西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月25日

(令和2年11月25日(水) 21:25~21:51  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 今日は大きく2つ案件があります。一つはコロナの分科会、それから月例経済報告であります。
 まず分科会につきまして、先ほど第17回の分科会を開催しまして、私どもの対策について御報告を申し上げ、それについての御意見も含めて提言をいただくことになります。文章はまだ修正がなされておりますので、先に私の方から取組、そして提言の途中段階のものについてのコメント、受け止めをさせていただければと思います。
 まず提言です。分科会全体として非常に強い危機感が共有されたと思います。後で申し上げますけれども、特に医療関係の皆様から、幾つかの地域で大変逼迫してきている状況があるということ。それから病床や人工呼吸器、ECMOがあっても、看護師さんなどの人材が不足してきているというお話もありました。かなり強い危機感が表明されています。
 そうした強い危機感を共有する中で、前回ステージ3になりつつある地域があるということでありましたけれども、なっていなくてもなりそうだという段階で、ステージ3相当の対策が必要となる地域、この地域において早期に強い措置を講じていくと。これに3週間で集中的に対応すべきということが、今回の非常に大きな提言の内容だと受け止めました。
 時間短縮であったり、利用の自粛であったり、それから仕事や授業、受診、これは感染拡大リスクは低いけれども、しかしそれに伴う5つの場面、こういったものがリスクが高いということ等々。「GoToトラベル」の一時停止とか、「GoToイート」の見直しとか、イベント開催の制限、その変更とか。それから医療提供体制が非常に逼迫してきているという中で、検査体制、それから軽症者の宿泊施設の準備、そういったこと。それから自衛隊を含め、先ほど申し上げた医療従事者の派遣等の支援。こういったことについて提言がなされる予定であります。細かい文章は変わると思いますが、ということであります。
 その上で私から大事なことは、3に相当する対策が必要となる地域、早期、3週間。3週間は今から3週間やること。つまり2週間で対策をやれば、効果が3週間目からあらわれてくる、ということで見極められるわけです。これを早期にやらないと、まさに年末年始にかかってきて。年末年始というのは医療が非常に弱くなる時期でもある、というこの危機感も今日は表明されています。この3週間が勝負だと思います。今の感染拡大を抑えられるかどうか、その大事な大事な3週間だと思います。
 その上で今日私どもから紹介をいたしましたけれども、既に北海道は7日~27日まで、22時までの時間短縮、20万円の支援金。「GoToトラベル」については一時的に対象外とする。それから大阪がもう既に表明されている、27日~11日までガイドラインを遵守していないところは休業。そして遵守しているところは時間短縮の要請ということで、こちらは9時までで、支援金50万円ということであります。「GoToトラベル」も札幌と同様。「GoToイート」についても新規発行一時停止、発行済みの利用も控えると。
 それから東京都も今日発表がありましたとおり28日~17日まで、22時までという要請をするということで、協力金で40万円。「GoToイート」も新規発行を一時停止すると。発行済みのものも利用を控えるよう呼びかけるということなど、発表されているとおりであります。
 私どもは持続化給付金、それから家賃の支援金、雇用調整助成金、それから無利子無担保の融資、それからREVIC(地域経済活性化支援機構)、ここはファンドも持っておりますし2兆円の枠がありますので、中堅規模の多店舗の企業、あるいは観光施設などもしっかり支援ができます。こういったもので影響を受ける事業者の皆さん、観光事業者の皆さんや飲食店の皆さんにしっかりと支援をしていきたいと。事業者の皆さんは大変厳しい状況になると思いますけれども、しっかりと支援をしていきたいと思います。
 あわせて地方創生の臨時交付金の新たな枠の500億円で、こういった協力金に対して支援をしていくと。そして先般申し上げたとおり、店舗数の上限を撤廃いたしましたので、この範囲において実績が上がれば、その分しっかりと支援をしていくということであります。
