西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月9日

(令和2年10月9日(金) 11:14~11:39  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私から冒頭4点申し上げます。
 まず、本日発表されました家計調査と毎月勤労統計でありますが、雇用所得の環境と消費動向を簡潔に御説明したいと思います。
 まず家計調査ですけれども、消費支出、前月比で、7月に比べて1.7%増となりました。4月、5月を底として6月は非常に良かったんですが、7月、感染拡大あるいは豪雨の影響で足踏みをしたわけですが、少しだけ良くなったということであります。8月も感染拡大が見られましたし、それほど大きく伸びたということではありませんけれども少し伸びております。
 中身を見ますと、一つは交通・通信のところですけれども、移動の交通費が増えているわけではなくて、むしろ自動車販売がここに入っていますので、自動車が少し戻ってきているということであります。
 マクロミルが発表しております週単位の個人消費を見ますと、以前にも少しお示ししましたけれども、この過去3年の幅がこのグレーのゾーンですね。4月、5月は過去3年より大きく落ち込んだわけでありますが、6月にかなり戻して、そして7月も感染拡大、豪雨がありました。それから8月はお盆の時期が本来かなり消費が増えるんですが、今回自粛もありましたのでこういう形で。8月の後半に少し過去3年の幅に戻ってきた感じであります。9月に入ってからは非常に消費は、これまでのところ9月30日までは非常に強いデータがあります。今日、10月の第1週かな、出ると思いますけれども、引き続き消費が戻ってきていると、底堅いものがあると思っています。
 新車販売、今申し上げましたが、対前年比で見ますと5月に落ち込んだ後6月に戻して、9月は前年比で14.8%のマイナスですが、御案内のとおり9月は昨年駆け込み需要がありましたので、それもあって18年と対比しますとマイナス3%ということで、かなり平年並みに戻ってきている感じを受けています。
 家電製品、昨日少し小売の御質問もいただきましたけれども、家電は6月に大幅に戻りました、4月に落ちたものがですね。家電製品、これはエアコンとか、あるいは家でテレワークをする方、冷蔵庫とか洗濯機とかも増えたのですが、特別定額給付金10万円の給付もきいておりまして、6月かなり伸びました。その分少し7月、8月はそんなに大きな伸びではありませんが、これも9月第4週はマイナス38%でありますけれども、昨年は駆け込み需要がありましたので、18年比で見ると、かなり8月、9月も高い水準で推移していますので、家電製品はそれなりに売れているものと認識しています。
 宿泊関係を見ても、御案内のとおり9月の4連休は非常に高い水準、これ4連休のうちの前2日、土日をとっていますが非常に高い伸びであります。7割、高いところでは100%、99%というところも出ています。そして、次の土日はまた3、4割のところに落ちているんですけれども、全国で土曜日34%ということですから、前週に比べたら半分に落ちていますが、10月に入っての3日、4日、これは東京が対象に入っているわけですが、全国平均で40%と少し戻してきています。甲信越61%ということで、近距離の所を土日ですから東京から行っているのかもしれません。あるいは東北、北関東とこのあたりも、季節的に北海道も含めてこんな伸びになっています。
 宿泊稼働率を見ていただきますと、19年がこの数字ですので、これに比べると今年の数字はまだそこまではいっていませんけれども、しかし、甲信越、先ほど申し上げたように去年61%だったものが今年41%の稼働率で、かなり上がってきていることが分かると思います。全ての地域で上がってきています。中国地方は昨年の9月53%、10月63.9%に対して49%、47%とかなり近い水準になってきていますし、観光もかなり戻ってきている感じを受けています。
 景気ウォッチャーは昨日申し上げたとおりでありまして、水準自体はまだ低いですけれども、かなりマインドは良くなってきていることが伺えます。
 それから家計ですね。これ、今日の家計調査とある意味軌を一にしている部分があると思います。マインドは4月、5月が非常に低かった分から6月にぐんと上がって、7月、8月は少し横ばい状況、足踏みをして、8月が少し上がってきている、こういう感じが出ていますが、9月はこのような形で、3カ月前と比べると現状、認識、マインドは非常に良くなってきていますので、引き続き顕著な消費を期待したいと思っています。
