西村内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月17日

(令和2年9月17日(木) 10:07~10:45  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 再任されました西村でございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 担当は同じでありまして、経済財政担当の内閣府の特命担当大臣ということでありますけれども、経済再生、全世代型社会保障改革、それからあわせて新型コロナウイルス感染症対策、それからTPP、こういったことを担当してまいります。いずれも重要な課題でありますので、与えられた任務、職責を全力で全うしていきたいと考えております。
 まず何より、この新型コロナウイルス感染症への対応、総理からはメリハリのきいた感染対策を行うということと、感染対策と経済活動を両立するということで強い指示をいただきました。雇用を守り、事業を継続のために、躊躇なく対策を講じ、経済の回復につなげていくようにという御指示であります。引き続き、専門家の皆さんとも毎日意見交換をしながら、そして知事とも連携を取り、しっかりと対応していきたいと考えております。
 もう御案内のとおりでありますけれども、4月、5月の緊急事態宣言と、7月、8月の感染再拡大、この2回を経験し、そして、1回目は緊急事態宣言によって収束させることができたわけですけれども、2回目は緊急事態宣言によらずに減少傾向に転じさせることができているわけであります。
 この間の対策、例えばPCR検査の戦略的な拡大、リスクの高い所、方々には重点的に幅広くPCR検査を行っていくということであります。それから、いわゆるクラブなど接待を伴う飲食店対策。それから、東京で起きて減っておりますけれども、院内感染、高齢者施設内の感染、こういった対策。こういったことがどういった効果を持っているのか、この分析を進めているところであります。人工知能、スーパーコンピューターなども使って分析を進めております。クラスターの分析も全国の保健所と連携しながら、あるいはクラスター班、厚生労働省の専門家の皆さんとも連携をしながら、分析を進めてきております。
 これまで皆様方にお願いしてきた、いわゆる3密の回避、マスク、消毒、大声の禁止、換気の良い所、こういったところを引き続き徹底していただくと同時に、もう少し細かく、こういう状況になるとリスクが高まるといったことがお伝えできないのか、この分析を進めているところであります。
 いずれにしても、秋、冬、もう近くまできているインフルエンザとの同時流行にも備えをしなければいけませんので、この1カ月が勝負だと思っております。対策を9月から10月にかけて、しっかりと練り上げて深化させていきたいと考えているところであります。
 それから、経済再生についてでありますけれども、基本は2回の補正予算をしっかりとできる限り早く、着実に執行していくことだと思います。既に、お一人10万円の定額給付金はもう99%給付が終わっておりますし、引き続き、いわゆる持続化給付金であるとか、あるいは新たに始まった家賃の給付金であるとか、あるいは本当に厳しい状況にある皆さん方への緊急小口の資金、あるいは住宅確保の資金、こういったものをしっかりと必要な方にお届けをしていくということが大事だと思っております。
 そして、総理から、臨機応変かつ時機を逸することなく経済財政運営に万全を期すようにというお話がございました。3つのお言葉をいただきました。躊躇なく、そして臨機応変に、そして時機を逸することなく経済対策をしっかりやるようにということでありますので、これまで以上に感染の状況、そして、それぞれの経済の指標、内外の指標を、緊張感を持って日々見ながら、必要な対策を講じていきたいと考えております。
 足下の経済で申し上げれば、7月、8月は天候、長雨、台風、豪雨、それから感染が少し広がってきたこともあって、消費が少し足下、弱かったわけでありますけれども、9月に入って、いわゆるマクロミルの消費動向によれば、過去3年の範囲内に戻ってきていますので、少し消費も6月非常に好調だったその持ち直しが、またそういった感じを取り戻しつつあるのかという感じを持っております。
 あわせて、昨日も発表されましたけれども、アメリカ、中国の経済が戻ってきたこと、OECDでも上方修正がなされております。そうした中で輸出が減少幅を縮小したり、あるいは中国向けが増えてきておりますので、そういったことから輸出が増え、生産が増えれば、これは雇用にもプラスの影響がありますので、消費、そして輸出、生産、こういったところをしっかり見ていきたいと考えております。
