河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月24日

(令和3年9月24日(金) 11:20~11:43  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 7月30日に、社会給付と所得制限に関する横断的な整理を直轄チームが行って、その調査・研究の成果を発表しました。
 そのときに「給付と所得の間で逆転現象が起こる」という課題が浮き彫りになりましたが、今般さらにその成果を取りまとめました。
概略を簡単に紹介いたしますと、例えば子供2人の共働き世帯を対象に、収入から税・保険料を引いて、さらに児童手当等の社会給付を加えた手取りの所得がどうなるか、いわゆる可処分所得が所得階層でどうなるかというのを確認・検証しました。
 調べてみた結果、所得制限のある幾つかの給付、あるいは累進的な保険料支出によって、一部の低所得世帯の方が、より高い所得世帯よりも、可処分所得が高くなる逆転現象が起きている可能性が確認されました。
 今回の調査・分析の結果を、今後の社会給付の見直しの検討に役立てていかなければならないと思っております。
今回は、那須塩原市から出向で来てくれている磯龍、それから民間企業から出向してきてくれている天達泰章、2人が担当いたしましたので、詳細については2人にお尋ねいただけたらと思います。
 二つ目、「縦割り110番」でご要望を頂󠄀いております、公共工事における紙資料の提出義務の廃止について報告したいと思います。
これまで書面による申請や届出を義務付ける、行政手続のオンライン化をやっていこうということで進めてまいりましたが、今般、公共工事の際、提出を求めている図面や写真を紙でなくてもよいこととして、紙の提出義務を廃止することになります。
 公共建築工事では、紙とデータ両方での資料提出が求められることになってしまっておりますが、コロナ禍でテレワークを行おうとすると、紙での資料を作るための出社を余儀なくされる負担が生じている、ということがあるようでございます。
 直轄チームのメンバーが公共建築工事に限らず、土木あるいは農林水産関連の工事について併せて総点検をしたところ、国土交通省が発注する営繕工事では、完成図や完成写真等一部の資料について、紙と電子データ、二重で提出が求められていました。あるいは農林水産関連の工事のうち、林野庁が発注する工事は、電子データでの納品に対応できておらず、紙での提出が義務付けられているということなどが判明いたしました。
 それぞれ調整した結果、国土交通省が発注する営繕工事につきましては、10月までに紙と電子の二重提出を解消することとし、その旨を各地方整備局に通知し、また、地方自治体へも周知するということになりました。
 林野庁が発注する工事につきましては、今年度後半に発注する工事に対応するため、今年度中に全ての書類が電子納品できるようにするということになりました。素早い手続の見直しに感謝したいと思います。
 同じく「縦割り110番」で要望を頂󠄀いていた規制改革でございますが、ソフトウエア等のシステム開発の現場で、発注者と受注者が逐次すり合わせながら開発を進め、早い段階で成果を上げる、いわゆる「アジャイル型開発」と言われるものが注目されております。今年2月の規制改革推進会議の中で、こうした「アジャイル型開発」の手法について、発注者と受注者が直接的な意思疎通や共働をすることから、発注者側から受注者側への直接的な指揮命令に当たるとして、偽装請負との指摘を受ける恐れがあるということが提起されました。
 調整した結果、厚生労働省は中小企業も含めた、開発の現場の実務者にヒアリング等を実施していただいて、今般のすり合わせ型開発に関する偽装請負の具体的な基準を明確化する質疑応答集を、9月21日に公表いたしました。
判断基準が明確になったことで、安心してより迅速なシステム開発を進めることが可能になったのではないか、我が国全体のデジタル化の進展につながっていくのではないかと思います。
 さらにもう一つ「縦割り110番」で頂󠄀いたご要望で、「ドローン飛行に関する規制改革」です。ドローンについてはこれまで累次、許可、承認基準の明確化・合理化を進めてきたところですけれども、今般、直轄チームと国土交通省との調整により、航空機の飛行あるいは地上の人の安全を損なう恐れがないと考えられる場合には、許可や承認自体を不要にするということになりました。国土交通省には航空法施行規則を改正していただいておりまして、本日、公布・施行ということになります。
 航空法では高度150m以上でドローンを飛行させる場合、国土交通大臣の許可が必要とこれまでされておりました。
 これを煙突や鉄塔等の高層の構造物から30m以内の範囲については、適用除外として許可を不要といたします。
また、これまで人口密集地の上空、夜間の飛行、目視外の飛行、人や物からの距離が30m以内の飛行、空中散布を含むドローンからの物の投下については、それぞれ国土交通省の許可または承認が必要とされておりました。
 これを、十分な強度を有する30m以下のワイヤーや紐でドローンを係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入を管理する場合については適用除外とし、国土交通大臣の許可・承認を不要といたしました。
