河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年5月11日

(令和3年5月11日(火) 9:02~9:30  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 ユネスコの諮問機関が奄美大島、徳之島、沖縄北部、それから西表島について、世界自然遺産への登録の勧告を出しました。地元の皆様がずいぶん努力された結果でございまして、ご努力に敬意を表すると同時に、お祝い申し上げたいと思います。
 環境の保全、それから活用、これはなかなかバランスが難しいものだと思いますが、貴重な生物多様性あるいは自然環境をしっかり守りながら、様々な活用もしていっていただきたいと思います。オーバーツーリズムに関しての懸念等も一部でされておりますけれども、自然をしっかり守りながらうまく使っていくように、我々としてもしっかり沖縄の地域の皆様の取組を支えていきたいと思っております。
 「縦割り110番」に寄せられておりました自動車の住所変更手続の負担軽減につきまして国交省に検討をお願いしておりましたところ、進展がございましたので、ご報告申し上げたいと思います。
 住所変更に伴う自動車登録では、道路運送車両法の規定で、ワンストップサービスでオンライン申請はできるけれども、ナンバープレートを交換するために運輸支局に車両を持ち込まなければなりませんでした。ナンバープレートの交換は車検の時にやればよいのではないかということで、国交省といろいろご相談をしておりまして、次の車検時までナンバープレートの交換を猶予することになりました。オンライン申請で住所変更して古い車検証を郵送すると、運輸支局から新しい車検証が郵送されてきます。新しい車検証には古いナンバープレートの番号も記載してありますので、何かの時にはそれを見せれば、まだこれは交換前のナンバープレートということが分かるということになりましたので、引っ越ししたらナンバープレートの交換のために運輸支局に行かずともオンライン申請で車検証だけ交換して、次回の車検の時に併せてナンバープレートを交換するということになりました。これは来年1月に運用開始しますので、システム改修の作業にこれから入るということになります。
 車庫証明のシールについては、警察からは来年度の令和4年度中に郵送できるようにしたいという話がございますが、あれは車庫証明の確認に来て、OKならそこでシールを渡せばそれで済む話なので、これはもうちょっと何とかできませんかということを、今、直轄チームから申し上げております。
 ワクチンでございます。5月10日月曜日の時点で、医療従事者への累計は431万8,682回となりまして、400万回を超えました。1回目の接種は約310万人、だいたい3分の2の方が1回接種を終わり、2回目の接種が120万人を超えました。高齢者への接種はこれは5月9日時点の累計の数字ですが、34万1,147回でございます。今後、高齢者接種の見通しがついた自治体から、基礎疾患がある方々を含め広く一般の方々にも接種を移行していくわけでございますが、通勤・通学される現役世代ですので、どのような場所で打っていただくのが便利なのか、職域接種、あるいはそれこそワクチン休暇ですとか、例えば同じ部署が全員打って副反応で何割休むということになってはいろいろと企業にも影響が出るでしょうから、勤務体制への配慮といったことをお願いしなければいけないということで、今週から同友会、日商、新経連、経団連の4団体に順次ご相談に上がりたいと思っております。
 それから、ワクチン接種記録システムでOCRの読み取りがうまくいかないという声がございましたが、「バーコードではなくてOCRラインに合わせてください」とか、「7センチ5ミリで読んでください」とか、いろいろ申し上げてまいりましたけれども、読み取りを補助するためにその間隔が維持できるような読み取り台を配布いたします。今日から自治体に対して配布希望台数を照会して、24日頃から順次発送をしたいと思っております。自治体の皆様にご活用いただけたらと思っております。
