西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月15日

(令和2年12月15日(火) 17:23~17:47  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 2点、私から申し上げます。
 まず、経済の関係ですけれども、総合経済対策を閣議決定したところでありますが、先日お示しをしたとおり、この経済対策の支出による直接的にGDPを下支え、押し上げする効果を試算しますと、実質GDP比で3.6%程度ということで申し上げたところであります。
 これを精査いたしまして、年度ごとの効果の発現度を試算しました。その結果、20年度に0.5%程度、21年度に2.5%程度、22年度以降に0.6%程度と見込まれます。21年度に大半が発現する、押し上げ効果があるということであります。
 また、この経済対策の効果による需要の創出が各産業に波及することによる、雇用の下支え創出効果、これについても新たに試算いたしました。この結果、21年度末までにおおむね60万人程度の雇用が下支え、創出をされる見込みであります。
 これは、経済対策による直接の需要創出が産業に波及することで得られる雇用を算出した上で、これは約200万人と試算されております。そのうち、来年度までに発現すると見込まれる雇用の効果、これは雇用調整に要するスピードがありますので、それを考慮しまして約60万人という試算をしたものであります。
 雇用につきましては、まさにコロナの影響で大変厳しい状況になり、事業者の皆様には雇用調整助成金などを活用していただきながら、今、何とか雇用を守り、踏ん張っていただいている状況だと思いますが、4月から10月までの間で失業率が2.6%から3.1%に上がっております。何とか雇用を守りたい、そういう思いで経済対策の中で、雇用調整助成金による特例期間を来年2月末まで延長することを決めたところでありますし、また、必要としている、人材を求めている業種もありますので、円滑な労働移動を支えるための、出向元、出向先企業へそれぞれ助成をする、新たな助成金制度の創出を決めているところであります。
 また、企業間の出向、移籍などのあっせんを行う産業雇用安定センターの体制の拡充。それから、必要とする業種に必要としている人材をマッチングしていく、こうした機能を強化することとしております。また、業種や職種を越えた転換を伴う、再就職等を促進する都道府県の取組の支援。それから、人材開発支援助成金による他業種への転換支援。さらには、離職者、雇い止めになったような方々に、トライアル雇用する事業者への新たな支援制度、こういったものを盛り込んでいるところであります。雇用と生活をしっかりと支えて守る、このことを一つの重要な視点として、対策を取りまとめたところであります。着実に実行していければと考えております。
 いずれにしましても、雇用のこうした対策のパッケージを、着実に取組を進めるということで、雇用を守り、また、新たな雇用も生み出していければと考えているところであります。
 それから2点目でありますが、広島県におきまして、広島市を中心に感染者の数が増加しております。直近1週間の10万人当たりの新規陽性者の数もかなり高い水準になってきております。警戒感を持ってデータの状況分析などをしているところでありますけれども、湯崎知事とも連絡を取り合っております。
 本日16時頃だと思いますが、湯崎知事から以下のことが表明されたと聞いております。12月17日から1月3日までの18日間、広島市中心部の酒類を提供する飲食店に対して、酒類の提供時間を19時まで、営業時間を20時までとするよう要請することが表明されたと聞いております。
 広島県においては、この要請に応じて酒類の提供時間あるいは営業時間を短縮した飲食店に対して、1日4万円、計72万円を支給すること。また、この期間に休業した場合はさらに10万円を上乗せして、82万円を支給するということと聞いております。
 昨日の本部でも拡充することにいたしました地方創生臨時交付金の、まさに協力要請推進枠を活用して、迅速に判断され、対応することとされたものと考えております。引き続き、国として、こうした広島県を初め、それぞれの都道府県の取組をしっかりと後押し、支援をしていきたいと考えております。
