河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月8日

(令和3年9月8日(水) 15:00~15:23  於:中央合同庁舎第8号館1階講堂内前方扉付近)

1.発言要旨

 ワクチンの総接種回数が1億4000万回に迫ってまいりました。
 1回目接種を終えた方は全人口の6割となり、2回目接種を終えた方が全人口のほぼ5割の49%になりました。12歳以上のワクチン接種の対象人口に対する割合で見ますと、1回目接種を終えた方が67.3%で、3分の2を超え、2回目接種を終えた方が54%と半分を超えてまいりました。
 ファイザー社製ワクチンの配分ですが、9月の3クールで、12歳以上人口の8割の方が2回接種するために十分な量をお配りするということにしておりましたが、ファイザー社と調整をした結果、第15クールの調整枠が2,000箱に増えました。これまで、第14クールと第15クールの調整枠は合わせて300万回分を予定しておりましたが、第14クールと第15クールで400万回分を超え、416万回分お配りできるということになりました。
 この調整枠の配分に加えて、モデルナ社製ワクチンの都道府県等の大規模接種会場に、第15クールの終わりまでに届ける配送量と、職域接種は、9月5日までに現実にお届けした量を加えると、全国の12歳以上の対象人口の9割の方に打てるだけの量をお届けするということになります。また、9月6日以降に職域接種向けに供給している分は、この計算に入っていませんので、更に上乗せができるということになります。
 第15クールの調整枠の配分に先立ちまして、都道府県と調整をした際に、接種率は全国平均で対象人口の88%を見込んでいるということでしたので、今回、それを上回る配分をできるということになります。中には、接種率100%という努力目標を掲げている都道府県もありますから、そこにはさすがに届きませんが、全国的にマクロで見て、9割に足りる量のワクチンをお出ししますので、都道府県にはぜひ市町村に来ることがわかっている量をきちんと伝えていただきたいと思います。都道府県が調整枠を持っていただいているのは理解していますが、次の調整枠が届く前にその調整枠分をしっかり配分して、市区町村が予約を前向きに受け付けられるように、ぜひやっていただきたいと思います。市区町村の中には、まだ、2回分のワクチンが確保できたら予約を受け付けるというようなことをしている市区町村がありますが、都道府県にきちんと配分をお示ししていただくことで、1回目分のワクチンが来たら打ち、2回目分はいつ届くのかが分かっているという状況で、前倒しで打っていただくと、ワクチン接種が早く進むと思います。十分な量のワクチンが供給されますので、都道府県から市区町村に対して、早く量を示していただきたいと思います。
 職域接種と大学拠点接種について、順調に進んでおりますが、9月5日時点の接種実績で1400万回を超え、1436万回になっています。
 VRSには、約6割の890万回分が入力されておりますが、あとの4割のVRSへの入力を早期にお願いしたいと思います。
 今月から2学期が始まった学校も多いと思いますが、学校での感染対策が重要な課題になっています。手洗い等の基本的な対策に加えて、学校の教職員の方々のワクチン接種も重要になってまいります。
 文部科学省に調査していただいた結果、多くの自治体で学校の教職員への優先接種が行われております。
 47都道府県のうち、83.7%となる36都道府県で、市町村は83.3%となる1258市町村で学校の教職員を対象にワクチンの優先接種を行っていただいております。
 このような取組は本当に重要だと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それ以外に、働く世代、あるいは若者向けの接種に効果的に取り組んでいる自治体の例がいくつかございます。
 滋賀県が、大津市の商業施設を接種会場にして、県内に在住する方あるいは通勤通学する16歳から30歳未満の1回目の接種を受ける方を対象に金曜日の夜6時から8時に接種をしています。また、横浜市が夕方5時以降の夜間も接種が受けられる会場を市内15か所に設けたり、あるいは沖縄県では、20歳から39歳までの若年層を対象にして、当日整理券発行、受付予約なしで接種を実施するということのようです。それから、東京都狛江市が16歳以上の市民の1回目接種を対象に、予約不要でワクチン接種を実施するという取組を行ってくれております。
 まだ、自治体によっては予約がなかなか取れないという自治体がございますが、ワクチンの量は、全体の9割をカバーするのに十分な量が順次、都道府県に配られていきますので、都道府県は市区町村としっかり調整していただいて、効果的なワクチン接種を進めていただきたいと思っております。具体的な第15クールの調整枠の配分は金曜日に申し上げたいと思います。

