河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月28日

(令和3年5月28日(金) 8:48~9:18  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 前回ご報告したハローワークにおける失業給付金手続の改善に関して、1点訂正があります。厚労省が通知を出した後に直轄チームがハローワークに確認を行ったところ、浸透していなかったと申し上げましたが、正確には直轄チームによる確認の後に通知が出ていたということで、時系列が正確でありませんでした。大変申し訳ないと思います。いずれにしろ、施行規則の解釈が現場に浸透していなかったというのはそのとおりですので、そこについては周知徹底を引き続きやらないといけないと思います。そこはしっかり厚労省に対応していただきたいと思います。
 株式会社を設立する際に作成する原始定款につきましては、公証人による認証が義務付けられております。この認証にかかる手数料は現在5万円とされております。「縦割り110番」にこの原始定款の認証の手数料が起業の大きな負担になっているとして、見直しの要望がありました。また、昨年11月13日の衆議院の内閣委員会あるいは規制改革推進会議でもこの定款の認証の手数料が議論されました。
 上川法務大臣と私とで協議し、その後、直轄チームと規制改革推進室がそれぞれ法務省と調整した結果、法務省において手数料の見直しを検討し、本年度中に措置することになりました。定款認証の手数料の改定は、平成5(1993)年以来、約30年ぶりの改正になると思います。
このほかにも、公証制度に関しましては、デジタル化が不十分という意見も規制改革推進会議で指摘され、その他公証人の選任など様々な問題が指摘されておりますので、引き続きこの問題は法務省と協議してまいりたいと思います。
 先般、「縦割り110番」に意見を頂きました介護施設に関する調査あるいは群馬県庁から指摘をされました都道府県に対する調査について、重複の解消を行ったところでございますが、群馬県庁から、更なる重複の解消として第2弾の要請がございました。
今回は6件の重複等を確認しましたが、そのうちの2つをご紹介します。
 まず、林野庁が実施している「森林整備の実績報告」と「間伐等の実績報告」が同じ内容を求めております。また、厚労省が実施している「公共職業訓練に関する調査」ですけれども、表の上段の月次調査で報告された入校者総数などを、表の下段の年次報告でもコース別に報告をさせております。調査が重複しておりますが、群馬県庁からは、「そもそもハローワークのシステムに入っているデータを使えばこの調査は両方とも要らないのではないか」との指摘がございました。
 今、申し上げた事例を含め、6件全てについて両省に対応要請をしたところ、農林水産省は5件いずれも今年度から重複する報告事項を廃止するなど実施しています。加えて、厚労省においてもハローワークのシステムのデータを使えばよいので、両方とも調査を廃止するということになりました。
 引き続き重複の解消に努めていきたいと思っております。
 先般、3月16日に地方自治体の職員が保有している身分証がたくさんあって首が折れそうだということで、これを統合させていただきました。その際、身分証ごとに様式が違っていたり、あるいは写真のサイズが違っていると、結構面倒くさかったり、証明写真のブースで撮った写真に定規を当てて切らなければならなかったりします。何でこれはサイズが違うのかということで、インターネット上に掲載されている証明写真が必要な手続58種類を確認したところ、サイズが14種類、撮影時期は6種類に分かれておりました。これを可能な限り写真や撮影時期の統一ができないかということで各府省に確認したところ、証明写真機等で用意されている4つのサイズに統合して問題ありませんということでしたので、運転免許証のサイズ2.4cm×3.0cm、それから履歴書のサイズ3.0cm×4.0cm、それからパスポート規格3.5cm×4.5cmでこれは顔中心の写真、それから大型サイズ4.0cm×6.0cm、この4種類のいずれかに統合ができるということになりましたので、令和4年度までにこの4種類のいずれかに写真のサイズを統合していただくことになりました。
 一応、58種類を確認しましたが、特に何か理由があってサイズにしていたわけではないということですので、58種類以外にも各府省で写真のサイズが違う手続があれば、この4つのどれかに集約をしてもらいたいということでお願いしております。
 撮影時期については、58手続中46手続が「6か月以内」としておりました。6か月以内より短い手続が10手続ございました。これらは「3か月以内」や「最近撮影したもの」という規定でしたが、特に何故そうなるのかという理由もありませんでしたので、「6か月以内」に統一をしていただくことにしました。
