河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年10月1日

(令和3年10月1日(金) 11:11~11:38  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 まず、縦割り110番に話がありました、また国会でも議論がありました、定款の認証の手数料につきまして、大臣間でも法務大臣と調整してまいりましたが、進展がありましたのでご報告を申し上げたいと思います。
 現在、会社は資本金1円で設立することができますが、株式会社を設立する際、公証人による定款の認証を受けなければいけないという義務があって、この認証に係る手数料が一律5万円と、非常に起業する方の負担になっており、経済活力の妨げになっていると言わざるを得ません。
 今回、法務省に見直しをお願いしたところ、資本金100万円未満の場合は3万円、資本金が100万円から300万円未満の場合は4万円に、それぞれ手数料を引き下げるということで、この改正案、今日からパブリックコメントに付されることになりました。平成5年以来、30年ぶりの見直しということになります。是非、幅広い皆様からのご意見をパブリックコメントにお寄せいただきたいと思います。
 この定款認証をはじめ、国民の皆様が新しい取組をしようとしている際に、そうした挑戦を妨げているものが他にもないのか、引き続き国民の皆様の声を聞きながら不要な規制を見直していかなければいけないというところに変わりはないと思います。
 私の下で、規制改革・行政改革に取り組んでくれている大臣直轄チームが設置されて、今日でちょうど1年ということになります。この1年間、縦割り110番あるいは地方自治体から寄せられた要望、その他、困っている要望者の立場に寄り添ってしっかり改善に取り組んでくれております。平井大臣との「2+1」というのもありましたし、定款認証手数料引下げ、法令データの整備、あるいは自動運転やオンライン教育等、各担当する閣僚の皆さんと直接折衝をやらせていただいたりということもございました。
 地方自治体への負担の軽減、新たな経済活動の支障となる規制の改革、デジタル化への対応等、項目だけで60件以上ございます。それぞれに複数の事案が含まれておりますので、かなり幅広い課題に対応することができたのではないかと思います。
 先般、経団連と意見交換をした時に、だいたい、毎年経済界からの要望で動きがある規制改革が全体の要望の4割ぐらいのところ、今年は8割ぐらい動きがあったということだったものですから、かなりいろいろなことが進んだかなと思っております。各省の協力に負うところも非常に多かったと思いますので、改めて関係者の皆さんに感謝申し上げたいと思います。
 それから、ワクチンでございます。9月末日現在で約1億6,400万回ということになりました。1回目接種を終えた方が全人口の70.0%となり7割を超えました。2回目接種を終えた方が59.3%、ほぼ6割が全人口の2回接種を終えております。12歳以上の対象人口で見てみますと、1回目接種を終えた方がもう既に77.4%、2回目接種を終えた方が65.5%と、対象人口で言えば3分の2が2回接種をほぼ終えているということです。
 G7の中で、アメリカやドイツをしのぎ、1回目接種でイギリスに迫っております。他の国はそれなりの接種率で伸びが鈍っているところがありますけれども、日本の場合は結構まだ伸びている感じでございます。足元は1日100万回ぐらいのペースでいっていますが、10月は恐らく平均すると1日80万回ぐらいでいくことになるのかなと思っています。今、入っている予約だけで恐らく月末に1日60万回ぐらいです。だんだん打つ人が少なくなっているということもありますし、今日の時点で入っている予約で大体1日60万回です。これはもう少し増えてくるだろうと思います。そうすると、10月で恐らく70万回から80万回のペースで10月末まで平均するといくのかなと思います。今、1日100万回から60万回までだらだらと下がっていきますが、だんだん予約が入ってくるとそこも上振れしてくると、全人口の80%ぐらいはいきそうな気がしておりますし、対象人口は恐らく87~88%までいくのではないか、ちょっと頑張って対象人口の9割まで何とかもっていける、都道府県からいろいろな数字をいただいておりますが、かなりいけるのではないかと思っております。
