西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月16日

(令和2年10月16日(金) 17:42~18:00  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から主として2点申し上げます。
 まず、クラスター分析に関する保健所のヒアリングを昨日、今日と行いました。私も時間の許す範囲で、また、尾身先生も一緒に全国約10自治体の市の担当の方々から、保健所長さんを初めとして、クラスター分析の意見交換を行いました。クラスター発生の実態について、どういう場面でやはりリスクが高いのか、どういう場面でリスクが低くなるのか、こういったところの分析を行いました。
 一、二例申し上げますと、一つは、何人かの都道府県からありましたけれども、喫煙所でマスクを外してたばこを吸う、この場所が非常に感染リスクが高いと。マスクの着用、やはり換気、こういったことが大事であるということがありました。
 それから、これは公表されている資料からですけれども、和歌山の飲食店の例ですけれども、従業員の方が12名感染しました。その間、お客さんに濃厚接触者としてPCR検査を行ったのですが、141名行いましたが全員陰性でありました。つまり、マスクをして、きちんと感染防止策を講じていれば、従業員の方々からお客さんにうつるリスクはないと。
 これは一例なんですけれども、今日、多くの自治体の皆さんが、保健所長さんが、やはり飲食店できちんと感染防止策を講じていれば、従業員の方とお客さんの間、あるいはテーブルが離れていれば、知らないグループですね、お客さん同士も会話がなければ感染リスクは非常に低いということで、ほとんどの方からは報告はないということでお話がありました。
 そういったことを今、一つ一つ積み重ねていますので、専門家の皆さんに、さらに分かりやすい場面、リスクの高い行動、あるいはリスクを下げる行動、先日申し上げたように斜めに座るのが一番リスクが低いということも分かってきていますので、そういったことを整理してもらいながら、私の立場からもできるだけ国民の皆さんに分かりやすく説明していきたいと思います。
 それから、イベント開催のあり方検討会につきましては、冒頭、発言申し上げましたので多くは申し上げませんけれども、段階的に緩和していく、経済活動を広げていくということがまず大きなポイントです。一遍に昔のように全部自由にできるということではありません。感染リスクを確認しながら段階的に引き上げていくということであります。それで、クラスターが発生していないということを確認しながら、さらにそれをどう進化させることができるか。これはスーパーコンピューターのシミュレーションを使ったり、あるいは実際に実験をやってみたり、それから、各業界団体も自分たちで様々に実証をやったりしていますので、そういったエビデンスを積み重ねていきながら、この検討会で議論していただき、そして一定の方向性が出てくれば、分科会に上げて御議論いただこうと考えています。
 特に年末年始の行事、初詣などありますので、そうしたことについては11月上旬までには方向性を出して分科会に上げていければと思いますし、また、映画館で食事を伴いながらする場合にリスクがどうなのかとか、それから、これまでクラスターが発生しているライブハウスとかカラオケとか、今後感染者を出さないためにどういったことがさらに必要なのか、こういったことについてシミュレーションや実証実験ですね、そういったものを使いながらエビデンスに基づいて判断していければと考えています。
 それから、もう1点、偏見・差別のワーキンググループも第3回開催をいたしました。病院協会や看護協会、あるいは実際にクラスターの発生を経験した学校、こういったところからヒアリングを伺っております。
 コロナの正確な情報がやはり伝わっていない中での報道があり、そしてそこで差別や偏見のようなことが行われたということでありますので、こういった実例を踏まえながら、今日は日弁連や全国の老人福祉施設協議会の皆さんにもヒアリングを行いましたので、しっかりと対応を取りまとめていきたいと考えています。
 それから、感染者の数は全国703名ということで、昨日もお話にありましたとおり、拮抗している状態から上にも行きかねない状況でありますので、よく注意しないといけないと思いますが、東京都で大学のクラスター、あるいは大田区の施設でクラスターが出ています。また、青森県弘前市で12名が接待を伴う飲食店から出ているということでありまして、これは弘前もPCR検査を関係者に幅広くやるというふうに聞いておりますので、地方の場合、大きな集積地がなければ、大きな歓楽街がなければPCR検査を幅広くやることによって、これまでの経験で言いますと、山陽小野田とか浜松とか、浜松はかなり大きな都市ですけれども、それぞれの地域で発生しても封じ込めができていますので、しっかりとPCR検査をやっていただくことが大事だと考えています。
