西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年1月22日

(令和3年1月22日(金) 18:35~19:25  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 今日、コロナの関係と、それから経済の関係の2つありますので、先に経済の関係から簡潔に申し上げます。
 月例経済報告を先ほど報告いたしました。景気の現状判断は先月の判断を維持しております。「依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」という判断を維持しております。詳細は事務方からも説明があったかと思います。
 他方、「先行きは内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」としており、内外の感染拡大、それから国内の緊急事態宣言の発出、海外での経済活動の制限の措置、こういったことを踏まえ、これらの影響を警戒感を持って注視していきたいと思いますし、先ほど本部で整理いたしました支援策の全体像、これを着実に実行していきたいと、厳しい状況にある事業者の皆さんや国民の皆さん、生活・雇用、これを全力で応援していきたいと、そのための支援策の全体像をお示ししたところでありますが、後ほど、このことについては御説明申し上げます。
 何点か指標を申し上げますが、消費につきましては、これも先般来申し上げているとおりですけれども、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」と下方修正いたしました。
 これは毎週大体お示ししています1週間の個人消費額のマクロミルの調査ですが、このグレーの幅が過去3年の幅であります。この直近の1月14日から20日までは、1万3,600円から1万5,300円というのが過去3年の幅です。それを少し下回る1万3,500円の出費があったと、消費があったということでありまして、過去3年のものから先週、今週と非常に低いところで、過去3年の幅の下限に近いところで推移しております。
 他方、以前にも申し上げましたけれども、昨年の緊急事態宣言の時、これは5月の連休も含めてですが、消費が普通はこれぐらい増えるわけですね、過去3年の幅は。ところが、緊急事態宣言によって非常に低く抑えられた。経済を意図的に止めたということもあって、消費が抑えられた。昨年夏に感染拡大した時も、本来、8月に消費は増えるんです。お盆の時期、夏休みで非常に消費が増える時期ですが、この時も感染拡大によって消費が低く抑えられました。これらによって感染を抑えたということがあるわけであります。
 しかしながら、昨年の12月は確かに過去3年間の幅よりは下でありましたけれども、これだけの高い消費の額を示しておりまして、過去2回の感染拡大の時でありましたら、要は低い消費になることによって感染を抑えられたのですが、非常に高い消費水準になっております。このことは、経済からすると、これはうれしいというかプラスの評価がされるわけですが、しかし感染拡大を抑えるということからは、12月に感染拡大していってしまったその裏返しでもあると評価できると思います。
 ただ、緊急事態宣言の発出もあり、消費額は、過去3年の下限のところできておりますので、去年の4月、5月、8月のように低い水準ではありませんでしたけれども、国民の皆さんの御協力、自粛も行われてきているのだろうと思います。
 改めて、もう繰り返しですけれども、企業の皆さん方にはテレワーク7割、後でまた数字をお示ししますけれども、出勤者数7割減を目指してお願いしたいと思います。そして、不要不急の外出自粛、これは昼間も夜も、そして休日もお願いしたいと思います。やはり、ここまできますと人と人との接触を減らさないといけない状況になってきております。休日の人出は思ったほど減っておりません。是非、明日、明後日、土日ですけれども、不要不急の外出自粛を改めて国民の皆さんにお願いしたいと思います。
 それから雇用と賃金の話ですが、冬のボーナスが6.5%減りました。厚労省の調査でありますけれども、組合のある企業が対象であります。これは、リーマン・ショックの時の2009年の12%落ち込んだ時に比べると、そこまでは落ちていないわけでありまして、2013年、14年の頃の水準に戻ったわけであります。
 このところ雇用は改善傾向、持ち直しの傾向にありましたけれども、やはり感染拡大、そして緊急事態宣言に伴って、日次の求人の情報なども伸びてきたものが頭打ちになってきております。こうした雇用の状況、それからボーナスが減ったこと、こういったことの影響をしっかりと見極めていきたいと思いますし、厳しい状況にある皆さん方の支援を着実に行っていきたいと考えております。