 昨日、小売でばらつきがあるんじゃないかという御質問をいただきました。
 これで見ますと、先ほど申し上げたように家電量販店はこんな感じで推移していますが、去年との比較もありますのでどうしても家電なんかは駆け込み需要が影響する部分がありますが、乗用車は非常に戻ってきていると。先ほど車の部分、家計調査と軌を一にする部分。これ、昨日の景気ウォッチャー調査から見たものでありますが。それから、百貨店も6月に大分戻した分が少し落ちてきていますが、インバウンドがない部分はありますけれど、それなりにかなり戻してきていると。商店街も非常に悪かった部分が、少し明るさが出てきている。「GoTo商店街」というのもこれからありますし、「GoToEat」もきいてくるんだろうと思います。
 そういう意味で、全体で見て確かにばらつきはありますけれども、全体として小売全体は戻ってきている感じを受けています。消費が底堅いものがあるんではないかと思っています。
 先行きも同様であります。
 それで、ここからでありますが、実収入で見ますと、前年同月比で1.2%増ですね。ここにはまだ、特別収入で、特別定額給付金の10万円の支給が行われている部分が一部あると思いますので、それがきいていると。繰り返し申し上げていますが、世帯主の配偶者の収入が12%伸びています。これが引き続き同一労働同一賃金で配偶者の方、パート、アルバイトの処遇改善が続いているものというふうに思います。これは非常に良い傾向でありまして、昨日も国会で女性の再就職支援を初め、しわ寄せがいっている部分についての質疑がありましたけれども、しっかりとこれを定着させていくことが大事だと思いますので、同一労働同一賃金が定着し、そこから正社員化していくというところの動きを、是非進めていきたいと思っています。
 給与総額、毎勤が発表されました。これを見ていただいたらいいんですけれども、この折れ線グラフが現金給与総額であります。まだ対前年マイナスでありますが、しかしこの5月を底にマイナス幅が着実に縮小してきています。
 所定外労働時間が着実に増加してきています。まだコロナ前の水準には戻っていませんけれども、1月、2月の水準から3月に入ってぐっと落ちて、4月、5月が底になったわけですね、緊急事態宣言で。ところが、6月からは急速に所定外の労働時間が増えてきています。この動きが続いてくれることを期待していますし、特に製造業で伸びてきていますので、これは輸出が増え、生産が、かなり稼働が上がってきているものというふうに思います。
 当然、「GoToEat」を初め、サービス業も戻ってきていますので、経済が着実に回復基調に戻りつつあるということを示していると思います。
 そして、先ほど申し上げた毎勤からもパートタイム労働者の特別給与が、8月ですので8月だけ捉えるのではなくて、6、7、8で、いわゆるボーナス的なもの、特別給与、これまでもらえていなかった人も含めて初めて出た人もおられると思うんですけれども、同一労働同一賃金で特別給与が出ているということで、16%増ということであります。様々な業種で増えてきておりますので、この働き方改革、同一労働同一賃金、そして正規社員化、これを是非引き続き進めていきたいと考えています。
 雇用の状況は前にも申し上げましたので、これは省きます。
 そしてウォッチャーの、昨日お配りしていますけれども、雇用のDI、これも非常に戻ってきています。コロナ前の水準まで戻ってきています。現状は消費税増税前、あるいは先行きも増税前の水準まで戻ってきていますが、雇用の水準自体は回復していますが、まだ低い水準。先ほどの所定外労働もそうですけれども、まだ回復途上ですので、この動きをしっかりと定着させなければいけないと考えています。
 以上が今日の家計調査と勤労統計に基づく評価であります。いずれにしても、働き方改革を継続していますので、これをしっかりと定着させていくことが大事だということであります。特に女性の正社員化、以前から申し上げているL字カーブ、結婚、出産を機に正社員がぐっと減ってしまう、これを改善しなければいけないということでありまして、様々な取組を進めていきたいと思っております。
 それからこの関連で、就職氷河期世代の予算について2点目申し上げます。