 また広島県からは、広島市を対象とする「GoToトラベル」の一時停止などの要請が事務的にあったと聞いておりますので、感染状況、病床の状況などを確認しつつ、調整を行っていきたいと考えております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)「GoToキャンペーン」について2点お伺いいたします。
 1点目は、今、御説明がありました広島の関係なんですけれども、停止の時期については他の都道府県と一緒になるのでしょうか。
 2点目は、分科会の尾身会長が、年末年始後に再び経済活動が活発になって、感染が拡大することに懸念を示して、夏の第2波の収束時点よりも感染数を下げることが望ましいという見解を示されています。「GoToトラベル」事業などの再開はこの目標の達成後になるのでしょうか。お考えをお願いします。
(答)まず1点目は、先ほど申し上げましたとおり、広島県からそうした要請を事務的に聞いておりますので、私どもとして、感染状況とか病床の状況などを確認しながら調整を急ぎたいと考えております。
知事とも話をしたいと思っております。そうした状況などを確認した上で連絡を取りたいと思っています。
 それから2点目についてでありますが、まず、何とかこの感染拡大の状況を抑えなければいけないということ、このことに全力を挙げたいと思っています。
 これは11月25日の会見でも申し上げましたけれども、大事な3週間、重要な3週間である、勝負の3週間ということを申し上げました。その時にも申し上げたんですけれども、さらに感染が拡大してステージ4になってくると、これはもう緊急事態宣言が視野に入ってくるということで、そうならないようにステージ3の段階でチェックして、対策を強化し、そして何とか抑制をしていくと。緊急事態宣言のような事態にならないように、回避をすべく対応するということを申し上げました。
 昨日も申し上げましたが、爆発的な、いわゆるオーバーシュートという、感染者の数が2~3日で倍増していくような状況は回避ができていると思いますが、すなわち、ステージ4にがっと上がっていくような状況は回避できていると思いますけれども、しかし、感染者の数がいまだ減少できない、横ばい、分科会では高止まりないしは微増しているということだと思いますけれども、増加傾向をまだ変えられていない中で、昨日、対策本部で、何としてもこの本格的な冬を迎える前に、感染拡大を抑制していく、減少に持っていくというその強い決意で、対策の強化を決定したところであります。
 特に国民の命を守ることが何より大事であります。医療の体制が逼迫していること、幾つかの地域で厳しい状況になってきているということでありますので、何としても、まずは医療の体制確保に全力を挙げつつ、しかし、陽性者の数をやはり減らさないと、遅れて重症者の数も出てきますし、逼迫してきますので、何としても減少傾向にさせるという強い危機感を持って、昨日、対策を決定したところであります。
 尾身会長からも昨日は、分科会の提言以上に踏み込んでいただいた、国と自治体が一体となって、強い危機感を共有しながら対応してくれているという、そうした前向きなコメントもいただいたと承知をしております。何としてもこの4地域、今、広島は調整中でありますけれども、「GoToトラベル」の一時停止などの措置、それから年末年始の全国一斉の停止。さらには、長いところでは1月11日までの営業時間短縮の要請、こういった強い措置を講じてきております。
 これに対して政府としても、飲食店に対しては、協力金を都道府県に対してしっかりと交付金で支援していく。もちろん家賃の給付金とか雇用調整助成金を活用していただければと思いますけれども、さらに協力金のかたちで国は交付金で支援していく。
 観光事業者に対しても、今日、国交大臣が表明されたと思いますが、キャンセルがあった場合の50%分は事業者にお支払いをしていくというようなこととか、あるいは経済対策の中で、観光事業者や地域の公共交通機関への支援策を盛り込んでおりますので、補正予算をしっかりと組んで、そして、それを着実に実行していく、こうしたことで飲食店や観光事業者の皆さんへの支援を重ねていきたい、強化をしていきたいと考えております。