 新型コロナウイルスという、少し前までは未知のウイルスの感染対策ということで、これだけの国民に一斉にワクチン接種をやるというのは我が国としては初めての経験でございましたし、全世界的にもこんなことはあまりというか、ほとんどやったことがないことをやったわけでございます。ウイルスが2週間ごとぐらいに変異している中で、早くワクチンを打っていく、ウイルスが変異する前に打っていかなければいけないという中で、田村厚生労働大臣の国会対応、新型コロナウイルス感染症対応ということを考えて、総理から1月18日にワクチン接種の担当を命ぜられ、以来9か月弱やってまいりました。当初、日本が国際的な治験の対象にならなかったということ、あるいは日本人の治験データを必要として承認審査が行われたということで、欧米から2か月遅れぐらいで2月中旬に先行接種をファイザー社製ワクチンで始めるということになりました。
 当初は、紙でワクチン接種を管理しようということでしたが、いやいや、それはとても無理だろうということで、小林史明補佐官を中心にIT室の皆さん、平井大臣、いろいろな方の助けを借りて新しいワクチン接種記録システムのVRSを開発し、4月からの高齢者の接種にぎりぎり間に合うタイミングで開発、タブレットの配布をすることができました。ワクチン接種も初めてでしたけれども、こういうデジタル化をこれだけ短時間でやったというのもかなり初めてだったのではないかと思います。そういう中で、デジタルの力というものが少し世の中に広まったかなと思います。
 また、自治体にやっていただくという中で、3,600万人の高齢者を対象に自治体でVRSに、V-SYSに、いろいろなシステムが並ぶ中で、配送もマイナス何十度という極低温の中で配送をやらなければいけない、様々、何か円滑にスタートできるかどうか確認しながら4月12日から段階的に全国で始めるということにいたしました。結果として、藤井比早之副大臣が頑張ってくれて、47都道府県からリエゾンを出していただく、あるいは政令市、特別区からもリエゾンを出していただいて、かなり綿密に自治体あるいは都道府県とやりとりをしながら接種をすることができました。都道府県のイニシアティブあるいは市区町村の創意工夫とご努力、医療関係者のご協力によることが非常に大きかったと思います。
 本格的に5月の連休明けから接種になりましたが、当初4月末までにファイザー社製ワクチンの供給1,200万回というところを3,400万回までに引き上げて、1,200万回だと恐らく医療従事者でかなり終わってしまっていたと思いますが、3,400万回まで前倒しをすることができたので、ゴールデンウイーク明けから高齢者の本格接種をスタートすることができたと思います。そういう意味で、ファイザー社、それから後のモデルナ社とのワクチンの交渉、EUとの「止めるなよ」という交渉はそれなりにうまくできたと思います。
 途中で、総理から、7月末までに高齢者2回接種完了、あるいは1日100万回接種という極めて高い目標が示されましたが、そのおかげで自治体、医療関係者の皆様のご協力をいただいて、デルタ株が広がる中で、高齢者のワクチン接種が相当スムーズにいったと思います。厚生労働省の試算では65歳以上の感染者を10万人、死亡者を8,000人減らすことができたということにつながったのだろうと思います。
 本当に現場の皆さん、市区町村・都道府県の担当の皆さん、また大臣室の担当の皆さん、ありがたく思っております。
今後の課題だけ少し申し上げておきますと、4つばかり課題が残っているかなと思います。
 既に対象人口の9割をカバーできるだけのワクチンを全国平均でお配りしてあります。既に接種完了の自治体、もう予約に枠が空いている自治体がある一方、予約が取りづらいという自治体が残っているのも現実でございます。希望される方ができるだけ早く接種できるように、今、都道府県に都道府県内の調整をお願いしているところでございます。それでも接種回数の見込みが配ったワクチンを上回る場合には、国から追加でワクチンをお届けする必要がございます。
 若い世代、20代の1回目接種率が5割を超え、10代も4割を超えてきております。若い方々に今後接種を推進していくことによって、全体の接種率を引き上げていきたい、そのために、有効性、安全性に関する正しい情報を、特にネットのデマに負けないようにしっかり発信していく必要があると思います。
 3つ目は、3回目接種がおおむね2回接種の8か月後ということになっておりますが、対象者をどうするか、あるいはワクチンの交差接種等についてしっかり審議会の専門家で議論を出していただいて、結論を出し、年内に先行接種をされた方から3回目の接種を開始する必要があります。しっかり準備をしていかなければいけないと思います。
 それから、最後に、これだけの大勢の方にワクチン接種をするという今回のオペレーションは、公衆衛生の分野の政策だけでなく、行政におけるデジタルの活用という意味でも大きな意味を持っていたと思いますし、平時の法律、体制、システムで危機対応をやらざるを得なかったということも様々な教訓を与えてくれるものではないかと思っております。
