河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月18日

(令和3年5月18日(火) 9:02~9:36  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 まず冒頭ですが、今日の午後5時半から「規制改革推進会議」をオンライン形式で開催いたします。今日の会議そのものは従来同様非公開ですけれども、約1週間後には議事概要をホームページで公表したいと思っております。
 これまでのワーキンググループの成果を取りまとめる会議で、「規制改革推進に関する答申の構成案」が主な議題になります。それに加えて「デジタル時代の刑事法の在り方」と「デジタル技術の進展を踏まえた大学・高校の設置基準の見直し及び外部人材の積極活用のための教員資格制度の見直しに関する意見」を取り上げて会議として決定する予定です。午後6時40分めどで、小林議長からオンラインで記者会見が行われますので、ご参加よろしくお願いします。
 PFI、すなわち、公共施設の整備運営に民間の資金、創意工夫を用いる手法が地域の行政サービスの効率化に有力な手法だと考えております。その中で、PFIについては地域の企業が参加できないのではないかという懸念が指摘されておりましたので、令和元(2019年)年度のPFI事業における地域の企業の参画状況について、調査いたしました。その結果、地方公共団体が事業主体となるPFI事業47件の約9割に当たる41件において地域企業が参画し、約半数に当たる22の事業では地域企業が代表企業として参加しておりました。
 地域の皆様に積極的にこうしたPFI事業に参加していただいて、地域経済の活性化・地方創生にどんどん力を発揮していただきたい、まだまだこの分野は伸ばせると思っております。
 ワクチンでございますけれども、5月17日までの累計の医療従事者への接種回数は約548万回となりました。480万人とされる医療従事者のほぼ4分の3が1回目を終了し、2回目接種まで終わった方がほぼ4割ということになります。高齢者は、日曜日までの累計で約100万人となりました。高齢者と医療従事者合わせて全体で600万回を超えてきております。
 VRSについて、幾つかの自治体に聞いてみましたが、かなり順調に入力ができている自治体の話では、汚損などによる手入力作業はほとんどないということでございます。一定の距離を保ってOCRラインの読み取りをしっかり進めていただいているところだと思いますが、読み取り補助のため、来週の月曜日24日から読み取り台の配布が始まります。
 6月の最終週までに高齢者の2回接種ができるだけの量を地方自治体に配布をしているところでございます。第5クール5月10日からの2週間と、第6クール5月24日からの2週間で、全ての高齢者の1回目の接種に必要なワクチンの配送が行われることになります。その後、第7クール6月7日からのワクチンの配送につきましては、昨日、都道府県ごとの配分数をお知らせしたところでございます。高齢者の接種実績が累計で100万回に達しましたので、今後も着実に進めていただきたいと思っております。
 都道府県並びに政令市の大規模接種の意向調査を行ったところ、30の都道府県、政令市から意向の確認がありました。これから具体的な内容を詰めていきたいと思います。
 先週、経団連、日商、同友会、新経連と意見交換をさせていただきましたが、昨日、同友会からワクチン接種加速への貢献について文書が公表されました。企業内診療所、健保組合あるいは企業が保有する医療機関などで働く医療従事者に自治体での接種に協力してもらうために派遣するなど、国・地方自治体と連携してワクチン接種をスピードアップしていきたいという方向性を示していただいているところでございます。

2.質疑応答

(問)ワクチンに関して2点。自衛隊による大規模接種センターでは、実在しない接種券番号でも予約可能になっています。また、市区町村の予約システムとも連結できていないので、二重予約を自動的に回避する仕組みになっていません。自治体からもV-SYSについて一部不満が上がっています。こうしたシステムの改善あるいは再構築を全体的に検討する必要はないのか、現状認識と併せてお聞かせください。
(答)一部の報道で65歳以上でない方が面白半分に予約を取って、65歳以上の方の予約の邪魔をしている、それを誇っているかのような報道がございましたので、自衛隊から抗議が出されたと承知しております。自衛隊のシステムについては、個人情報を持たないようにして予約を受け付けるというシステムです。ただ、対象の方がきちんと予約できるように、一部必要なシステムの改修は行われていると承知しております。
