河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年9月3日

(令和3年9月3日(金) 11:20~11:56  於:ー(オンライン形式))

1.発言要旨

 まず、今般、行政改革に関する重要課題について継続的に調査・審議を行うため、行政改革推進会議の下にチームを2つ設置いたします。1つは、社会保険診療報酬支払基金の在り方を検討する社会保障のチームと、子どもの貧困・シングルペアレンツの課題を検討するチームの、2つの課題を検討するチームをそれぞれ立ち上げることといたしました。
 「支払基金の在り方」につきましては、1つはレセプトデータの解析を進めることによって医療費の適正化を推進するということができるようになります。それから、現在、行っている審査に加えて、レセプト審査にAIを導入することによって、審査のコストの低減と時間の短縮を進めます。それから、電子レセプトにほとんど移行しているわけですから、支払基金の拠点を設ける必要がなく、テレワークで審査ができるようになってまいります。支払基金の拠点をなくして、テレワークにして、コストを減らす。また、支払基金で働いている方々が場所にとらわれずに働くことができる。そうすると、今、都道府県ごとにいろいろやっておりますが、地理的な制約を超えて様々なことができるようになるということをしっかり進めていくための検討をお願いします。
 「子どもの貧困・シングルペアレンツ」については、昨年の秋のレビューで取り上げたテーマです。その検証結果も踏まえ、各省の取組のフォローアップを行いながら、地域や学校のデータを連携・活用することによって、子供が直面しているリスクを把握して、様々な縦割りを乗り越えてプッシュ型支援を届けるということを目指して検討を進めてもらいたいと思っております。
 2つ目です。来週、9月7日(火)午後1時から、第15回となります「再生可能エネルギーに関する規制等の総点検タスクフォース」をオンライン形式で開催いたします。議題は、「地域と共生した再生可能エネルギーの導入拡大に向けた規制・制度の在り方」について取り上げて議論いたします。これまで同様に規制改革推進室のYouTubeチャンネルで生配信いたしますので、是非ご覧いただきたいと思います。
 3つ目です。「再生可能エネルギーに関する規制等の総点検タスクフォース」のこれまでの成果について、先般閣議決定された規制改革実施計画に盛り込んでおりますが、具体的にどのような通知や政令改正が行われたのか、多くの事業者の方々からお問い合わせをいただいております。そこで、これまでの成果の一覧を、昨日、規制改革推進室のホームページに公開いたしました。事業者をはじめ、関心のある皆様におかれては、是非参考にしていただきたいと思っております。
 縦割り110番に、自動車運転免許証の更新に必要な写真についての改善の要望がございました。免許証を更新するために写真を持っていったところ、警察署で「これは駄目だ」と言われて、受理されずに撮り直しを指示されるということがありますが、撮り直して受理された写真と元の写真の違いが分からないということが時々あるようでございます。金銭的な負担もありますので、公表されている撮影基準に則っていれば受理してほしいというご意見が複数寄せられております。
 免許証の更新は、更新の拠点であります「運転免許センター」、申請した日に交付される「即日交付警察署」、申請するけれども交付は翌日以降になる「後日交付警察署」の3つがございます。運転免許センターや即日交付警察署は現地で写真撮影を行うため、申請者が写真を持って行く必要はありません。ところが、後日交付警察署が設けられている42都道府県の約半分の24都道府県で「写真を持ってきてください」ということになっているようでございます。
 そこで、直轄チームが警察庁に対応を協議した結果、各都道府県警察に対して次の3点を盛り込んだ通達を発出することになりました。
1つ目は、写真を持ってこなくてもいいようにするため、その場で写真撮影を行う即日交付窓口を拡大する。そのために写真撮影の機材を新規導入する。これが最も申請者にとって利便性を高めるものだと思いますので、この拡大を一所懸命促していくということです。
 2つ目は、写真を提出した申請者に対して、なぜ受理できないのか、明確な説明をしていただき、申請者が困ることがないようにしていただく。それから、ウェブサイトに「このような写真は駄目」ということがはっきり分かるように、何が駄目なのか、その掲載している写真の例を見直してくださいということです。
 3つ目は、免許証の交付が即日か後日なのか、写真が必要かどうか、あるいは警察署近辺に写真を撮れるところがどういうところがあるのか、ウェブサイトに掲載して、申請者の利便性を高めてくださいということです。
