河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月14日

(令和3年5月14日(金) 9:05~9:22  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 昭和47年5月15日、沖縄の本土復帰が実現し、明日で復帰から49年を迎えます。この間、県民の皆様の本当にたゆまぬ努力もありまして、沖縄振興については県内総生産あるいは1人当たり県民所得が大きく伸びた、あるいは社会資本整備における全国平均との差の縮小、あるいは観光客の数が1,000万人を超えたと、様々な成果が上がっております。
 ただ一方で、いまだに1人当たり県民所得は全国最下位であったり、失業率も全国的にはよい状況とは言えない、あるいは子供の貧困対策などの課題が残っているのも現実でございます。観光産業もコロナの影響を大きく受けておりますし、首里城の再建といった大きなテーマもございます。
 引き続き、しっかり沖縄振興に取り組んでまいりたいと思っております。
来週5月17日から21日までの間、この中央合同庁舎8号館2階の食堂におきまして、沖縄フェアとして「沖縄そば」「らふてぃ丼」等、沖縄になじみのある食事が提供されます。それぞれ時間をずらしながら記者の皆様にも是非お召し上がりいただきたいと思っております。
 3つ目です。私の下で規制改革・行政改革に取り組んでくれている直轄チームでございますが、4月中はA班・B班がシフト制でおおむね5割の職員がテレワークをやってまいりましたが、政府が民間に7割出勤者を減らしていただきたいと要請していることもございまして、緊急事態宣言が出された4月26日から5月11日までの間、計画的なテレワークあるいは休暇の取得などを合わせ、出勤者を7割削減することができました。ただし、ワクチン担当は入っておりません。
 5月12日の参議院本会議におきまして、押印・書面の見直しを含む「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が成立いたしました。この押印・書面の見直しの関連では48の法律が一括改正され、今回の改正によりまして押印の義務が廃止される手続が98%を超えます。最終的には99.2%、ほとんどが認め印でございますが、廃止する予定でございます。
 また、不動産関係の書面の電子化が可能となりますので、例えば都市部で働いている方々も事前の契約のためにいちいち現地へ行かなくても、地方の物件の売買・賃貸が行いやすくなります。これによって、ワーケーションがより拡大する可能性があるのではないかと思っております。
また、国内で1年間に使われているレシートの束を並べると地球を378周するそうです。こうした領収書の電子化も可能となりまして、社会として環境に配慮した取組みができるようになると思います。
 また、公認会計士の押印が必要であった監査証明書は、年間3万件以上ございました。また、建築士の押印が必要であった設計関係の書類、例えば5階建て3,000平米のビルは150枚から250枚、その全てに建築士さんがはんこを押さなければいけなかったというのもなくなります。
押印の見直しに続きまして行政の書面・対面原則の見直しを進めております。
 昨年11月6日付、平井大臣及びIT室と連携をいたしまして、各府省に対して書面を求めている全ての行政手続についてオンライン化の方針を示すように求めました。書面による申請を求める行政手続は合計で2万2,084種類ございましたが、昨年3月の時点でオンライン化未実施が1万8,612種類でした。今回、書面による申請の中でオンライン化ができていなかった1万8,612のうち、98%近い1万8,180種類の手続が5年以内にオンライン化するという回答が得られました。
 これまで費用対効果がないからオンライン化しないと言っていた手続についても、電子メール等での提出を認めるということにいたしました。
例えば、消防計画の作成・変更の届け出など、消防法令に基づく各種手続は、既に電子メールによる提出が順次始まっております。
また、一般旅券の発給申請も令和5年末までにオンライン化される予定になっております。
 今後のスケジュールとして、2021年末までに4,029の手続、来年末までに1,922の手続がオンライン化される予定です。前倒しを含め働きかけをしていきたいと思います。
