西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月11日

(令和2年12月11日(金) 12:53~13:13  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 本日、新型コロナウイルス感染症の分科会を開催いたしました。改めて専門家の皆さんと強い危機感を共有したところであります。
 これまでも専門家の御提言をいただいて、それを踏まえて感染拡大が見られる都道府県知事と緊密に連携し、対策を強化してきたところであります。何とか感染者数の急激な増加は回避されているところでありますが、なかなか減少させることができていない状況にあります。特に、そうした中で医療が逼迫してきている、このことに強い危機感を改めて共有したところであります。
 本日は、今、提言の内容について最終の修文を、専門家の間で調整を行っていると承知しております。様々な事態を想定した今後の対策について、いわばシナリオ別に、シミュレーション別に対策の提言がなされるということであります。この内容をしっかりと受け止めて、専門家の皆さん、そしてそれぞれの知事と一体となって対策を講じていきたいと考えております。
 来週で3週間を迎えます。この早期の集中の期間ということで、12月中旬を目途にそれぞれの知事と感染状況、また、病床の状況、こうしたことの危機感を共有しながら、時間短縮要請などの対応を協議していきたいと考えております。
 是非、国民の皆さんにも、こうした医療がかなり逼迫してきている状況、なかなか感染者の数が減少しない中で、さらにこの高い水準が続けば医療は厳しくなってくる。特に年末年始は、医療が普段よりも、通常よりも薄くなっていく時期でもありますので、この年末年始への医療の負荷が考えられるところであります。是非、皆さんにもこの危機感を共有していただいて、いま一度感染防止策を徹底していただければありがたいと思います。
 その上で今日、今整理されていますが、感染者が継続して増加する事態にも備えていかなければなりません。仮に継続して感染拡大していった場合には経済にも大きな影響が及んでまいりますし、より幅広い地域や業種に経済的な制約、活動の制約をお願いすることにもなってまいります。
 これまでの提言の中には、緊急事態宣言という言葉はありませんでしたが、今日、提言の中に「緊急事態宣言を回避すべく」という表現が入っております。厳しい状況をまさに表しています。そうした危機感の下、何としてもこの緊急事態宣言を回避するために、是非とも国民の皆さんにも御協力をお願いしたいと思います。
 その上で私から3点、今日の提言に関して申し上げます。
 1つは、年末年始の過ごし方についてであります。まだ文書を整理されていると聞いておりますが、コロナ禍での初めての冬であります。専門家の皆さんの共有した言葉は、「静かな年末年始を過ごそう」ということであります。多くの方が本来なら帰省を考えられることになると思いますが、その場合には3密回避を含め、基本的感染防止策を徹底するということ、それから、特に大人数の会食を控えるなど、高齢者等への感染がつながらないように、特に御高齢の方や基礎疾患がある方に感染が広がらないようにという提言になると思います。そして、そうした対応が難しいと判断される場合は、帰省について慎重に御検討いただきますようお願いしますという文章で調整がなされていると思います。特に、発熱等の症状がある方は帰省を控えてくださいということであります。
 もう1点は、私もお願いしてきましたけれども、年末年始の休暇の分散取得など、混雑する時期をずらすように提言の中に書かれることになると思います。
 いずれにしても、引き続き、年末年始は様々な行事があると思いますが、マスクの着用、それから会食の機会も出てくるかと思いますが、大人数、長時間は是非避けていただく。そして、大人数の1つの目安として、これまでのクラスターからいきますと、会食でのクラスターのうち、5人以上の会食が8割出ているということも頭に置いていただいて、距離をとるとか、斜めに座るとか、アクリル板を活用するとか様々な対応を是非、お願いしたいと思いますし、私どもも、周知、広報活動により力を入れて対応していきたいと思います。今もテレビCMなどを出しておりますけれども、さらに強化していきたいと思います。
 そして2点目に、これももう既にお願いしておりますし、多くの企業で対応していただいているということで、今日も御意見がございましたテレワークであります。
