西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月18日

(令和2年12月18日(金) 11:14~11:30  於:中央合同庁舎8号館1階S103会見室)

1.発言要旨

 まず、本日の閣議におきまして、令和3年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度を閣議了解しました。
 今回の見通しでは、足元までの経済状況や先般新たに策定しました経済対策、第3次補正予算の円滑かつ着実な実施など、今後の経済財政運営の基本的な態度を踏まえ、政府として政策的に実現を目指すべき経済の姿を示したものであります。
 御案内のとおり、我が国経済は感染症、コロナの影響によって厳しい状況になりました。緊急事態宣言にあった4月、5月を底として、持ち直しの動きが続いておりますが、他方、4-6期のマイナスが大きかったこと、また、足元の感染拡大が経済に及ぼす影響などにより、2020年度を通じた経済の実質成長率はマイナス5.2%と見込んでおります。21年度につきましては、感染拡大防止と社会経済活動の両立の進展に加えて、新たな経済対策の着実な実施により公的支出による経済の下支えを図り、こうした経済対策の効果もあって、設備投資を初めとする民間需要が喚起され、民需が自律的に回復していくことが期待されております。
 押し上げ効果は来年度で2.5%程度と見込んでいるわけであります。その結果、実質成長率は4.0%程度と見込んでおります。そして道筋なんですけれども、一旦落ち込んだ、これは青が実質、赤が名目でありますが、日本経済のGDPでありますけれども、20年度は実質524兆円、名目536兆円ですが、21年度はこの4%の成長を見込んで、実質545兆円、そして名目は560兆円ということで、年度を通じてのGDPはこういう形になります。したがって、来年の2022年の1-3月期、来年度の第4四半期には名目、実質ともにコロナ前の水準を回復するということが見込まれております。
 政府として、引き続き感染拡大防止と社会経済活動の両立、そして経済対策を円滑、着実に実行することによって、こうした姿を実行することは可能だと考えております。この姿を実現していくべく、今後の経済財政運営に万全を期していきたいと考えております。
 それから、先ほど全国知事会の飯泉会長、平井本部長代行とテレビ会議を行いました。会議では感染状況への危機感、これは本当に強い危機感を共有したところであります。私の方から、最近の分科会や政府対策本部などの動きを御説明申し上げました。
 1つには、静かな年末年始を過ごすということで、呼びかけを行っていこうということ、そして2つ目に、感染が拡大、あるいは高止まりしている地域においての実効性が上がる取組、これを強化していくこと、取り組むこと、このことをお願いしました。強い危機感を共有しました。知事会と緊密に連携しながら、感染拡大防止と、そして影響のある地域への支援、こうしたことに連携して取り組むということで一致したところであります。
 それから、東京都での昨日の新規陽性者数が過去最高となっております。全国的にも高い水準で推移しております。感染がさらに拡大していけば、さらに強い対策が必要になってくるわけであります。何としても緊急事態宣言を出すような状況を避けるためにも、事業者の皆さんや国民の皆さんの御協力を改めてお願いしたいと思います。
 昨日、知事も強いメッセージを出しておられます。忘年会、新年会は避ける、帰省はできるだけ避ける、あるいは、帰省される場合には2週間前から会食を控える、こういったメッセージを出されていると聞いております。様々な機会があると思いますけれども、分科会でも言われておりますとおり、大人数の忘年会、新年会を見送り、オンラインの忘年会、新年会を検討すること、あるいは年末年始の帰省は延期も含めて慎重に検討すること、こういった提言が分科会からなされているわけであります。
 是非、感染リスクが高まっているということを頭に置いていただきながら、感染防止策の徹底をお願いしたいと思いますし、事業者の皆さんにも、それぞれの都道府県知事からの要請に、是非、お応えしていただけるように、要請に応じていただけるようにお願いしたいと思います。
 国としても、協力金などの交付金でしっかりと支援してまいりますし、引き続き家賃の給付金であるとか、あるいは雇用調整助成金で、パート、アルバイトの方も含めて月額33万円まで中小企業の場合は全額国が助成いたしますので、是非、それぞれの知事の要請に応じていただきますように。一定のレベルに達すれば、もう接触機会を削減していくことが必要になってまいりますので、是非とも皆さんの御協力をお願いしたいと思います。引き続き、それぞれの都道府県知事と連携して対応していきたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)1点、特措法の改正について伺います。先ほどの全国知事会とのテレビ会議でも、飯泉会長から改めて改正の要望がありました。また、与党でもその議論が本格化する見通しです。政府としては分科会の議論を踏まえて検討するということですが、通常国会での法改正を目指すのかを含めて、改めて現時点での想定される法改正のあり方や、その検討状況をお聞かせください。