 その上で、この期間に何としても下げるという意味で、繰り返しになりますけれども、分科会から言われております「5つの場面」。とにかく飲酒を伴って長時間、大人数、そして特にマスクを外しての会話、これが感染拡大、最近のクラスターの幾つかの事例の特徴的なケースとなってきておりますので、是非、国民の皆さんにはいつでもマスクをする、食事の時もマスクをして、食べる時はもちろん無理ですが、外しても、会話の時にマスクをしていただいて、そして対応していただくことを是非お願いしたいと思いますし、会食のクラスターの8割以上は5人以上であるということも頭に置いていただいて、長時間、大人数、このことはできるだけ避けていただくようにお願いをしたいと思います。
 また、年末年始の帰省についても慎重に検討いただくということで、分科会から提言がなされております。「GoToトラベル」も停止をさせていただきますので、是非、そういった慎重な検討をお願いしたいと思いますし、また、この時期に何としても下げる。これによって、より強い措置が必要とならないように、緊急事態宣言のような措置が回避できるように、皆さんにもお願いをしたいと思いますし、私どもも全力を挙げて、都道府県知事と連携して対応していきたいと考えております。
 まずは、早期にこの感染拡大を抑制する、減少傾向にしていくことが何より大事だと考えております。その上で、分科会のこれまでの議論の中でも、東京を初めとして全国的にそうなんですけれども、ちょっとばらつきはあります。今でもそんなに感染が出ていない地域もありますので、一概には言えないのですが、9月、10月の下がり具合が十分でなかったという御指摘もいただいておりますので、そうした専門家の皆さんの御意見もしっかりと伺いながら、様々な対策については適切に判断をしていきたいと考えておりますが、今はとにかく感染拡大を抑制する。医療を守るためにも、国民の皆さんの命をお守りするためにも、何としてもこの感染拡大を抑えるということで、勝負の3週間の時以上に強い措置をとることになりますけれども、緊急事態宣言の措置を今は回避が、まだそこまではいっていませんが、そうならないように是非とも御協力をお願いしたいと。
 事業者の皆さんにも厳しい状況だと思いますけれども、時間短縮の要請などに是非応じていただいて、私どもは協力金を初めとして支援をしっかりしていきたいと考えております。
(問)「GoToトラベル」事業について、12月28日から2021年1月11日まで、東京を含め全国一斉に一時停止することが表明されました。これについて、なぜ即時停止ではなく2週間も先なのか、2週間という日にちの根拠を御教示ください。
 あと1点、これまで日本医師会、東京都医師会からは一時中断への強い訴えがあり、12月9日には分科会の尾身会長が記者会見で、ステージ3相当に該当する地域での「GoTo」運用を一時停止すべきと提言されたにもかかわらず、なぜ菅首相および政府はトラベル事業の継続にこだわり、迅速な決断と対応ができなかったのでしょうか。内閣支持率の急落など、世論を意識した決定だったともいわれていますが、これは「GoTo」事業継続と感染拡大との間の因果関係を認めたという理解でよろしいでしょうか。以上です。よろしくお願いします。
(答)まとめてお話し申し上げますが、分科会からはまさに今おっしゃったように、ステージ3に相当する対策が必要な地域について、「GoTo」の一時停止などということで提言をいただいております。そういう意味で、今般、東京も全世代、名古屋も対象に含めて、札幌、大阪、いわば分科会で御指摘をいただいた感染拡大している地域といわれる所について、今回、一時停止などの対応をとったところであります。
 その上で、静かな年末年始をという提言もいただいております。帰省についても強い注意喚起が分科会からなされたところであります。そういったことを踏まえて、年末年始の時期に27日までこの4地域が一時停止などの措置をとるということで、28日以降は1月11日まで、この時期に人と人との接触機会が、まさに削減する、そういうことがしやすい機会でもありますので、多くの企業が休む時期でもありますので、この機会を捉えて、「GoToキャンペーン」を停止する。これによって感染拡大をさらに強く抑制できればと。こういう考えで判断したところであります。
 直接のコメントは私は聞いていないんですけれども、間接的ではありますが、医師会の中川会長も前向きにコメントをされたと聞いておりますし、分科会の尾身会長も先ほど申し上げたように、国と自治体の強い決意の表明であるということ、また、分科会の提言よりも踏み込んだ内容になっているということで、評価していただいているのだろうと思います。さらには知事会も、飯泉会長と平井知事がコメントを出されて、詳細は申し上げませんが、全体として評価をされ、感謝申し上げるということであります。これは直接、私は飯泉会長ともお話をしまして、好意的に受け止めていただいております。