 いずれにしても、デフレでない状況まで作り上げてきたわけでありますから、絶対にデフレには戻さないという決意の下、必要な認められた予算を着実に執行しながら、下支えをしっかりやって、デフレには戻さない、その決意で臨んでいきたいと考えております。
 その上で、その先をにらみながら、様々な成長戦略を執行していかなきゃいけないと思いますが、3点、1つはデジタル化、2つ目に規制改革、3点目に地方創生。これを担当大臣とも連携しながら進めていきたいと考えています。
 デジタル化については、これも3点あります。まず、政府の手続のデジタル化、デジタル政府を今回コロナを機に、様々な手続がなかなかオンラインでデジタルでできなかったことが分かったわけでありますので、これを徹底していく。マイナンバーの活用も含めてであります。
 2点目に、民間、官民挙げてのいわゆるデジタルトランスフォーメーション。テレワークであったり5G、あるいはローカル5Gの推進であったり、様々な、これは2つ目の規制改革にもつながってきますけれども、オンラインでデジタルでできるように。もう既にハンコはなくても契約は有効であるとか、様々な文書、通知も出してきておりますけれども、これを更に進めていきたいと考えています。この点は民間もソフトウェア投資、IT投資は、設備投資の先行きが少し不透明な中でありますけれども、堅調に推移をしておりますので、民間の改革の意欲も感じております。これを後押しするような対策を引き続き講じていきたいと考えています。
 3点目に、その上で既に成立をしましたデジタルプラットフォームの取引透明化法の着実な執行、また、いわゆるデジタル広告指標などのルール整備、これをイノベーションと両立をさせていくということが大事でありますけれども、いずれにしても、総理がG20大阪サミットで提唱されたDFFT、データの自由な流通をトラスト、信頼を持って進めていくということでありまして、これはプライバシーとかセキュリティーとか、こういったものを守りながらということでありますので、こういったトラストをベースとしたデジタル市場というものを考えていく。個人個人が御自身のデータを、いわばプライバシー、セキュリティーを守りながら、しかしそれがマクロで活用される、そしてその恩恵も個人個人が受けられるような、これはなかなか難しいんですけれども、新しいブロックチェーンなどの技術も活用しながら、将来の姿を描いていければと考えています。
 2点目が規制改革。これはもう既に、このコロナを機に、例えばテイクアウト営業を行う飲食店に対する酒類販売の許可であるとか、あるいはタクシーによる食料品や薬品の運送の許可であるとか。このタクシーの食料品の運送許可は、10月以降も継続するということで聞いておりますので、規制改革は引き続き継続されます。また、いわゆる道路占用許可を取って、オープンなカフェ、道路上でカフェを開く、この許可などの規制改革も進んできておりますが、コロナを機に「新たな日常」を作っていく上で、新しいビジネスモデルを是非作っていただきたいと思いますし、そのために障害となっている規制改革は進めていきたいと考えています。
 3点目、地方創生。これももうテレワークを多くの国民が経験し、リモートワークと言っても良いと思います。やればできるじゃないかということが分かったわけであります。郊外の一軒家が売れているという話も申し上げてきました。
 地方でもワーケーション、これは和歌山の白浜空港でワーケーションのための設備を提供している方からすれば、結構引き合いがあるということであります。白浜まで飛行機に乗ってしまえば1時間で着いて、すぐそこにオフィスがあるわけでありますので、そういった新たな、多様な働き方と同時に、地方でも様々な活動ができる、仕事ができるというこの環境を是非整備をしていきたいと、この機会に東京一極集中の是正をしていく、そのことがまた少子化対策にもつながってくる面もあると思いますので、是非進めていきたいと考えております。
 昨日も特にデジタル化については、平井大臣、それから河野大臣ともかなり夜待っている時間がありましたので、いろんな話をさせていただきましたし、コロナ対策については田村厚労大臣ともかなりいろんな話をしました。関係する大臣、担当する大臣としっかりと連携しながら、一つ一つ結果を出していきたいと考えています。
 あわせて、全世代型社会保障については、人生100年時代の到来を見据えて、全ての皆さんに安心していただけるような、そういう社会保障制度を構築していくということであります。これまでの年金、医療、介護のみならず、労働、働き方も加えて、幅広く改革を進めていきたいと考えています。もう既に70歳までの就業確保のための措置、それから年金受給開始時期の選択肢を75歳まで拡大をすること、あるいはパートの皆さんへの厚生年金の適用拡大、こういった法律が成立をいたしております。残された課題についても、年末の最終報告に向けて検討を進めていきたいと考えています。
