西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月23日

(令和2年10月23日(金) 18:45~18:58  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 今月の月例経済報告における現状は、持ち直しの動きがみられるということで、先月の判断を維持したところであります。
 今月は個人消費を上方修正しておりますが、輸入が下方修正で、あとは変えておりません。こういう状況ですので、全体は維持で、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられるということであります。
 あとは、御質問があればお受けしますけれども、もう皆さんも見ておられるとおりでありまして。個人消費だけちょっと言いましょうか。マクロミルの週別の調査であります。4月、5月を底に回復基調にあって、8月が少し感染も拡大したということで悪かったわけですね。豪雨の影響もありました。9月に入って、過去3年間の幅からすると、かなり高いところに全体としてあります。特に9月は、昨年、消費税引上げ直前の駆け込み需要もありましたので、かなり高い水準にもかかわらず高めの数字が出ています。そして、10月は引き続きこの3年の幅に戻ってきていますので、こちらの方が分かりやすいですね、9月は非常に高くあって、10月がこういう状況でありますので、消費は持ち直しの動きを続けていると判断しております。
 他方、輸出も9月まで4カ月連続で増加しておりますし、また、もう皆さんも数字をお持ちですから多くは申しませんが、生産も持ち直しの動きということであります。
 それから、労働時間についても、所定外労働時間が増加に転じていますが、こういう形でですね、かなり残業が増えてきていますが、まだ水準は以前には戻っておりませんし、それから次のページで、給与総額もマイナス幅は小さく縮小してきていますが、まだマイナスであります。
 それから求人、日次でとっておりますが、マイナス幅は縮小してきていますが、まだ求人は前年比で2割以上少ないということでありますので、雇用もだんだん良くなりつつありますけれども、まだ厳しい状況は続いております。雇用調整助成金を活用していただいて、給与という形で維持をしていただきながら、マッチングや様々な方々の能力開発、職業訓練など、それぞれの状況に応じた対応を取っていければと思います。
 それから次が、設備投資も以前から申し上げていたとおり、ソフトウェア投資は日銀短観でも非常に高い数字があります。しかしながら全体で見ると、全産業では前年度比マイナスであります。製造業は若干プラスですけれども、やはり非製造業、サービス業は非常に低い数字でありますので、このあたりもIT関係の投資は意欲があるということでありますが、引き続きこのデジタル化の動きは強化していきたいと考えております。
 更には国内の投資を促進していくということで、非常に申請の多かったサプライチェーンの補助金ですね、これは先般、860億円ほど予備費で活用することにしましたけれども、今回のトラス大臣との間でも、TPPもこうしたサプライチェーンの強靱化とか、それからデジタルの実装とか、こういったことを来年、議長国として進めていきたいというお話を申し上げ、この点もイギリスも是非取り組みたいということでありましたので、そういう意味でサプライチェーンの強靱化などの政策を強化することによって、国内投資も設備投資も、是非上向いていくように、そして何より生産性を上げて、そして賃金を上げていくというためにはIT投資も必要でありますし、全体設備実装が必要でありますので、資本の整備も進めていければと思っております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)先行きについてお伺いします。今月は4カ月連続で同じ表現ということで、個別項目を見ても一進一退の状況かなと見受けられるんですけれども。例えば、海外で言うと、欧州は感染が再拡大されていて、一部で経済活動が制限されるということがあったりとか、国内でも冬のボーナスの減少の懸念というのが言われている中で、そうすると冬にかけての個人消費というのが一定程度冷え込んでいく可能性もあるんじゃないかと。その先行きについてのリスクが国内、海外でもあろうかと思うんですけれども、改めて今後の経済の先行きについて大臣の御見解をお聞かせください。
(答)先行きのところに書いていますけれども、「持ち直しの動きが続くことが期待される」の次に、「ただし」として「国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」ということで、先ほども議論がありました、国内の感染が横ばいから若干微増しているところの雰囲気の県もあります。一都三県、大阪、そして北海道、沖縄、よく注意していかなければいけないと思っていますが、一方で、中京圏とか福岡とか、大都市の中でも落ち着いてきている所もありますし、クラスターが発生した県においても、クラスター対策によってかなり封じ込めができつつある所もありますので、こうした国内の状況をよく見ていかなければいけないと思っています。
 感染者が増えるとどうしても自粛する。これは自己防衛的なリスクを感じる部分がありますので当然だと思いますので、そういった部分も気を付けなければいけませんし、それから御指摘のように、ヨーロッパでかなり感染が広がり、ミニロックダウン的な所も出てきています。日本と同じ方針だと思いますけれども、春先、3月、4月、5月のように幅広く業種に休んでもらうというよりは、かなりエリアを限定し、また、職業も飲食店などかなり絞った形で、休業というよりかは時間短縮のやり方も行われていますので、そのあたり、ヨーロッパも経済全体を止めるというよりは、かなり限定的な、焦点を絞った対策を講じているのではないかと思いますけれども、いずれにしても、その状況はしっかりと見ていかなければいけないと思っています。
 ヨーロッパ地域の先行きの判断の部分においては、個別にそのことを明記しておりまして、「感染症の再拡大が経済活動に与える影響によっては、景気が下振れするリスクがある」ということを記述しております。この点をよく見ていかなければいけないと思っておりますが、今のところ中国の経済は回復し、アメリカも感染は少し広がっているところはありますけれども、経済の指標は非常に強い指標が出ておりますので、それに伴って、やはりアメリカや中国向けが多いですから、輸出もですね、輸出・生産がプラスになってくれば、雇用にもプラスの影響があると思っています。
 他方、消費の動向は、足下、ペントアップの部分も含めて、また、7月、8月も少し足踏みした部分も含めて、底堅く戻ってきつつある部分がありますけれども、御指摘のように今後の感染状況、あるいは雇用所得環境ですね、雇用も戻りつつありますけれどもまだ水準としては弱いところがありますので、このあたりをしっかりと見ていきたいと思います。
 御案内のとおり、「Go To キャンペーン」がこうした、いわゆる負担の軽減の役割を果たしている部分もあります、下支えをしている部分があります。また、消費刺激をしている部分もありますので、多くの皆さんに上手く活用していただきながら、何とか消費も感染防止策と両立しながら戻していければと考えているところです。
(問)今回の全体の判断に関してなんですけれども、前回上げなかったときは、やはりネックとなっていたのが個人消費と設備投資あたりが大きかったと思うんです。今回、個人消費に関しては1上がったという形にはなったわけですけれども、今回上げられなかったと言いますか、そういう意味で言うと、一つネックとなっているもの、それはどういったところが課題になっているというふうに思っておられるでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたとおり、やはり設備投資も非常に大きなウエイトを占めています。輸出・生産は中国、アメリカ向けが戻ってきた、ヨーロッパ向けも戻り基調にあるということで、いずれも上方修正をしてきております。雇用情勢も先月、倒産の件数も含めて上方修正してきていますので、さらに上を向いて上方修正するには、全体の力強さはまだそこまではないという判断であります。
 輸入が下方修正で、星取表でいうと1勝1敗と見えますけれども、消費はやはりウエイトが大きいですから、御指摘のように、消費が上向いてくることは大変心強いことでありますけれども、しかし、全体としてまだ設備投資や輸出・生産も元に戻ってきているわけでもなく、また、雇用も戻ってきていますけれども完全に良くなってきたというところは、もちろんそこまでは言えませんので、そういったことの総合判断で今回はこういう据え置き、維持という判断をしています。
 ありがとうございました。

(以上)