西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日

(令和2年11月24日(火) 10:18~10:46  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 まず、「GoToトラベル」についてでありますが、11月20日の分科会における提言を踏まえまして、一部の地域では感染が拡大し、ステージ3相当ということが視野に入ってきている中で、これまでそうした感染拡大をしてきている地域の都道府県の知事と、この間緊密に、かなり頻繁に連絡を取り合ってきております。そうした中で、それぞれの都道府県知事におかれては、感染状況において既に感染対策を強化する措置がとられているところであります。
 まず、「GoToイート」については、9都道府県において、原則4人以下とする措置を講じてきていますし、さらに、食事券の新規発行の一時停止、これについても黒岩神奈川県知事が表明されています。また、埼玉県、茨城県、大阪府などでもそうした取組を進めるということで直接知事から連絡を受けております。
 「GoToトラベル」については、感染拡大している地域を目的地から一時停止すること、対象から外す措置について、札幌市と大阪市を一時的に対象から外すという仕組みを発動するということについて、観光庁とも協力しながら北海道、大阪府との調整を急ぎたいと考えております。北海道も大阪も本日、調整を進めると聞いております。特に北海道は札幌市との調整、大阪府は午後に対策会議を開くと聞いておりますが、できれば、これはもう感染拡大しておりますし、医療も逼迫してきていますので、できるだけ早く発動したほうが良いと考えております。できれば本日にも決定できるよう、私の方でも調整を急ぎたいと考えています。
 この仕組みなんですけれども、これまでも申し上げてきたことですけれども、感染状況や病床の状況、この実情は最も都道府県知事が知っているわけであります。この知事の意向を尊重しながら、連携して対応することが大事だと思っています。この間、日々、それぞれの地域の知事と頻繁に連絡を取り合ってきているところでありますけれども、私の立場で言えば、知事が機動的に適切に判断できるようにサポートしていくのが私の役割だと思っています。その意味で、時には知事の背中を押すこともありますし、時には特措法第5条にありますように、とるべき措置は必要最小限にすべきだということがあります。私権の制約に伴うこともありますので、そういう意味で時には行き過ぎがありそうな時は、それをいわば慎重にということでストップをかけることもあるかもしれません。いずれにしても、知事が適切に判断できるようにサポートし、調整していくのが私の役割だと思っています。
 「GoTo」についても、最終的にはこれは国の事業でありますし、国が判断していくことでありますけれども、感染状況や病床の状況を最もよく知っておられる、それぞれの都道府県知事の意向を尊重しながら、そうした状況を共有して連携して対応していければと考えています。
 国交省の赤羽大臣から、恐らく今、同時刻のタイミングで発表があると思いますけれども、詳細については観光庁の方で説明していただければと思いますが、決定がなされれば、その時点から、本日決定がなされれば本日から開始して、向こう3週間措置を講じていくことになります。そして、当該地域を目的地とする旅行について、新規枠を本事業の適応から除外する。それから、既存の予約分についても本事業の適応から除外する。そして、キャンセル料については、旅行者に負担がかからないようにする。そして、予約がキャンセルされたことに伴い影響を受ける参加事業者、観光事業者については、旅行代金の35%に相当する額について本事業の予算で負担するということになります。
 また、それぞれの観光事業者は既に厳しい状況にあるわけですけれども、さらに厳しい状況になることも想定されますので、この観光事業者の資金繰りについても支障が生じることのないよう、万全を期していきたいと考えております。梶山経産大臣にもこのことを要請しております。経産省においても対応がなされると考えております。
 また、私のところのREVIC、地域経済活性化支援機構ですね。これはこうした新型コロナの状況に対応するため、既にファンドを新設、あるいは規約を変更して、全国どこの地域であっても、経営が厳しくなった事業者の支援を行う態勢を整えてきております。政府保証枠も2兆円確保しておりますので、十分な資金量もあります。既に、北海道を含め様々な事業者から相談を受けているところであります。引き続き、厳しい状況にある事業者の皆さんには、こうした制度も活用いただければと考えております。もう既に相談を受けて対応してきている事業については、年度内にも相当数の支援を決定できるように調整を急いでいるところであります。引き続き、相談を受けている事業者については調整を急ぐとともに、引き続き支援の申請や相談を受け付けておりますので、是非、必要がある事業者の皆さんは相談、活用いただければと考えています。
