西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月24日

(令和2年9月24日(木) 18:13~18:33  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 まず、月例経済報告についてお話し申し上げます。
 景気の現状についての総括判断は、先月の判断を維持しています。今回、9月は、上方修正したものが4つあります。輸出とそれに伴って生産が増えています。それから、倒産と雇用情勢を上方修正しています。下方修正したものが、個人消費は若干の文章の下方修正なんですけれども、設備と2つ。4勝2敗です。7月は6勝ということで上方修正したわけですが、9月はこういう形で4勝2敗で、いわば個人消費が全体の6割弱、設備投資が15、6%を占めますから、いわゆるGDPでいえば、横綱と大関がこういう形で下方修正になっていますので、全体の7割を占めるところが若干の下方修正ということですけれども。ということで、勝ち星でいえば4勝2敗ですけれども、横綱、大関が負けていますので、全体として上方修正はできないということで、維持をしております。
 それから、先行きについては文章で若干書き直しておりますが、持ち直しの動きが続くことが期待されるということであります。
 そして、今申し上げたとおり、海外の経済がOECDなどで上方修正されていますので、輸出、生産、生産も基本的に先行きも含めて、プラスの見通し、車を中心に堅調な見通しとなっています。
 こういったことから、以上のような判断をしております。詳細は事務的に御説明をしているとおりであります。
 それから2点目に、明日、分科会を開催いたします。第10回の新型コロナウイルス感染症対策の分科会であります。9月25日の1時からの予定であります。
 今回は、足下の感染状況について、それから国際的な人の往来の再開について、3点目にワクチン接種についてこれまで議論してきたことの中間とりまとめを行う予定です。
 4点目に、「Go To イベント事業」について、御議論いただく予定にしております。
 最近の感染状況については、本日、厚生労働省においてアドバイザリーボードが開催されまして、発症日ベースの流行曲線で見て、8月末以降、下降は続いているが、その傾向に鈍化が見られるとの評価がありますけれども、基本的に下降傾向は続いているという評価であります。明日の分科会でも御議論いただく予定にしております。
 そうしたことを踏まえまして、「Go To イベント事業」などにつきまして、明日は事業を所管します経産省から説明をしていただきますが、10月中旬以降の開始を目指すということで、その準備に入りたいということであります。しっかり御議論いただこうと思っております。
 それから、あわせて、国際的な往来の再開につきましては、新規入国許可の対象者を拡大することに関して、国家安全保障局から説明の上、御議論いただく予定としております。
 3点目に、先ほど小池都知事にお越しいただき、意見交換を行いました。足下の感染状況について、まず意見交換を行いまして、都のほうではモニタリング会議を開催して、感染状況については引き続き、「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」という3段階目、これを維持するということでありました。引き続き、大事な局面ですので、先ほどありましたように、下降は続いていますけれども、少し下降が緩やかになっているということでありますので、引き続き連携をして対応をしていきたいと考えております。
 それから、あわせて、東京2020大会、オリンピック・パラリンピックの成功に向けた取組であるとか、秋冬のインフルエンザ流行を見据えた体制整備とか、それから「Go To トラベル」の東京追加などについて、意見交換、御要望も含めて伺いました。
 そして、もう一点、「国際金融都市・東京」構想の実現について、要望もいただきました。
 今日、私は国際金融都市につきまして、骨太方針、それから成長戦略にも明記をしているところであります。国際金融都市を日本においても構築していくという方向性を示しているところでありますけれども、麻生副総理・金融担当大臣ともお話をさせていただきました。しっかりと取り組もうということを確認しました。必要な手続の改革であったり、税制であったりを検討していこうということであります。そういったことについて、意見交換をさせていただきました。方向性の共有をさせていただきました。
 今後、国で検討を進めていくにあたって、東京都からもヒアリングを行いたいと思いますし、また先般は福岡に出張したときに、福岡としても取り組むということで、小川知事からも要望もいただきました。