 これらの改正によってドローンがさらに活用しやすくなり、インフラ点検、農作業の効率化につながることが期待されます。国土交通省の対応に感謝したいと思います。
 ドローンにつきましては、今年3月末に許可基準を改正してから、直後の4月から6月の第2四半期で、許可・承認の申請が昨年の1.5倍に増加いたしました。規制改革によってドローンを使った様々な試みがいろいろ始まっていると思います。
 今後とも生活を便利にする、意欲ある方の挑戦を後押しする規制改革を進めていきたいと思います。
最後、ワクチンですが、総接種回数が1億5,500万回となりました。全人口の67%が1回目接種を終え、2回目接種を終えた方が全人口の55%となりました。
 12歳以上の対象人口に限って言えば、1回目接種を終えた方が74%、4分の3が既に1回目接種を終えました。2回目接種を終えた方が60%を超えました。また、高齢者の1回目接種が90.1%と、高齢者の接種が90%を超えてまいりました。
 G7各国の比較のデータをお配りしておりますが、1回目接種でドイツを抜き、2回目を完了した割合でも、米国を上回ってまいりました。
年代別の接種率も、20代、30代で、1回目接種を終えた方はおおむね5割となり、順調に若い世代の接種が進んできております。
 今後とも若い世代の方々に、ワクチンの有効性・安全性について正しくご理解いただいたり、あるいは接種を実施する自治体では、夜間・休日における接種の実施など、現役世代がワクチン接種を受けやすい環境を整備することなど、こうしたことを自治体と協力しながら進めていきたいと思っております。
 年代別のデータに限って申し上げると、まだVRSに入力されていない分は、この年齢別のデータに反映されておりません。まだ未入力分が1,000万回分ぐらいあるようでございますので、最終的にはその分を加えていくと、恐らく20代で54%ぐらいまでいっているのではないかなと想定されます。30代で58%ぐらい、6割弱ぐらいまで1回目接種が来ているのではないかと思っております。
 VRSの入力が重要でございますので、早期の入力をお願いすると同時に、このVRSをベースにした年代別の接種率のデータは、官邸ホームページに今後載せていこうと考えております。

2.質疑応答

(問)ドローンの規制緩和を伺います。今回の改正で、例えばより幅広い農地での農薬散布が可能になるとか、具体的にどのような効果をもたらすのかというのと、さらにこのドローン飛行で規制改革をしていく分野について、それぞれお聞かせください。
(答)ドローンで鉄塔その他の安全点検を行うことができるようになります。前回もプラント等の安全点検にドローンを使うことができるようになった旨、話をしましたが、そういう分野でのドローンの活用が次々に進んでおります。
 また、農薬散布についてもワイヤーできちんと結び、散布対象地域に人が入らないよう管理できれば、許可・承認等がいらなくなりますので、非常に使いやすくなるのではないかと思っております。
(問)もう1点、総裁選について伺います。最後の週末をこの後迎えますけれども、この間まだ主張が足りていない点、訴えが浸透し切れていない面などを併せて、最終盤に向けた戦略をお聞かせください。
(答)最後の最後までしっかり主張をお伝えし、ご支援を頂󠄀く努力を続けていかなければいけないと思っております。
(問)ワクチンの接種率についてお伺いします。高齢者の1回目接種が90%を超えた受止めと、この数字を受けまして、改めて全ての対象者の接種率の見通しや目標をお聞かせください。
(答)想定を大きく上回る接種率になってまいりまして、非常にそこはありがたいと思っております。
 高齢者の接種率も90%を超えてまいりましたし、若い世代でも順調に接種が伸びておりますので、各都道府県の数字を合計すると、88%というような数字が今、目標値として出ております。それを実現できるように、今後も頑張っていきたいと思います。
(問)2点お伺いします。1点目、ドローンですけれども、ワイヤーの長さが30mとなると、一定の高度を持った場合、半径15m~20m範囲で農薬散布という形になると思うのですが、もっと広大な農地で使いたいという要望があると思います。今後これを伸ばしていく考えというのはあるのでしょうか。
(答)ドローンについては一歩ずつではありますけれども、規制改革が進んでおりますので、安全の確認その他ができれば、さらなる規制改革をやってまいりたいと思います。
(問)もう1点。先ほどカルビとハラミと、それから鶏、大豆性のものを召し上がっていらっしゃいましたけれども、食べてどうだったのかということと、先日、食品表示についてルールを明確化しましたが、それほど肉との違いが分からないと先ほどおっしゃっていましたけれども、代替肉を今後どのように社会で使っていってもらいたいというふうに考えているのでしょうか。また、政府あるいは総理、総裁を目指す立場として、どういうふうな形で後押しをしていく、どういうルールをつくっていきたいというふうにお考えなのでしょうか。
(答)スタートアップの企業がこうした技術を開発して、市場にどんどん参入しようという意気込みを持ったところがたくさんあるというのは、この1年間の規制改革の要望を受けて、非常にいいことだと思っておりますが、今までこのようなことができるようになるということを想定していない時代の規制で、なかなか表示をどうしていいのか難しいところがありましたので、時代の流れ、技術の革新、こういうものに合わせてしっかり規制改革をしていかなければいけないと思っております。
