字、関西圏でも非常に高い数字です。申し上げているように、療養者の数が東京124人ですから、それから千葉も100名、埼玉68、神奈川50と非常に高い数字、これは緊急事態宣言の地域全てそうです。これに伴って、病床が非常に厳しい状況に引き続きあるということであります。
 専門家といろいろ意見交換も続けているんですけれども、若干、減少傾向にあるわけですが、東京の高齢者のあれを見せてもらえますかね。これは、今週1週間の分析をしないとよく分からないということなんですが、これを見ていただくと、もちろん全体が少し先週に比べたら減っていますが、それでも2,000人。こちらに注目してほしいんですけれども、60代以上の割合が26%と極めて高くなっています。次の70代以上も見ていただくと、1,334人ということで、この1月に入って8.9、13.0、17.0と、ウエイトが非常に高くなっています。ここが昨年春の状況と非常に近い数字になってきておりまして、今日、このエピカーブの分析と発症日別の感染症の状況と感染の動向と、それから医療の現場の声も少しお聞きしたんですけれども、共通して言えることは、若い人たちの感染が少し減ってきている、それから、飲食の場での感染が、少しクラスターが減っている傾向。これは、ただ、幾つかのところでは成人式の後の飲食でクラスターが出ているのがありますから、必ずしも全体になくなっているということで、減っているということではないんですけれども。年末年始に押谷先生が分析された、若い人たちが検査に行って、通常では考えられない異常な増加になった、その部分がとれてきているのかなということもおっしゃっておられました。その分、若い人は減って、他方、この60代、70代がむしろ増えてきているわけです。
 そして、医療現場の声をお聞きしても、入院される方が、元々、かなり重症で来られる方が増えてきていると。この感じが昨年の3月末から4月の緊急事態宣言の頃と雰囲気がよく似ているということをおっしゃっておられましたので、繰り返し申し上げていますけれども、この二、三日減少しているのがどういった効果、もちろん8日の緊急事態宣言、そして12日から時短が始まっていますので、8時までの時短の効果も出ていると、飲食の場でのクラスターが少し目立たなくなってきているという意味ではですね。ですが、他方、高齢者施設や院内感染もあちこち起こって、高齢者の割合が増えているということ。それと、元々、感染者の増加の後、二、三週間遅れて重症の方が増えるということでありますので、医療現場は引き続き非常に厳しい状況にあるということであります。
 この辺りを引き続き専門家の皆さんに分析をしていただいているところです。今週のデータを見ながら、様々な分析、御意見をいただければと思っています。
 いずれにしても、何としても感染を抑えなければいけませんので、朝の通勤を見ていただくと、毎日申し上げている、昨年は7割に落ちたものが、41%、30%と関西圏も少し落ちましたけれども、この落ち方が非常に遅いので、改めてテレワーク7割、出勤者の数7割減、これをお願いしたいと思います。今回の対策の中心の一つ、これが出勤者の数を減らし、飲食の場につながらないように、また、人と人との接触を減らすということの大きな柱でありますので、このテレワーク7割を改めてお願いしたいと思いますし、もう一点は20時までの時点、多くの事業者が御協力いただいていますけれども、まだ8割、9割ということでありますので、しっかりと支援を行っていきますので、御協力に応じていただければと思います。
 そして、それぞれの地域の地点の朝の数字を見ますと、こういう形で十数%は12月と比較して落ちています。関西圏も中京圏も落ちています。
 ただ、去年と比べると、繰り返し言いますが、まだ数十%は多いものですから、ここから数十%落とさなければいけないということであります。関西圏も同様です。
 これをグラフにしますと、この一番上は渋谷のセンター街の朝7時、渋谷駅の状況ですけれども、1月、お正月は落ちるわけですが、確かに落ちていますが、この落ち方がまだこのぐらいと。それから東京駅も、確かに1万6,000人前後から1万二、三千人まで落ちていますけれども、もう一段の、是非、お願いをしたいと。新宿駅もそうです。1万七、八千人から1万4,000人まできていますが、まだ7割減には全く至っていませんので、これをお願いしたいと思います。千葉とか横浜はあんまり変わらない、少し減ったぐらいですので、是非、お願いしたいと思います。関西圏も同様です。梅田もあんまり減っていないですね。お願いしたいと思います。
