西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月27日

(令和2年11月27日(金) 10:10~10:34  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から冒頭、数点申し上げます。
 まず1点目、本日、最新のGDPギャップを公表いたしました。2020年7-9月期、本年の7-9月期のGDPギャップですけれども、マイナス6.2%、マイナス34兆円ということで試算いたしております。潜在GDPに対して、この分、需要のマイナスがあるということです。リーマンショックの時にマイナス34兆円までなったわけですけれども、今年4-6月は緊急事態宣言で意図的に経済を止めましたのでマイナス57兆円まで落ちましたけれども、経済の回復に伴って現在、こういう状況です。
 潜在GDP、いわば供給力に対して需要がここまで、GDPとしては508兆円ということでありまして、ここが需要不足、いわゆるGDPギャップといわれるものですけれども、6.2%、34兆円程度あると。4-6月の57兆円からは戻ってきておりますが、現在こういう状況にあるということであります。
 個人消費については、4-6月の落ち込みは欧米に比べて少なかったわけですが、7-9月の戻りが少し弱いと。これは感染拡大があったことと、それから豪雨、大雨があったことなどで7-9月は少し戻りが鈍かったわけですけれども、回復を続けているということであります。回復はまだ途上ということですね。
 今の消費、それから設備投資も長年、2005年をベースとしますと、欧米がこういう形で設備投資に取り組んでいく中で、日本は投資が非常に弱い状況が続いています。企業が内部留保、現金を増やす中で、なかなか新しい投資に踏み込めなかった部分がありますし、特に今年に入ってコロナもあって減少傾向が続いていると。この第3四半期で見ると、欧米はプラスに向いてきているんですけれども、日本の場合はまだ企業が守りの姿勢から変わっていないと、攻めの姿勢になっていないということであります。
 機械投資も、3カ月の移動平均で見ていただいたらお分かりのように減少傾向にありますので、こういった点を頭に置きながら経済対策をしっかりと、まとめていきたいと思っています。民間の投資を引き出すような、いわゆるワイズスペンディング、コロナ対策はもちろんですけれども、それに加えて、デジタル、グリーン、こういった新しい分野にしっかりと投資が向いていくような、そうした経済対策、これは予算、税、規制改革を含めてあらゆる政策を総動員して経済を着実に回復させていく、民需主導のそうした成長軌道にしっかりと乗せていくこと、これを頭に置きながらまとめていきたいと考えております。
 2点目であります。略称で申し上げますけれども、「地域における乗合バス、地銀に関する独禁法の特例法」が本日施行となりました。この法律は、乗合バス事業、あるいは地域銀行、地銀が持続的に地域の基盤的なサービスを提供する、これが困難になっている地域において、これらの事業者による合併あるいは共同経営など、独禁法を適用除外とすることで基盤的なサービスの提供を維持していく、そして地域の消費者の利益を確保していくというものであります。この法律を活用していただくことによって、地域において将来にわたって基盤的なサービスが持続的に維持される、そして地域経済の活性化、地域住民の生活の向上が図られることを期待したいと考えております。
 あわせて、金融審議会におきましても、いろんな議論がなされております。25日に金融審議会で提示されておりますけれども、こうした合併や経営統合など、抜本的な事業の見直しに取り組む地域の金融機関に対する資金の交付制度の創設、こういったことも検討がなされております。地域における地銀の役割は非常に重要なものがあると思っております。構造的に経済が変わっていく中で、新しいビジネスモデルを、是非、構築していただきたいと思いますし、そうした中で、こうした独禁法の特例を活用していくことも手段の1つだと思います。
 あわせて、銀行にいる人材を、是非、地域の経済の中でも有効に活用、活躍していただく。そうした取組についてもこれまでも進めてきておりますけれども、私のところのREVICを活用して、こうした人材の活用の仕組みをさらに検討を進めたいと考えております。以上が独禁法の特例に関するものであります。
 3点目がコロナの関係で、25日の分科会においても経産省から報告がありましたけれども、「GoToイベント」、「GoTo商店街」については、都道府県から要請があれば、対象チケットの新規販売の一時停止、あるいは商店街のイベントの中止、延期などが可能な仕組みになっております。
 昨日、北海道から、12月25日までの間に札幌市内で実際に集客して開催されるイベント、オンラインは除いて、実際にリアルで集客するイベントの新規登録、新規販売を停止するよう要請がありました。これを受けて、11月28日以降、該当するイベントの支援対象チケットの販売を停止するとの報告を受けております。また、12月15日までの間に札幌市内で行われる集客を伴う「GoTo商店街」のイベントについても、見直しをするよう要請があったと聞いております。