 障害者手帳については、1年以内ということですので、6か月より長い分は構わないということにさせていただいております。
併せて、写真をデジタルで提供するということも利便性の向上につながると思いますが、現在、データ提出できるものが一部にとどまっておりますので、写真のデータ提出についても推進していきたいと思っております。
 次に、国家公務員における女性の採用状況についてご報告いたします。本年4月1日付けの国家公務員採用試験からの採用者に占める女性の割合は37%、第5次男女共同参画基本計画に定める目標である35%以上を達成するとともに、フォローアップ開始後一番高い数字となりました。35%の目標をクリアしたので、もう少し目標を上にすればよいのではないかと思いましたが、応募者数あるいは合格者数は依然としてまだ女性が低く、その中で35%という採用の目標を達成しておりますので、応募者数ですとか合格者数が増えないまま採用目標だけ引き上げるというのも、いろんなところにひずみを生むのかなと思います。
 応募者数が増えるように、採用の広報に力を入れていきたいと思っております。例えば学部によっては家政学科とか、それから文学部の特定の学科のように女性比率が極めて高い学科が大学の中にございます。一方で、そのような学科を卒業した女性に合うような採用の職種があるのかというと、なかなかそうでもないようでございます。これまでも人事院にそのような問題についての検討をお願いしてきましたけれども、なかなか対応していただけておりませんので、今回、強く申入れをしたいと思っております。
 ワクチンでございます。5月27日、医療従事者への接種回数は累計で720万回、高齢者への接種回数は350万回を超えました。合計して1,074万回程度になっております。
 第8クール(6月21日と28日の週)の2週間のワクチンの配分の希望量の登録が本日締切られます。週明けの31日に国の方から割当量をお知らせしたいと思っておりますが、これまでお知らせしている基本配分量はそれぞれの自治体にお届けいたします。調整枠につきましては、今回からVRSで把握した実績に基づいて、あまり打たれていない自治体は恐らく在庫が積み上がっていると思いますので、和歌山県等の接種が進んでいる都道府県に優先的に調整枠を振り分けることにして、接種が進んでいない自治体に関しては都道府県内の融通で対応していただきたい。これは調整枠の話で、基本量はそれぞれの自治体にお約束どおりお届けしますが、調整枠については接種の遅れている自治体はワクチンの在庫があるでしょうから、都道府県内で融通していただくということにして、ワクチン接種の進んでいる自治体に調整枠を優先的に回していきたいと思っております。VRSに入力された実績によって配分しますので、VRSの入力が遅れている自治体は急いで入力をお願いしたいと思います。
 7月以降のワクチンの供給につきましては、1か月前ごとに供給量が確定してくると思いますので、確定次第お知らせすることにしたいと思っております。
 それから、モデルナ社製のワクチンを使った大規模接種を行いたいという動きが広がってきております。宮城県、群馬県、愛知県では既に接種がスタートしておりますが、このほかにも例えば埼玉県、横浜市、川崎市、三重県、大阪市、兵庫県、鳥取県、岡山県、広島県、徳島県等が設置の方針を表明されていると承知しています。
 都道府県に対してモデルナ社製のワクチンを使った大規模接種の意向調査を6月11日締切で行っておりますので、積極的な登録をお願いしたいと思っております。都道府県・政令市で手挙げが行われておりますけれども、早く進む市区町村においてペースを維持するためにモデルナ社製のワクチンを使った接種を行いたいというご要望も伺っておりますので、是非手挙げ登録をしていただきたいと思います。市区町村にも、接種会場を新たに設けるということがあれば、モデルナ社製のワクチンの供給も積極的に考えていきたいと思います。
 5月26日からVRSの接種記録データにつきまして、国民の皆様に分かりやすく接種状況を知っていただいたり、あるいはデータの分析をやりたいというニーズがあるようでございますので、ダッシュボード化して、官邸ホームページあるいは政府CIOポータルに掲載してございます。ご覧いただいて、データはご自由にお使いいただきたいと思います。
 それから、ワクチン接種で自治体が様々創意工夫をしていただいております。よい事例やよいシステムを横展開したいと思っておりますので、地方自治体と厚労省の共同のポータルサイト「OnePublic」で、こんなよい例をやっているぞというのを募集したいと思っております。これは私の下、藤井副大臣がヘッドになって「ワクチン接種これいいね。自治体工夫集」というのを官邸ワクチンホームページに立ち上げて、あるいは官邸のツイッター等でも共有をしていきたいと思っておりますので、藤井副大臣に頑張っていただきたいと思っております。