 「性質上オンライン化が適当でない」というものが、例えば「ハローワークでの失業認定」とか「転入届」といった、非常に手続き件数が多いものも含まれておりますが、このうち「ハローワークでの失業認定」等については昨日の規制改革推進会議のワーキンググループの中で議論を始めていただいているところでございます。
 ワクチンでございます。5月13日の時点で医療従事者への接種回数は489万回弱となりました。高齢者は12日水曜日までに60万回を超えておりますので、高齢者・医療従事者合計して500万回を超えました。
 今週、日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会、新経済連盟といった経済団体と順次意見交換をさせていただきました。私の方からは、企業内の診療所、産業医、企業健保が開設している医療機関での職域でのワクチン接種、それからこうした医療資源を使って地域の高齢者の接種へのご協力もお願いしたところでございます。
 また、副反応がかなり強めに出るということもございますので、ワクチン休暇、あるいは勤務体制への配慮等について、それぞれの企業の従業員が接種しやすい環境の整備に向けてのご検討、ご協力をお願いいたしました。
 また、海外渡航のためのワクチン証明書についても、ご意見をお伺いしたいということをお伝えいたしたところでございます。
ワクチン接種がやはり経済の活性化の切り札であるという認識を皆様がお持ちで、積極的にワクチン接種に協力したいと言われております。
5月24日から自衛隊による大規模接種が東京・大阪で始まりますが、これに加えて政令指定都市並びに都道府県においても大規模接種会場の設置を計画していただいております。国として財政面を含め、こうした動きをしっかりサポートしてまいりたいと思っておりますし、モデルナ製のワクチンが承認されれば、直ちにこの大規模接種会場に供給を始めていきたいと思っております。一昨日は、政令市の福岡市でも大規模接種会場等の計画の説明をいただいたところでございます。
 また、地方3団体とも意見交換を行っております。医療従事者の兼業については、各医療機関に申請していただければ認めていただけることになっているということをお伝えいたしましたので、3団体からも積極的な要請をしていただきたいと思っております。
また、社会保険の被扶養者要件130万円については、これはワクチン接種に従事して130万円を超えてしまって扶養から外れるということは直ちにないということをお伝えしました。
 また、2週間ごとの配送量は既にお伝えをしておりますけれども、供給日をなるべく早く確定をして知らせてほしいというご要望がございましたので、第6クールの5月24日、31日の週は1週間前にお伝えということになりますが、6月に入った第7クール・第8クールはおおむね前々週の火曜日に納入予定日をお知らせできるということでございます。
 VRS(ワクチン接種記録システム)の読み取り台の配送を始めます。当日に入力いただいている自治体も数多くある一方で、1週間まとめてというようなことがありますが、大規模接種が始まると万が一のときの確認ということも必要になってくるかと思いますので、なるべく早期の入力をお願いしたいと思っております。

2.質疑応答

(問)時間もないので2点だけです。ワクチンで、先ほどは財界団体との意見交換で、これは4団体との意見交換を今週既に終えたという理解でよろしいですか。
(答)はい、終わりました。
(問)あと、先ほど大臣は地域の高齢者接種への協力をお願いしたということですが、これは各団体に依頼した企業内での健保、産業医を活用した接種を近隣に住む高齢者接種に活用するということを想定しているのか、この具体的内容をお聞かせください。
(答)企業の医療資源を使って地域の高齢者接種にご協力いただきたいというお願いをいたしました。企業内に例えば65歳以上の社員の方がいれば、当然そこで打っていただくということになろうかと思います。
(問)もう1点だけです。兵庫など4府県の自治体の首長さんが、余ったワクチン等を住民に先駆けて接種する事例が相次いています。予約困難な住民から不満の声も上がっていますけれども、大臣はこの是非についてどう思われているのか。また、これまで大臣はキャンセル等による無駄が生じないように弾力的な運用を自治体に求めてきましたが、キャンセル時の一義的な対応を示す何らかの指針を策定する必要がないのか見解をお聞かせください。