 運転免許証の更新のために、年間約270万人もの方々が写真を提出しているそうです。そのような方々が困らないように、利便性を向上するように、今般の措置が役立つようにしていただきたいと思います。
 棚橋国家公安委員長をはじめ警察庁の皆様に、対応を感謝申し上げたいと思います。
 次も、縦割り110番に寄せられたご要望でございます。弁理士試験に当たっては、関係する博士号・修士号の学位を有する方は論文選択科目の試験を免除できることになっており、令和2年度は332名が免除申請をされたということです。この免除を受けるためには、学位論文を1,000文字程度にまとめた「学位論文概要証明書」というものを提出しなければなりませんが、1,000文字程度に論文をまとめた上で、母校の指導教授に署名をもらわなければなりません。指導教授が退職や異動している場合には、後任の教授や研究科長に署名をもらわなければならないということです。
 この論文を1,000文字にまとめたり、署名をもらったりするのは負担が大きく、また、受け付ける側の大学の方の負担も大きいということで、特許庁に直轄チームから対応を依頼した結果、令和3年10月以降は「学位論文概要証明書」に代えて論文をそのまま写しの形で提出して構わないということになりました。来週の水曜日に特許庁のウェブサイトでこの旨の公表が行われ、令和4年度以降の試験で科目免除を申請する方の負担が軽減されることになります。
 三重県からの要望で、「農業法人の設立に伴う財産処分の特例措置の見直し」でございます。補助金適正化法によると、農林水産業を営む個人や法人、あるいは農家同士が共同して任意設立した営農組織が国庫補助で取得した機械や施設を新たに設立した新法人に譲渡する場合、あるいは貸付けをする場合、原則として補助金を返還するということが定められております。ただし、農業経営の法人化を推進するために、営農組織や個人が新法人に移行するときには特例で補助金の返還は必要ありません。補助金で取得した機械や施設を新法人に有償で譲渡する、あるいは長期貸付をする場合に、最初に補助金の給付を受けた個人が新法人の役員になったり、経営に同一性・継続性があると認められた場合は、補助金の返還は要らないということになっていますが、法人が最初に補助金の給付を受け、その法人が収益力の向上などを目指したり効率化を目指して新法人を設立して、そこに貸付けたり有償譲渡すると、補助金を返還しなければいけないということになっています。補助金返還のために費用がかかる、あるいは返還の事務手続に1年以上要する場合もあり、収益力を高めるために新法人を立ち上げているのに、効率化のための新法人の設立の妨げになっているということで、三重県から見直しの要望がございました。
 直轄チームが農林水産省と調整した結果、補助対象財産を議決権の過半数を有する別法人に有償譲渡・長期貸付をする場合は補助金を返還しなくても構わないという整理になりました。今月中にこの承認基準を改正いたします。
 障害者手帳の利便性向上に関して、縦割り110番に非常に多くのご意見をいただいておりましたので、この件についての進展をご報告いたします。身体障害者手帳や精神障害者手帳をお持ちの方は、鉄道・バスをはじめ交通機関の料金の割引を受けることができます。現在、民間の事業者が提供するスマートフォンのアプリを活用すると、手帳そのものを提示しなくても、マイナポータルと連携して本人確認ができるようになっております。
 ただし、これは身体障害者・精神障害者手帳のことで、知的障害の方が持っている療育手帳については、今まで各自治体が管理している手帳の情報と所持者のマイナンバーが紐付けされて活用されるという仕組みになっていませんでした。療育手帳だけ別枠になっているので、交通機関の料金の割引には手帳本体を携帯し、提示しなければなりませんでした。手帳を出し入れする際に紛失したり、個人情報が漏洩するおそれがあります。事業者からしてみると療育手帳が自治体ごとに様式が違うため、確認する手間や時間がかかり、お互いに負担になっておりました。
 直轄チームが総務省と厚生労働省に対して、早期の対応を要請し、調整をしてきた結果、マイナポータルで表示するために必要な情報連携の項目は、総務省が毎年6月にまとめて追加する。それから、地方自治体においてシステム改修をしなければいけないので予算と時間が必要だということで、来年6月に対応するという回答を両省からいただいておりました。
 ただし、総務省は、国側は6月まで待たなくても対応ができるということでしたので、厚生労働省に対してさらなる対応の前倒しを相談してきました。療育手帳の情報の追加項目に関するシステム改修を前倒しすることができる自治体については、来年の6月まで待たなくても、前倒しで実施できるのではないかということを相談した結果、まず総務省がマイナンバー情報の連携の項目の追加を2月までに前倒しし、それを踏まえて、大阪市や神戸市等全国7つの自治体から前倒ができるという回答をいただきました。