 それから、もう一つ。今、ワクチン接種の予約のための電話がつながりにくいという自治体が多くございまして、たびたび申し上げているように、もう少し段階的な接種券の発送を強くお願いすべきだったと反省をしているところでございます。自治体の状況をいろいろ確認しておりますと、自治体として困っている点があって、それは予約の電話がつながると、電話の通話時間が1件当たり平均して15分かかっていると。結構長い間お待たせしているものですから、つながるといろいろなお話をそこでされて、通話が長くなると当然ほかの電話がかかりづらくなるということがございます。予約を取るために接種券を手元に持っていただいて、接種券番号と生年月日を行政にお伝えをする、コールセンターにお伝えをするということが必要なケースが多いですが、接種券が手元になくて、つながってから接種券を探しに行くというケースもままあるようでございます。ご家族がかけていただくときに、つながっても接種券番号が分からないというようなこともあったりするようでございます。それから、ご本人の予約と関係ないご質問がいろいろあったりして、通話時間が非常に長くなる傾向があるという自治体が多くなっております。是非、予約を取ったらそこで電話を切っていただいて、ほかの方の予約にご協力いただきたいということを改めてお願い申し上げたいと思っております。
 たびたび申し上げておりますように、6月末までにそれぞれの自治体へ高齢者が2回接種できるのに十分な量のワクチンの配送をしてまいりますので、ワクチンの供給には全く問題がございません。順次待っていただければ接種できます。3,600万人に接種をお願いするわけですから、場合によっては7月の頭に1回目というケースも人口の多い自治体によってはあるわけでございまして、全員が初日、最初の週に打てるわけではないということを是非ご理解いただいて、必ず接種できますので、少し気長にお待ちいただきたいと思っております。
 それから、行政側の話では、予約を取る時に「いつがいいですか」と聞くと、そこから「うんと、ええっと」というのが始まってしまうので、電話がつながったら行政あるいはコールセンターの側から「何月何日でよろしいですか」とこちらから日付を指定すると、1件当たりの電話が短くなるようでございますので、行政側にはそういうことも検討しながら、なるべくスムーズな予約にご協力いただきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)引越手続の負担軽減、自動車の関係です。この取組を契機に、免許証の住所変更は警察署、それから車庫証明、車検証、大臣が今回述べられたこのナンバープレートの付け替えなど、この煩雑な手続を将来的に一本化することというのはご検討されているのか。そのための今後の課題があれば、併せて大臣の認識をお願いします。
(答)最終的にはマイナポータルなどで本人確認をして、それぞれの手続がオンラインで行えるようにということを目指すと思います。まだそこまでいっておりませんが、いずれそれぞれのスマホにマイナンバーが実装されるようになれば、マイナンバーカードもなく、ご自分のスマホでマイナポータルに入って様々な作業ができるようになりますので、利便性は向上すると思います。
(問)今度はワクチンについて2点。総理が、先日、1日100万回の接種目標を掲げられました。確認ですけれども、高齢者全3,600万人2回分のこの計7,200万回分、今は34万回の1回目接種が終わっているかと思いますけれども、これはこの7,200万回分を5月下旬からの約2か月間、70日間で終えると。なので、この1日100万回という設定にしたという理解でいいのか。このスケジュール感をまずお聞かせください。
(答)「7月末までに高齢者の2回接種を自治体で終えられるようにサポートせよ」というのが総理の指示でございます。この変異株の拡大を考えれば、さらに早く終えられる自治体には次のフェーズに行っていただきたいという総理の強い思いがございますので、そういうことも併せて総理が100万回とおっしゃっていると思います。
(問)もう一点。この100万回接種を5月中に始められるという理解でいいのか。総理は先日の会見で「24日の大規模接種センター開設後」とおっしゃいました。その確認と今、大臣がおっしゃられたように、そもそもその100万回接種でなければ7月末に高齢者接種は終えられないという認識なのか。このあたりをお聞かせください。
(答)総理の100万回というのは、高齢者接種のみならず、その次のフェーズも早くやろうということでおっしゃっていると思っております。
(問)確認ですが、次のフェーズというのは一般向け接種、これも早期に始めたいので100万回としていると。
(答)そういうことだろうと思います。
(問)2点お聞かせください。まず、経済4団体の方に今週から依頼に行くということでしたけれども、今、自治体での接種が始まった現段階において、これから職域という話をしていらっしゃいましたが、何が課題で、何を解決するために、経済団体にどういうお願いをしようというふうにお考えなんでしょうか。