(答)常々申し上げていますとおり、この法執行の責任者として、より実効性を上げていくためにどのようなあり方がいいのか、常々考えてきたところであります。1つには、臨時の医療施設。今、それぞれの地域で医療が逼迫している中で、緊急事態宣言の下では臨時の医療施設ということで様々な特例が使えます。もちろん、今でも大阪の重症センターとか東京の府中の病院とか、医療法の中での様々な特例を活用して病床を増やしていますが、より臨時の医療施設は、まさに緊急にそうした医療施設を用意できますので、こういったことを緊急事態宣言の前からできるようにすべきではないかとか、あるいは、強制力を持たせるべきではないかとか、様々な検討を進めてきているところであります。
 先般総理からも、「必要な見直しは迅速に行っていきたい」という表明があったところであります。私の立場で検討を加速していきたいと考えておりますし、できるだけ早いタイミングで、その検討を踏まえて分科会の先生方にも議論をお願いしたいと考えているところであります。
 既にこれまでも議論になったことがありますけれども、その際も強制力を持たせるべきだという議論と、慎重に考えるべきだという両方の議論がありました。幅広い角度から検討を今、進めているところでありますけれども、この検討を加速して、その上で分科会にも諮っていきたいと考えております。
(問)経済成長の見通しのことについて伺います。今、大臣からも冒頭御発言がありましたけれども、来年度中にGDPをコロナ前の水準に回復させるということで今回、見通しを出されていますけれども、第2次安倍政権以降で見ても、政府の見通しが実績を達成できたというのが、この7年、8年の2回しかなかったと思います。実際に達成できるのかどうか。民間の予測機関などですと、もう少し低い見通しを出しているところもあるわけですけれども、実現に向けた決意ですとか自信ですとか、お考えを改めてお聞かせ願えないでしょうか。
(答)まず、足元の経済状況とか、それからこれまでに策定した1次、2次の足元のプラスの影響、それから3次補正、経済対策、こういったものについて着実に実施していくということで、政府としてまさに目指すべき経済の姿としてお示ししております。
 その上で、現在の足元の感染拡大による影響、それから海外でも感染が拡大している地域が出てきていますから、そうした内外のリスクも十分に勘案して、今回の経済見通しの試算を行っています。
 私ども、先ほど申し上げたとおり、本年度マイナス5.2%、来年度4.0%の実質成長ですけれども、民間16社の見通しの平均が20年度はマイナス5.3%、そして21年度は3.5%ということでありますので、どこが違うかというところは、公需の部分の見込みに差があります。民需、外需について見れば、総じてあまり大きな違いは見られませんけれども、公需の姿に違いが見られるということでありますが、私どもは経済対策、補正予算を積み上げて試算しておりますので、これは公共投資を含めて予算を円滑かつ着実に執行していければ、私どもの見通し、着実に効果が発現されるものと考えております。民間の見通しとも、そんなに大きな差は今回はないものと考えております。
 いずれにしても、この内外の感染拡大のリスクについて十分に注意しなければいけません。そういったことに留意しながら経済対策を円滑かつ着実に執行することによって、今後の経済財政運営に万全を期していきたい、この姿が実現できるように全力を挙げていきたいと考えております。
 民間の数字、ちょっとこれ見にくいんですが、マイナス5.3%と3.5%、16社の平均となっております。今申し上げたとおりですから。
(問)年末年始の過ごし方で、分科会なども初詣その他の自粛の方を呼びかけていると思います。寺社仏閣の方って、結構年末年始の収入の比率が非常に高いところがあると思うんですけれども、こういったところへの経済的な影響ですね、この軽減策みたいなものをお考えなのか。あと、政府として、そもそも宗教法人というのは支援が可能なのか。ちょっと不勉強なんですけど、よろしくお願いします。
(答)年末年始の初詣などの過ごし方については既に検討していただいて、ガイドラインなどの改定を行っておられるものと承知しています。それぞれの神社仏閣でかなり感染防止対策はとられていますし、これまで何かクラスターが発生したようなことは報告を受けておりません。
 神社によっては、正月の三が日に必ずしもお参りしなくとも、例えば年内のうちでもいいということで、もう既に、初詣と呼んでいいのかどうかあれですけれども、来年のお参りがなされている神社もあると承知しております。そういったそれぞれの分散がされるように取組がなされている中ではありますが、これだけ感染が全国的にも広がっている中で、さらに一段の注意をしていただきたいというのが分科会の提言でもあります。特にステージ3相当の地域、対策が必要となる地域の皆さんには、より一段の注意が必要だということが提言されているわけであります。
 その上で、これは夏の段階、春から夏にかけて何か支援ができるかという様々な検討が行われましたけれども、これまでのところ、なかなか支援が難しいのではないかということになっています。そのために、何か直接的な国からの支援があるというわけではありません。神社仏閣の皆様方も、この年末年始、大変厳しい状況が考えられますけれども、是非、とにかく分散した感染リスクの低い形でのお参りをされる場合は、そういったことをお願いしていきたいと思います。

(以上)