 それから倒産についてなんですが、実は倒産件数は、これは年次、年ごとの推移ですけれども、昨年の倒産はこれまで減少傾向のとおりであります。これは大変厳しい状況にある中小企業の皆さんが多かったと思いますけれども、無利子・無担保の融資を初めとして、様々な政府の支援策を活用いただいて何とか踏みとどまっていただいている状況だと思います。しかしながら、業種で見ますと、やはり飲食業、宿泊業が厳しい状況にあります。倒産件数が昨年より増えているわけであります。多くの企業で何とか踏ん張っていただいていたわけですけれども、飲食業、宿泊業で増加しているということでありますので、飲食業、宿泊業は今も厳しい状況にありますので、支援をしっかりと行っていきたいと考えています。
 次、お願いします。
 他方、休廃業・解散。これは経営者が高齢化する、あるいは跡継ぎ、後継者がいないということもあって、これはもう例年、高齢化に伴って増えてきておりまして、中でもやはり飲食店、それから娯楽関係、こういったところが増えてきておりますので、よく見ながら厳しい状況にある皆さん方の支援を着実に行っていければと考えております。いずれにしましても、今日決定いたしました支援策でしっかりと支援していきたいと思いますし、3.8兆円の予備費もありますので、必要な対策を臨機応変に履行していきたいと考えております。
 そしてコロナの関係でありますけれども、本日、いわゆる特措法と感染症法、検疫法の法律案、改正案が閣議決定いたしました。
 私はこの法律の担当となってから、緊急事態宣言、去年の4月、5月、そして夏の感染拡大、そして今回の感染拡大、これに対応してくる中で日々、何とか実効性を上げるのにどうしたらいいか考えてまいりましたので、私自身が取り組んできたこの対策、経験を踏まえてこれまで検討してきたことを本日、閣議決定できたということで、私にとっては非常にそういう強い思いを改めて感じるところでありますけれども、今日国会に提出いたしましたので、これから与野党で審議について協議が行われ、1日も早く審議に入れればありがたいと思っておりますし、1日も早く成立できるようにしっかりと準備していきたいと考えております。
 今日の決定した案は御案内のとおり、これまでも申し上げてきましたけれども、緊急事態宣言に行かないようにするために、その前で地域や業種を絞って対策を講じる。昨年の夏の新宿の対応とか、あるいは大阪ミナミで対応されたこととか、名古屋やあるいは札幌で対応してきたこういったことも頭に置きながら、緊急事態宣言のように幅広い業種、そして幅広く何か経済を止めていくようなそうしたことではなく、そうならないようにするために発生が拡大している地域について対策をとっていく、こうした対応がとれる「蔓延防止重点措置」、これを盛り込んだところであります。
 さらに、今の医療の状況を見ても、臨時の医療施設、これは医療法や建築基準法の特例を使って医療施設を臨時に作るという、これは緊急事態宣言の後にしかできなかったんですが、これを柔軟にできるように対応いたしました。
 そして、感染症法についても、宿泊療養、自宅療養、あるいは入院、積極的疫学調査、こういった対策の実効性を確保するための規定の整備を盛り込んだところであります。これまで分科会でも御議論いただき、また、与野党での議論も踏まえながら、私どもとして検討を進めてきたものであります。今日、提出いたしましたので、1日も早く成立できるようにしっかりと準備していきたいと思いますし、この特措法、そして感染症法がより実効性を上げる形で対策を講じていければということを考えています。
 それから本日、先ほど官邸でコロナ対策本部、政府対策本部が開かれました。今日はワクチンの接種に向けた準備状況の報告があり、また、私から各府省の経済支援策の全体像を報告いたしました。その私のお示しした全体像につきましては、もう皆さんに御案内のことも多いのですが、時短要請に応じていただく飲食店の協力金、これ、最大1日6万円ということで、月額換算180万円。緊急事態宣言以外の地域では4万円で120万円ということです。
 次、お願いします。
 そして、中堅・中小企業への一時金ということで、こうした時短営業の飲食店と直接、または間接の取引がある、あるいは不要不急の外出・移動自粛によって直接の影響があるということで1月、2月の売り上げが前年比50%以上減少していれば、40万、20万の支援があるというものであります。
 次、お願いします。
 そしてイベントの関連でありますけれども、J-LODliveの補助金、経産省の補助金であります。緊急事態宣言の対象地域でイベント等を中止・延期した場合に、そのキャンセル費用やチケット払い戻し費用、動画の制作・配信費用などを支援するということで、上限2,500万円の支援を行います。