(答)一つは、高齢者は居住地で受ける方が大半と思いますけれども、現役世代は通勤・通学で居住地から外へ出られる方が多いと思います。いろんな自治体の首長さんからも、「うちの町はみんな町外に通勤・通学で通っている」という声も寄せられておりますので、どこで打つかというのは、もちろん休みを取って居住地で打っていただくという選択と、通勤・通学先で打っていただくという選択肢と、2つ現役世代はあると思いまので、一つは産業界に勤務地で打てるかどうかというところはしっかり確認をしてお願いしていきたいと思っています。
 それから、もう一つは、この副反応で特に2回目の接種後発熱の割合がかなり高くなっておりますので、打つ時のみならず、副反応の時にきっちり休めるというのが大事だろうと思いますので、そのお願いもしていきたいと思っています。
(問)職域の接種に関連してですけれども、大臣はかねがね自治体でやっているものには影響しないようにと言っていますが、職域等で行う場合には、そこで用いるワクチン、またその打ち手は産業医とかいろんな健康診断室のお医者さんも大企業の場合はあると思うんですが、どういった人を想定してお願いしようとお考えなんでしょうか。
(答)産業医がいらっしゃるところは産業医に打っていただくのが望ましいと思います。
(問)もう一点。コールセンターの方の話ですけれども、それぞれの自治体の職員さんの話等で報じられているものを見ると、なかなか疲弊しているところもあるとは思うんですが、接種券を持って電話するのはそもそも中に書いてあると思うんですけれども、なぜそれを実行していないのか。そこの課題はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
(答)なかなか電話がつながらないと、空いている時間に電話をかけてみようと。その時には接種券を手元に置いておくのを忘れましたとか、あるいは、ご家族がかけたら「つながったよ」というけれども「接種番号を聞いてなかった」というと「おばあちゃん、接種番号は何だっけ」ということもあり得ると思います。
 なかなかご高齢の方がコールセンターに電話をかけにくいということもあると思いますけれども、ご家族全員でかけますとそれだけ電話回線がパンクしやすくなりますので、どなたかが代表しておじいちゃん・おばあちゃんの代わりにかけてあげるとか、そこはかける側も是非ご協力いただいて、電話回線がパンクしないようにご協力をお願いしたいと思います。
(問)冒頭でご紹介のありましたワクチン接種記録システム用読み取りスタンドについて教えてください。これまでに具体的にこれを入力する現場からどのような声が寄せられて、今回これを配布することにしたのか、もう少し具体的に教えていただきたいのと、あと、どれぐらいの台数を配布することを、規模感で結構ですが、想定しているのか、教えてください。
(答)7センチ5ミリが一番適切ですといっても、なかなか定規を持っているわけではありませんから、どの辺かなというのが分からないというのと、読み取り台の上にタブレットを置いて紙のほうをどんどん差替えていただくと作業も簡単だということがありますので。小林補佐官が段ボール等で作った読み取り台を動画でもお見せして、こういうのが便利ですと言っておりましたけれども、作ってもらうのも大変なら、こちらから配りましょうということで、今、タブレットは恐らく4万台ぐらい出ていますので、全部をカバーする量はないかもしれませんが、必要なら追加すればいいと思いますので、取りあえず希望を聞いて出せる範囲で出していきたいと思います。
(問)細かい話で恐縮ですけれども、この台というのはもう既にものとして確保しているものなんですか。
(答)それなりの台数は確保しております。
(問)このために確保していたものなんですか。それとも、別のものであったものを代用しようとして確保しているものなんですか。
(答)このために。
(問)冒頭にご紹介のありました世界自然遺産のIUCN(世界遺産委員会の諮問機関)勧告についてお伺いしたいんですけれども、今回の勧告を受けて正式に世界自然遺産の登録という流れになるかと思いますが、今後の沖縄振興にどのような波及効果があると思われますか。
(答)今回指定された地域は、やはり貴重な自然が残されている、あるいはアマミノクロウサギやいろいろな動植物が残されていて、一つはグリーンツーリズムの振興にはつながると思って期待しております。他方、貴重な自然をしっかりと保全していくということも重要ですので、その辺りの兼ね合いをしっかりとやっていただきたいと思っております。一つは、沖縄観光の1人当たりの消費単価の向上というのはこれまでも議論をされておりましたけれども、そういうところにもつなげる可能性はあると思っております。