 それから、明日、18時から分科会を開催いたします。幾つか細かいテーマはあるんですけれども、一番大きいのは、先般の分科会の提言を受けて今、こうして政府が対応してきている状況について御報告したいと考えております。
 「GoToイート」は、先ほど申し上げましたけれども、幾つかの県で既に知事が方針を決定、あるいは検討されているということでありますが、本日、農水省から改めて都道府県に食事券の新規発行の一時停止やポイント利用を控える旨の呼びかけなどを検討するよう要請が行われる予定であります。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)1問、お願いいたします。昨日、知事会から緊急提言がまとまっています。その中では、感染拡大地域からの旅行の補助の扱いについて、政府の具体的な検討をまとめるような要請がなされるようです。このことについての受け止めをお願いいたします。よろしくお願いします。
(答)出発の話ですか。
(問)出発の話です。
(答)今、私ども、それぞれの地域で最も注視して、最も懸念を持っているのはやっぱり医療のことであります。もちろん、陽性者の数が毎日高い水準で続くと当然入院される方は増えますし、その中から遅れて重症化される方がおられますので、新規陽性者の数も注目しながらこれを抑えていかなければいけないということであります。
 そうした中で、ステージ3に相当してきている地域は、特に今の札幌、大阪、このあたりの所は、陽性者の数も非常に高い水準でありますし、そして医療が逼迫してきていると。その地域に訪れることによって、その地域の感染が広がった場合に医療がさらに逼迫するということで、医療の逼迫を抑えるという観点から、目的地とする旅行について対象外ということを考えています。
 当初、東京を除外した時は、あの時は遺伝子の解析からも、東京での遺伝子が全国に広がっているという専門家の分析もいただいておりましたし、東京の発着のウエイトが非常に高い、2割強だったと思いますけど、今、手元に正確な数字はありませんが、かなり大きな数字でありましたので、そういった判断をしたところでありますけれども、今回は目的地とする旅行について、その地域の医療をしっかり守るという観点から、対象から一時停止するという考え方であります。
(問)昨日、大阪府の吉村知事が病床のトリアージを導入することについて発表されたんですけれども、これは生命の選別につながるものではないかと考えています。また、前維新代表で大阪市長の松井氏も、以前、優生思想信奉者の嘱託殺人事件に際して、生命の選別を主張したことがありました。このコロナ禍で、こうした維新発の生命の選別思想が広がることに強い危惧を抱いています。政府、そして西村大臣としては、こうした考えにするのかしないのかお聞かせください。
(答)まず、吉村知事、あるいは松井市長の発言について、私は詳細を承知しているわけではありませんので、そのことについてのコメントは差し控えますが、政府としては、国民の皆さんの命を、健康をしっかりお守りすると、全力で守るということが大方針であります。
 新型コロナについては新たな知見も出てきています。いろんなことが分かってきています。例えば、やはり若い方、20代、30代の方は重症化するリスクが低く、むしろ高齢の方、あるいは基礎疾患を持っておられる方が重症化するリスクが高いということが明らかになってきていますので、当然、高齢者や基礎疾患がある方をしっかり守っていかなければいけない。したがって、PCR検査なども、そうした高齢者施設や院内感染を防ぐために、医療機関で感染者が出ていなくとも、周辺の地域でクラスターが発生している場合などのリスクがある場合は、全員重点的、集中的に行政検査として行っていくという方針も示しているところであります。
 また、若い方は無症状の人、軽症の人が多いですから、そういった方は病院に入院することではなく、そうすると病床の逼迫につながりますので、むしろホテルで療養していただくということで、その宿泊療養施設の確保にも努めてきております。そういった一定の知見に基づいて、国民の皆さんお一人お一人の命を守っていくという観点から、適切な対応をしていければと考えているところです。
 ただ、若い方でも重症化される方もおられますし、また、治った後も後遺症が残るという報告を受けておりますので、若い方も感染しないことが大事です。それから、若い方が感染した場合に、軽症であったり無症状であっても、家族に感染させる、あるいは職場を通じて、いろんな機会を通じて高齢者に感染がつながっていく。このことはこれまでも指摘されていますので、若い方も感染防止策をしっかりとっていただくことが大事だと考えています。