 それから、実質無利子・無担保の融資ですけれども、要件をまず緩和いたしております。直近2週間で売り上げ減少ということが要件。そして、融資枠の拡充で4,000万円を6,000万円、公庫等については3億円まで拡充いたしておりますので、もう既に4,000万円いっぱいいっぱい使っておられる事業者の皆さんも、さらに枠が広がるということでありますので、何とかこうしたものを活用していただいて踏ん張っていただければと思います。
 それから、雇用調整助成金。先ほど総理の御発言がありましたけれども、月額33万円、お一人当たりですね、その特例を、そして休業支援金についても、宣言解除の翌月末まで延長するということを今日決めました。そして、大企業も10分の10、10割支援していくということです。これは、この時短営業の飲食店、あるいは呼びかけを行っている映画館・劇場・遊園地に加えて、緊急事態宣言の地域に限らず、業種を問わず、売り上げが直近3ヶ月の平均で30%以上落ちていれば対象にすると、大企業10分の10の対象とするということであります。かなり多くの企業の雇用維持につながるものと思いますし、これも繰り返し申し上げているのですが、パート・アルバイトの方も対象ですし、それから、完全休業にならなくともシフトが減ったという分も対象でありますので、これは雇用調整助成金の対象でありますし、中小企業の場合、パート・アルバイトの方が自ら申請できる休業支援金も延長しておりますし、こういう形でしておりますので、是非、有効に活用いただいて、雇用維持、それからアルバイトが減った、パートが減ったという方も雇用調整助成金の対象ですし、そして中小企業で休業手当などもない場合は、自ら申請ができる休業支援金が使えますので。休業支援金というと、何か休みでないといけないみたいですが、パート・アルバイトのシフトが減ったということも使えますので、是非、これを活用していただいて、何とか厳しい状況にある皆さん方の雇用・生活を守っていければと思います。
 次、お願いします。
 それから、緊急小口の特例につきましては、2人以上の世帯で最大140万円、単身世帯で最大110万円。これ、今年の3月までかな、今年の3月までに返済が始まる予定の貸付を来年3月末まで返済開始時期を延長するということであります。返済を延ばせるということであります。
 それから、住居確保給付金。これは東京都内で言いますと単身世帯なら5万7,000円ぐらいだったですかね、2人以上の世帯だったら6万数千円だったと思いますけれども、地域によって物価の水準、家賃の水準が違いますので、それぞれの市町村で決まっておりますけれども、その支援の額、まさに職を失った、あるいは今の休業、アルバイトが減ったということで収入源によって住居を失う、つまり家賃が払えないから出なければいけないというような方に家賃相当額、今申し上げた金額など、市町村によって決まっておりますが、最長12カ月支給できることになっております。これが一旦就業したことによって、10月、11月、飲食業とか、少し経済が戻ってくることによってそこでアルバイトが増えたとか、それで収入が増えて、一旦もらっていたこの住居確保給付金をもうもらわなくなったと、支給が終了した方が今回の緊急事態宣言になって、また収入が減った場合に3カ月間再支給ができるということになりましたので、これも是非、パート・アルバイトなどの方でシフトが減って家賃が払えなくなった方、払うことが難しくなった方、あるいは雇い止めなどで払いにくくなった方、こういった方々は、是非、この住居確保給付金も御活用いただければと思います。
 感染状況ですけれども、若干の減少傾向。これは緊急事態宣言が出ております11の地域で見ても、埼玉、千葉は1を超えております、今週、それから福岡も超えておりますが、1を下回るところが幾つか出てきておりますが、しかし、これは0.94とか0.98とか、必ずしも大幅に下がっているわけではありません。特に大都市部はですね。ですので、引き続き新規の報告者数は東京は10万人当たり76ということで、ステージ4の25をはるかに上回っておりますし、それから、何より引き続き申し上げております療養者の数が140人ということで、入院調整される方、あるいは自宅で療養される方がかなり増えております。実際に、重症用のベッドでないところで挿管して人工呼吸器などをされている方が増えているわけでありますので、ベッド数も若干、一般病床は東京も減ったりしておりますが、全体としては日々の動きの中で、どうしても感染者の数が高い水準で続くと、遅れて入院される方、それから重症者も大体二、三週間遅れて重症化されるケースが見受けられますので、ここのところの病床を何としてもしっかり確保していくことに全力を挙げたいと思いますし、そのために新規報告者の数を減らさなければいけませんので、まだ神奈川も陽性率18%とか、兵庫や京都も11%と非常に高い数字でありますので、千葉もそうです、東京もまだ10%台でありますから、何としても下げていかなければいけないということであります。