 おおむね10月から11月の早いうちにワクチンの希望者に接種を完了するというめどが立ったと思っておりますので、よかったかなと思います。

2.質疑応答

(問)2点伺います。まず、この1年の大臣の仕事ぶりについて、先ほど言及があったワクチン接種、規制改革、行革等、100点満点で自己採点すると何点なのか。また、やり残したこと、反省点があれば併せてお聞かせください
(答)まだ、閣議後会見はもう一回ありますから、全体についてはその時に申し上げようかなと思います。ワクチンについては、おかげさまで、若干、途中に混乱もありましたが、混乱の中でも1日100万回のペースを自治体が維持してくださったということ、100万回あるいは7月末の高齢者接種、10月から11月にかけて、様々なハードルをクリアできたということは、合格点をつけてもいいのかなと思っております。
(問)もう一点。党の広報本部長職を、今回、大臣はどのような思いで受けられたのかということと、過去の平井卓也本部長時代には安倍総裁のLINEスタンプ無料配信など、独自の取組がありましたが、来る衆議院選で支持拡大に向けて、この党の広報本部長職をどう全うするのかお聞かせください。
(答)新総裁が全員野球ということをおっしゃっておりますし、いよいよ総選挙も近づいてくる中で、仲間にみんな戻ってきてもらう、あるいは新しい仲間に国会に来てもらうという、そのために私もできる限りのことはしていかなければいけないと思っております。
 政府にいても、政治と国民の間の意思疎通というのをしっかりやっていかなければいけないということを感じておりました。政策決定の背景ですとか目的、特に新型コロナウイルス感染症とかオリンピックとかありましたけれども、やっぱり背景の説明とか目的を共有している、そういう中で国民の皆様からフィードバックをもらうというのが、やっぱり少し弱かったかなと感じておりました。政権与党の広報あるいはコミュニケーションですから、政治と国民のコミュニケーションを変えるということになるだろうと思いますので、非常に重要な仕事だと思っております。
(問)2点お伺いします。まず、今の質問に関連して、広報本部長ということですけれども、中にはこれまでのしてきた仕事からすると格落ちではないかという指摘もあるようですが、そういった指摘について大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)どんな仕事も大事な仕事ですから、それはもう与えられた仕事を一所懸命やる。特に、やっぱり国民と政治の間のコミュニケーションの問題が様々取り沙汰されてきた中で、やはり政権与党の広報というのは非常に役割が大きいのだろうと思っています。政治と国民の間のコミュニケーションをしっかり考えながら、お互いの信頼関係をきっちり築いていきたいと思っています。
(問)それと、もう一点、ワクチンの方でお伺いしたのですが、10月中に全人口比で80%ぐらいいきそうな気がしているというふうに発言されました。それについての評価と、どこまでいけば、そもそも菅総理の掲げた、10月から11月の早い時期に希望する人2回というのは達成できそうだというふうにお考えなのか、目標完遂というふうに見ていらっしゃるのか、そこをお願いします。
(答)希望される方にしっかりワクチンを打っていただくということを考えると、今でも様々、予約枠が空いているところもありますし、自衛隊の大規模接種はかなり今、予約が空いております。一方で予約が取りにくいという、ちょっとばらつきが出ていますので、そこは都道府県にしっかり調整をお願いしております。首都圏、あるいは近畿圏でしたら、自衛隊の大規模接種会場は空いていますから、そこを使っていただいても構わないと思います。都道府県内の調整をしっかりやっていただければ、10月のそれなりの時には希望される方みんなが打てるのではないかなと思っています。
(問)公証人の手数料の件ですけれども、今回下がるということですけれども、これはいずれなくすことがあるべき姿というふうに大臣としてはお考えでしょうか。
(答)原始定款だけ認証しているということについては、これは国会内でも様々なご議論がありました。そういう議論をどうするのかということは、今後も活発に議論をしていただきたいと思っております。資本金1円で会社を創立しようと思ったら、認証に5万円かかりますといって、めげている方も結構いらっしゃいましたので、一歩進んだと理解をしていただければいいかと思います。
(問)それと、広報本部長の件ですけれども、何か既にもう考えている秘策とか、フィードバックについて何かお考えがありましたらお伺いしたいのですが。