2.質疑応答

(問)今回、ワクチンが9割を超える量が供給されるということで、これだけのワクチンが配送される意義と、これまで河野大臣はワクチン業務の担当大臣をやっていらっしゃいましたが、これまでを振り返って成功だったと言えるのでしょうか。
(答)都道府県から、平均すると88%の接種率の見込みということですので、それにしっかり対応をしていける目処が立ったと思っております。
 ヨーロッパを見るとマルタとかアイルランドなど、接種率が8割を超えている国々が、いくつかありますが、1億人を超える人口の国でこれだけの接種率というのは相当、高い部類に入るのではないかと思います。
 各都道府県、市区町村、それぞれいろいろな接種率の見込みがあると思いますが、それに達することができるようにワクチンの供給をしっかりやっていきたいと思っています。当初は、年内に終わらないのではないかと言われていた時期もございましたが、「1日100万回接種」とか、「7月末までに希望する高齢者への2回接種を終える」など様々、総理の掲げた非常に高いハードルを越えてきた成果が出てきたと思っています。
(問)ワクチン担当業務ですけれども、最後まで全うされるというお考えでよろしいでしょうか。
(答)そのつもりです。ファイザー社との交渉で第15クールの調整枠も2000箱まで引き上がりましたし、第4四半期に供給を受ける予定であった分も10月中に入ってくる見込みということで、前倒しもできました。都道府県にも、9割打てるように配分できるようにもなってきましたので、しっかりやっていきたいと思っています。
(問)党内からは、重要閣僚が総裁選に出馬されることを疑問視する声もありますが、大臣としてはその点はどのようにお考えでしょうか。
(答)特に業務に影響が出るとは思っておりません。ワクチンを含め、しっかりやってまいりたいと思います。
(問)ファイザー社との交渉もひと段落して、供給量もある程度確保できたということで、ワクチン業務についてはここで、節目というか一区切りという考えはありますでしょうか。
(答)第4コーナーを回って直線に入ってきたということは言えるのではないかと思っております。都道府県に、これだけの数をお配りし、あるいはお示ししておりますので、あとは都道府県と市区町村の調整をしっかりやっていただきたいと思います。我々として、何か必要であるならばバックアップできる態勢はとっていきたいと思っています。
(問)自民党総裁選に関連して、河野大臣はこれまで、エネルギーの脱原発や皇室の在り方であるとか、伝統的に自民党の言ってきたこととは違うのではないかという方々が党内に一定数いると思うのですが、そのような方々にどのように支持を伸ばしていくのか、またそのことをどのように訴えていこうとお考えなのでしょうか。
(答)総裁選挙は別に置いておくとして、エネルギー政策に関しては、今回のエネルギー基本計画は梶山大臣とも最後、閣僚間で調整をやらせていただきましたが、梶山大臣が非常にうまく調整をしていただいて、再生可能エネルギー最優先の原則を入れていただきました。
 カーボンニュートラルを目指していく中で、一歩踏み出せたのではないかと思っておりますので、閣僚としても関与したこのエネルギー基本計画をしっかりやっていくということが、日本のエネルギーとして大事だと思っております。
 また、皇室の話は、いろいろ誤解されている方もいらっしゃいますけれども、今、政府がやっている有識者会議が非常に現実的な良い方向性を示してくれていると思いますので、この有識者会議の結果を尊重していくということに私として全く異論はございません。ただ、天皇陛下というのはやはり国民に広くから支持されていることが大事だと思いますので、今後、天皇陛下の歴史というものをしっかりと世の中に説明を申し上げ、世の中広くから支持をいただいていくということが大切なのだと思っております。そういう意味で、なんとなく内々で議論するだけでなく、世の中に対して広く説明をしていくことが必要なのではないかと思っています。
 原子力発電所について、安全が確認されたものについて、再稼働していくということは、カーボンニュートラルを目指す上で、ある程度必要なものはあるのだろうと思います。とにかく石炭、石油に依存してカーボンニュートラルはできませんので、化石燃料から、いずれ天然ガスを含め、脱却していかなければいけないだろうと思います。再生可能エネルギーを最優先にして広く取り入れていくということが基本だと思いますけども、どうしても足らざるを得ないところは、安全が確認された原子力発電所を当面は使っていくということはあると思います。ただ、使用済み核燃料をどうするか、バックエンドの問題というのは、放置するのではなく、やはりしっかりと前向きに取り組んでいく必要があると思います。
(問)先ほど、安倍前総理大臣と会談されましたが、どのようなことを話されたのか、また自民党総裁選挙に立候補する意向を伝えられたのかどうか、そこを教えてください。
(答)それぞれ、いろいろな方にお目にかかっておりますが、会話の中身は差し控えたいと思います。
(問)大臣は、かつて脱原発を主張されていた時期もあったかと思うのですが、その頃と、今お話しされたこととで、考え方が変わったということなのでしょうか。
(答)変わったということはないと思います。たぶん、自分では私が一番現実的なエネルギー政策を申し上げていると思っておりますが、時間軸というのが大事だということと、バックエンドを抜きにして、原子力の問題は語れないというのは常々言ってまいりましたので、そこについては以前から言っていることと、そんなに変わりはないと思います。
(問)原発再稼働はやむを得ないという考えでしょうか。