 今回のこうしたものだけでなく、どんどん新しい技術を持ったスタートアップが立ち上がってきていますので、是非しっかり成長して、日本の経済を引っ張るフロントランナーに成長してもらいたいと思っております。
 今日、食べました「ネクストミーツ」について言えば、宗教上や健康上の理由で食べられない食品がある方でも、いろいろな食事を食べることができるようになる、光が見えたのではないかと思いますし、地球環境にも優しい持続可能性というところも当然考えられるだろうと思いますので、こういうものがどんどん切磋琢磨しながら、また、本物の肉もさらに品質のいいものを作ってもらって、日本に来るといろいろなものが食べられる、おいしいものが食べられる、ベジタリアン、ヴィーガンの方も日本に来ればステーキ、焼き肉が食べられるぞ、そういう状況になればいいのではないかと思います。
(問)今の話との関連になりますが、大臣の普段の食生活というのはどういうものなのかということを、簡単に教えてもらいたいと思います。何か心がけているものなどありましたらお願いします。
(答)しっかり頑張って食べております。妻が地元とこちらと行ったり来たりで、最近は総裁選が始まってから東京にいて、食生活の管理をしてもらっていますので、そこはもう安心してお任せして、おいしいものを毎日食べています。
(問)ワクチンの関係ですけれども、先日3回目接種について、高齢者については、やるとすれば年明け以降になるだろうという見通しを示されたと思うのですが、職域接種で1、2回目を打った人については、3回目というのはどういうふうになりそうなのか、現在の見通しを教えていただけますでしょうか。
(答)職域接種も自治体も特に変わらないのではないかと思っております。同じように2回目接種を終えて8か月たったところで、打っていただくことになるのだろうと思います。
 ワクチンの種類ですとか打つ場所その他、あるいは日時を指定するのかどうするのか、今、詳細を検討しているところですので、そうしたことを含め、自治体とよく相談しながらやっていきたいと思います。
(問)基本的には1、2回目の職域接種、会社で打った人も、3回目は自治体で接種することになるだろうということでしょうか。
(答)今そこについても検討を進めていますが、原則、自治体でということになるのかなと思っております。
(問)ドローンの件です。先ほど「さらなる規制改革」とおっしゃっていましたけれども、具体的にどのような部分がまだ残っていらっしゃるとお考えでしょうか。
(答)ドローンの手続の合理化、一元化というのを今、一生懸命進めているところで、そうした許可申請等がもっともっと簡単になれば、使い勝手は良くなると思います。また、安全基準と現実の使われ方というのを見ながら、必要な規制改革に向けて努力していきたいと思っています。
(問)総裁選ですけれども、大臣は常日頃から「1回で決める」とおっしゃっていると思うのですが、決選投票についての戦略等は現時点で考えていないという理解でよろしいでしょうか。
(答)選対本部で聞いていただきたいと思います。
(問)先ほど、最初に紹介いただいた、共働き世代の可処分所得の論文ですけれども、こうした逆転現象が起きるということで、例えば今、総裁選でも社会保障改革は1つの議論になっていますけれども、例えば所得制限を揃えるとか、緩和措置を設けるとか、もし仮に総理、総裁になった場合に、こうした社会給付を見直すべきというお考えはありますか。
(答)様々、逆転現象であったり、問題も浮き彫りになってまいりましたので、こうしたものをしっかり参考にしながら、社会保障を組み直していく必要があるのだろうと思います。
 特に子育てについて、しっかり力を入れていかなければならないと思っておりますので、そこは、この研究の成果を参考にして、包括的に見ていきたいと思います。
(問)ワクチンについて伺います。年代別のワクチン接種の接種率が公表されましたけれども、2回目の完了者を見ますと、60歳以上は7割以上の接種率がある一方、12歳~19歳、20代、30代は17%~31%にとどまっていますが、あらためて現状と、若い世代にどう接種を呼びかけていきたいか、聞かせてください。
(答)多くの自治体で、年齢が上の方、重症化するリスクの高い年代から予約を取って、自治体接種を進めてきてくれていますので、当然こういう数字になるというのは予測されていたと思いますが、若い世代も順調に数字が伸びていることを見ると、若い世代の方もかなり前向きにワクチン接種を捉えていただいていると思いますので、そこはしっかり情報を提供し、また、自治体に打ちやすい環境をつくってもらえるように、お願いしていきたいと思います。
(問)ワクチン接種の3回目接種の件です。 先ほど大臣から「3回目の接種場所は原則、自治体になるのではないか」というご発言がありました。具体的に職域接種先で3回目を打たない理由、自治体の予約等に混乱が生じないのか、この点を理由等を含めて教えてください。
(答)まだ何か決めているわけではありません。今、様々なことを自治体と相談しながら検討しているところでございますので、詳細が決まり次第発表していきたいと思います。

(以上)