 それから、夜の方も、確かに数十%落ちていますが、関西圏もそれなりに落ちていますが、やはり去年と比べると、まだ100%を超えているということで半分にしなければいけないと、半分以上にしなければいけないということであります。
 関西圏も同様です。ミナミもまだ100%近く多いわけですので、半分にしないといけない。名古屋もそうです。
 これをグラフにすると、確かに歌舞伎町も、曜日ででこぼこありますけれども、かなり落ちてきていますが、まだ3万人から3万5,000人ぐらいが2万人程度ということですので、ここからもう数十%というか、半分落とさなければいけないので、夜の場合はですね、是非、お願いしたいと思います。
 次、お願いします。
 関西圏もそうです。ミナミも1万五、六千人だったのが1万人になっていますので、ここからもう半分、昨年と比べると落とさなければいけませんので、お願いしたいと思います。
 ということで、この月曜日、火曜日、日、月、火と、先週に比べると少ない数字になっていますが、若い人が年末年始増えた分が少し減って、いわばベースに戻ったのか、それから飲食などの時短の御協力をいただいている分が少し効果が出てきているのか。他方、これは高齢者施設であったり家族内感染であったりして高齢者の感染のウエイトが増えているということ、これは重症者が増えてくるわけでありますので、是非、何としても感染を抑えていくということ、そのために、繰り返しになりますが、今、対策を取って2週間後に効果が表れてくるということでありますので、是非ともテレワーク7割、それから時短、それから昼間も含めて不要不急の外出自粛を改めてお願いしたいと思います。こうした緊急事態宣言を長引かせないためにも、是非、御協力をお願いしたいと思います。高齢者の皆さん、命を守るためにも、是非とも御協力をお願いしたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日、国会でも出ていましたが、京都大学の西浦教授らの研究チームが、「Go To トラベル」がコロナの感染者を増やした可能性があるという分析結果を発表しました。他にも東大とかアメリカのイエール大の研究者も分析結果を出していまして、「Go To」と感染拡大の因果関係を指摘する研究が相次いでいるんですけれども、政府としては感染と「Go To」の因果関係はないという見解は変わりないでしょうか。あわせて、「Go To トラベル」の再開について赤羽大臣が、「今月末から来月頭に判断する」とおっしゃっていますけれども、再開の可否と、再開する場合の事業のあり方について御所見をお願いいたします。
(答)「Go To」については、これまでも分科会でも私どもも資料を提供し、様々な議論をいただいてきました。特に、私はこれまでも申し上げてきましたけれども、北海道、北陸、石川県とかですね、それから福岡など、9月、10月、11月にかけて、石川県で言えば10月、11月、非常に宿泊稼働率は上がりました。「Go To」の利用者が非常に多かった。ただ、10月、11月も非常に低い水準、1日の最高が5人、感染者の数が5人、5人と、10月も11月も。また、北海道も、10月後半から増えましたけれども、8月、9月と稼働率が非常に上がりましたけれども感染は低く抑えられていました。福岡も、これも申し上げたと思いますけれども、10月、11月、野球もあり、多くの人が「Go To」を使ったけれども、10月の最高は1日当たり13人ということでありまして、今200人ぐらいになっていますから、「Go To」を使って旅行に行かれたけれども感染が広がっていない地域もあったわけです。こういった分析を私どもも専門家の皆さんに投げかけているところでもあります。
 なかなか分析は難しいんだと思いますけれども、西浦先生の研究も、西浦先生とは私もかなり頻繁にやり取りもしてきましたし、いろんなSIRモデルについても最初、特にいろいろ教わって、8割接触削減ということも御提案いただき、私どもも皆様に極力8割ということをお願いしたわけであります。