 昨日までに接種が始まっている、つまりVRSのタブレットでの読み取り実績のある会場が3万3,175会場になりました。この中には当然集団接種の会場もあれば、愛知・群馬・宮城の大規模接種もありますし、自衛隊による大規模接種会場2か所も含まれておりますが、その他個別接種も含んで、3万3,175か所ということになっております。
 もう一つです。国家公務員の新型コロナワクチン接種についてご報告いたします。各企業に対してワクチン接種を受けやすいように、接種日あるいは副反応が出たときの休暇制度の導入などのお願いをしておりますが、国家公務員についても接種を受けやすい環境の整備に向けて、制度を所管する人事院に対して検討を依頼しております。自衛隊の医官等は先行して接種してもらっておりますが、それ以外の一般の国家公務員につきまして人事院に依頼していたところ、昨日、ワクチンを接種する場合と副反応が生じた場合に勤務に当たらなくてもよい、「職務専念義務の免除を行える」という措置が人事院においてなされました。これは緊急臨時の措置でございますので、休暇というよりは職務専念義務の免除ということになっておりますが、仕事しなくてよいという意味では同じ効果があるということでございます。
 各府省においては、こうした制度を活用して、職員に接種を勧奨してもらいたいと思っております。また、地方公務員につきましても、昨日、総務省から各自治体に対して同様の通知を出していただいているところでございます。

2.質疑応答

(問)時間がないので2点です。国家公務員の女性採用率が過去最高となった評価と要因の分析、そして先ほど大臣から女性比率の高い学科を含めた広報の徹底の話がありましたが、さらなる採用率向上へ課題と今後の取組をお聞かせください。
(答)私が外務大臣を務めていた時に、総合職の分野で女性採用率が過半数になるという、恐らく聖徳太子以来史上初めてのことだったのではないかと思いますが、今年も外務省は恐らく女性採用率が過半数になっていると思いますし、その他幾つかそういう省庁があると承知しております。非常に優秀な女性の方が国家公務員を目指してくださっているということは大変ありがたいと思っております。他方、応募者数、それから合格者数を見ると、35%を下回っておりますので、若干げたを履いている状況になっております。そういう意味で、試験を受けてくださる女性の数を増やしていくための広報をしっかりやらなければならないと思っております。
 女性の割合が高くなってきますと、どこかのキャリアの中で出産や子育てということになるわけで、そういうことへの対応という意味で、長時間労働の是正や働き方改革がますます重要になってまいりますし、男性の職員の育児休暇というのも積極的にやっていく必要があると思います。女性の採用を今後しっかりやっていく意味でも、ますます働き方改革が重要になり、その中でも長時間労働を解消する、あるいは子育ての中で例えば保育園への送り迎えとか、そういうことを考えると、今週は何曜日に早く帰れるとか、何曜日は定時に帰れる、何曜日はちょっと残業になる可能性があるというのが読めるというのが大事で、いきなり今日は定時で帰れますと5時頃に分かっても、育児もそうですし、あるいは介護というところでも、先見性がしっかり確保されるということが大事だと思います。これは立法府の理解も積極的にこれから求めていくようにしていかなければいけないかなと思っております。
(問)もう一点です。ワクチンの第8クールの配分量の数字の確認ですけれども、基本量は1万3,434箱だと思いますが、調整枠は何箱になるのかというのと、この実績に基づく傾斜配分の手法は既に自治体に通知しているのか、この2点をお聞かせください。
(答)配分枠については、これから決まってまいります。自治体にはそういうことをこれから通知してまいります。
(問)冒頭にご紹介のありました公証人の定款の認証手数料についてお聞かせください。これについて、改めて具体的にどういう効果が期待できるかということと、あと大臣は公証人制度について様々な問題があるという問題意識を持たれているということですが、現状の問題意識にどういうものがあるのか、教えてください。
(答)原始定款を認証するだけで5万円かかるというのが起業に大きな負担になっているという話がありました。登録免許税等ほかにも費用のかかるものはございますが、資本金1円でも企業の設立ができると言いながらも、その他の手数料が高いという話がありますので、法務省には積極的に引下げの検討をしていただけるものと期待しております。
(問)北方領土関連についてお伺いします。昨日、元島民でつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」が5、6月に中止になったビザなし渡航の円滑な実施を求める要望書をまとめました。その中で、島に上陸しないで船上で慰霊祭を行う「洋上慰霊」の支援を政府に求める考えを示しました。昨年は「上空慰霊」という形を取りましたが、この新しく示された「洋上慰霊」という手法について大臣はどうお考えか、そのお考えをお聞かせください。