 そういった国際金融都市に取り組む自治体、それぞれに特性があると思います。東京はやはりこれだけの市場がありますし、インフラも揃っているわけであります。福岡は福岡で、アジアに近いという特性もあるわけであります。そういった特性を生かしながら、それぞれ国際金融都市構築に向けて取り組むということでありますので、国として検討を進めるにあたって、そうした自治体から意見を聴取して、課題も抽出しながら、国として環境整備、そして推進していくという方向性を是非示していきたいと考えております。
 それからもう一点、足下の感染状況、明日、詳しく報告をさせていただきますが、昨日時点の新規陽性者、昨日は216名ということであります。
 連休中でありましたので、検査件数が少ない地域も多いですので、東京も検査件数が少なかったために4%という陽性率になっていますけれども、ちょっと検査件数が連休中に落ちているということもあります。
 60代以上の方も200人程度ということで、ここをよく見ていかなきゃいけませんが、ピーク時に比べるとまだパーセントも含めてかなり低い数字になっています。
 それから、重症者の数も、東京都のベースで28名ということで、大体20名台で推移をしてきております。
 今、申し上げたとおり、東京都の陽性率も3%台から少し上がっていますが、検査件数がちょっと落ちていますので、連休中ということもあって落ちています。それから、他の県もちょっと検査件数が落ちている所もありますが、大阪なども少し検査件数が落ちて5%台になっていますが、基本的に4%台で推移をしてきています。福岡はもう1%を切るような格好、沖縄も2%を切るような数字になっていますので、かなり落ち着いてきていると思います。
 それぞれの状況も、60代以上の感染者の数も見ていますが、大阪も9名ということですし、沖縄も7名です。それぞれ重症者の数、占有率も見ていきますが、逼迫した感じは今のところはないということであります。
 そして、それぞれ指標も見ております。沖縄もかなり改善してきました。病床も25%から30%ぐらいにまで落ちてきています。東京が若干高めになっていますが、このあたりも含めて、先週、今週の数字も東京は1を切っておりますし、新規報告者の数も第3ステージの15人に比べれば7人台ということでありますし、PCR検査は、陽性率は4.0%ということでありますので、幾つかはステージ3の状況になっていますけれども、全体として見れば下降傾向の中で落ち着いてきている状況にありますが、重症者の数、あるいは高齢者の感染など、しっかりと緊張感を持って見ていきたいと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告についてお伺いします。
 大臣、御説明の中で横綱と表現されました個人消費について、5カ月ぶりの下方修正となりました。足下でいえば、4連休で人手が戻りつつある一方で、感染者数の下降ペースが緩やかになるという状況もありますが、今後、まさに大臣がおっしゃるような感染防止策との両立というのが今後の見通しの鍵を握ると思いますが、改めて現状、見通しについて、大臣の御見解をお聞かせください。
(答)まず、この連休中、東京ドームであったり浅草を視察させていただきました。実感として、商売されている方々の御意見も伺いましたけれども、客足がかなり戻ってきたという実感を言っておられました。私自身もいろんな方とお話をさせていただきましたけれども、消費意欲は底堅いものがあるという実感を持ちました。
 また、そうした消費意欲を、いわゆる「Go To キャンペーン」が後押しをしていると見ています。幾つか数字がありますけれども、消費については、4月、5月、これは過去3年間の消費の幅です。このぐらいの幅で過去は推移したということですけれども、緊急事態宣言で非常に低かったものが6月、7月に戻ってきたわけですけれども、8月は感染が広がったこともあって、本来、お盆を中心に相当消費が増える時期は低かったわけでありますが、9月に入って、16日までの数字ですけれども、これも例年並みに戻ってきています。回復基調にあります。
 そして、これは地域別の宿泊施設の稼働率を、19日から21日の平均で見ていますが、この4連休の宿泊施設の稼働率であります。もう御案内のとおり、東京都民は今、対象外ですから入っていないわけでありますけれども、そして東京に来ることも、東京は対象外ですから南関東は低くなっていますが、しかし全国で3分の2、66%まで上がってきています。北海道は88%、甲信越は89%、中国四国は92%台、沖縄も62%まで上がってきています。
 もう少し細かく見ますと、次のページ。これは4連休のそれぞれの日の宿泊施設の稼働率。火曜日は最後の日ですから、これはもう帰るということで泊まる方は少ないわけですが、この3日間の平均が今、申し上げた、全国で66.7とか、北海道は88.5とかなっているわけです。例えば20日の日曜日は、北海道は99%、東北は91%、甲信越も99%、北陸は100%、もう満員だったということだと思いますが、中国四国もほぼ満員、100%に近いということで、かなり高い数字になっています。