 現在のところ、札幌市内で該当するイベントを開催する予定はないということでありますけれども、今後、もしそうしたイベントが出てくる場合には、北海道の要請を踏まえまして、商店街に対して日程の変更など、見直しを求めると経産省から聞いております。引き続き、それぞれの都道府県の意向を尊重しながら、緊密に連携して対応していきたいと考えております。
 4点目でありますけれども、先ほど、神奈川県の黒岩知事と会談いたしました。来訪されました。神奈川県の状況について情報を共有したところでありますが、病床の逼迫度について知事もかなり強い危機感、特に横浜、川崎について強い危機感を持っておられます。分科会から示されております6つの指標を、情報を確認しながらステージ3に近づいてきているという危機感を共有したところであります。対策を強化しようということで一致しました。
 神奈川県において様々な対策、検討を進めていくということでありますので、国としてもしっかりと知事の判断、神奈川県の取り組みをサポートしていきたいと考えております。特に病床の確保が重要になってきますので、厚労省も含めてしっかりと支援していければと考えております。
 もう1点、スーパーコンピューター富岳を使ったシミュレーションが幾つか公表されていますので、それの動画を出します。全部はお示しできないので。
 カラオケボックスで座ってマスクをせずに歌うと、座ったままこれだけの密な環境で歌うと、これだけ飛沫が拡散するということが示されています。それから、立って、パーティションを置き、そして換気口、通気口の下、排気口の下で歌うと、パーティションがあれば、あと、通気口の下であれば、こういうふうにやればかなりは広がらないということでありますので、こういったことを今後、ガイドラインなどに活かしていければと思います。もう既にパーティションを置くことなどはガイドラインにも入っているわけですけれども、こういったことを引き続きガイドラインを進化させていければと思います。
 これはバーベキューなんですけれども、風がこちらから吹いている場合、野外であっても、マスクなしでバーベキューでこれだけの人数でいると、これだけしゃべると飛沫が、風の状況にもよりますけれども、これだけ拡散するということがわかっています。秒速0.5メートルでこちらから吹いた場合、風上にいる人は大丈夫なんですけど、風下にいる人はこれだけの飛沫が飛ぶと。私ども、野外で活動する場合はかなりオープンなスペースで大丈夫ではないかということだったんですけど、やっぱりバーベキューで食べながら、しゃべりながらやると、マスクをしていない状況でやると、こういうことになるということがわかりました。
 これもよく言われていますけれども、後ろの人が咳をした場合、窓を仮に開けていたとしても、後ろの人が咳をするとこれだけ広がると、マスクがなければ広がるということで、全部窓を閉めていた場合でも、マスクをしていればかなり抑制されるということで、やっぱりマスクは大事だということであります。
 幾つか他にも研究がなされていますが、こういったことを踏まえて、引き続きガイドラインの進化であったり、あるいは対策につなげていければと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)3次補正についてお伺いします。今大臣もおっしゃったように、経済の回復の戻りが途上で鈍いということもあって、与党の幹部から30兆円がボトムだというような意見も出ていますが、3次補正の規模感については今、どの程度見えてきたのか、現状の状況をお聞かせください。
 また、先日のコロナの分科会で、財政面を含めて医療・経済・雇用等への一層の支援を行うことが求められています。3次補正でも関連予算が相当額に上ると思うんですけれども、特にコロナ対策に絡む財政支援というのは、どういった分野により重点を置くべきか、現時点でのお考えをお聞かせください。
(答)まず経済の状況は、先ほど申し上げたようにGDPのギャップ、需要不足が34兆円あるというこのことは頭に置いて対応しなければいけないと思っています。マクロ的に絶対にデフレの状態には戻さないという強い決意で臨んでいきたいと思っています。
 その上で、民需も引き出していくという予算が必要だと思っていますので、そうしたマクロ的な観点、それから実際に民需を引き出していく。先ほど申し上げたデジタルとかグリーンとか、様々な分野で民間投資を促していく。そのための対策、これは予備率のある予算であったり、税制改革だったり、あるいは規制改革であったり、こうしたことを総動員して対応していかなければいけないと考えていますが、今、それぞれの分野で各省が知恵を絞って予算案を作り、財務省とも折衝しているところであります。そうしたものを積み上げていくことによって、そしてマクロからの視点と両方の視点で全体の規模感は決まってくるものと思っております。
 強い危機感を持っておりますので、経済についてもデフレに戻さないという強い決意の下で日本経済を民需主導で成長軌道に戻していく、そのための補正予算案、そして経済対策全体を考えていければというふうに思います。