 これら先行する自治体で来年2月からスマートフォンで療育手帳の情報を提示することで割引サービスを受けられるようになります。民間事業者もこれを受けて来年2月からサービスが開始できるように準備を進めてくれております。また、来年6月からはさらに多くの自治体でこのサービスが拡大されることになります。
 関係の自治体、各省庁に改めて御礼を申し上げたいと思います。
 ワクチンでございます。ワクチンの総接種回数は1億3,000万回を超え、約1億3,200万回になりました。1回目接種を終えた方は全人口の約6割、2回目接種を終えた方は約47%で半分近くまで来ております。
 若い方を中心に「まだワクチンの予約が取れない」という声をよくいただいております。自治体で接種を進めていただいているファイザー社製ワクチンについては、9月の3クールで各都道府県、12歳以上人口の8割が2回接種できる量をお届けするということにしています。第15クールの最後は10月10日ですから、そこまでに各都道府県に必要な回数分が供給されることになります。
 今後の1回目接種者に対する接種回数の見通しを計算してみると、ここ最近、1回目接種を受けている方が1日当たり約60万人いらっしゃいます。接種率8割として計算すると、今、1回目接種を待っている方が約1,800万人いらっしゃいます。1日60万人ずつ1回目接種が行われていくと、9月末までにはお待ちいただいている約1,800万人が1回目の接種を受けられるということになります。今月末には12歳以上の対象人口のほぼ8割の方が1回目の接種を終えることができるということが、日本全国で見た状況でございます。
 自治体によって多少でこぼこがあって、もっと早く終わるところもあれば、もう少し時間のかかるところもあります。全国的には1回目の接種は9月いっぱいかかるということですので、今日、明日で予約が取れないという方がまだ約1,800万人いらっしゃいます。残念ながら、約1,800万人の方々全員が一日、二日で1回目の接種を受けるということはできませんので、もう少々焦らずにお待ちいただいて、だいたい目途としては9月いっぱいで1回目の接種が全国的には終わるという感じですので、それを念頭に予約を取っていただきたいと思います。予約が取れない場合には少しお待ちをいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
 また、9月末に1回目の接種を全国的に終わらせるためには、各自治体にしっかりと予約を取っていただく必要がございます。国から既に第15クールまでの基本枠と第14クールの調整枠を各都道府県にお示ししております。各都道府県には、対象人口の8割の方が2回打つのに必要なワクチンの量がいつ届くのかということをお示ししておりますので、都道府県から市区町村にしっかりと配分をお示しいただきたいと思います。
市区町村に計画的な接種を進めていただくためには、都道府県から市区町村にしっかりと配分量をお示ししていただかなければいけないということですので、そこはしっかりお願いをしたいと思います。
 また、市区町村の中で国からの供給がないということを理由にされているところがございますが、都道府県にはもう既に配分量をお示ししておりますので、市区町村が交渉していただく相手先は都道府県になります。そこは市区町村と都道府県の間でしっかりと配分量の調整をしていただきたいと思っております。
 また、もう既に接種が終わり、ワクチンの余剰がある自治体が出てきております。都道府県におかれては、余剰がある、あるいはもう先行き余剰になる見込みのワクチンについては、都道府県の方で回収して、速やかに県内で分配をしていただくようお願いしたいと思います。
また、ワクチンが先々どの程度の量が余剰になるかということを見極めるためにも、職域接種・大学拠点接種のVRSへの入力が重要な情報になっておりますので、関係の皆様にはVRSへの速やかな入力をお願いしたいと思います。
 また、もう一つ、医療従事者への接種情報のVRSへの入力も、全人口のうちどの程度接種が終わったかということを把握するためには重要なデータになります。医療従事者の入力に関する人件費は国の方で全額負担することになっておりますので、自治体におかれては医療従事者の接種情報のVRSへの速やかな入力もお願いしたいと思います。
 モデルナ社製ワクチンの異物混入につきましては、武田薬品工業株式会社から調査結果について報告が公表されております。混入していた異物は製造機器の破片のステンレスであり、万が一筋肉内に入った場合も医療上のリスクが増大する可能性は低いということです。使用を見合わせていた3ロットについては、昨日から回収が始まっているということでございます。
 アストラゼネカ社製ワクチンにつきまして、各都道府県の納入希望量を調査したところ、8月・9月分の納入希望量は全体で約28万回分となりました。各都道府県の希望通りお届けすることとしております。