 最近の首都圏と関西圏のそれぞれの駅の利用状況も、少し混雑が減ってきているというデータも出てきておりますが、これはそれぞれの企業が対応してきてくれるんだと思います。このように今、感染前と比べて首都圏で28%、関西圏で18%ということでありますが、こうした感染が拡大している地域においては、もちろんエッセンシャルワーカーの方もおられますので、全ての人がテレワークできるわけではありませんが、一段のテレワークをお願いしたいと思いますし、IT補助金を用意しております。中小企業の皆さんも、是非、挑戦していただければと思います。3次補正でもテレワークの関係をしっかりと盛り込むべく、調整を行っているところであります。もう経済対策に盛り込んでおりますので、テレワーク支援・推進を強力に進めていきたいと思っております。
 それから3点目に、イベントについてでありますが、これはそれぞれの地域の感染状況などに応じて都道府県知事が判断されて、私どもが出しております基準以上に厳しい措置もとれることになっております。改めて感染拡大している地域の都道府県知事とも協議を是非、進めていきたいと。何とかこの感染を抑制していかなければなりませんので、きちんと感染防止策がとられていて、クラスターが出ていないそうした活動であっても、もう人と人との接触を減少させなければいけない地域が出てきておりますので、そういう地域の知事と連携して対応していきたいと思います。
 それから、提言については、今の2つの提言が出てくる、今後のシナリオに応じた、感染状況を踏まえた対応についての提言と、忘年会・新年会、成人式及び帰省についての提言と、2つ提言が整理されているものと思います。
 そして、ワクチンについてでありますが、ワクチン接種につきましては、資料でこれまでもお示ししておりますけれども、医療従事者と高齢者を優先するということで、医療従事者の範囲をお示ししました。
 診療科・職種は限定せずに、病院・診療所において感染症患者、疑いのある方も含めて頻繁に接触する機会のある医師ということで、幅広く対象としていく。そして、薬局、薬剤師さん、それから救急隊員さん、海上保安庁の職員、自衛隊職員など輸送する職務に当たる方、それから保健所の方、積極的疫学調査を行うような職員、検疫所の職員の方、それから、宿泊療養施設で患者に接する方、自宅療養などで医療機関の患者移送を行う方など掲示しております。
 それから、高齢者施設についても、高齢者に次ぐ接種順位として位置付けてはどうかということで提案しております。その範囲については、まさに利用者に直接接触する職員ということで、高齢者の施設について、介護保険施設など明記しております。
 そして、高齢者、基礎疾患を有する者の範囲、それから妊婦の接種順位について、引き続き厚労省の審議会においてさらに検討を進めるということにしております。
 いずれにしても、今日もいくつか御意見もいただきましたので、それを踏まえて今後、分科会として、いわゆるパブリックコメントに付する案文を作成してまいります。そしてその上で、パブリックコメントを行った上で、ワクチンの承認スケジュールなども踏まえて、その準備に間に合うよう、来年早々には最終的に取りまとめを行っていきたいと考えております。
 それから、このワクチン接種につきましては、これまでの経験、知見を踏まえて、国民に正しい情報を伝えていく、御理解をいただく必要がございます。そうした観点から今日御提案がありまして、ワクチンに関するリスクコミュニケーションのあり方を検討するチームの設置の提案がございました。非常に大事な御指摘だと思っております。既に厚労省においても対応、いろんな広報活動、それから過去も厚労省、あるいは内閣官房において対応してきた部分があると思いますが、その提案をいただきましたので、チームを設置したいと思います。専門家の皆さん、厚労省と具体化に向けて検討を急ぎたいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)「GoToトラベル」についてお伺いします。今日、改めて感染拡大地域などのキャンペーンの見直し、停止について提示されたと思うんですけれども、今日はそういった「GoToトラベル」に関する議論はどういったものがあったのでしょうか。また、一部報道で、政府の「GoToトラベル」事業を2カ月停止する案も検討されているという報道もありましたが、これまでそういった検討はなされたのでしょうか。
 また、15日に大阪、札幌の停止が迫っている中で、その後の対応はどのように、いつ頃までに進められるのでしょうか。例えば地域を加えるのか加えないのかも含めて、今の「GoToトラベル」事業を巡る政府の検討状況をお聞かせください。