 就職氷河期世代の支援も引き続き担当します。このコロナを機に更に厳しくなっている状況にあるわけですけれども、雇用環境は非常に厳しいわけですが、補正予算でも地域に密着して都道府県、あるいは市町村で取り組んでいただく予算を確保しておりますので、身近なところで地域の事情に応じて、最もよく分かった市町村、都道府県において対策を講じていただいて、お一人お一人の状況に応じた寄り添った支援を引き続き行っていきたいと考えています。
 それから、TPPにつきましては、まさに内向きになりがちな中で、自由貿易、自由な投資の環境、知的財産の保護、こういったことが盛り込まれている21世紀型のハイレベルなこのルールをTPPは推進していくわけでありますので、是非仲間を増やしていきたいと考えています。
 そうした中で、イギリスが従来より加入に関心を示しております。トラス国際貿易大臣が、来年早期に正式な要請を行うことができるように希望している、このことが表明されたと聞いております。日本としても英国の関心を歓迎しているところであります。日英の協定、2国間のFTA、いわゆるEPAについても大筋で合意がなされたと承知をしておりますので、こうした状況も踏まえながら、必要な情報提供を行っていきたいと考えておりますし、来年は日本が議長国になりますので、是非その立場でも、この21世紀型のハイレベルなルール、そして自由な貿易、投資の環境を是非広げていきたいと考えています。
 この自由な貿易の体制、あるいは戦略的な通商、これについては茂木大臣や梶山大臣ともしっかり連携していきたいと考えています。昨日は麻生副総理から、このことについて、しっかり茂木大臣と連携してこの難しい国際情勢、コロナを機に難しい状況の中でしっかり舵取りをやってくれということで、直接、麻生副総理からもそんなお話をいただきました。
 いずれも、今、申し上げたような課題、内外の大きな変化の中で大変難しい課題でありますけれども、コロナと経済の両立、そして自由な貿易の体制、弱い立場にある方々への支援、全ての方に安心していただける社会保障制度の構築、本当に難しい課題でありますけれども、与えられた任務を、成果があがっていくように全力を挙げていきたいと考えています。
 特にコロナと経済の両立、これはなかなか全ての方に100パーセント満足していただくのは本当に難しい課題でありますけれども、そうした中でも誰もが少しでも安心していただけるように、そして、今、申し上げたような課題、全てに共通することでありますけれども、将来に向かって全ての人が希望を持てる、そういった政治、政策を実行していきたいと考えています。誰もがやっぱりこの豊かさを実感できるような、そういった経済、そういった政治を実現していければと考えているところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)経済財政運営についてお伺いします。総理からは躊躇なく、臨機応変、時機を逸することなくというお言葉があったということですけれども、総裁選の中でも追加経済対策の必要性については話題にのぼっておりました。まだ予備費も残されていると思いますが、大臣として、現下の情勢を踏まえて追加の経済対策の必要性を現時点でどう考えているかという点をお伺いできれば。
(答)今、御指摘もありましたけれども、まずはこの補正予算を着実に実行して、必要とされる方のところに必要な資金を届けていくことが大事だと考えています。特別定額給付金はもうほぼ99%給付が終わっておりますが、なお中小企業や個人事業主の皆さん方は、持続化給付金の申請がなされています。既に4.3兆円、330万件の方々にお配りをして給付を行っておりますけれども、引き続き、なおオンラインでの申請が続いております。
 また、家賃支援の給付金も給付件数は13万件までいきました。1,100億円の給付となっておりますが、申請件数はまだ3倍、4倍近くあるのかな。ですので、必要とされる方にしっかりとお届けをしていきたいと思っていますし、雇用調整助成金も1.3兆円を超えてきました。リーマンショックのときが2年半ぐらいで1.2兆円でしたので、リーマンを上回る規模の雇用調整助成金で、雇用を何とか企業の皆さんが踏ん張って守っていただいている状況ですので、雇用対策、残念ながら職を失われる方も出てきていますから、マッチングも含めて対策をしっかりと講じていかなきゃいけないと考えています。
 そして、御指摘の予備費も、今、医療対策に、一昨日、閣議決定をして、1.6兆円規模の支出をしますけれども、まだ8兆円ぐらいが残っていますので、しっかりとその状況を見ながら臨機応変に、またこの予備費の活用も頭に置いて対応をしていかなきゃいけないと思っています。