 その上で、コロナについても総理から、経済対策の一番目の柱はコロナ対策だということで御指示をいただいております。特に足元、病床がかなり逼迫するような状況にもなってきておりますので、やはり医療支援、それから検査もかなり数をそれぞれの地域で増やしてくれていますけれども、北海道はもう6倍ぐらいになってきているのではないかと思いますが、かなりの数を増やしてきていますので、そういったことを含めて検査体制。それから、やはりこの冬にはワクチンの接種が可能になってきますので、ワクチンの接種の具体的な実務に必要な予算もあります。こうしたことを含めてコロナ対策として必要な予算を確保していければと考えています。
(問)先ほどおっしゃったワイズスペンディングの関連でお尋ねしたいと思います。先般、財政制度等審議会が麻生大臣に提出した建議の中で、これからは徐々にでしょうけれども、危機対応的な財政支出を少しずつ手じまいしていって、単なる給付金から産業構造の新陳代謝を促すような支出に振り向けていくべきだと、あわせて、財政健全化にもしっかり力を入れていくべきだというような意見を示しましたけれども、この点について御所見をお願いできますでしょうか。
(答)今の時点で、4月、5月の緊急事態宣言のような状況にはまだ至っていないわけであります。我々としては、緊急事態宣言にならないようにするために、地域を絞り、業種を絞った、そうした焦点を当てた対策を強めていくことによって、感染拡大、感染者の増加を防いでいければと。同時に、病床の確保にも全力を挙げ、国民の皆さんの命を守るということを第一に取り組んでいければと考えているところです。
 いまだなお雇用の状況は弱いものもありますし、中小企業の皆さん、特に観光事業者や中小企業の皆さんは厳しい状況にある方もおられますので、そういった雇用・事業を支えながら、その上で次のステップに、デジタル化とかグリーンとか、こういった新しい経済社会の構造も見据えた対応も必要となっています。
 先ほどのように、民間投資は欧米と比べてやはり伸びてきていない、企業が新たな時代に向けての攻めの投資をまだ行っていないような状況でありますので、そういったことを踏まえて、民間の需要を引き出すような、そういった予算、税、規制改革が必要だと認識しています。
 そうした成長軌道に戻していく中で、「経済再生なくして財政健全化なし」という基本的な考え方があります。経済があっての財政ということでありますので、まずは経済回復、そして成長軌道に乗せていくことに全力を挙げていきたいと。そうすれば、おのずとこの財政健全化の道筋が見えてくるものと思います。当然、無駄な支出は、これは歳出改革をしっかり行っていくのも並行的にやるわけですけれども、まずは雇用・事業を支えながら、次の時代に向けての投資を促していく、こうした経済対策をまとめていきたいと考えています。
(問)近所のスーパーで、1人従業員が感染すると1週間ぐらい休まざるを得ないと。よくよく聞くと、やはりエッセンシャルワーカーが集まらないと。市中感染が広がってきますと、やはりそういう部分が出てくると思うんですが、病院なんかのそういうエッセンシャルワーカーもそうですけれども、その部分についてどういうふうにお考えになって。そこをしっかりしてくれないと、やっぱり経済が回らないと思うんですけど、何か手当というか、お考えがあったら伺いたいです。
(答)まず大事なことは、国民の皆さんに、基本的な感染症対策は、是非、油断することなく常に講じていただきたいと。先ほど申し上げましたように、マスクをするかしないかで、かなりこれはリスクが変わります。御自身の身を守るためにも、そして相手方のことを考えても、みんながマスクをするということが大事であります。そして、接触感染もありますので、ドアノブとかエレベーターのボタンとか現金とか、いろんな物を触ることによって接触の感染もあり得ますので、手洗い、消毒というのを常にやっていただく。
 スーパーなど、きちんとビニール板を引かれて感染防止策をとられている、できるだけ接触を避けながらやっておられる、本当に努力されておられると思います。是非、そうした努力をみんなで積み重ねていくことが何より大事だと思っています。
 そのためのガイドラインも、それぞれの業界ごとに作っていただいて、守っていただいています。感染リスクはかなり低減できますので、是非、このことをお願いしたいと思います。
 高齢者施設や院内感染も広がってきていますので、ここはもう、地域でリスクがあると、クラスターが出ているということであれば、1例も陽性者がいなくとも、1人もいなくとも、スタッフも入所されている方も入院されている方も、全員行政検査でやっていただくということができるようになっていますので、是非、その取組も進めていただきたいということを改めてお願いしたいと思います。
 そして、特に、おっしゃるように病院などで1人感染者が仮に出た場合に、濃厚接触者とかは検査をしなければいけない、あるいは自宅で待機しなければいけない、そういったケースが出てきている。それが人材不足にもつながってくるということも言われております。国として、医師、看護師、保健師さんの派遣の体制をしっかりと作っておりますので、その中で、余裕のある都道府県とも連携しながら人材の派遣もしっかりと行っていければと考えているところです。
 特に医療機関、地域の医療が逼迫してきている地域が見られていますので、医療の体制を、これは人材も含めて確保していくことが何より大事だと考えています。厚労省を中心にしっかりと対応していければと思います。
 ありがとうございました。

(以上)