 それからイベントの制限については、ステージ3以上の都道府県では、より厳しい制限を知事の判断でできますので、このことは改めて通知をしたいと思います。今は2分の1まで入れていいなどの制限を取っていることについて、さらに厳しくできるわけであります。それから「GoToイベント」についても、都道府県知事の要請によって対象チケットの新規販売の一時停止ができます。また、「GoTo商店街」も同じように、イベントの中止や実施時期の変更などができます。こういった対応を取っていくということになります。
 そして危機感が高かったのは、やはり病床が非常に埋まってきているということであります。まだ全てが黄色、全てが赤となっている、それぞれ当たっているところがあるわけですけれども、陽性率も非常に高くなってきております。愛知県が非常に高くて、検査件数が少し少ないのではないかということも申し上げているんですけれども、大阪でも10%を超えてきています。こういう状況ですので、非常に危機感が強いということを申し上げたいと思います。
 今申し上げたように、1週間の平均を取っていますから、この3連休は検査件数の平均がかなり落ちます。その分少しずれますので、明日、明後日以降に検査なり報告の数が増える可能性がありますので、このあたりも危機感を持たれています。北海道はしっかりと検査をやってくれております。それから愛知県がやっぱり若干落ちているわけでありますが、大阪もかなりの数の検査をやってくれております。そうした中で陽性率が上がってきているということで、要注意なわけであります。
 ということで、この3週間で強い措置を講じる。つまり事業者の皆さんには大変厳しいことになりますけれども、営業時間の短縮という要請がなされてきます。そうした中で是非、何とかこの3週間で封じ込める、抑制していくということが実現できるように、利用者の皆さんにも是非協力をしていただきたいということで、こういう5つの場面に是非注意をしていただきたい。
 先ほどありましたように、職場とか学校で感染が広がっているということはありません。旅行で、移動で感染が広がるリスクは非常に低いと。新幹線や飛行機の移動で感染することは非常に低いと言われています。ただ、それぞれの活動の周辺でこういった事態、状況が起こるわけです。飲酒を伴う飲食、長時間、大人数、マスクなしの会話、あるいは宿泊している場面、寮生活、あるいは旅行先でもこういう場面があるかもしれません。それから居場所の切り替わり。
 つまり日常でマスクをきちんとしていれば、感染リスクは低いわけですが、その周辺で、その前後でそういった感染リスクの高い場面があり得るわけでありますので、是非注意をしていただいて。
 しかもこの5つの共通点、これは申し上げたように、いつでもマスクなんです。とにかくマスクを外す時が感染リスクが高いということでありますので、手間に感じられるかもしれませんし、面倒くさいんですけれども、飲食の時もマスクをしっかりしていただくと。これを皆さん方にお願いしたい。
 事業者の皆さんも是非要請に応じていただいて、協力金でしっかり応援しますし、様々な支援策で支援をしていきます。その上で利用者の皆さんもマスクをして食事をする。常にマスクをしていく。いつでもマスクということでお願いをして、何とかこの3週間で抑制していきたいと。これができないで感染がさらに広がると、次のステージ、ステージ4になってくると、緊急事態宣言が視野に入ってくるわけであります。もうあの春のような自粛ということになってくるわけでありますから、是非ともこの3週間で抑制していく。
 4月5月の経験、緊急事態宣言の経験や夏の経験を踏まえて地域を絞り、そして期間を絞って、対象も絞り、こうした対策を講じています。影響を受ける事業者の皆さんには、しっかりと支援をしていきたいと考えております。是非御理解をいただいて、何とか多くの皆さんの御協力で、この3週間で抑制ができるように取り組んでいければと思います。提言の内容は、この後あると思いますので、また尾身会長から詳しく御説明をいただきます。
 それから月例経済報告につきましては資料をお配りしているとおり、現状判断、総括判断は先月の判断を維持しております。先行きにつきましては、まさに感染症のこの内外経済の下振れリスク、このことに十分注意する必要がある、という警戒感を書かせていただいております。詳細は事務方から補足をさせます。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告は判断を据え置きましたが、コロナ第3波で景気の下降リスクが非常に強まっています。この先、国内経済で特に警戒すべきことは何でしょうか。
 また、「GoToトラベル」の一部除外で、観光業やサービス業が再び打撃を受けていますけれども、年内に編成する追加経済対策等で支援策の拡充は必要でしょうか。以上、お願いします。