 いずれにしても、感染状況がどうなっていくのか、これは国内だけじゃなくて海外も含めて、国内外でこのコロナの状況がどうなっていくのか、それから経済状況、これを緊張感を持って見ながら、まさに臨機応変に時機を逸することなく、そして、躊躇なくというところも昨日指示をいただきましたので、常に国民の皆さん、そして経済を守っていくということを頭に置きながら対応していきたいと考えています。
(問)再任おめでとうございます。
 経済とコロナの両立は最も難しいと思いますし、菅総理が自助・共助・公助ということをおっしゃいます。本当に売上が3分の1以下になっているような外食、これは自助しています。それで公助はやる。やっぱりここから問われるのは共助じゃないんですけれども、共助というんでしょうか、「Go To Eat」ですとか何がしかの補助金が出た後、外食してやっぱりお店を助けようとか。
 イギリスの「Go To Eat」はそういう意味で成功したというふうに私は聞いているんですが、総理がおっしゃる意味での共助の部分、これを乗り越えるために何か国民運動じゃないですけれども、共助の部分について大臣はどういうふうにお考えになるのか。どうも私はそこがまだ国に頼り過ぎているんじゃないかという思いもありまして、どうお考えなのか伺いたいです。
(答)まず自助・共助・公助、私も以前からこの枠組みを申し上げてきました。内閣府の副大臣の当時に共助社会づくりという、金融緩和で民間には資金が沢山ありますので、それを有効に活用していこうという、そういうテーマで議論をしたことがあります。NPOの皆さんやそういった活動をより支援していくと、より大きな役割を担っていただくということでNPO法の改正も行って、寄附の範囲を広くしたり、NPOの方々の活動の手続の簡素化を行ったりしてきました。
 非常に大事な枠組みだと思っていますし、当時、休眠預金も担当して、休眠預金法も成立いたしました。銀行に眠っている使われない預金、これを活用して民間の様々な活動、共助につながる活動、NPOの活動などを支援していこうという枠組みを進めてきました。そういう意味でこの取組をもう一段、まさに菅総理の下で進めていくのは、大きな方向性じゃないかと認識しています。
 幾つか例を挙げますと、その1つが御指摘の「Go To Eat」、「Go To トラベル」。これは旅行する人も一定の負担をしてプラスになりますけれども、これまで厳しい思いをしてきた旅館、ホテル、そして飲食店、あるいはイベントの関係の皆さん。Go Toイベントというのは今準備がなされていますので、もうしばらくすればスタートすることになると思いますが、こういった苦しい方々への支援を。自分もメリットがあるし、その方々にもメリットがあるという、いわば公的資金が呼び水となって、民間の投資なり消費なりを増やしていこうという枠組みでありますので、こういったいわば政府のお金が呼び水となって広がっていく、こういった政策は、私はこれからもあり得ると思っています。
 実は休眠預金も眠っている預金を呼び水として、例えばマッチングをしながら、民間の資金もあわせて支援を行うといったようなことも考えられています。今はなかなか運用が難しい中で、銀行に預けていてもほとんど利子がつかない中で、有効に世の中のために使いたいと思っておられる方が沢山あると思いますので、そういった政策を、これからの方向性としてしっかりと頭に置きながら進めていきたいと考えています。
 2点目に、内閣官房コロナ対策室のホームページでも示していますが、クラウドファンディングなどの取組の紹介を行っています。様々なNPOや、様々な営利の会社もありますけれども、機関がクラウドファンディングという形で幅広く寄附なり投資を募って、そして弱い立場にある飲食店や、あるいは文化芸術の関係のイベントや、あるいは医療の関係の皆さんや、こういった方々を支援していこうという枠組みが広がってきています。我々のホームページでも紹介をしています。是非こういった幅広い方々から、本当に厳しい業界へ支援の輪が広がっていくことも期待したいと思っています。
 それから菅総理が本当に先頭に立って推進された、ふるさと納税のような枠組み、これまでの前例主義とかそういったものを打ち破って、民間の資金を様々な政策課題に促していく、こういった枠組み、税制や規制改革や呼び水となる予算や、こういったものを活用して大きな流れを作っていくということも大事だと思っておりますので、こういった制度を頭に置きながら、御指摘のような本当に厳しい立場にある方々への支援、いわゆる公的資金のセーフティーネットはもちろん用意はしますけれども、それに加えて民間の様々な資金がそういった方々に届くように、あるいはそういった必要とされる方々に市場を通じて届くように、制度設計も頭に置きながら考えていきたいというふうに思っています。