 御案内のとおり、3年間で650億円を上回る予算を安定的に確保して支援に取り組むことにしておりますけれども、令和元年度の補正予算の66億円、それから令和2年度は199億円措置をしているところであります。この中で、こうした方針を踏まえて、令和3年度の概算要求は今年度の当初予算を上回る249億円を要求しております。
 主な点を何点か申し上げると、この就職氷河期世代専門のハローワークの窓口、この充実に16.6億円、昨年よりも1.7億円の増額になっております。それから、特定求職者雇用開発助成金、特開金と言われるものですけれども、これも14.3億円に増額しております。これは就職氷河期世代を半年間雇えば30万円の支給がある、1年間雇えばさらに30万円で60万円の助成があるという制度であります。特開金、これも活用してもらいたいと思っています。
 それから、自治体でそれぞれの地域に応じた対策をしてもらうという交付金30億円を概算で引き続き要求しております。新たな時代、コロナの時代でもありますので、対面によらないウェブ方式も含めた支援策の充実を図っていきたいと考えています。
 そして本日、この加速化交付金、自治体に交付する第3次分の交付決定をいたしました。これで11億円の交付決定となります。幾つか事例を申し上げますと、資料をお配りしていますが、長野県でマッチングを行っていくということ。これは雇用全般にいえるマッチング、必要としている業種がありますので、IT関係とか物流とか医療介護とか、そこにしっかりとマッチングしていくと。それから、実際3カ月程度の職場実習をやりながらフォローしていくというようなことが非常に好評だったものですから、対象人員を増やそうということで増額しております。
 それから、岐阜県も大変好評でありましたので増額しております。まさに伴走型で支援をして、ここもマッチングとかセミナーとか、それから臨床心理士も増員して、カウンセリングも充実させていこうということであります。
 それから、大阪府、公営住宅の空きスペースを使って、その周辺の求人開拓を行いつつマッチングをやっていくということ。自立していくということで、場合によっては近い所に住んでいただきながら、そして就職をマッチングさせていくという事業であります。
 それから高知県、先ほど申し上げたウェブ、ホームページによる発信であったり、オンラインでの相談、それからサポートステーション、サポステですね、これに人員を増やそうと。それからジョブ体験、こういったことの取組に対して支援を行うこととしております。
 全国知事会からは、地域で雇用対策をやりたいということで、以前からお話がございました。7日、飯泉知事会会長ともお話しをしまして、この予算もまだありますので、30億円のうち11億円交付がなされて、まだ19億円ありますので、もちろん地方創生の臨時交付金に比べれば金額は小さいですが、それぞれの県、市で取り組んでいる取組に対して、まさに弱いところにしわ寄せがいっているわけでありまして、先ほどの女性であったり、この就職氷河期世代であったり、さらに厳しい状況になっていると思いますので、そうした支援をそれぞれの地域でうまく活用してやっていただきたいということで要請を申し上げました。
 先ほどの特開金ですね、半年雇えば30万円。こうしたもの、あるいはトライアル雇用とかキャリアアップ助成金とかもあります、研修を行ったりしていく。あるいはトライアル雇用は一定期間トライアルで採用してもらうわけですけれども、こうしたことへの上乗せも認めておりますので、企業にとって上乗せでプラスがあればさらに採用意欲があると思いますので、マッチングも含めて強化していただけるようにお願い申し上げました。
 同様の趣旨を政令市の横浜市長にもお話ししました。市長会の相馬市長にもお願いいたしました。都道府県、市町村で使えますので、是非、地域の事情に応じた、寄り添った対応をということでお願いしているところであります。
 それから、来月29日に就職氷河期世代向けの国家公務員試験を行います。一次選考の筆記試験であります。今年予定しております157名の採用に向けて取り組んでいきたいと思っております。ここにありますとおり、各省で157名の採用を予定しておりまして、試験スケジュールも書いてあります。
 そして、併せて経験者採用、いわゆる中途採用も含めて、3年間で2,000名を超える採用を期待しているところであります。詳細は事務方から説明させたいと思います。