(答)申し上げたとおり感染症が内外で広がってきています。これは日本経済に大きな影響を与えるリスクがあるということであります。そもそも感染者数の増加で、消費マインドに影響を与えるわけでありますので、人々の行動に影響を与えれば当然、個人消費が下振れするリスクがあるということでありますし、海外の状況によっては、輸出が減少し生産が減るというリスクもあります。もちろん国内の消費が減ることによって、国内の生産が減るリスクもあるわけでありますので、様々な影響が考えられます。
 こうした認識の下、まさに新たな経済対策の中では雇用と事業をしっかり支えながらということであります。感染防止策、感染拡大を抑えるのが第一ですけれども、それと同時に雇用や事業をしっかり支え、さらにその次の社会も見据えながら、デジタル改革とかグリーンということも当然、未来に向けた投資を促すような、そうした対策をまとめていきたいと思いますけれども、こうした感染症の影響がどういうふうに出てくるのか、これをしっかり見ながら対応していきたい。特に地域経済、観光事業者の皆さんを含めて、影響をしっかり見極めながら対策をまとめていきたいと考えています。
 もちろん今できる対策として、先ほど申し上げたような支援策はありますので、当然資金繰り対策、それからREVICというものもあります。そして協力金という形で出されるものについて、国の交付金で都道府県の財政をしっかり支援していきたいと考えております。いずれにしても厳しい状況にある、事業者の皆さんの事業・雇用を支えていくということで取り組んでいきたいと考えています。
(問)分科会の専門家からの提言を受けた政府の対応についてお聞きいたします。
 提言では、ステージ3に当たる地域での対策について述べられているんですけれども、3に当たるかどうかは都道府県が判断することだと思うんですけれども、まだその3というところに当たると言っている都道府県がない中で、この3というのは具体的にどこを想定しての対策になるのかということ。
 それから提言の案文の中には4項目あるんですけれども、既にやっているものも場所によってはあると思うんですけれども、全てをやるように、しかもこの3週間でということになりますと、これまでよりもさらに強く都道府県側に求めていくということになるんでしょうか。そのあたりをお願いいたします。
(答)分科会としては、ステージ3にどの自治体が当たるかというのは判断をしない、ということになっています。このことは今日も確認されました。これは都道府県知事が判断をしていく。それを国としてしっかりサポートしながら、いわば情報を共有しながら連携して対応していくということになります。
 その上でステージ3になりそうな地域、早晩なるという地域、あるいはそうなってきていると思われる地域として、感染が広がっている北海道、首都圏、中部圏、関西圏ということが、昨日のアドバイザリーボードでも挙げられていますし、今日もそういったことが共有されているんだと思います。
 その意味で既にそれぞれの都道府県で、自分のところの県が目安となる指標を見ながら、どういう状況にあるかは考えておられると思いますし、既に先ほど申し上げたように、幾つかの都道府県では対応が取られているということでありますが、この3週間がやはり大事だと。増加傾向を何とか抑えていく上で、非常に大事な局面だという認識だと思います。
 私の立場からは、それぞれの都道府県知事としっかりと連携をしながら、まだ十分な対策の強化がなされていないところの都道府県知事とも連携をして、対策を強化していければと考えています。それぞれの地域で感染状況が違いますので、このうちのどれをどういう形でやっていくかということも、よく連携して対応していければと考えています。
 いずれにしても、早期に3週間で強い措置をということでありますので、第4ステージ、緊急事態宣言が視野に入るようなそういった局面にならないように、今の段階で抑えていくと。これは感染リスクの低い活動、行動であっても、一定の制約がかかってくるということであります。時間の短縮もそうですし、様々な「GoToキャンペーン」についてもこういった制約がかかってくると。「イベント」についても一定の制約がかかってくるということでありますので、都道府県知事の判断を尊重しながら、連携して対応していければと考えています。
(問)大臣から十分危機感は伝わってきたんですけれども、残念ながらテレビなどでは、「GoToキャンペーン」によって感染が拡大したというエビデンスがないにも関わらず「GoToで感染が拡大した」という認識が広がっておりまして、「GoToの中断こそが最大の施策だ」という認識さえ今は広がっている状況です。
