河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月28日

(令和3年9月28日(火) 11:19~11:44  於:ー(オンライン形式))

1.発言要旨

 冒頭に幾つかございます。1つ目に、データを用いたエビデンスに基づく政策評価の一例として、官民ファンドの分析をご紹介したいと思います。
 官民ファンドは、民間のリスクマネーが十分ではないという指摘がある日本経済の中で、リスクマネーを供給する主体として活用していこうということで設置されました。ただ、その官民ファンドは評価されているものがある一方で、一部経営状態が懸念されるものがあるなど、実態が様々です。
 そこで、今般、12の主要官民ファンドを対象に、収益面から分析して、レポートの形で成果をまとめました。概略だけ簡単に紹介をします。
個々の官民ファンドの累積損益率を見ると、数年は赤字で、その後徐々に赤字割合を減らして、中期的に黒字になっていく、いわゆる「Jカーブ」を描く傾向があります。ただし、一部、乖離しているものもあります。
 分野別に見ると、事業再生あるいは成長支援のための投資、大学起業による投資、インフラへの投資、こうしたものは損失リスクが比較的小さい一方、ベンチャー投資は損失リスクが比較的大きくなっている可能性が伺えます。
 詳細は担当した直轄チームの天達泰章までお尋ねいただきたいと思います。
 今回のエビデンスに基づく分析の成果を官民ファンドの在り方の検討に活用していきたいと思っております。
2つ目です。9月10日に私も冒頭に出席して意見を申し上げました規制改革推進会議の医療・介護ワーキング・グループで、新型コロナウイルスの抗原検査キットの規制について議論をいたしましたが、進展がありましたのでお知らせしたいと思います。
 抗原検査キットは、これまで医療機関でのみ利用可能で、一般の方が薬局で購入して自ら検査することはできないなどとされておりました。一部、研究用等と称して一部の薬局やインターネットで流通していた例がありますが、なかなか一般の方が薬局で購入して検査するなどということはできませんでした。6月に規制緩和をして、医療機関と連携した事業者が卸売り販売業者から抗原検査キットを購入して、職場で検査するということはできておりましたが、それ以上のことはできませんでした。
 抗原検査キットを普通に購入することができれば、病院の処方箋がない方でも必要に応じて簡易に検査を行い、それによって感染拡大の防止に寄与することができると考えております。もう既に多くの海外の国では実施されております。
 困っている国民に選択肢を提供し、国際的に当たり前のことを当たり前に日本でもやる。こういう規制改革の観点から、また何よりもスピード感を持って必要であることに対応する。こういうことから厚生労働省に問題提起をしてまいりました。
 昨日の夕方、まず新型コロナウイルス感染症への特例的対応として、抗原検査キットを薬局において販売できる、そういう通知を地方自治体及び薬局の関係団体に厚生労働省から発出いたしました。
 しかし、今後、これでは十分では全くありませんので、検査キットがインターネットやドラッグストア等でさらに簡単に入手できるように、一般用医薬品、いわゆるOTCへの変更をしなければなりません。新型コロナウイルスが日本に上陸してこれだけの日数が経っている中で、必要と思われる規制が改革されていないというのは、大変由々しき問題だと思っております。
 また、新型コロナウイルス感染症対応の関係で規制改革推進会議にて幾つか問題提起をしておりますが、今後の経済活動を再開するために、体育館や教室等の空きスペースあるいは車両等、正規の診療所でない場所での機動的な検査や診療が今はできない状況にあります。今は「巡回診療」という枠組みで、週1回連続2日までしか空きスペースでの診療を行うことができません。新型コロナウイルス感染拡大で非常時であるにもかかわらず、このような規制がまだまだ残っているというのは、大変問題だと思います。
 この件については、昨日、厚生労働省がこの制約を撤廃するという方針を出しました。
 さらに、例えばパルスオキシメーター、医療機器として承認を受けているものは広告ができません。Amazonや楽天等に載せること自体、広告として取られてしまうために、一般の国民が買えるものは承認されていない未承認品のみで、承認を受けた製品を流通させるということが非常に難しくなっており、悪貨が良貨を駆逐する典型的な例と言ってもいい状況だと思います。これもコロナ禍でまだまだこんなことが起きているというのは、非常に問題が多いと思っております。
 昨日の議論を踏まえて、厚生労働省は、まずパルスオキシメーターの広告規制の緩和を行うということになりました。さらに、他のことについても規制改革が必要だと思っております。