 東京は「Go To」の対象になっていないという上でも、これだけの意欲があるということでありますから、消費意欲はかなり強いものが全国的にあるものと思います。
 そして、それを支える、所得の状況ですけれども、これは休業者の数、御案内のとおり、4月に652万人まで増えたわけです。企業が緊急事態宣言の下で休業をしたということであります。それが今や、207万人まで減ってきていまして、3月の水準まで、ほぼ通常の水準近くに戻ってきています。就業者の数も戻ってきていますので、これは就業者の数は当然、休業していても就業はしているわけですので、雇用情勢も少しずつ改善してきている状況が伺えます。
 そして、これも以前に説明しましたけれども、所得なのですが、これは所定外が青です。所定外は4月、5月はもう大きなマイナスですね。残業がなかったと。それが徐々に縮小してきています。そして、ボーナスも当然少なかったわけですが、所定内給与は、前にも説明したように、今年は厳しい中でも企業が1.9%の賃上げを実施してくれました。7年連続で2%前後の非常に高い水準で維持して、今年も1.9%と。従って、所定内給与、ここはプラスで推移しています。全体としてマイナス幅が縮小してきているということであります。
 そして、前にもお話ししました、パートタイム労働者の皆さんに、6月、7月の平均ですけれども、いわゆる同一労働同一賃金の制度が導入されたことによって、特別給与が大幅に増えています。これまでもらえなかったようなボーナスが支給されています。平均で17%増、6,000円でありますけれども、これまで少なかった方々に同一労働同一賃金でプラスになっています。
 特に電力ですね、電気、ガスとかは4万4,000円。医療、福祉でも1万1,000円ということで、かなりこういった面の同一労働同一賃金も効いてきていると思います。
 こうしたことを背景に、消費意欲は底堅いという認識を持っています。「Go To キャンペーン」が後押しをすることになりますが、しかし、感染防止策を取ることが大前提でありますので、しっかりと感染防止策を取っていただいて、経済活動との両立を図っていくということが大事だと思います。
 明日、分科会におきましても、感染状況の分析をしていただきながら、留意すべき事柄などについて、御議論いただければと考えているところであります。
(問)明日の分科会で1点伺わせてください。
 「Go To キャンペーン」のうち、「Go To トラベル」ですが、前回の分科会でも議論になりましたが、割引商品の発売は既に18日から始まっていますが、分科会でこれの最終的なゴーサインを出すかどうか、判断を専門家にしていただくということでしょうか。お願いいたします。
(答)前回の分科会で、10月1日以降、東京都を対象とするということについて、様々な御提案をいただいたところであります。それを受けまして、10月1日から開始をすべく、観光庁において、そうした提言を踏まえながら今、対応しているところであります。予約の受付も始めているところであります。
 提言の中にありました感染防止策を徹底するということが大前提でありますが、浅草を回りましても、東京以外の方が旅行で東京に来てもらうことへの期待感も非常に強いものもあります。また、地方でも、先ほどのように4連休は非常に高い数字となっていますけれども、まだ60%台の地域もありますし、東京の方々が旅行をすること、来てくれることの期待感も強いものがあります。
 また、東京都知事から表明がありましたけれども、東京都民が何か偏見や差別とか、そうしたことを受けないようなキャンペーンをしっかりやってほしいということもありました。
 基本的に進めていく方向で今、準備を進めているところでありますが、いわば念のために、足下の感染状況も分析をしていただき、今日、厚労省のアドバイザリーボードにおいて、一定の方向は出されているわけですけれども、改めて明日、分析をいただいて、そしてその上で留意すべき事柄などがありましたら、御意見をしっかり伺いたいと考えているところであります。
(問)大臣に伺います。明日の分科会で、いわゆる出入国のことでお話をされるということですけれども、これは分科会だけの議論ということになるのでしょうか。それとも、例えば基本的対処方針の改訂などに向けて、対策本部を開くようなお考えは特にないのでしょうか。
(答)新規入国許可の対象者、これを拡大していくことについて説明をいただき、御議論をいただく予定にしておりますけれども、現時点で対処方針を変えることは考えておりません。
 ありがとうございました。

(以上)