 次、お願いします。
 そして、緊急事態宣言から2週間、8日から2週間、ちょうど金曜日になるわけですけれども、朝の通勤の時間帯のデータを見ますと、まだ出勤者、通勤の乗客数は40%減にとどまっております。緊急事態宣言の時は7割減まで落ちたわけでありますし、1週間から十日で6割を超えるところまできていますが、まだ40%。
 これは、以前申し上げたとおり1月8日から緊急事態宣言になったわけですが、実質、金曜日でしたので、3連休もありました。企業としてもいろいろシフトを考えることも必要があったかと思います。12日から平日、実質始まったとすれば十日たったわけであります。それでも十日たっていますので、前回ですと十日たつと、もう6割まで落ちています。関西圏もかなりのスピードで落ちましたけれども、まだ29%ですので、これが落ちないと、やはり昼間の都心部の人が減らないということであります。
 当然、食事に行く機会、特に「昼飲み」というような言い方もあるようですけれども、夜は遅くまでもうできないから昼飲もうというようなケースもあるようですけれども、是非、これは注意していただいて、不要不急の外出自粛とあわせてテレワーク7割を改めて企業の皆さんにお願いしたいと思います。中小企業の皆さんはなかなかそうはできないという企業もあるかと思いますけれども、厚労省のテレワークの補助金、それから商工会議所、商工会で行っております持続化補助金、こういったものが使えますので、そうしたテレワークの機材を入れたりすることも含めて支援を行っておりますので活用いただいて、出勤者7割減を是非お願いしたいと思います。
 もちろん、現場で私たちの生活を支えていただいているエッセンシャルワーカーの皆さんもおられますから、そういった方々への配慮も必要でありますけれども、この昨年春にやっていただいた7割削減、それと8時までの時短、何としても昨年やったのと同様にこれを進めないと、やはり減少傾向を強化していく、この落ち方を下げていく、急速に下げることにはなりませんので、是非、お願いしたいと思います。
 次、お願いします。
 具体的にデータを見ても、朝8時、2割弱、十何%落ちています。
 次、お願いします。
 地方でも十数%、京都とか30%近く落ちているところもあります。しかしながら、前回の緊急事態宣言時と比べると、まだ数十%、6割多いところもあります。是非、前回並みにお願いしたいと思います。
 次、お願いします。
 地方部でもまだ数十%、梅田も、大阪もまだ7割多いわけですから、これを7割減らさないと前回並みの効果は出ないということでありますので、是非、お願いしたいと思います。
 次、お願いします。
 夜の人出、21時も5割ぐらいは大体減ってきています。周辺に住んでいる方、六本木とか関内とか住んでいる方がおられますので、船橋もですね、それほど落ちていないところもありますが、5割ぐらいは減ってきつつあります。
 次、お願いします。
 地方部でもかなり、5割前後減ってきております。
 次、お願いします。
 しかし、緊急事態宣言時と比べると、100%以上ということですから2倍以上やはり人が出ているということでありますから、半分に減らさないといけない。是非、御協力をお願いしたいと思います。
 次、お願いします。
 これは地方部でも50%、ミナミだと8割多いわけでありますので、80%減らさないといけないということであります。
 次、お願いします。
 東京における60代以上の方、以前よく申し上げた4月のピーク時は300人前後だったそれが、今や2,000人を超えています。これだけの方が。60代以上も、元気な方は多いわけですが、リスクがあるということでありますので、絶対数をとにかく減らさないと。1週間で1万人も感染すると20%ということで、パーセントは春よりも低いとしても絶対数がこれだけの数。次は70以上をとってみました。70代以上の方も、パーセントは春の十何%よりかは少し低いですけれども、絶対数はもう1,000人を超えて、70代の方は1,000人以上、千数百人が1週間で陽性となっている。非常に重症化リスクがあるわけでありますので、是非とも、何としても感染者の数を減らさなければいけないということで、お願いしたいと思います。
 次、お願いします。