(答)カーボンニュートラルを実現するために必要なところは、何かで埋めなければいけないわけですから、1つはまず省エネをきちんとやる。これは住宅の断熱というようなことも徐々に義務化していかなければいけないと思いますし、再生可能エネルギーを増やしていく、これはもう再エネ最優先、小泉環境大臣と梶山経産大臣の間でもそういう議論になったと思いますけれども、再エネを最優先で入れていくということは大事だと思います。また、化石燃料の中で一番CO2の排出量の少ない天然ガスという手段がありますけども、これもいずれはやめていかなければいけないということになりますので、このエネルギーの供給の隙間は何かで埋めなければいけない、CO2を出さない何かで埋めるというと、原子力というのが当面、隙間があればそれを使って埋めるということになるのだろうと思います。
(問)大臣としては、脱原発は現実的ではないというお考えなのでしょうか。
(答)いずれ、原子力もなくなっていくのだろうと思います。ただ、別に明日、来年やめろと言うつもりではありません。
(問)皇室の在り方について、天皇陛下は広く国民の支持をいただくべきだとのご発言がありました。今上陛下は国民からの広い支持をいただいていないという認識なのでしょうか。また、具体的に広い支持とは何を指しているのか、その点もう少し詳しく教えてください。
(答)天皇陛下を含め、今の皇室には大変国民から広い支持が集まっていると、私は認識をしております。ただ、これから先の皇室の未来を考えたときに、皇統の維持に不安を感じていらっしゃる方は少なからずいらっしゃるのだろうと思います。
 では、どうしていくのかということを、有識者会議でいろいろ検討し、中間的な取りまとめも出されております。中間的な取りまとめを私としてもしっかりと尊重していかなければいけないと思っております。いろいろなことに対して今後、皇統を維持していくための対応についても広く世の中から、そうだよねという支持をいただいていくことが大事だと思いますので、そこは説明をしっかり尽くしていくことが大事なのだと思います。
(問)以前、ご発言のあった、女性天皇あるいは女系天皇についてのご認識を改めてお聞かせください。
(答)125代男系で続いてきているということが日本の天皇の一つの在り方なのだと思います。そういう中で、有識者会議がいろいろな議論をして中間とりまとめを出されました。
 しっかり議論していただいて、まだいろいろな作業、調査が行われておりますが、中間取りまとめとして、よくまとめていただいたと思っております。
(問)エネルギー基本計画で、再エネの比率を2030年までに36%から38%にするという目標がありますが、大臣としてはこれをさらに高めるべきだとお考えでしょうか。
(答)36%から38%というのは、キャップでもなければ上限でもないということですから、増やせるものはどんどん増やしていっても何ら構わないということです。
(問)原子力政策についてお伺いしたいです。今、国の政策というのは、核燃料サイクルが基本だと思いますが、原発から出た使用済み核燃料は直接処分させるというお考えでしょうか。それとも、核燃料サイクルを続けるというお考えでしょうか。
(答)本来、核燃料サイクルというのは再処理をして出てきたプルトニウムを高速増殖炉で燃料を増やしながら発電していこうということでありましたが、残念ながら「もんじゅ」が失敗し、高速増殖炉の開発がなくなりましたので、当初言っていた核燃料サイクルというのは成り立たなくなりました。
 そういう中で、日本は非常に多くのプルトニウムを保有しているということになります。
 プルトニウムは核兵器の元になるようなものですから、使い道のないプルトニウムを持ってはいけないということはもう世の常ですので、プルトニウムを現実的にどのように扱っていくのかということを現実的に考えていかなければいけないと思っています。
(問)昨日の会見で質疑のあった、ツイッターのブロック機能のことを伺いたいです。
 大臣の説明はわかったのですが、今後はブロック機能の使い方を見直すとか、控えるというお考えはないのでしょうか。
 例えば、総理大臣になった場合、総理が一個人のアカウントをブロックするということは、これまでとは違う意味合いや受け取られ方もあるかと思うのですが、今後のブロックはどうするかどうか、見直すかというお考えをお聞かせください。
(答)総理大臣になったらどうするかという仮定の質問にはお答えをするべきではないと思っておりますが、例えば、ワクチンの業務、ワクチンに関する公的な情報発信は官邸のツイッターで行っているものを私、リツイートしているわけで、公式のものが、どなたかをブロックするということはないのだろうと思いますが、個人がもともと暇つぶしで始めたアカウントですから、それを個人が好きなように使うというのは自由なことだと思いますし、ツイッターにもブロック機能というものが最初から実装されているわけですから、それを使ってはいけないということはないんだろうと思いますし、どうしても河野太郎のツイートが見たいというならば、それを見る方法はブロックされてもいくらでもあるわけですから、ご覧になるのは全く自由だと思います。
(問)昨日の記者会見で、自民党総裁選挙に向けて、引き続き検討しているとおっしゃっていましたが、一方でご自身が所属する麻生派は今日、いろいろとヒアリング等を行っています。最終的にどのような形で表明するにあたって、派内の意向というのはどういうふうに、大臣は受け止めていらっしゃるのでしょうか。
(答)総裁選のことについては何か決まったら申し上げます。それ以外については差し控えたいと思います。

(以上)