(答)もうちょっと最後までしっかり今の仕事をやってからやりたいと思います。
(問)公証人というのは本当に、なぜ100万円以下で3万円なのかがよく分からない、子供でもたてられるようなものなのだとみんな思っていると思うのですけれども、縦割り110番に1日100件以上のいろいろな話があって、61件中このマークが付いているのは数えたら35件です。それで、やはり大変な期待とやっぱりいいこともやったわけですけれども、少し山がどれぐらい登れたのかなと、それで、これまで河野大臣に出してきた、直轄チームに出してきたものがこれからどうなるのだろうかなと、それが聞きたいのが1点。
 それから、もう一つ、ワクチンについては、相手が民間でしたから、やっぱり河野さんと相手の担当者とのヒューマンないろいろな守秘義務の中でいろいろやってきて、中には口約束みたいなこともあるでしょうけれども、これは本当に河野さんの英語力だからできたこともあると思うのですけれども、本当に上手に引き継げて、ずっとその供給というのがやれるのかどうか、そのあたりついて心配はないのかを伺いたいです
(答)規制改革・行政改革につきましては、それぞれもう新しい体制で会議が動いておりますし、今のチームはそのまま引き継いでいこうと思っております。かなり勢いがついている中ですから、これはしっかり継続してやっていただきたいと思っております。
 ファイザー社、モデルナ社のワクチンの責任者との交渉については、毎日やっていましたから相当仲良くなりました。次を誰に引き継ぐのかというのがまだ分かりませんけれども、そこはしっかり引き継いでいきたいと思っております。パーソナルな関係を次の人にもしっかりと築いていってもらいたいと思っています。
(問)公証人の件でお聞きしたいのですが、300万円で区切った理由、それ以上も今後は下げるべきだとお考えなのかということと、あと本当に起業の促進に1万円、2万円下げるぐらいでつながるのかというのは疑問視する声もありますし、やっぱり経済界では5,000円ぐらいでもいいではないかと。つまり、公証人は30分やるぐらいで5万円という対価、これはどうも問題があるのではないかという意見もありますが、その点はいかがお考えでしょうか。
(答)それを言えば、何で原始定款だけ認証しなければならないのかという話もあるだろうと思います。本当にこれからいろいろな人が起業にチャレンジをしていくということの中で、資本金は1円でもいいのに、なぜ様々な手数料が出てくるのか、これ以外にも様々、税金やら何やらあるわけですから、そういうものをやっぱり一体的に見直して、いろんな人が新しいことにチャレンジできるようにしていくためにどうしたらいいのかというのは、個別にこうやって1つずつやっていくのも大事ですけれども、トータル、セットで起業を応援するためにどうするのかという議論は今後していかなければいけないと思います。その中で、資本金1円に対してかかる費用が、なぜこんなにかかるのかというのは、それは当然議論されなければいけないことだろうと思っています。これは第一歩だと思ってください。
(問)ワクチンのことで念のため確認ですが、予約が取りづらい自治体がまだある一方で、予約がなかなか入らなくなってくるようなところもあるということで、偏在があるのかと思いますが、予約はもう入らなくなっているような自治体に残っているワクチンは、3回目に取っておく必要はなくて、3回目の分は別でまた配送するので、そういうケースでは予約が取りにくい自治体の方に回して、うまくそこは融通してほしいということでよろしいでしょうか。
(答)そのとおりです。3回目に取っておく必要はありません。3回目は、またしっかり供給しますし、モデルナ社製ワクチンなどは恐らく3回目の量というのは1、2回目と違ってくるということだろうと思います。そこは、3回目を気にせずにしっかり融通して、県内でまず2回まで希望される方に一日も早く打ち終わっていただきたいと思います。
(問)ワクチン業務の振り返りについてお伺いします。大臣は、今回、発信力を期待されてワクチン担当になられたという部分があると思います。予約が取れなくて混乱が生じてしまったり、職域接種を始めたくてもなかなか始められない等の問題が生じた一面もありました。振り返ってみて、ワクチンに関するご自身の発信の評価をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。また、今後、広報本部長としてどういった点に具体的に留意して取り組んでいきたいかお聞かせください。
(答)ワクチン接種は別に発信力ということではなくて、河野太郎のやはり調整能力を買われてやったのだろうと思っております。新しい仕事は、まだ今の仕事が終わっていませんから、それからしっかりやっていきたいと思います。

(以上)