 V-SYSについては、もう走ってしまっていますので、いまさらV-SYSを全面的に改修というのはなかなか難しいと思いますので、運用の仕方はこれからも少し改めていきたいと思っております。
(問)関連です。冒頭に自治体による大規模接種会場を設置する意向の自治体が30自治体という言及がありました。詳細な一覧表を後ほどいただければありがたいというのと、今後も数を増やしていく、あるいは増える見通しなのかどうか。また、国として配送の傾斜配分ですとか、実際のノウハウの共有、横展開、そういった国としてサポートを考えている分野についての検討状況をお聞かせください。
(答)確固たる状況になった接種会場については、順次お知らせしていきたいと思っております。幾つかの自治体はかなり早い段階で5月中にも開始したいと言われておりますので、そういう意向のあるところをまず今はサポートしているところであります。必要に応じて国の方でも予約システムやその他のうまくいっているシステムの紹介、その他を行っていきたいと思っております。
(問)今の大規模接種会場について確認させてください。30の県と政令市ということだったと思うんですが、これは47都道府県と20の政令市の中の30という理解でよろしいですか。
(答)そういうことです。
(問)あと、ここで使われるワクチンは、今、承認審査中のモデルナ製のワクチンを使う想定でいるという理解でよろしいでしょうか。
(答)そのとおりです。
(問)同じことに関連してなんですが、30の都道府県とおっしゃいましたけれども。
(答)ごめんなさい。そこは都府県かもしれませんし、都道県かもしれません。ちょっとこの都道府県という4文字は、県は間違いなく入っています。府も入っているかな。
(問)ちょっと内訳、そこだけせめて確認させていただければと思うんですが。
(答)ごめんなさい。数字だけ正確だと思います。
(問)そこは後から事務方から出していただけるんですか。
(答)そこは確固たる状況になった時にお知らせするということにしておりますので、それぐらいの数が来ているということをご認識いただけたらと思います。都は自衛隊がやっていますので、北海道がどうだったかというのは、確固たる状況になったらお知らせしたいと思います。すみません。とりあえず30のところから来ていると。
(問)それに関連してなんですが、総理は、7月末の高齢者の接種完了、そして1日100万人という目標を掲げています。30というものが、まずそもそも大臣が当初想定していたよりも多いのか、少ないのか。そして、市町村とは別の都道府県や政令市が行う大規模接種が、今、政府が掲げている目標にどのように資していくとお考えなのか。その2点をお聞かせください。
(答)市区町村も頑張ってくれております。それに加えて大規模接種がスタートするということで、全体的なスピードアップにもつながります。また、例えば東京・大阪で行っている自衛隊による大規模接種会場は、LINEあるいはオンラインでの予約で東京・大阪まで出てきていただかなければいけないということで、オンラインで予約ができる方、移動ができる方は、かなり東京・大阪の大規模接種会場に来ていただくと思います。そのほかにも大規模接種が行われることによって、なかなかオンラインで予約ができなかったり、遠くまでの移動が難しい方が、地元で接種できる可能性や確率が高まっていくということもあると思いますので、そういう意味でそこまでお出かけいただける方が大規模接種会場で接種を受けていただけるということは、近場の会場がその分空くわけですから、そういう補完機能にもつながってくると思っております。
(問)そうすると、この30がさらに増えていくというふうにお考えなのかというのと、これによってさらに接種の加速化が進んでいくという認識なのでしょうか。
(答)加速化は進むのは間違いないと思っています。これから先がどうなっていくかというのは、増えてほしいと思っております。まず、今のところ、寄せられているものに対して、ワクチンの供給ですとか、それぞれの手の挙がっているところの準備状況の確認といったものを進めていきたいと思います。
(問)今の大臣の発言にも関連するのですが。ワクチンのネットでの予約に関して、多くの自治体でインターネットを使っていると思いますが、高齢者によってはネットに慣れていないという方もいらっしゃると思います。そういった現状を、今、どう見ていらっしゃるかということと、自治体あるいは予約する人に対して改めて呼びかけ等があればお願いいたします。