 1日当たりの「GoTo」の利用者数と通勤者数を比較した場合、通勤者数が圧倒的に多いのは自明でありまして、大臣は電車に乗る機会はほぼないと思うんですけれども、コロナ前に戻りつつあります。職場感染や家庭内感染、会食での感染が多いのも、通勤者が多いことに関係していると推察されると思います。
 アドバイザリーボードが言いますように、一般的には人々の移動が感染拡大に影響していると見られるということであれば、移動者数を圧倒的に少なくするテレワークの徹底こそ最重要、最優先施策に掲げるべきではないかという指摘があります。
 小池都知事が先ほどの会見で「企業にはさらなるテレワークの普及・定着を図る取組を進めていただきたい」と発言されましたけれども、実際はNHKさんの報道でもあるんですけれども、テレワークをやめた企業もかなりあって、言うだけではこの3週間で早期の効果は見込めないと思います。総理、西村大臣から企業に対して、最優先の取組として強く要請する段階ではないんでしょうか。
(答)ありがとうございます。おっしゃるとおりでありまして、何度も私も申し上げていますし、経済界にもお願いをしてきていますけれども、今月11月はテレワーク月間ということになっておりまして。
 今月だけやればいいということではなくて、テレワークをやっていない方、もちろんエッセンシャルワーカーの方がおられますから、現場で頑張っておられる皆さんでは、テレワークができない方もおられるので、そうした方への配慮も必要ですけれども、事務系とかテレワークができる方でテレワークをやっていない方も、是非この機会にやってみるということで、何が課題か注視する大事な月間でもあるんです。
 そういったことも含めて、それから春、4月5月の時には駅の利用者も7割ぐらい減った。それが今、首都圏でいうと25%ぐらいの減り。関西圏で15%ぐらいの減少です。つまりそれだけは戻ってきているわけであります。実際テレワークを経験した皆さんからは、引き続き継続をしたいと。家族と過ごす時間も含めて、引き続き継続したいという方がたくさんおられますし、もちろん一部に生産性が落ちたという方やいろんな意見はあります。でもそれを経験しながら改善していくのが大事だと思っています。
 昔の日常には戻さない。「新たな日常」を作っていく。その中でテレワークというのは私は重要な1つだと思っておりますので、いわば新しい働き方、多様な働き方の1つでもあります。そしてさらにそれが伸びていけば、その先にはワーケーションのような取組もあります。リゾート地で仕事をするという取組もあります。こういったことを企業の皆さんに是非進めていただきたい、推進していただきたいということを、経済界の皆さんにも改めて私からお願いしたいと考えています。
(問)3週間強い措置を求めるということで、具体的な地域について改めて教えていただきたいと思います。大臣はこれまでも「知事の意向を尊重する」というお立場を強調される一方で、「知事の決断を後押しするのも自分の仕事だ」という発言をされてきました。
 先ほど画面の中で、24日段階の感染状況の指標が出ていましたけれども、例えば愛知県であったり沖縄県であったり兵庫県であったり、各地がステージ3と事実上認定していい水準になっているかと思います。今、札幌市と大阪市について、一時的に「GoToトラベル」から外すということになりましたけれども、その他の地域について大臣は決断を後押しするということはされないのでしょうか。教えていただけないでしょうか。
(答)沖縄はどちらかというと、今は急激に増えた後に落ち着いてきている中で、まだ数値が高い部分があるということですので。それは1例ですけれども、単に数字を見ての機械的な当てはめで判断するのではなくて、今申し上げたような状況。兵庫県の場合も、実は病床の体制はかなり逼迫した数字になっているんですけれども、兵庫県のこれまでの取組で、病床に余裕がある限り基本的に全員入院させると。そういう対応を取ってきましたので、当然高くなっています。
 ただ、宿泊療養施設も確保していますので、そちらに移す、そういった作業、そういった取組がこれからなされていくんだと思いますから、そういったそれぞれの事情についてもよく状況を共有しながら、対応していかなければいけないと思っています。
 機械的に数値を当てはめて、ステージ3だ、ステージ4だということではなくて、それぞれの県の取組の状況、これは知事が一番よく御存知でありますので、特に病床の状況、医療の体制をしっかり見ながら、そして感染の状況、クラスターの状況などを見ながら判断をしていきます。
 感染が拡大している地域の知事とは緊密に連絡を取り合っていますので、それぞれの知事と状況を確認しながら、取るべき対策を連携して取っていければと考えているところです。

(以上)