 そして、人工呼吸器、ECMOを使っている方も春の倍ぐらい今、おられます。ECMOは春並みでありますけれども、人工呼吸器を使っている方がこれだけおられますので、是非、感染者、新規の陽性者の数を減らしていかなければいけませんので、これも、もういつもお願いしていますけれども、今日対策をやって2週間後にその効果があらわれるということであります。今日、仮に1,000人の新規陽性者の報告があったとすれば、今日1,000人感染したわけではなくて、おおよそ2週間前に1,000人の方が感染して、そして潜伏期間を経て発症し、検査を経て大体2週間後の今日、報告があるというわけでありますので、我々が今日見ている姿は2週間前の姿です。ですので、今日対策をとることによって2週間後に効果があらわれるということでありますので、もう緊急事態宣言を発出してから2週間となりました。緊急事態宣言の効果があらわれてくる。先ほど申し上げたように、8日からと見るか、12日からと見るかありますけれども、実質12日から始まったとすれば、来週の前半ですけれども、2週間、効果があらわれるまでかかりますので、今から対策をやらないと、どんどん、どんどん長引いてしまうということであります。少し減少になっていますけれども、しかし、このスピードが遅いと長引いてしまいます。先ほどありましたように経済の影響も、これが長引けば長引くほど大きな影響は出てきます。本当に厳しい状況でありますので、国民の皆様には本当に御不便をおかけしますけれども、今は本当にいろんなことを我慢していただいて、とにかく不要不急の外出自粛、テレワーク7割、そして8時までの時短、事業者の皆さんも、是非、御協力をお願いしたいと思います。
 先ほどお示ししましたような対策を着実に講じて、皆さん方の事業、そして雇用・生活を守り抜く、この決意で臨んでいきますので、是非ともよろしくお願いしたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例と経済についてお伺いします。
 前回の緊急事態宣言中は、「月例での景気は急速に悪化している」という表現を使われていたと思うんですが、今回は全体としてそこまで悪くなっていないということだと思います。これは感染拡大と経済活動の両立がある程度図られているということでしょうか。
 また一方で、大臣が先ほども一層の抑制を求められていますけれども、さらに感染者を減らしていくためには、今後とも経済がある程度下ぶれするのは仕方がないというお考えでしょうか、お願いします。
(答)まず、去年の4月、5月の緊急事態宣言の時の対応とは、これは異なります。前回は、コロナについて分からないこともたくさんありましたので、とにかく経済を人為的に幅広く止めた。それによって感染を抑えたわけでありますし、経済も一時的に大きく落ち込んだわけであります。
 その後、私どもの様々な経験、夏の感染拡大の経験、そしてこの年末からの経験、この間に内外で様々な研究が行われ、いろんな知見も分かってまいりました。私たちもスーパーコンピューターを使って、どういうふうに飛沫が飛ぶのか、あるいは人工知能も使ったり、経済の回帰分析なども使って、人出との関係なども分析をし、あるいは映画館やスタジアムなど、こういったものも分析を進めてきました。
 こういった知見を踏まえ、そして経験を踏まえ、さらには専門家の御意見もいただきながら、今回リスクの高い場面に効果的な対策を打つということで取り組んでおります。それが8時までの飲食店の時短であったり、あるいは不要不急の外出自粛、テレワーク7割、こういったことが昨年春と同様の措置でありますけれども、それ以外の業種に何か幅広く休業を求めたりということは、今回は行っておりません。
 ただ、8時までの時短とか、飲食の提供を8時までにしてほしいとか、人数の制限とか、イベントなど、こういったことについてはお願いをしている、働きかけをしているところでありますけれども、前回とは対応が異なりますので、前回の月例報告で示したような「急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」という判断は、今回はしておりません。
 ただ、「全体として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きが見られる」という表現をしておりますので、緊急事態宣言の下で厳しい状況にあると、感染症の影響があるということは、お示しをしているところでありますし、特に消費については「持ち直しの動きに足踏みが見られる」という表現で、先ほどお示ししたように、足元の緊急事態宣言の影響によって足踏みがみられる、下方修正をしているところであります。