 御自身が重症化するケースもある、あるいは後遺症が残るケースがあるということも含めて、御自身の健康、命を守るためにも、また、大事な家族や高齢者や基礎疾患がある方につながっていかないためにも、是非、万全の感染防止策をとっていただきたいと思いますし、何か調子が悪いと感じたら、是非、検査を受けていただくと。これが次に、2次感染、3次感染につなげない大事な点でありますので、若い方は、我々は、自分たちは平気なんだということではなく、是非、感染防止策を徹底し、また、検査もしっかり受けていただければと。
(問)先ほどの冒頭発言の病床の逼迫を非常に危惧しているという話で、大阪と札幌を「GoToトラベル」の目的地から最終的に今日、外す可能性があるということですけれども。田村厚労大臣の閣僚会見では、「今十分に病床に余裕がある地域でも1、2週間で埋まる可能性がある」との発言がありました。今回制限するのは、現段階では大阪、札幌だけということなんでしょうか。例えば東京ですとか、名古屋ですとか、病床が徐々に厳しくなっている地域については、判断をいつされる予定なのか、あるいは除外されないのか、お考えをお聞かせください。
(答)まず、感染状況なり、病床の状況なり、これはそれぞれの都道府県知事が最もよく把握されていると思いますので、知事の意向を尊重していきたいということですが、そうした状況について、厚生労働省、あるいは我々と状況を共有しながら知事が適切に判断できるように、私の立場でもサポートし、また、調整していきたいと考えています。
 既に愛知県知事とは名古屋の状況など、私も電話ではありますけれども連絡を取り合っているところであります。対応を考えて、どういう対応が必要なのか。これは「GoTo」の話もそうでありますし、「GoToトラベル」、「GoToイート」、それから場合によっては営業時間の短縮、ガイドラインを守っていないところの休業要請、こういった措置も考えられますので、愛知県として、是非、名古屋市が感染の半分程度を占めているのだと思いますし、病床もかなり逼迫していると聞いていますので、こういったことの状況について引き続き連携して対応していければということの話を既にしてあります。
 愛知県知事からは、名古屋の非常に逼迫してきている状況は既に把握されていますが、これは以前にもお話ししたかもしれませんが、藤田医科大とか、愛知医科大とか、名古屋市の周辺のそうした病床の確保もしていると、協力も得られるということで。そういったことを含めて全体としてどういう状況なのかをしっかり把握し、対応していただきながら、引き続き連携して対応していければと思います。
 東京については本日、小池知事と昼過ぎになるんではないかと思いますが、時間の調整を今しておりますが、お会いすることになります。既に小池知事ともやり取りをしておりますし、事務的にもいろんな議論をしておりますが、東京の今の状況の認識を共有しながら、どういった対応が必要か、このことについて、是非、連携して対応していければと考えています。
 逼迫の状況、それから10万人当たりの感染の状況を見ると、やはり札幌市と大阪市が陽性者の数だけで見てもかなり高い水準になっていますので、この陽性者を抑えないと、医療に対する圧力がより高まっていくと思いますので、まず、この陽性者の多い、そして医療が逼迫している札幌市と大阪市について本日、調整が進められるということであります。
(問)1点は、東京都の小池知事は、もう少し国の考えをというようなお話なんですけれど、今、大臣はそもそも都知事に感染状況をちゃんと判断してほしいというところは変わらないと思うのですけれども、都と国で今後調整が必要なのはどのような点なのかというのをちょっと教えていただきたいのが1点。
 2点目は、この3連休なんですけれども、やはり観光地を中心に人出が多かったということで、専門家の危機感とか政府の危機感がもしかしたら、例えば3月、4月とか、もしくは7月の後半のような形では国民に届かなくなっているのではないかという気もするんですけれども、この辺をどういうふうにお考えなのか。例えば「GoToトラベル」を止めれば、それで危機感が伝わるのか、より何か訴える方法を変えていくのか。お考えがあれば教えていただければと思います。
(答)まず、病床の状況、感染状況、クラスターの状況など、こうしたことを最もよく把握しておられるのは都道府県知事でありますので、知事の意向を尊重していくというのが基本であります。ただ、先ほど申し上げたとおり、そうした状況をそれぞれの都道府県と私どもの間で、あるいは病床については厚労省も含めて、そうした状況をしっかりと把握、共有しながら、感染状況、病床の状況を共有しながら連携して対応していくということが基本であります。