 そうした中で、今回の研究成果については、「Go To トラベル」開始前と開始後の一定期間における感染者数とその行動履歴を分析した、そして、感染者の発生率を比較したものと承知しております。これ、旅行や観光等の行動履歴を分類しているんですけれども、「Go To トラベル」利用者か否かを分析したものではないこと、それから筆者自身も御指摘されていますけれども、比較対象である7月22日から26日は4連休を挟んでいますので、この時期は、そもそも観光が活発な時期であるということなどから、筆者自身もこういうふうに記載されています。「我々の分析は、観光キャンペーンと日本におけるコロナの発生率との間の因果関係を断定するにはあまりに単純化し過ぎている」と自ら言われていますので、そういったことも踏まえて、私どもとしても分析をよく見たいと思っています。
 その上で、緊急事態宣言が2月7日まででありまして、今の感染状況の動向については引き続き専門家の皆さんに分析していただいて、その上で適切なタイミングで御意見を聞いて判断していきたいと思いますけれども、あわせて、「Go To トラベル」の再開については、まずは早急に感染を抑えなければいけません。緊急事態宣言はステージ4からステージ3にしなければいけないわけですけれども、「Go To トラベル」の場合はステージ2にしていくということでありまして、ステージ3の地域は一時停止も含めて考えるようにということで御提言いただいていますので、ステージ2まで早く下げることが大事だと考えています。
 その上で、感染が再拡大しないように、様々な状況を見ながら、知事ともよく連携しながら、慎重に判断していきたいと考えています。
(問)これまで政府は一貫してPCR検査を抑制し、感染拡大をある程度許しながら経済活動を国民に継続させてきました。その結果、感染は収束せず経済は低迷し続け、国民は不安の中でひたすら自粛を求められています。感染拡大阻止と経済の両立のためには全国民へのPCR検査しかないという声が有識者から上がっていますが、耳を貸さない菅政権に業を煮やし、独自のPCR検査の動きが各地で起こっています。広島県は1月15日、80万人対象の県独自の大規模PCR検査を実施すると発表しましたが、その翌日、政府は広島市に発令予定の緊急事態に準じる地域の適用を見送り、広島県は時短営業などに協力してきた広島市内の事業者への協力金の減額を余儀なくされました。検査の徹底は本来なら国がすべきことです。やむなく独自の検査へと動き出した自治体に見せしめの懲罰を加え、威圧する、または嫌がらせをしているように映りますが、西村大臣はそのようにお感じにならないでしょうか。よろしくお願いします。
(答)まず、広島の知事から要請を受けたときには、広島市内の感染状況が30人を超え、まさにステージ4の対策が必要な地域という状況であり、準じる措置ということを検討したわけでありますが、その後、これは県民の皆さん、そして市民の皆さんの御努力があったと思います。もう既に時短はやっていましたし、様々な御努力の結果として感染が急速に改善しましたので、私どもの言うステージ3から4へ、緊急事態宣言に至らないようにするために、その直前で同等の対策を打つということの要件を満たさなくなりましたので、これは改善した話ですので、良い話ですので、改善しているのに懲罰とかそういうことは全くありません。知事とも連携して、知事も広島市内の改善状況を理解されて、私どもとして条件に合わないということで、そこは意見が一致したわけであります。
 しかし、広島県としては完全に封じ込めたいという思い、ステージ2に完全にしていくという思いから、引き続き強い措置で抑え込む努力をしておられる、これは姿勢として私も評価しているところであります。
 あわせて、PCR検査を行うということで発表され、私もそのとき申し上げましたけれども、一つの試みとして、これは国とも、私どもも連携し、既に感染研もいろいろと協力しながらやっております。連携しながらこの取組に注視していきたいということを申し上げました。
 PCR検査については、抑制してきたということはありません。まずは有症状の人が迅速に検査を受けられるようにということで、検査能力を拡充し、今、十数万件の、今日の国会でもありました、能力があり、最大8万件、9万件という検査を行っています。東京も1万件を超える検査を行っている日が何日もあります。