 もちろん私の立場で申し上げれば、皆さんの命と暮らしと両方守らなければいけませんので、その使命を負っているわけでありますけれども、今はとにかく感染拡大を抑えることを最優先、これで取り組まないと感染が落ち着かないと、この緊急事態宣言がどんどん長引いていくわけであります。そうなれば、経済の影響はより大きくなるわけでありますので、もう是非御理解をいただきたいんですけれども、一時的には大変厳しい状況に置かれる事業者の皆さんや国民の皆さんは、おられると思います。それは支援をしっかりと行っていきますので、今はとにかく我慢をしていただいて、とにかく感染拡大を抑える。今皆さん、お一人お一人が対策をとっていただくことで、2週間後にその効果があらわれてきますので、私ども、今日決めた、お示しした対策を含めて、全力で応援をしていきますので、是非とも御理解、御協力を得て、何としても感染を抑える。これを全力で取り組んでいきたいと。皆さん方の御協力をいただきたいと思います。特に、不要不急の外出自粛、移動の自粛、それとテレワーク、8時の時短、このことをお願いしたいと思います。
 したがって、経済への影響を最小限にとどめるためにも、この緊急事態宣言の期間は、できるだけ短い方がいいわけでありますので、長引かせないためにも、是非とも御協力をお願いしたいと考えております。
(問)すみません、2点お伺いします。
 人出の関係なんですけれども、大臣今おっしゃったように、今回の宣言では、昼間休業を要請されている施設がないので、そこに通勤される方もおられると思いますし、通学の方もいらっしゃると思うんですが、目標として、昨年の緊急事態宣言並みに人出を減らさなければならないのでしょうか。
 あともう一点なんですが、本日閣議決定されました新型インフルエンザ等対策特別措置法なんですけれども、これは時短営業に従わない事業者への罰則の導入が盛り込まれていますが、これまでに特措法を根拠としたその時短や休業の要請に従わない飲食店で、何件程度のクラスターが発生したのか、教えてください。
(答)まず、1点目の人出につきましては、日々専門家との分析をしております。分析をお願いし、意見交換を重ねてきています。これは我々知見に基づいて、これまでの経験に基づき、それから内外の研究成果に基づき、去年の春とは違う、同じように全てを多くの業種に休業するという、止めるという、経済を意図的に止めるということではなく、専門家の御意見をしっかりと聞きながら、効果の高いところに対策を講じていくということで進めてきています。
 これで1カ月間できれば、2週間の対策、そして2週間の評価を経て、1カ月で効果が出る。これはこれまで申し上げてきていますけれども、8時までの時短、7割テレワーク、それから不要不急の外出自粛、これらは昨年春の緊急事態宣言でも行ってきたことですし、昨年の夏には緊急事態宣言はありませんでしたけれども、大阪でもこうした対応はとられました。これによって、1カ月程度で半減をさせたり、2週間で半減をしたり、こうした効果はあらわれていますので、様々な知見も踏まえて、こうした対応をとってきているところでありますが、今日8日からは2週間目の金曜日、しかし12日からすると来週の前半までいろんなデータの分析をしたいと思いますけれども、来週以降、前半以降、データの分析をしたいと思いますけれども、この減り方が、落ち方が減少が緩やかであれば、やはり対策が足らないということになってくるわけで、尾身先生もこれまで様々な発言をしておられますけれども、まずはこの今までお願いしていることの徹底を、改めてお願いしたいと思います。
 昨年夏の大阪の経験などを踏まえても、7割のテレワーク、そして8時までの時短、これによって効果はありましたので、そうしたことを踏まえて、皆様方に改めてお願いをしたいと思います。
 特措法につきましては、今回蔓延防止措置、重点措置を加え、また緊急事態宣言の下でも、支援策、支援を講じるということを明記すると同時に、要請に応じていただけない事業者の皆さんの方々にしっかりと手続を踏んで命令を行い、そしてその上で、立入検査などもありますし、罰則を設けたということであります。
 昨年の神奈川で知事が発言されていることを引きますと、神奈川県では2割程度しか10時までの時短にも応じてくれていないという中で、様々なクラスターが発生してきておりますし、神奈川の大きな感染拡大の要因の一つであったというふうに、専門家の皆さんも分析がなされています。
 ちなみに、これまでの飲食店など、全てのクラスターの分析を専門家の皆さんにしていただいていますけれども、総数でいえば、飲食店の全国のクラスターでいえば880あります。今回の特にこの12月以降の、11月から12月にかけての感染拡大は、飲食が感染拡大の起点であるという分析を専門家の皆さんからいただいておりますので、なかなか10時までの時短にも昨年末応じていただけなかった中で、12月はどうしても飲食をする場面が多い月でありますので、そういった事情の中で、私どもも、そしてそれぞれの知事も呼びかけをしてきましたけれども、専門家の尾身先生を初め、様々呼びかけを行ってきましたけれども、残念ながら感染が減少傾向にならなかったということであります。そうした分析を踏まえて、私ども対策を講じ、また今回特措法などの改正案を国会に提出したところであります。