(答)途中、閣議などで議論を抜けたところもありますので全てを承知しておりませんが、いずれにしても提言の中で「ステージ3相当の対策が必要な地域では一時停止」というような趣旨で、最終的な文章はどうなるかはあるんですけれども、提言がなされると思います。
 こうした判断を、提言の冒頭に恐らくこのままの文章で入ると思いますが、これまで強い対策が行われてきたということで。その対策の効果の見通しは、この期日である12月中旬頃を目途に分析判断する必要があるということで、その上で、今回想定されるシナリオを示されております。継続高止まりする場合と増加する場合というそういったことですね。それぞれに場合に応じて、対応についての提言がなされているということでありますので、いずれにしても、今月の中旬、来週まで少し状況を分析する時間がありますので、今日の提言を受け止めながら、それぞれの知事と対応を協議していきたいと考えております。
 なお、札幌市、大阪市の事業につきましては、期限が15日まででありますけれども、吉村大阪府知事においては延長する方向で考えておられるのではないかと、そういった表明がなされているものと承知しております。感染状況、あるいは医療の逼迫状況なども共有しながら、緊密に連携して対応を協議していきたいと考えております。
 いずれにしても、この後、午後にでも菅総理にも報告いたしますし、赤羽大臣とも今日の議論の状況などを共有した上で、それぞれの都道府県知事と共有していきたいと考えております。
(問)判断のタイミングは12月中旬ということで、大臣は来週とおっしゃいましたけれども、これまで大臣が冒頭におっしゃった、北海道、東京圏、中京圏、関西圏の4つの地域のそれぞれの都道府県での対応については、大臣は現状どのように評価されていて、効果はあらわれていると考えられるのか、その点、お願いいたします。
(答)冒頭にも申し上げましたけれども、この間、専門家から提言をいただき、そしてそれぞれの都道府県知事と連携して、いわば事業者の皆さんには大変厳しい状況になるわけですけれども、時間短縮の要請などの対応をとってきております。それぞれの地域で人の流れ、人流のデータも取っておりますが、かなり人の出も減ってきている部分があります。そうした事業者の皆さんには様々な形で支援をしっかりとしていきたいと考えておりますが、この効果の分析は今後、しっかりとやらなければいけないと、今日も専門家の皆さんから御意見もありました。
 急激な増加は回避できているのだと思いますが、今日の分析、あるいは昨日のアドバイザリーボードにもありますように、減少させることができていない状況にありますので、これまでの対策がどういう効果を持ったのかというのはしっかり検証していきたいと思いますが、分析していきたいと思いますが、減少させないと医療は引き続き逼迫した状況になりますので、高止まりしていれば、今日の提言にもありますように、医療が遅れて重症者が出てくるということも含めてより厳しい状況になってまいりますので、何としても減少させていかなければいけないと思います。
 今日の提言もいただきながら、それぞれの都道府県知事とこの危機感を共有しながら、もう既に強い危機感を共有しておりますが、対応を協議していきたいと思います。
 その上で、国民の皆様にもこうした状況を是非、御理解いただいて、この危機感を共有できればと思います。医療が逼迫し、通常の医療も厳しくなる状況になりつつあります。なってきている地域もあります。そして、若い方も感染したら後遺症が残っている、そういった報告もあります。また、家族や職場を通じて、やがては高齢者や基礎疾患のある人に感染が届いてしまいますので、是非、若い方も含めて、マスク、消毒など。これは食事の時も含めて、是非、マスクを会話の時は着用していただく。そういったことを含めてお願いしたいと思いますし、調子が悪ければ、何か体調が悪ければ、是非、検査を受けていただく。何より、仕事や遊びに行くのは控えていただく、このことをお願いしたいと思います。
 これ以上感染が拡大すれば、より強い措置、今日は「緊急事態宣言を回避すべく」という言葉も提言の中に盛り込まれると思います。専門家の皆さんも強い危機感を持っておられますので、何としてもこの水準を下げていく。そのために専門家の皆さん、都道府県知事と緊密に連携しながら、また、国民の皆さんにもお願いしながら、何としてもこの状況を減少傾向にするべく全力を挙げていきたいと考えております。

(以上)