 そういう意味で、私ども、何としてもこの本格的に冬を迎える前に、そしてステージ4、緊急事態宣言が視野に入ってくるような状況を回避するために、対策を強化し、何としても抑制していくということでありますので、是非多くの皆さんにも御理解をいただいて、それぞれのお立場で、もう既に実践しておられるマスクとか手洗いとかに加えて、さらに会食の場面、マスクを会話の時は是非していただくとか、あるいは斜めに座るとか、こういうアクリル板のある店を使っていただくとか、是非注意をしていただきたいと思います。
 飲食店のガイドラインも強化をしておりますので、アクリル板とか換気をチェックするとか、来られたお客さんにマスクを奨励するとか、こういったこともガイドラインに盛り込まれておりますので、是非これも事業者の皆さんもお願いをしたいと思いますし、是非、時間短縮の要請などがある地域においては、これに応えていただいて、私どもも支援を強化していきたいと考えております。
(問)先ほど大臣もおっしゃっていましたが、勝負の3週間とおっしゃってから3週間がちょうど終わろうとしています。先ほどもおっしゃっていましたが、感染拡大がいまだに続いているということで、それについての評価をどうされますでしょうか。また、それについてうまくいっていないという認識などがあるのかどうか、お教えください。
(答)11月25日の会見でも申し上げたのですが、勝負の3週間ということで、この3週間で減少傾向、感染拡大を抑えられなければより強い措置が必要となってくる。それはステージ4になってくれば緊急事態宣言というものが視野に入ってくるということを申し上げました。
 この間、国民の皆さんにも努力をしていただいていると思いますし、私どもも幾つかの地域で時短の要請を行ったり、様々な対策を重ねてきました。それによって2~3日で感染者の数が倍増するような、そういったオーバーシュートのような状況にはなっていない、また、ステージ4の緊急事態宣言が視野に入るような状況にはなっていないということでは、それぞれの取組が一定の成果を挙げてきたのだろうと思いますけれども、ただ、減少傾向に転じていないということであります。医療が非常に厳しい状況になってきているわけでありますし、何としても減少に転じさせなければいけない、感染拡大を抑制しなければいけないということであります。本格的に年末年始、特に寒い冬を迎える前に、対策を強化しなければいけないと。
 これは繰り返しになりますが、11月末の段階で、感染抑制ができなければ対策は強化しなければいけないということを申し上げてきました。もちろん緊急事態宣言をやって、一遍に全部、経済を止めてしまえば、活動を止めてしまえば、感染は抑えられるわけですけれども、そうした状況はできれば回避をしたい。まさに国民の皆さんの命と暮らしと両方を守っていかなければいけない、非常に難しいわけですけれども、そうした中で国民の皆さんにもお願いをしてきましたし、私どもも対策を強化してきたところでありますけれども、感染拡大を抑制するところまでは至っていないわけであります。
 したがって、非常に難しい、厳しい判断ですけれども、年末年始の「GoTo」の一時停止、そうしたことも含めて、そして、時間短縮の要請を1月11日まで地域によってはやられるということで、これは事業者の皆さん、観光事業者や、あるいは飲食業の皆さんにも大変厳しい状況になるわけでありますけれども、それでも、幾つかの地域においては、そうした対策を講じないと抑制ができない時期、レベルにきているということでありますので、是非このことを御理解いただいて、しかし、厳しい状況にある事業者の皆さんには、これまでの家賃の給付金とか雇用調整助成金に加えて、協力金を年末年始は特に倍増するというかたちで都道府県の取組を支援していく。また、観光事業者の皆さんにも、キャンセルがあった場合に旅行代金の50%を支援するという支援策を強化することによって、何としても事業、雇用を守っていければと考えているところであります。
 いずれにしても、何としてもこの本格的な冬を迎える前に、そして、人と人との接触を減らすことの、いわばできやすい、事業者の皆さんもお休みになる時期、この機会を捉えて、是非この感染拡大を抑えていく、そのことが何より大事だと思っています。
 ありがとうございました。

(以上)