 私の立場で申し上げれば、知事が何か躊躇していることがあれば、それを取り除いてやることによって背中を押す、そういった時もあると思います。あるいは、知事が少し過剰に反応するような場面があれば、それはやはりこの特措法の考え方でありますけれども、とるべき措置は必要最小限で、私権の制約は基本的人権を尊重して最小限にしないといけないという、こういう基本的な考え方もありますので、そのあたりをしっかりと知事と状況を共有しながら、連携して対応していくということが基本であります。
 その上で、東京の状況も私どもも、感染の状況、クラスターの状況、あるいは病床の状況など、日々、報告を受けておりますが、実際の知事の判断も、どういうふうに把握しておられるのかも、是非、お伺いしながら、そして今の感染状況に対してどういう対応をしていくべきなのか、このことを率直に意見交換したいと考えています。政府としては、何か躊躇していること、懸念のことがあれば、それを取り除いていく、あるいは支援していくということになると思います。
 先ほど申し上げましたように、これは全国に知事会も、どういう仕組みなのか早くお示ししてほしいということでありました。もう既に感染拡大している北海道とか大阪府などは、私ども、あるいは観光庁からこうした制度があるということを、仕組みがあるということを御説明してきているところでありますけれども、まだ感染がそんなに広がっていないところにまでは今の説明はしてありませんでしたけれども、今日、国交省から正式に説明が、恐らく今、赤羽大臣もされているのだろうと思いますし、私も概要を申し上げたところでありますので、こういった仕組みであるとか、それから既に地方創生臨時交付金500億円を使って休業要請、あるいは時間短縮の要請をする場合には政府としてしっかり支援をするという仕組みも表明しているところであります。
 また、当然、家賃支援の最大600万円とか、雇用調整助成金の中小企業の場合は月額お一人33万円まで全額国が助成するという仕組みもありますので、こういった仕組みを使ってもらいながら支援していくということでありますので、全体として政府として、知事が適切に判断できるようにサポート、調整していければと考えています。
 3連休については、細かい人出の分析は、まだ今日報告を受けていないんですけれども、特に感染を私どもが最も心配していた札幌は、かなり人出が減っているという報告は受けておりますので、何とか、感染が拡大しているところでは、そうした国民の皆さんの行動変容というか、より感染拡大防止策を徹底した行動をこれまでもお願いしてきたところでありますけれども、引き続き、経済活動、社会活動との両立を図っていくためには、感染防止策を徹底するということが前提だということ。それから、ある一定のレベル、ステージ3相当になった場合には、ステージ4は、もう緊急事態宣言が視野に入ってくる、最も厳しい措置がとられるレベルになってきますので、その段階に行かないようにステージ3の段階でチェックし、感染拡大を抑えていくということであります。このステージ3の段階になれば、感染防止策を徹底した行動であっても一定の制約がかかってくるということでありますので、特にステージ3相当になりつつある、なってきていると思われる、北海道の中では札幌市、大阪府の中では大阪市については、そうした一定の制約の下に、強い措置によって感染拡大を抑えていく、医療の逼迫を抑えるということになっていきます。
 そして政府としては、こうしたことをしっかりと国民の皆さんに理解していただくために、より広報は強化していかなければいけないと認識しています。私どものホームページ、あるいは動画、YouTubeなども使って対応してきていますけれども、さらに影響力のある、いろんなサポーターの皆さんのお力も借りながら、多くの皆さんに是非、理解していただけるように努力していければと考えています。テレビCMも、もう間もなくスタートすることになると思いますので、そういったことをしながら広報活動もしっかりやっていければと考えています。
(問)確認させていただきたいんですけれども、愛知県知事とは名古屋市の「GoToキャンペーン」の見直し、あるいは営業時間短縮について協議されているという理解でよろしいでしょうか。お願いします。
(答)愛知県の状況について共有いたしました。名古屋市の病床が逼迫してきているということの認識を共有しております。そのために愛知県知事として様々な医療機関に、先ほど申し上げたような医療機関にも協力を要請し、病床の確保に努めてきているということで伺っております。
 まだ愛知県全体に、ステージ3の指標で見ても、これが愛知県としてもうステージ3に全て当たってきているということではありませんけれども、しかし、特に愛知県の中で言えば名古屋市がそうした状況になりつつあるということで、今後、どういった対応が必要か、こういったことを協議したということでありまして、具体的にどういった措置をとるかについて、それから感染の状況や病床の状況について、愛知県知事においてさらに把握されて、引き続きそうした状況を共有しながら連携して対応していければと考えています。
 ありがとうございました。

(以上)