 とにかく、新型コロナウイルスと戦うために、新型コロナウイルスを想定していない規制で手を縛って戦えと言っても、これはなかなか難しいものがあります。時代にそぐわなくなった規制については、速やかに改革をしていく努力を続けていきたいと思っております。
 さらにワクチンでございます。昨日の時点で、ほぼ総接種回数が1億6,000万回になりました。1回目接種を終えた方が全人口の約7割、69%で、2回目接種を終えた方が6割弱、57%まできました。12歳以上の対象人口に対する割合で見ますと、1回目接種を終えた方が4分の3を超えました。76%です。2回目接種が63%と3分の2に迫っているという状況になっております。恐らく来週には1回目接種でフランスを抜けるのではないかという状況だと思います。
 ワクチンの配分について申し上げますと、既にお伝えしていますように、10月10日までに全国平均で対象人口の9割が2回接種できる数量のワクチンを配分することとしております。既に接種を完了した自治体がある一方で、接種の予約枠が埋まらないという自治体も出てきております。他方、予約が取りづらいという自治体もまだ残っていると承知しております。
 このため、都道府県に対して、県内の市区町村のワクチンの偏在調整に取り組んでいただくとともに、都道府県に配分したワクチンを有効活用して接種を進めていただくようにお願いをしております。それでもなお接種回数の見込みが、配分したワクチンを上回ることが確実であるような場合には、追加的なワクチンを配分する、そういうこととしております。
 首都圏・近畿圏においては、自衛隊の大規模接種で、9月26日から新たな1回目接種の予約を受け付けておりますが、相当、今はこの自衛隊の大規模接種に余裕がございます。予約に空きが相当あります。これを是非、首都圏・近畿圏で自衛隊の大規模接種会場にお出かけいただける方にはご利用いただきたいと思っております。
 モデルナ社製ワクチンにつきましては、毎週の配送量を増やす余地が出てきております。職域接種・大学拠点接種が終わり始めて、追加供給が必要だという自治体については、まず都道府県とご相談いただいて、モデルナ社製ワクチンの活用をご検討いただきたいと思っております。これは、すぐにも配送量を増やすことができる状況にあります。
 10月11日以降、ファイザー社製ワクチンの供給が必要だ、特に1回目にファイザー社製ワクチンを打っている方がいて、2回目のワクチンが必要だというような場合について、今、各都道府県の状況をワクチンチームで確認しているところでございます。確認しながらいろいろやっておりますが、本日、10月11日以降の配分に関する通知を出します。
 まず、市区町村でファイザー社製ワクチンが必要だという場合は、都道府県と調整していただいて、県内のワクチンの偏在を利用して対応していただきたいと思います。それでも対応ができない場合には、都道府県から国の方に個別に言ってきていただきたいと思っております。まず市区町村は都道府県と調整していただいて、都道府県内のワクチンで調整ができない場合には、国と個別に対応させていただくということにしております。
 各都道府県においては、想定されている総接種回数、ファイザー社製ワクチンの接種予約の状況、廃棄の状況、それから特に各クリニックで予約なしで溜まっているワクチンをしっかりと調査していただきたいと思っております。その上で、モデルナ社製ワクチンの接種見込み、あるいはモデルナ社製ワクチンの接種拡大の見込みを的確に計算した上で、追加配分の必要性があるかどうかを精査していただきたいと思っております。
 毎週の配送量を増やす余地がありますモデルナ社製ワクチンの活用をまず検討していただいて、さらに都道府県による市区町村間の広域調整をファイザー社製ワクチンについては行っていただきたいと思っております。
 対象人口の9割に相当するワクチンを10月10日までに配分する状況でありますので、10月11日以降はファイザー社製ワクチンを2週間ごとに一律にお配りするのではなく、各都道府県内の広域調整の状況を見ながら、モデルナ社製ワクチンを活用していただいた上で、なお必要な数量を個別にお届けしていきたいと思っております。この内容についての通知を各都道府県に本日出してまいります。
 各自治体においては、接種の完了を見据えて、希望される方ができるだけ早く接種を受けることができるようにしていただき、2回目の接種に困難が生じないように2回目接種の機会をしっかりと確保していただきたいと思います。それから、配分されたワクチンを無駄にせずに有効活用するといった観点から対応をお願いしたいと思っております。国としては、都道府県と緊密に連携してサポートをしていきたいということに変わりはございません。