 それから、先ほど第1回の成長戦略会議を開催いたしました。成長戦略に関する今後の進め方や論点につきまして有識者の皆様から、いわば自由に御意見をいただいた、御議論いただいたわけであります。申し上げていますとおり、経済財政諮問会議で大きな経済財政運営、改革の基本的な方針を議論し、そしてこの成長戦略会議におきまして制度改正や成長戦略のための改革、その具体策を御議論いただくことになります。
 この会議で重点的に議論する項目としては、ウィズコロナ・ポストコロナの世界における事業再構築の課題、それから、今日も議論になりました、問題提起がありました、労働生産性向上の課題、そして、正規の方も含めた労働移動の円滑化の課題、強靱なサプライチェーン構築、それから、コロナを機に広がりましたテレワーク、それから、フリーランスといった新しい働き方に関わる課題、そして、足腰の強い中小企業をどう構築していくかということ、あるいはバーチャル株主総会や自動配送ロボットの制度整備、あるいは国際金融都市の実現といったイノベーションの推進にかかわる問題、課題、それから、グリーン成長、エネルギー環境政策ですね、その再構築、こういったことについて今後、議論していくことになりますが、今日、様々、進め方やテーマについても提案、御意見がありましたので、今日の議論を整理して今後、進めていきたいと考えております。
 今後のスケジュールにつきましては、成長戦略の具体化のために本年末に中間取りまとめを行うということで、総理から指示がございましたので、しっかりと民間議員の皆さん方の意見を踏まえながら省庁横断的に成長戦略にスピード感を持って取り組んでいければと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)成長戦略会議についてなんですけど、今日、実際キックオフだったかと思うんですが、先ほど会議で示された論点について、出席した有識者の方からどんなお話があったのかということと、また、アトキンソンさんや竹中平蔵さんを起用された狙いについてもお聞かせいただけたらと思います。
(答)議論の詳細は、また後ほど事務方からも説明してもらいますけれども、それぞれのお立場で非常に活発に御議論いただきまして、テーマにつきまして、基本的には共通の認識として生産性をどう上げていくのか、それから、競争力をどう強化していくのか、これが皆さん共通の認識だと思います。
 そうした中で、生産性をどう向上するのかで、様々な、当然デジタル化を進めるとか、先ほどの労働移動の円滑化を進めるとか、人材をどう育てるかということですね、そういったテーマもありましたし、働き方も、もうある意味リモート、テレワークが後戻りできない、そういう時代になってきているということも含めて、働き方をどう変えていくのか、そういった議論もありました。
 当然、デジタル化は行政だけではなくて民間も含めた、いわゆるデジタルトランスフォーメーション、DXをどう進めていくのか、こういった課題もありました。あるいは、スタートアップ、ベンチャー企業、失敗を認めつつどうやって進めていくのかと、こういった議論もございました。
 様々、そうしたテーマの論点を御議論いただきましたので、それを整理しながら今後、議論を活発化していただきたいと考えています。それぞれの問題意識が当然違うところがありますので、是非、活発な議論を期待したいと思いますし、ある意味、予定調和的ではなく、自由な民間議員の皆さんのそうした発想の中から議論を闘わせていただきながら、民間議員同士も、あるいは政府側、閣僚とも議論を闘わせながら日本の将来、まさに生産性を向上し、競争力を強化していく、そうした成長戦略を作っていければと思います。
 そうした中で、あの8人の皆さんそれぞれの御経験、それぞれの分野で見識をお持ちの方ばかりでありますので、今申し上げたような競争力とか生産性という中で、アトキンソンさんもこれまでも発言しておられますし、主張もされてきておられます。また、竹中さんはこれまでの様々な諮問会議を初めいろんな場で、未来投資のメンバーでもありましたし、いろんなことに関わって、うまくいった面、うまくいっていない面を見てこられています。まさに菅総理の下でスピード感を持って規制改革や省庁横断的に成長戦略を進めようという中で、これらの経験も活かしていただきながら、様々な御意見をいただければと考えているところです。