(問)よろしくお願いします。
 アベノミクスと菅さんの新しい、スガノミクスと言うかどうかは分かりませんが、の違いというのが何かあるかどうかというのを、お気づきの点があればお聞きしたいんですけれども。
 例えば、安倍前総理と菅総理でも、例えば賃上げに対する考え方とか、中小企業の在り方についての考え方など、少し違いがあるんじゃないかなというふうに個人的には思っているんですが。菅総理は携帯電話のこととか比較的当たり前のことを実現するという、生活実感に根差した発言が多いかなと思いますが、西村大臣から御覧になって、アベノミクスと新しい経済政策の違いはどういうところに出てくるのか、お考えを教えてください。
(答)菅総理自身がおっしゃっているとおり、基本的にはアベノミクスを継承し、それを発展させていくということだと理解しています。これまで安倍総理、それから当時の菅官房長官を交えて、私も一緒に経済政策について何度も議論をしてまいりました。基本的な方向性は同じだと認識していますし、この3本の矢を推進していくということに変わりはないと考えています。
 加えて、菅総理がより強調されているのはこの3本の矢でありまして、まさに神は細部に宿るというか、マクロ政策は、今申し上げた3本の矢で進めていくということで変わりはないわけですけれども、その中で3本の矢の規制改革にかなり重点を置いて、意識を強く持っておられます。御自身がまさに競争環境を携帯電話の世界で作ってきたという、そうした実績もお持ちでありますし、まさに細部、細かいところに細かい規制が。
 全てのことを総理がやられるわけじゃなくて、これは我々があるいは事務的に整理をしながら、各省で進めていけば良い話も沢山あると思いますけれども、ちょっとしたことが新しいビジネスの障害になっている。あるいは料金が下げられないことの障害になっている。そういったことをもう一回整理して、徹底的にやろうじゃないかという姿勢を強く感じているところであります。3本目の矢の成長戦略、特にその中核である規制改革を進めていくというところを河野大臣とも連携しながら、私も進めていきたいと考えています。
 その上でマクロの政策の、ここの中核の1つが賃上げであります。成長と分配の好循環を進めていくには、成長の果実を賃上げという形でしっかりと分配してもらわなければなりません。これまで企業はややもすると内部留保という形で積み上げてきた。あるいは労働分配率を下げる形で、正規から非正規へという形でコストを下げて国際競争に勝とうとしてきた。
 しかしそれは一つ一つの企業からすると何となく合理的に見えますけれども、マクロで見ると、これは日本経済全体にはマイナスになっているわけでありまして、ここも言わば一つ一つのミクロの世界で賃上げを実現していかなきゃいけないと思います。
 その意味で菅総理は、官房長官時代から賃上げには非常に熱心であります。最低賃金の引上げにも熱心に取り組まれてまいりました。私自身も全く同じ気持ちを持っています。引き続き今は企業の皆さんは非常に厳しい状況でありますけれども、この4月も1.9%という賃上げを実現してくれました。苦しい中でありましたけれども、同一労働同一賃金の制度によって、6月7月に初めてボーナスをもらわれた非正規の方、パートの方もおられると思います。こういったことを着実に実行していくということが大事だと思いますし、引き続き企業にとっては苦しい状況だと思いますけれども、しっかりと人材に投資をしてもらう。このことが将来の日本経済の発展につながっていくと考えています。
 そしてもう1点が、これは安倍総理も強く進められてきた生産性の向上。特に中小企業の生産性をどう上げていくかということは非常に大事であります。菅総理はこの点にも強い問題意識を持っておられると思います。まさに今回やればできるじゃないかと分かった様々なデジタル化、これを進めることによって、中小企業の皆さんも様々な手続の負担が軽減していく。そして、生産性が上がっていく。このことは既にIT補助金などで支援をしてきていますけれども、さらに一段、中小企業のデジタル化の支援の強化をしていきたいと考えています。
(問)先ほど総理から経済対策について、躊躇なくという指示があったというお話がありましたけれども、一方で感染状況によっては、躊躇せざるを得ないような局面も出てくると思います。これまでも両立という難しい課題があったとは思うんですけれども、新政権の下で、政府や経済界と医療の専門家の方との意見が例えば食い違ったときに、どのように大臣として調整をするお考えなのか。
 関連して「Go To トラベル」の東京追加についても、少し慎重な考えの提言がされたと思いますけれども、現在の状況を見て10月1日の追加というのが正式に決められる状況なのか、最終的に決定するのはいつ頃になるのかというのを、あわせてお聞かせください。