(答)新型コロナウイルス感染拡大によって様々な行事ができなくなっておりますので、どういうことができるのか、前向きに検討していきたいと思っております。
(問)確認ですけれども、あくまで政府としては7月から通常の形に戻していくという努力を続けていくという方針に変わりないのでしょうか。
(答)なるべく今までやってきたことがきちんとできるようにしてまいりたいと思っております。ただ、こういう新型コロナウイルスの感染が拡大している状況ですので、それをしっかり見ながら、船の消毒が十分にできるとか、様々な手は打とうと思っておりますが、今後、しっかり検討して対応していきたいと思います。
(問)昨日、沖縄県の玉城デニー知事から岡下大臣政務官の方に、「在沖縄米軍基地の整理縮小を求める要望書」が提出されました。大臣もご覧になったかもしれませんが、それについての受止めと、あと昨日、加藤官房長官とも面会をして、政府主体の大規模接種会場というものを沖縄県内に設置できないかという要望もされておりました。これについては、先ほど冒頭でおっしゃっていた都道府県の意向調査を踏まえて設置を考えるという状況なのでしょうか。この2点をお聞かせください。
(答)米軍基地につきましては、外務省、防衛省にお尋ねいただきたいと思います。
 玉城知事からは、様々なワクチンに関するご要望をいただいております。沖縄県が大規模接種会場を設置することに対する支援は積極的にやってまいりたいと思っておりますし、もちろんモデルナ社製ワクチンの供給ということもしっかりやっていきたいと思っております。
(問)先ほどの公証人制度についてなんですけれども、大臣としてこの公証人制度を抜本的に改革する必要があるとお考えでしょうか。
(答)時代の要請というものがあろうかと思いますので、デジタル化というような流れを含め、見直すべきものは抜本的に見直しが必要だと思います。
 規制改革推進会議でも直轄チームでも様々な議論がございますので、しっかりやってまいりたいと思います。
(問)ワクチンの接種状況について、合わせて接種回数が1,000万回を超えたということで、ただ、1日当たりの接種の回数は40万回程度ということで、現状の接種状況をどのように評価されているかと、さらなるスピードアップにどのような課題があるか、認識を教えてください。
(答)VRSをなるべくリアルタイムで入力してくださいというお願いをしておりますが、自治体によってはまとめて次の日に入力をしているというところもあるようでございます。特定の日の数字を追いかけていただくと、最大で2週間ぐらいかけて、その日の数字が増えている、後から接種券をVRS登録しているということがあろうかと思いますので、その日の入力値を見ると恐らく2週間後には1.5倍ぐらいになっていると思います。
 自治体にはなるべくリアルタイムでの入力をお願いしておりますけれども、個別接種などで医療機関が対応できない場合には、自治体が回収して入力をまとめてやるというようなことも起きております。その際、人手を雇って入力をするというような場合には、国の方で負担をさせていただいておりますが、そうやって少しずつ日を追うごとに接種回数が特定の日を1つ見ても増えているということですので、もうちょっと分かりやすい出し方ができないか、ちょっと考えているところでございます。例えば、前日とその前々日の差分を見ると、1日の接種回数よりだいぶ大きな数字になったりしておりますので、もうちょっと分かりやすい数字をどう出したらいいかなというのを今は考えているところでございます。
 ダッシュボードを見ていただくといろんなことがお分かりいただけると思います。都道府県レベルまで見られるようになっておりますのでご活用いただきたいと思います。
(問)さらなるスピードアップの必要性と、そのスピードアップに向けた課題というのはどこにあるという認識ですか。
(答)ファイザー社製のワクチンはもう基本量の分配量をお知らせしておりますので、個別接種の予約もしっかり取れると思いますが、なかなかかかりつけ医の医師のところまで都道府県あるいは市町村で分配がなされていないというご意見もいただいておりますので、自治体には個別接種の会場を増やす、あるいは1日当たりの件数を増やすというお願いをしているところでございます。
 当然、まだまだ総理の掲げた1日100万回接種には達しておりませんので、それを目指して打ち手の確保という段階だろうと思っております。恐らく山は3つあって、最初のワクチンの供給というところは何とか山を越えたかなと。今は2つ目の打ち手の確保という山を登っているところです。その後、高齢者への接種が終わると、今度は若い世代にワクチンを接種してくださいという勧奨、啓蒙活動をやっていかなければならないかなと。それが3つ目の山になるのではないかと今のところ思っております。

(以上)