(答)ネットで予約を取られている割合が私の想定よりかなり高くなっております。これは、高齢の方がご自分で取られている部分と、ご家族が取ってくださっている部分と、両方あるのかなと思っております。
 何度も申し上げておりますように、市町村に1回分に必要なワクチン量は、この5月末というか6月の実質的には6日までですけれども、ここで配送されます。6月末までには2回接種に必要なワクチン量が配送されますので、ワクチンは確実に確保されております。希望する方全員が受けていただけることになりますし、さらにモデルナが承認されれば大規模の接種会場でも打ち始めればスピードアップされますので、ワクチンの供給は問題ありません。そこはご安心いただきたいと思います。
 いろいろ報道がありましたし、現実に混乱が起きていたこともありまして、そこはお詫び申し上げます。だんだん、幾つかの、混乱していたと言われていたところも落ち着いてまいりましたので、少しずつ予約が取りやすい状況にもなってきております。慌てずにしっかり予約を取って接種をお願いしたいと思います。
(問)自治体の大規模接種の関連で、詳細はこれからだと思うんですけれども、現状、30の県と政令市で大体1日何人くらいの接種体制を見込めると。
(答)今、それも精査しているところですので、確定したら順次お知らせしていきたいと思います。
(問)少なくとも数万人以上か。
(答)そこは、一応用語としては大規模接種と言っておりますが、数は千差万別です。
(問)もう一点です。接種に協力する医師への支援措置の関連ですけれども、これまで診療時間外や休日の接種については費用を上乗せするということが決まったと思いますが、先週、全国知事会からも要望があった通常診療を休んで接種に協力する場合の単価アップについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)今、スピードアップのための様々な施策を検討しておりますので、決まり次第、決まったことをお知らせしたいと思います。
(問)冒頭に発言のありました経済界との連携についてお伺いします。まず、大臣がこれまで経済界とコミュニケーションを取られてきて、具体的に手を挙げてくれた企業というのは幾つぐらいあるんでしょうか。
(答)検討中と言ってくださっている企業が具体的に幾つかございますが、これからいろんなことを検討しなければならないと思いますので、決まったところをお知らせしていきたいと思います。
(問)重ねてお伺いします。企業での接種についても優先順位は高齢者からということを先週の会見でおっしゃっていましたが、参加する企業へのインセンティブとして、社員への一般接種もできるようにするというような考えはありますでしょうか。
(答)高齢者の接種に協力をしてくださる企業については、例えば社員の高齢の方、基礎疾患をお持ちの方への接種に移れば基礎疾患をお持ちの社員、そうした方も当然に対象になります。
(問)ということは、優先順位はあくまで一般の自治体での接種と変わらないということですか。
(答)そこは同じです。今のところ、そういう考えでおります。
(問)ワクチン接種に関して、都道府県別での接種状況にばらつきがある現状で、特に都市部では接種率が低い傾向があります。その現状をどう受け止めていらっしゃるのかと、またばらつき解消に向けて必要な対応策についてお考えをお聞かせください。
(答)接種率で言えば人口の多いところが低いというのは、これはもう当初の想定どおりでございます。それを底上げするために都道府県・政令市が今は大規模接種を検討してくれておりますので、それがスタートしてくれば少しずつ都市部も接種が増えていくと思います。そのスピードを注視していきたいと思っています。
(問)自治体の大規模接種の関係ですけれども、モデルナ製のワクチンを使うということですが、これは自治体が欲しいタイミングで欲しい量を順次確保できる状況なのか、それとも、30の自治体がやることによって、自治体の要望どおりに送れない状況も出てくる可能性があるのか。
(答)現時点では、要望どおりに送れるようにしていきたいと考えています。
(問)あともう一点です。モデルナ製と併せてアストラゼネカ製のワクチンの承認も今は申請中ですけれども、アストラゼネカ製のワクチンの使い道というのは、今はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)今、いろいろ検討しているところでございます。決まり次第、お伝えしたいと思います。
(問)冒頭のファイザーのワクチンの配送スケジュールですけれども、第7クールの6月7日以降配送分を昨日お知らせしたということですが、具体的な数字は前回お示ししていただいている1万3,000という箱数になるのか、調整枠をさらに用意しているのか。数字の確認をしたいのですが。