 すみません、先ほど1点修正でありますけれども、私が緊急小口の返済期限については、この3月と申し上げたのは、やっぱり来年3月末まで返済予定のものは、返済開始を来年3月まで延期をするということでありますので、来年3月末までに返済開始が来るものは、全て3月末まで延期ができるということであります。このとおりですね。
(問)特措法等の改正案についてお聞きいたします。
 野党側からは、主に罰則の制度等に関してだと認識しておりますけれども、重過ぎるという指摘もありまして、一方で与党側は、それに対して柔軟に対応する姿勢を示していまして、修正協議に入る見通しとなっていますけれども、大臣としてはこうした与野党の議論をどのように御覧になっていますでしょうか。
(答)私としては、今の案が最善の案だと思って提出をさせていただきました。これまでの分科会での御議論、与野党の議論も踏まえながら、私がこれまで経験してきたこと、考えてきたことを、中で最善の案と思って提出をさせていただいております。
 ただ、様々な御意見があることも承知をしております。私としては一日も早く審議に臨み、成立できるようにしていきたいと思いますが、与野党で様々な議論もあると思いますので、しっかりと国会での議論、審議に臨んでいきたいと思いますし、いずれにしても、国会でどのような議論になるか、よく御意見は、いろんな質疑を受けると思いますので、それに対して真摯にお答えをしていきたいと考えております。
(問)この大臣は、この1年に及び最も現行の知事さんの話を聞いて、悩みを聞いてきたと思います。まさに、これだけの責任の重さがあるけれども、知事には権限がないと。それでもう知事会は常に絶叫で、数知れないようなというぐらい、この法律改正を言ってきたと。その部分を最も事情を知っている大臣としては、この法案改正によって、どれぐらい知事の悩みというんでしょうかね、それに応えることができる法案になったとお考えになっているのか。
 それから、それとあわせて、今回やはり知事に、みずからレッドゾーン指定ができると、それはまさにこの私はマイステイというのは、これは画期的なんだろうと思うし、でも現実、この知事にそういうことを起こることで、逆にいうと、権限を与えるわけだから、本当に実効性のあることをやってもらわないといけないということだと思うんですけれども、その辺について政府と知事さんたちで、かなりコンセンサスというのがどれぐらいできているものなのか、そこを伺いたいです。
(答)知事会からは何回かにわたって、この改正案などの問題提起、提案などをいただいてまいりました。そのことについては、しっかりと踏まえて今回改正案として提出をさせていただきました。
 特にこの特措法の体系は、国が大きな方針を、対処方針などで示しながら、そして最終的には知事が責任者として、知事の裁量の中でどういった措置をとるのか決めていくということで、そういう法体系になっております。
 その中で、私の立場としては、知事が何か逡巡するようなことがあれば、私が背中を押すような役割を果たすこともあれば、知事が何かやり過ぎるような場面がもしあれば、それは慎重にということも、場合によってはあるかもしれません。そこは調整の規定の中で、しっかりと意思疎通を図りながら、状況を共有しながら対応してまいりましたし、そうはいっても、最終的には知事の判断でどういった措置をとるかが決められていきます。
 そうした中で、これまで知事会などからいただいた御意見の中でも、やはり知事として、1つは今回蔓延防止等重点措置は知事からの要請を受けてということも盛り込んでおりますので、知事が緊急事態宣言にならないようにするために、自分の都道府県がホットゾーンとおっしゃいましたけれども、まさに感染拡大している地域があれば、そこを緊急事態宣言で全体を止めることなく、その地域を絞った対策を講じることによって、そこから感染が広がることを止めるという措置を盛り込みましたので、そういう意味で、これまで様々な知事とやり取りをする中で、知事としてとり得る措置、さらには先ほども申し上げましたけれども、要請は出したけれども、なかなか応じてもらえないという、そういった事業者もいた中で、今回支援策をしっかり講じると同時に、命令・罰則という規定も設けましたので、そういう意味で、もちろん命令・罰則にはしっかりと手順を踏んでやっていく。相手方の理解も得ながらやっていくことが必要ですけれども、そういう意味で、より実効性の上がる法体系になるんではないかと考えております。

(以上)