(答)とにかく貴重なワクチンですから、廃棄をしないようにしてくださいというお願いをしてまいりました。接種券を持っている高齢者、あるいはまだワクチンを打っていない医療従事者、あるいは接種券を持っていない高齢者、そういう方に積極的にお声がけいただいて、それでも対応できないという場合にはそこは自治体の裁量で打ってくださいと、無駄にしないでくださいということをお願いしてまいりましたので、自治体には無駄にしないような対応をお願いしたいと思っております。
 他方、ワクチンを打ちたいという住民の方々の非常に強いご要望もある中でございますから、説明責任はしっかり果たしていただきたいと思います。
(問)職場での接種についてお伺いします。現在、大臣はいつ頃の開所を念頭に調整をされているのでしょうか。
(答)自衛隊による大規模接種が5月24日からスタートいたします。そこにできればモデルナのワクチン供給をしたいと思っておりますので、それ以降、モデルナ製ワクチンの供給がスタートできれば、企業内接種も高齢者向けを是非やっていただきたいと思っております。
(問)重ねてお伺いします。今回、地元の高齢者の方たちも職場で一緒に打っていただくようにお願いをされているということですが、これは、その後、高齢者が終われば、一般の方たちも職場で打てるようになるということも考えられるんでしょうか。
(答)もしご協力いただけるならば、高齢者のところで打っていただいて、基礎疾患をお持ちの方に対する接種に移行したときには地域の基礎疾患をお持ちの方、社員の中で基礎疾患をお持ちの方、並行して打っていただきたいと思っております。一般接種が地域で始まった場合には、地域の一般接種にもご協力いただきながら社員の一般接種も進めていただきたいと思っております。活用できる医療資源は最大限活用していきたいと思っています。
(問)2点お伺いします。まず1点目はオンライン化の方ですけれども、大臣はこれまで押印廃止をして書面をなくすとおっしゃっていましたが、一方でクローズドシステムで電子メールとかではなくて、そんなに利便性が上がっていないのではないかという指摘もあります。今後、オンライン化を進める中で今回この棚卸しをした結果として、どのように進めていこうとお考えでしょうか。
(答)無理やりオンライン化して、全く使われていないシステムというのも散見されるわけですから、そういうことでは役に立たないと思っています。また、マイナポータルのようなサービスもスタートしておりますから、そういうものを使いながら、利用者の利便性が上がるようにやっていただきたいと思っております。具体的には、IT室としっかり連携していきたいと思います。
(問)もう1点です。経済4団体から要望があったワクチンパスポートですけれども。
(答)こちらからご意見をくださいと言って、お願いをしました。
(問)向こうからも早くやってくださいという話が、昨日、経団連からもあったと思いますが。
(答)これからご要請があると思います。
(問)それはいつ頃までに、どういう形で、あるいは昨日の会談では「紙でまず始めよう」という発言もあったということですが、どういうイメージをいつ頃までにというのをお持ちでしょうか。
(答)海外渡航で各国が動いているならば、日本も遅れないようにしなければいけないと思っております。その際、最初からデジタル化ということなのか、あるいは、最初は紙で黄熱病のワクチンのような感じで証明書を発行して、どこかの段階でデジタル化に移行するのか。やり方はいろいろあると思いますので、一番スムーズにやれる方法でということはお話ししました。
(問)時点で輸入によってワクチンの確保は一定程度できているという認識だと思いますが、大臣は以前に番組出演された時に、「年内にも国内メーカーのワクチンを見通している」とおっしゃっていました。依然として国内メーカーがつくる国産ワクチンは必要だと考えているのかということと、その国産ワクチンの開発が他国に比べて遅れている理由がどこにあると思うか、改めて聞かせてください。
(答)国産のもの、あるいは国内開発のワクチンがあれば、供給は非常にスムーズになると思いますので、そこは是非歓迎をしたいと思います。
 なぜ遅れているかは、メーカー並びに厚労省にお尋ねいただきたいと思います。

(以上)