2.質疑応答

(問)今、大臣から抗原検査キットの話もありましたけれども、総裁選においても、総裁になった際にワクチン以外の新型コロナウイルス感染症対策についても当たることに意欲を示されていたと思います。改めて、新総裁となった場合に、新型コロナウイルス感染症対策に当たることへの意気込みと、自分自身の強みというものがもしあれば、お考えをお聞かせください。
(答)おかげさまで、世界的には日本のワクチン接種のスタートが遅れましたが、各自治体、医療従事者の皆様をはじめ、関係者のご努力で接種率が非常に高くなってまいりました。G7でもかなりトップクラスに迫っていく勢いになっておりますし、現時点でも1日100万回を超える接種を継続していただいております。市区町村の創意工夫、独自性に任せる、そういうことを奨励し、それに逆行するような動きを改めてきたという成果が出ていると思います。こうした動きを新型コロナウイルス感染症対策全般にも広げていきたいと思っております。
 いまだに世界各国で行われている簡易検査キットの活用ができないとか、診療に関して意味不明な規制が行われているとか、あるいはパルスオキシメーターをはじめ各国でかなり自由に購入することができるものが広告規制等で出回らないといった、非常時を想定していない、非常時でなくてもおかしいような規制がまだまだ残っている中で、相当な突破力を用いて新型コロナウイルス感染症対策を進めていかなければいけないと思っております。
 それができるのが、ワクチン接種の実績を見ていただいて、やはり河野太郎しかいないということになるのではないかと思っております。
(問)あと1問です。明日、いよいよ総裁選の投開票となりますが、これまでの手応えと、あと残りわずかな時間ですけれども、どのようにして議員への働きかけを進めていくのか、お考えをお聞かせください。
(答)国民の皆様の幅広いご支援を背景にして、自由民主党が国民の声にしっかりと耳を傾ける政党であるということを総選挙前に世の中にきちんと知らしめていくのが大事だと思っております。
(問)今の質問に関連して、自民党総裁選挙は明日投開票を迎えます。中には決選投票に向けて派閥ごとでまとまってやろうとか、あるいは派閥の領袖クラスからの締め付けがあるといった話もありますが、大臣は最後の呼びかけをどういうふうにしていきたいのでしょうか。そして、そういった動きがあることについて、どういうふうにお考えでしょうか。
(答)国民の皆様から自由民主党がしっかりとご支援をいただくためには、自由民主党という政党が国民の声に耳を向ける政党であるということを世の中に知らしめることが大事だという、たぶん、共通認識が自民党所属の国会議員全てにあると思います。その共通認識の中で、皆さんがしっかりとした総裁選びをやってくれるものと思っております。
(問)中には、1回目の投票結果と違う人を決選投票で選ぶようにしていこうではないかという動きもあるというふうには聞きますが、そういったことについてはどうお考えでしょうか。また、2回目の方で党員票のウエイトが下がっているという今の仕組みについて、どうお考えでしょうか。
(答)これまでも申し上げてまいりましたが、今回はもうルールが決まっておりますが、私が総裁に選ばれれば、総裁選挙の決選投票であっても党員の声がきちんと反映されるルールにしていきたいと思っております。今回も、ルールは違いますが、国民の声にきちんと耳を傾けた総裁選挙が行われるものと信じております。
(問)先ほど大臣がパルスオキシメーターに関する規制改革に言及しまして、他のことについても規制改革が必要との認識を示されました。診療に関しては、意味不明な規制もあるというふうにも述べられましたけれども、医療あるいは診療に関連してどのような規制改革が必要だと思いますでしょうか。
(答)少なくとも、このコロナ禍であらゆる手段を取らなければいけないときに、こうしたことを想定していない規制で物事ができない、コロナ禍が始まってすぐは仕方ないことかもしれませんが、時間が経ちながら、まだこういう状況になっているというのは速やかに改めていかなければならないと思っております。現場の声あるいは市区町村、都道府県の声を聞きながら、しっかり進めていきたいと思っております。
 ワクチン接種についても様々、当初はいろいろな規制の中でやろうということもありましたけれども、それをほぼ取っ払ってきたことが今の接種のスピードを生んでいると思っておりますし、紙で記録するということから、きちんと記録システムを立ち上げてこられたということも、今の情報をしっかり市区町村と都道府県と共有できるという状況を生み出したと思いますので、今後とも必要に応じた規制改革をしっかりやっていきたいと思います。
(問)冒頭の官民ファンドの資料を拝見したのですが、これのいろいろな官民ファンドの中で、A-FIVEとクールジャパン機構に関して、累積損益率が非常に低いということで、今後の収益に注意が必要だということで、大臣としてはA-FIVEというのはもう解散が決まりましたけれども、クールジャパン機構については今後どういうふうにあるべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)A-FIVEについてはもう決まっておりますので、これは置いておきまして、クールジャパン機構については、累積損失率がA-FIVE同様にマイナス幅拡大ということになり、今後の収益について注意が必要だと思います。また、このクールジャパン機構の投資のテーマが、海外のベンチャー投資であるということを考えると、この損失リスクがまずベンチャー投資は非常に大きい、相対的にベンチャー投資のリスクが大きいということです。それから、海外ということになりますと、国内投資よりも投資先に関する情報を得難いということもありますので、相対的に国内より海外の方がリスクが大きいと考えられます。そういう意味で、課題があり、さらに、経費率が高いということも考えなければいけないと思っておりまして、今後、一部の官民ファンドとの経営統合等も考えられる、あるいは、その他の対応も考えていかなければいけないことになるのかもしれません。併せて、このクールジャパン機構の投資案件が政策目的と合致しているのか、もしそうでないものがあるなら、なぜそうなったのか、今後どのように対応していくべきかという、そういう目的に沿っているかどうかというような投資の在り方についても、一部検討する必要があるのではないかなと思います。

(以上)