 それから3点目、出張についてでありますが、今日この後、長崎、佐賀に出張することは昨日申し上げました。
 本日、その前に、羽田に行く前に東京都が準備を進めております臨時の医療施設、お台場を視察させていただきます。当面の間、入院治療の必要のない軽症の方や無症状の方を受け入れると。ペット同伴者用ということでもありますので、宿泊療養施設として運用される施設を視察したいと思います。緊急事態宣言の時に着工していたものであります。
 それから月曜日には、川崎重工の東京ロボットセンター、同じくお台場なんですけれども、PCR検査の全自動のロボット、コンテナ搭載モデルの視察をすることにいたしました。ロボットによる唾液の検体採取から始まって、分析まで含めて連続的にロボットが短時間で処理をするというものであります。それを視察したいと思います。
 ちなみに昨日ですけれども、カネカが1時間でPCR検査を行えるキットを発売するということで発表がありました。様々な企業がこの検査について研究開発を進めてくれております。短時間で、そして簡易に検査ができれば、より検査態勢の充実につながると思いますので、月曜日にはそうしたことを視察したいと考えています。
 それから4点目ですかね、未来投資会議についてであります。
 未来投資会議については廃止することになりました。他方、経済財政諮問会議が総司令塔として今後、経済財政運営と改革の基本方針を示していくわけですけれども、まさに我が国の経済の持続的な成長に向けて成長戦略の具体化を推進するために、成長戦略会議を設置することといたしました。
 繰り返しますが、経済財政諮問会議では大きな方向性、重点課題を提示します。そして、こうした大きな方向性、重点課題に沿って、成長戦略会議では改革の具体化を審議することとして、相互に連携しながら、また、機能分担を図りながら政策を推進することといたします。
 この成長戦略会議の議長は加藤官房長官が務め、副議長を私、西村と梶山経産大臣が務めます。民間の有識者委員は現在調整中でありますので、決まりましたらまた御報告させていただければと思います。
 感染状況につきましては、昨日622名の感染であります。いつものとおりでありまして、減少傾向が緩やかになっている中で、この数日間の動向をしっかり見極めたいと思っております。
 また、感染が落ちつかない地域、あるいはクラスターが発生した地域、こうした地域の首長とは緊密に連携をとろうと思っております。昨日も札幌市長と連絡をとり、情報を共有し、また、連携を確認したところでありますけれども。もちろん厚労省と連携しながら、各自治体と私どもスタッフも日々連絡を取り合っていますけれども、クラスターが発生した時に、基本はPCR検査などでしっかりとその範囲で封じ込めていくことが大事でありますので、こうした取組を引き続き連携してやっていければと考えています。
 また、幾つかの自治体でそうした成功事例も出てきておりますので、横展開、それぞれの自治体の取組を参考にしてもらえればと考えています。
 私から以上です。

2.質疑応答

(問)未来投資会議の廃止についてお伺いします。従来、未来投資会議は政府4計画で骨太方針とともに成長戦略を示すなど、重要な役割を果たしていたと思いますけれども、具体的に今後の役割分担について、例年示していた成長戦略というのは、どういうふうになっていくのかというところ。あと、安倍政権のもとでは直近、拡大をして中長期のコロナ後の未来像というものを議論して、年末までに中間報告を予定していたと思うんですが、そういうものというのは今後どうなっていくのかという点をお聞かせください。
(答)具体的にどのような形で進めるかについては、まだ調整しておりますけれども、これまで未来投資会議で検討してきた具体的な項目については、原則として新しい会議に、これまで取り組むことにしていた規制改革なり、こういったものについては引き継がれるものと考えておりますが、今後、経済財政諮問会議で大きな方向性、重点課題の議論をしていきますので、まさに諮問会議が総司令塔ということになります。
 その上で、それぞれの改革のテーマの具体化、これを成長戦略会議で行っていくということになります。ですから、大きな方向性とかこういったものについては、諮問会議で議論されるということが基本だと考えています。
 いずれにしても、まだどういう形で進めるか、しっかり今後調整していきたいと考えています。

(以上)