(問)話題が変わりまして、規制改革についてお伺いします。Appleが部品を納入するサプライヤーに2030年までの再エネ100%を求めています。一方で、日本企業に取材をすると、「1企業だけでは限界がある。政府として再エネ比率を上げてほしい」との声があります。河野大臣が主催する再エネタスクフォースでは、非化石市場や電力システム改革などについて議論をしていますが、再エネ拡大に向けて、どういう点に取り組んでいくべきとお考えですか。
(答)総理がカーボンニュートラルということを明確に打ち出されましたので、再生可能エネルギーの推進を最優先でやっていく必要があろうかと思います。そのためには、やはりまず2030年の再エネの導入目標で野心的な目標設定というのが最優先で求められてくると思います。そのためには、系統の連携を強化するということ、あるいは電力市場が公平・公正でなければならないということ、それから、現在の非化石証書というのが国際的には全く通用しませんので、国際的に通用する再エネ証書というものを導入していく必要があろうかと思います。
 これから、たぶん国際的な企業でサプライチェーンに再エネ100%あるいはカーボンニュートラルというようなことを求める企業は増えてくると思います。日本企業がグローバルなサプライチェーンの中で生き残っていくためには、当然要求される再エネの調達というものを安価にできるように環境を整えなければならないと思いますし、これは1企業だけではできないというのは、まさにそのとおりです。政府としても野心的な目標を掲げて、再エネを最大限に導入していくということを最優先に掲げていく必要があろうかと思います。
(問)冒頭の規制改革の件ですけれども、これは、要は特例を創設するということで、法改正ではないという理解でよろしいんでしょうか。
(答)これは、法改正は要らないと思います。
(問)あと、いずれ車検証のオンライン化というのをやはり考えていらっしゃるんでしょうか。
(答)恐らく自動車が通信でつながるようになれば、画面に車検証を出せるようになると思うのですが、住所を変えれば当然オンラインでそこだけ住所を変えればいいわけですから、紙の車検証を持っていなければならないという時代はどこかでなくなると思います。
(問)ワクチンの関係です。愛知県西尾市の副市長が、地元企業の経営者夫妻、いずれも65歳以上の高齢者のようなんですけれども、この夫妻に優先的に予約枠を確保するように担当部署に指示をしていたという報道があります。予約は既に取り消されたようですけれども、大臣はこの事実関係を把握されているのか。今後の対応について、ご所見と併せてお聞かせください。
(答)詳細は存じておりませんが、そういう事例があったということは知っております。ワクチンは十分な供給量がありますので、希望する方全員に打てるわけです。先ほどから申し上げているように、初日に全員打つということはできませんので、若干期間はありますが、その期間で全員が打つことができるわけですから、そこはしっかり待っていただいて、予約を取っていただいて打てるわけですので、何かを確保をする必要は全くないと思っております。
(問)今回のこの副市長の対応については、大臣はどのようにご所見をお考えですか。
(答)全く必要のないことだと思います。
(問)国産のワクチンについて。昨日、塩野義製薬の手代木社長が、記者会見で早ければ年内にも国産でのワクチンを供給できるんじゃないかという見通しを示しました。これについての所感と、今後政府として国産ワクチンの開発に向けてどういうふうに支援していくお考えがあるか、お聞かせください。
(答)運び屋として言わせていただければ、国内で生産、開発しているワクチンがあれば、非常にワクチンの供給は楽になりますので、大いに歓迎したいと思います。承認につきましては、厚労省にお尋ねいただきたいと思います。
(問)先ほどのケースに関連してなんですけれども、海外では政府高官が優先で接種して首になったりだとか、様々な「公正さ」を歪めるような事案も起きています。今回、ワクチンは全ての人に公平・公正が大原則だと思いますけれども、そうしたことが歪められた現状についてどうお考えなのか。また、公正性を担保することの重要性について、大臣の認識をお聞かせください。
(答)繰り返し申し上げておりますけれども、希望する方全員が打てるだけのワクチンの供給は確保されております。そういう中で、高齢者3,600万人あるいは16歳以上の日本国民1億人、1日で打てるわけではありませんので、それなりの時間がかかるということはご理解いただけると思います。みんなが順番に待って打っていただければいろいろなことがスムーズにできますので、そこは焦らずにお待ちいただきたいと思います。

(以上)