(答)基本量の1万3,000に加えて調整枠500あったかと思います。1万3,500箱。
(問)では、その希望どおりに、各自治体の要望どおりに配分できるということですか。
(答)基本量を超えている部分については、割合をかけて減らしています。基本量そのもの、基本量以下のところについては、そのままお出ししています。基本量を下回っている部分を調整枠に足して、基本量を超えてしまった部分は一定の割合でやっています。
(問)基本的なことですけれども、大規模接種というものの定義についてなんですが、これは都道府県と政令市がやっているものについて大規模接種という理解でよろしいでしょうか。
(答)鋭い突っ込みですが、今のところ、そういうふうに呼んでいます。特に人数その他で線を引いておりません。
(問)似たような質問なんですけれども、先ほど30に都道府県が含まれているのかという質問に対して、東京都と大阪府は自衛隊が入っているとおっしゃいましたが、この30というのは実施主体が都道府県あるいは政令市のものなのか、それとも実施場所が都道府県なのか、この30の定義をもう一度教えてください。
(答)おおよそ30ですが、内容についてはまだで、「やりたい」と言っているところと、もう具体的な場所も示して、1日の接種人数まで出てきているものまで多種多様でございます。今の段階で同じレベルの情報が来ているわけではありませんので、それぐらいの数の手が挙がっているという程度の認識にとどめておいていただきたいと思います。
(問)確認です。30の都道府県と政令市が「やりたい」と言っているという話であって、自衛隊が東京・大阪でやっている、そういったものは入っていないという認識でよろしいですか。
(答)東京・大阪についてはもう動き始めていますので、それに加えてと考えていただいてよろしいかと思います。
(問)ワクチンの打ち手の確保についてお伺いします。昨日も署名を受け取られたと思うんですが、ワクチン接種のボトルネックとも指摘されている打ち手不足について、薬剤師が打つ側に回ったらいいんじゃないかみたいな声も出ているんですけれども、大臣の考えをお伺いできますか。
(答)昨日、薬剤師を打ち手に活用してほしいというご要請もいただいております。予診並びに打ち手をどう確保するかというのが今一番の注視点でございますので、まずお医者さんに出てきてもらう、潜在看護師を含め看護師さんに出てきてもらうというところを今、一生懸命やっているところでございますが、歯科医師も打ち手に加わっていただくということになりました。神戸市だったと思いますが、現実に歯科医師さんに入ってもらって接種を行うという話も出ておりますので、恐らくその次の段階は歯科医師の方に一定時間のトレーニングを受けてもらって入ってきてもらうということだと思います。
 今はその先をどうするかというのは考えようとしているところでございますので、当然に薬剤師さんもその次のグループに検討の対象にはなると思っております。どれぐらい今のお医者さんや看護師さん、それから歯科医師さんで打ち手不足が解消されるかというのも見ながら、なるべく早く物事を決めていかないと実際に動き出すのに時間がかかりますので、そうしたことを見ながら対応していきたいと思っております。
(問)厚労省はこれまで薬剤師を接種の打ち手に回すかどうかというのは考えていないという答弁だったんですが、政府としてそれも含めて考えていくというような認識でよろしいでしょうか。
(答)テーブルの上にはのせようと思っております。

失礼しました。第7クールの基本枠が1万3,435で、調整枠が65です。
もともとの基本枠が1万3,435ですけれども、基本まで要望がなかったところがありますので、そこの浮いた分は、隙間は調整枠に回していますので、合計で1万3,500を配送します。
 
(問)ちょっと話題が変わってしまうんですけれども、先週、弊紙等のインタビューをさせていただきまして、子供の貧困の問題についてご発言がありました。「若年層の妊娠について、褒められる話ではない」というようなご発言があり、また、貧困の再生産が問題であるとして「母子世帯の割合が高いと、そこがやはり貧困になってしまっているというのは断たないといけない」という見解を示されました。
 このご発言について、弊紙のインタビューを報じたところ、かなりの反響がございまして、貧困の問題を専門とする大学教授からは「単身でも貧困に陥らず子供を育てることができるという環境・社会をつくることが国の責任であり、若年層の妊娠よりも母子世帯への国のフォローが遅れていることこそが問題だ」との指摘等もございました。