 でありますので、そういう意味で、まず症状がある人はスムーズに受けて判断され、そして濃厚接触者やあるいはリスクの高いところ、これは高齢者施設であったり、繁華街であったり、ここは陽性者がいなくとも、そのお店や施設で受けられるとしているわけであります。
 東京の件数も、1日1万3,000件とか1万件が続いています。日曜日は少し減って、どうしても土日は減るんですけれども5,000件台、2,700件台ですけれども、1週間平均では8万件から7万件を維持していますし、大阪も、土日を含んでも4万数千件をずっとやっております。愛知もその後、増やしてきて2万数千件、こういった取組がなされていますので、検査全体としては拡充してきている状況であります。
 他方、無症状の方をどういうふうに特定して、そこからの感染を防いでいくか。リスクの高い人、高い場所はもう既にやっていまして、これは繁華街の特定の地域であったり、あるいは高齢者施設は、もう症状がない人も含めて検査をやっているわけですけれども、この無症状の人を今回、12月は特に寒さと乾燥することが重なる中で、年末の飲食の機会が多い時期に10時までの時短も、神奈川県では知事曰く2割ぐらいしか協力してもらえていなかったというようなことも含めて、店が開いていることもあり、多くの無症状の若い人たちが飲食することによって感染が広がったという、これはクラスターの数などで分かってきています。
 ですので、この経験をどういうふうに踏まえて無症状の方々を特定していくのか。もちろん、今日、田村大臣も答弁されたように費用対効果もあります。それから、今日陰性でも明日陰性かどうか分からないという、定期的に受けなければいけないということもあります。偽陰性の問題もあります。こういったことを含めて、他方、抗原検査、PCRほど精度はそこまでいきませんけれども、しかし、迅速にできる抗原検査もあります。また、抗原キットというものもあります。抗原キットの場合は症状のある人の方が有効に出ますけれども、今日もいろいろ議論がありました。そして、プール方式ということも厚労省として承認して、5人まで、無症状の人の唾液なりこういったものを一遍に検査する。これはかなり迅速にできるようになりますし、コストも下がります。こういったことの活用も含めて、広島県もこういったことを考えているようでありますし、そして、さらに民間で検査を行っている機関もたくさんあります。新橋や都心で、いろんなところで列を作って受けられています。ここも精度の課題があり、また、純粋に民間だけであれば、医療機関と連携しなければ報告義務がないために、陽性となっても、そのまま自分は無症状だから大丈夫だと思って普通に活動されると感染を広げてしまうケースがありますので、この辺りの課題はありますけれども、しかし、民間のこうした検査能力も生かしていくということも含めて、これからどのような形でこの今回の感染拡大の経験を生かしていくのか、これを含めて専門家の皆さんには問題提起をしているところでありまして、専門家の皆さんで議論がなされている。
 幾つかの課題が今申し上げたようにあります。今日陰性でも、明日陰性とは限らないわけですので、何日かおきに受けなければいけないということもありますので、そういったことも含めて、技術も進化していっていますので、どういった形でやっていくのか、その辺り、専門家の皆さんに、より議論を深めていただいて、私どももそういった御意見を踏まえて対応していきたいと思いますし、広島県の取組は一つの試みということで、私自身は非常に注目しているところであります。
(問)大臣、本日の衆院予算委員会で特措法改正案に関連して、時短要請の命令に応じない事業者でも罰則を免れるような正当な理由に関して、大臣は本日、地域にとって重要なお店というのが正当な理由に当たりますというようなお話をされていたと思うんですけれども、これはどのような事業者を想定していて、自治体なのか、どういった方が地域にとって重要なお店というものを決めるのでしょうか。その辺りを教えてください。
(答)事例で申し上げたのは、例えば近隣にお店がなくて、地域の住民の皆さんが、そこが早い時間に閉まってしまうと生活を維持していくことが困難であるというような場合を例示として挙げましたけれども、どういった場合がこの正当な理由になるのかということは、法案の審議までにしっかりと整理してお示ししたいと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)