 ファイザー社製ワクチンにつきまして、第4四半期分の残りは10月中に供給を受けるということになりました。10月の詳細のスケジュールについては今後調整をしてまいります。

2.質疑応答

(問)ワクチンの関係でお伺いしたいのですが、全人口を分母とした場合に8割の方が1回目接種を9月中に受けられるということですが、これは、特に人口の多い都心部ではもう少し遅い自治体もあると思いますが、日本全体として月内に8割の方に1回目接種ができるという見通しを示されたという理解でよいのかということと、それからファイザー社製ワクチンや、モデルナ社製ワクチンを接種すると考えた場合には、10月中に日本全体で8割の方が2回目の接種を終えられるということで自動的に考えていいのか、そこの考え方を確認させていただけますでしょうか。
(答)すみません。もう少し明確にご説明させていただきます。自治体によってスピードに差がございますので、9月に1回目が打ち終わるところもあれば、打ち終われないところも当然にあります。私が申し上げたかったのは、「1回目の予約が取れません」と言って心配をされている方がいらっしゃいますが、接種率8割として計算した場合、実はまだ1回目を打っていない方が約1,800万人お待ちになっています。約1,800万人の方が今日、明日で全員が打っていただけるということは残念ながら不可能でございます。1日に1回目の接種がだいたい60万人ずつ進んでいきますので、どうしても全国レベルのマクロで見ても、1回目の接種は今月いっぱいかかりますということを申し上げた上で、自治体によって差がありますので、もっと早く終わるところもあれば、1回目接種が10月までかかるという自治体もあります。全体の規模感から言うと、今のスピードで9月いっぱいかかるので、今日明日予約が取れないからといって心配したり諦めたりということのないようにしていただきたいということが、私が伝えたいメッセージでございます。
(問)2自民党総裁選に絡んでお伺いします。菅総理は来週の6日に自民党の役員人事と内閣改造を行う方針で、河野大臣等を要職で起用されるという見方が強まっているとの各種報道がありますけれども。それに関して受止めをお願いいたします。
(答)特にありません。
(問)続けての質問ですけれども、一部報道で、大臣のワクチン業務を補佐するいわゆるワクチンチームが厚生労働省に移管されるという報道がありますけれども、既に厚生労働省に移管する手続が始まっているのでしょうか。
(答)全く聞いたことがございません。初耳です。どこから出た情報か、分かりません。
(問)菅総理は、先ほど自民党の役員会で総裁選挙に立候補しないという意向を示しました。これについて、大臣の受止めをお願いします。
(答)すみません。ご本人に確認したいと思います。
(問)関連して、菅総理が出馬しないということになると、河野大臣は総裁選挙に立候補するお考えはありますでしょうか。
(答)まず、ご本人の意向を確認したいと思います。
(問)ファイザー社製ワクチンの第4四半期分の供給について、10月中に受けることになったと大臣はおっしゃっていました。これは、10月から12月で約1,000万回分の供給を受ける予定であったと思うのですが、これを10月中の1か月だけで受け取るということでよろしいでしょうか。
(答)大枠そういうことになると思います。
(問)冒頭におっしゃった行政改革推進会議のことについて2点お聞かせください。1点目は今後の検討スケジュールで、いつぐらいまでに結論を出すご予定なのかということと、AIを活用した医療費の適正化というふうにもおっしゃられましたけれども、今、どういう審査において課題があると考えていらっしゃるのかお聞かせください。
(答)支払基金は様々なレセプトが電子化されてきております。一部で紙レセプトが残っておりますが、圧倒的に電子レセプトになっております。1つは、レセプトの審査を効率化していくために、コンピューターを使う部分もございますが、AIを導入して、さらなる効率化を図っていくと同時に、レセプトデータを分析することで医療費を適正化していくことができると思っております。残念ながら支払基金が提示しているスケジュールが非常に緩慢で、また狙いもはっきりしていないという部分がありますので、この1年間支払基金の改革の議論をしてきました。新しいチームを立ち上げて、そこに専門家にも入っていただいて、しっかり適切なスケジュールで効果を上げるとともに、電子レセプトになっていますから、過去のように拠点に大量の紙があるということがなくなりますので、働いている方々の利便性等も考えて、テレワークの推進ということを考えても重要なことだと思います。
(問)これまでの取組を加速するという理解であっていますでしょうか。
(答)加速すると同時に、取組を質的にも向上していきたいと思います。

(以上)