(答)この半年間、私自身が最も悩んできたことが、まさに感染拡大をどう防ぐかということと経済社会活動の両立であります。両方の意見があるわけです。命を守るためには経済活動はやめるべきだ、下げるべきだという意見。それから経済活動を回さないと、仕事がなくなれば自殺者も増える。こういった御意見。命を守るという意味では両方大事なわけであります。どうバランスを取って両立をしていくか。
 全ての国民の皆さんが、この新型コロナウイルスというのを経験して、2月3月から4月5月の緊急事態宣言の頃、まさに手探りでどこまで活動を制限したらいいのか。緊急事態宣言ですから、多くの皆さんに8割の接触削減を実践していただいたと思っています。御協力をいただいたおかげで収束させることができたわけですけれども、しかしそこまで本当にやらなきゃいけなかったのか、あるいは7月8月の感染拡大のときは、緊急事態宣言なしで減少傾向に転じさせることができています。
 皆さんいわば怖々、手探りの状態で経済活動、社会活動を引き上げていっている。まだこのウイルスには分からない部分が多いですから、みんな試行錯誤をしながら進めてきている部分があるわけです。活動を一気に広げると感染がまた広がってしまうというのも経験しました。感染防止策なくやると広がってしまうわけでありますので、繰り返しになりますけれども、そういう意味でこの2回の経験を徹底的に分析したいと、この1カ月で徹底的にやりたいと考えています。クラスターの分析。
 これもよく申し上げますが、スポーツクラブのように、ガイドラインを専門家と一緒に作って、そして守っていれば、感染は出ていないんです。岐阜県で1件出たのは外国人の多いスポーツクラブで、ハグをしたり何とかというのが原因だったようでありますけれども、それぞれの業種でガイドラインを作って、そしてそれを守っていれば感染は出ない。
 これまでコンサートとか野球場とか、2分の1の範囲で5,000人を上限にやっていただいて、その施設の中で目立った感染は出ておりません。そして、スーパーコンピューターの「富岳」のシミュレーションも使って、今回緩和をしようということで、19日からそれぞれの団体のガイドラインの改定が進んできています。感染防止策の徹底を今確認してもらっていると思います。こういったことを進める中で両立を図っていく。
 手探りからだんだん試行錯誤をしていく中でいろんな経験を積んできて、様々な知見も定着してきました。治療方法もこの間申し上げたとおり、中等症から重症になるときにうつ伏せにしたほうが、肺の傷み、損傷が少ないという中で、そういった形で重症化を防ぐような治療方法も定着してきています。医薬品、治療薬もレムデシビル、デキサメタゾン、ヘパリンという3つを投与することによって重症の方の命を守る。こういったことも進んできています。
 この半年間で様々なことを学び、様々な経験を積んできていますので、これをどう進化させるか。更にこの経験を生かして、どうこの冬に備えるかというのが、最も大事なことだと思っています。クラスターの分析を進め、また、人工知能なども使って、PCR検査をそれぞれの地区でかなり幅広くやってきた。これがどういう効果を持ったのか。こういったことの分析を進めて、両立を図っていきたいと考えています。
 躊躇なく行う。これは本当に感染が拡大して厳しい状況になった方が増えたときには、それを支える支援を躊躇なく行うという面もあります。それからより感染が抑えられても、経済が伸びないときには刺激策も必要になってきます。様々な意味で躊躇なく、そして臨機応変に、時機を逸することなく、経済財政運営に万全を期すようにという御指示でありますので、こうした状況を日々緊張感を持って見ながら、対応していきたいと考えています。
 基本は手探りで、試行錯誤でやってきたことから、だんだんいろんなデータが出てきましたので、エビデンスに基づいて、より国民の皆さんに分かりやすいメッセージで伝えられないか、ということも工夫していきたいと考えています。その上で「Go To トラベル」、「Go To Eat」、これも厳しい状況にある皆さん方への支援策でもあり、また、消費の喚起策でもある。また、これによって何か投資をしていこうという、投資にもつながってくるんだと思います。
 感染状況を見ながら、適切に判断をしていきたいと思っておりますが、10月1日から予定をするということで、分科会の基本的な御意見もいただいた上でそう判断をし、進めています。今日も明日もまた専門家の皆さんと意見交換をしますので、足下の感染状況をよく分析していただきながら、適切に判断していければと考えているところです。
 ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

(以上)