 もう一点、英語教育についてのご発言でも、米軍基地の英語教育への活用について「大人のイデオロギーで邪魔することは許されない」というお話がございまして、それに対しても「なぜそのイデオロギーが生まれているのかを考える必要がある」との指摘がございました。
 直接の関係はございませんが、玉城デニー知事も母子家庭のご出身でありまして、先週の発言の改めて真意と、こういった反応に対する受け止めもお願いできればと思います。
(答)秋のレビューで子供の貧困を取り上げました。子供の貧困と母子世帯の関連があるということで、一つには母子世帯のサポートが子供の貧困の解消には必要だということ。それから、もう一つは、母子世帯の収入が低いという中で、女性の社会参加、労働参加が増えている。しかし、多くの場合は非正規になってしまって、男性と比べた場合に収入が低いという正規・非正規の格差を直していかなければいけないというのがあると思っております。
 そうしたことを申し上げた上で、ライフプランを自己決定するために、自分の将来の人生の計画を自己決定するために、避妊を含めた性教育の知識というのをきちんと学ぶ必要があると思います。性教育というと一部には寝た子を起こすな論というのか、何か性交を奨励しているかのように言われる方もいらっしゃいますけれども、私は現実として自分の人生を自己決定しようと思ったら、やはり避妊についてはきちんと知識を持たなくてはならなくて、そのための性教育というのはきちっとやらなければならないと思っています。
 それと、母子世帯の収入が少ないというのは、子供の父親が未婚・離婚であっても、やはり養育費をきちんと払う、子供の将来に父親も責任を持つということは必要なことだと思っております。
 沖縄の場合、相対的な子供の貧困の割合というのが非常に深刻で、30%近い、全国平均の2倍という非常に高い割合になっていて、高校進学率あるいは大学進学率、これは全国で恐らく一番低いレベルになっています。高校の中退率も非常に高いという現実があります。
 そうした中で、沖縄の10代の妊娠中絶の実施率は、女子人口1,000人に対して全国平均を上回り、那覇市などでは、これは古いデータかもしれませんけれども、全国平均6.6に対して9.8ぐらいの数字になっているという現実があります。沖縄の10代の女性の子供を産む率というのは、全国平均の0.28%に対して0.8%を超えています。
 そういう中で、沖縄でも、もちろん文部科学省のプログラムに沿った性教育というのは学校で行われていると思いますが、自分のライフプランに引き寄せた性教育というのを、自分の将来と性教育が密接に関連するというのが心に響くような形でやらないと、通り一遍ではいけないのではないのかなと思っています。もちろん沖縄の出生率が高いというのは、10代の出生率が高いというところもあると思います。ただ、せっかく出生率が高いのならば、生まれてくる子供は誰もが同じ人生の機会平等に恵まれなければならないと思っています。
 そういう意味で、沖縄の将来を考えたときに、子供の貧困、母子世帯の収入格差をなくすとか、あるいは女性の非正規の就職率が高くて結果として男女の収入差がある。それと、ライフプランを自己決定できる、そうした教育、これはやっぱり欠かせないのではないかなと思っております。沖縄県や自治体とも、こういった子供の相対的な貧困率が全国平均の倍以上という状況を前にして、やっぱり子供の貧困の解消、機会の平等、高校進学率・大学進学率を引き上げるということは、最優先課題の一つにしなければならないと思っています。
 それから、英語教育については、沖縄の基地が多いという背景はもちろん理解していますけれども、これからの世界を考えると、英語の能力というのが子供の将来に門戸をどれだけ開くか。英語ができなければ1億2,000万人を相手にするしかないところを、英語ができれば70億人を相手にすることだってできる。よく引き合いにして怒られますけれども、「BTSとAKBを比べてみれば一目瞭然ではないか」と言ってよく叱れておりますが、私はそれは現実なんだろうと思っています。そういう意味で、沖縄の子供に未来を開いていくために、沖縄の子供だけでなくて、私は日本の英語教育全体をもうちょっと何とかしなければいけないと思っています。それだけネイティブスピーカーが身近にいるわけですから、それをリソースとして英語教育に使っていくというのは、子供の未来を考えれば非常に大事なことだと思っております。もちろん、基地の問題とかいろんな問題はありますけれども、それはそれで取り上げるべき問題だと思いますが、せっかく目の前にあるリソースを使わない手はないなというのが私の偽らざる気持ちです。

(以上)