(問)2つお願いします。1つは今の成長戦略会議の方なんですけれども、7月末に未来投資会議ではメンバーを拡充したばかりでした。今回人数を絞ったわけですが、逆に選ばれなかった方ですね、例えば働き方でいえば、連合の神津会長ですとか、ベンチャーということでいえば、米良はるかさんなどが選ばれていたわけですけれども、そうした方を今回外した理由があれば教えてください。
 もう1点、すみません、大臣個人のことになりますけれども、明日、明後日が靖國神社の秋の例大祭になりますけれども、今回大臣として参拝ですとか真榊の奉納ですとか、御対応があれば教えていただけないでしょうか。
(答)まず、人数につきましては、まずこの成長戦略会議の進め方ですね、会の持ち方、進め方、菅総理と私もかなり意見交換、私の考えも申し上げましたし、菅総理からも最終的に指示もございまして今のような形になっているわけですけれども。
 幅広くいろんな方の意見を聞くというスタイルもあれば、むしろ人数を絞って闊達に議論してもらうというスタイルもあると思いますので、どちらが良いとか悪いとかということではないと思いますけれども、今回は人数を少なくして議論をしっかりやってもらおうと、そして、民間の方々からそれぞれの見識を引き出していこうと、自由に闊達に議論していただいて、そういった方針で成長戦略を議論していこうということになりました。
 諮問会議とのメンバーの重複も避けていますし、したがって議論の重複も避けて、いわばシンプルに、効率的にというとあれですけれども、生産性高く議論ができるようにしていこうというのが大きな狙いであります。できるだけ異なった方の意見も言ってもらおうということで、メンバーの重複を避ける面もあります。
 ただし、この進め方のところに書いていますように、「必要がある時にはテーマに応じて有識者や関係者の出席を求めることができる」となっておりますので、今回メンバーに入らなかった方も場合によっては、その方々のみならず、必要な方には来ていただいて議論いただくことはあり得ると思いますし、閣僚も人数を絞っていますけれども、必要に応じて出席いただいて議論していただくということになります。
 神津さん、皆さんと私も直接話しましたけれども、いろんな場面で今後も御意見をいただいたり、また、様々な形で意見交換する場面も、あるいは調整したりする場面もあると思いますので、引き続きそれぞれのお立場でまた御意見をいただけるように私からお願いして、そのことは御理解いただいていると思います。それ以外の方にも私も連絡を取ったりしておりますので、何かこれで縁が全部切れるということではありませんので、それぞれのお立場で、それぞれの分野で大変な役割を果たされている方ばかりでありましたので、引き続き、いろんな機会で御意見をいただければと思っております。
 それから、靖國神社への参拝等につきましては、まだ何も考えておりませんので、適切に判断していきたいと思います。
(問)成長戦略会議ですけれども、生産性向上に向けた課題として、日本の企業の9割を占める中小企業の生産性をどう底上げしていくかというのが重要な課題になるかと思います。配られた資料の6には、「中小企業の定義拡大」と書いてありまして、これは菅総理の持論である、中小企業基本法の見直しにつながるお話かと思いますけれども、この趣旨、狙い等を詳しく御説明いただきたいと思います。
(答)この資料はアトキンソンさんが提出されたものでありまして、我々政府側、あるいは事務方から提示したものではございません。まず、そのことを御理解いただきたいと思います。
 その上で、この生産性というものをどういうふうに見ていくのか。確かにこのところの生産性の伸びが諸外国に比べて低かったということは指摘されているところでありますし。ただ、この一、二年の生産性の伸びは日本はかなりありますので、この辺の推移とか水準とか伸び方とか、あるいはそうしたことの数値の背景となっている今の産業構造とか、そういったことを含めて事務局で整理したいと思っております。
 生産性というのは大きなテーマの一つでありますので、デジタル化というのも大事な要素だと思いますし、働き方改革も大事な要素だと思いますし、また、これはデジタル化と関連しますけれども、資本装備も大事な要素でありますし、人材をどう育てていくか、あるいは組織のあり方、労働の円滑な移動のあり方、さまざまな論点がありますので、大企業、中小企業、あるいは規模の問題、こういったことの整理をして御議論いただければと考えているところです。
 ありがとうございました。

(以上)