河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年4月6日

(令和3年4月6日(火) 9:04~9:35  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨

 高齢者向けのワクチンの接種の開始を4月12日に控えて予約を取り始めている自治体もあるようです。ワクチンは、5月になれば相当数が入ってまいりますし、6月末までに高齢者の2回分の接種に必要なワクチンは入ってまいりますので、接種を希望する方には確実に打てるわけですから、そこは慌てずにお願いをしたいと思っております。
 3,600万人が65歳以上ということで対象になりますので、3,600万人を1日で打つのは物理的に不可能でございます。相当な時間がかかります。いずれにせよ、それぞれ工夫を凝らして順番にそれぞれの自治体も打っていただくことになると思いますので、高齢者の方からスタートをいたしますが、全ての方がすぐに明日から、最初の週にというわけにはいかないということはご理解をいただきたいと思っております。
自治体の方には、これまでも繰り返し接種券の発送を工夫して、年齢別とか、地域別とか、あいうえお順というのもあるのかもしれませんが、自治体で工夫して接種券を発送していただいて、予約の受付に混乱が生じないような対応をお願いしたいと思っております。コールセンターで予約の受け付けをする自治体が多いと聞いておりますが、回線数に応じて接種券を段階的に発送するなど、それぞれ工夫をしていただいていると思いますが、そこはよろしくお願いしたいと思います。
 4月26日からの2週間でワクチンを各市区町村1箱ずつに加えて、4,000箱を送り出しますが、ゴールデンウイークの連休中に接種を予定しているところには、それに間に合うように配送したいと考えております。ゴールデンウイーク中に194の自治体から接種をしたいという回答が寄せられております。恐らく合計で、50万人強、ということになると思いますので、ファイザーと調整に入りたいと思っております。この数字なら何とかいけると思っておりますので、ファイザーと調整をしたいと思っております。
 V-SYSにしっかりと送り先が登録されていること、それから送り先の住所などの情報に誤りがあると届きませんので、各自治体、医療機関には、V-SYSへの送り先の医療機関などの登録と住所など、必要な情報が正しいことを確認していただきたいと思っております。
ワクチンの接種記録システムにつきましては、今日の午後3時過ぎからデモンストレーションをしたいと思っておりますので、記者の皆さんにもやっていただくことになろうかと思います。
 それから、先週の金曜日の私のワクチンの接種実績について発言の訂正がございます。
 先週の金曜日、140万回分のワクチンの出荷に対して105万回の接種が行われ接種率73%と申し上げたと思います。140万回という分母は、これは1回目接種分の数でございますが、105万回は2回目の接種の方も数に入れてしまっておりまして、分母と分子の整合が取れておりませんでした。1回目の接種回数だけを取り上げると89万回となり、144万回に対して89万回ということですので、約62%が1回目のワクチンに対する接種率の正確なところでございます。お詫びして訂正申し上げます。
 次の話題です。先週の金曜日に平井大臣と一緒に上川法務大臣をお招きして2プラス1、法務大臣とは初めてだと思いますが、行いました。
その際、技能実習生に関して不適切な事案が多数みられることに対して、対応件数が極めて少ないということで、技能実習生の不適切な事案に対して、法務省あるいは出入国管理庁がきちんと対応するということを求めました。
 それから、現在、公証人の面前で行うことが求められている電子署名についてオンライン化すること。貿易の手続について、書面での交付を義務付けている船荷証券と倉荷証券の電子化、これはこのために金融機関がテレワーク中もかなり多数が出勤を強いられるということがあったようでございますが、これの電子化。在留申請のオンラインシステムの改善、司法書士などによる戸籍謄本の職務上請求に関する手続の改善、商業登記、不動産登記のシステムに関して使い勝手の改善。民間連携を前提とした開発、API連携などについての対応。技術の進展に伴いますセキュリティー上の新たな課題に対応する刑事法の整備。デジタル地図を整備して、例えば農水省が農地などのシステムを今整備しておりますけれども、これに関して地図情報の提供がしっかりなされないというようなことがございますので、これの改善。今後の領収書の電子化に関する改正民法のQ&Aの作成、などについて、それぞれ前向きに取り組むということで合意をいたしました。
 押印の手続でございます。昨年9月に規制改革推進室から各府省に対して押印の見直しの検討状況の調査を行いました。11月に結果を公表しておりますが、その後、IT室とも連携をして、行政手続の棚卸し調査の一環として各府省の見直しをお願いしておりまして、その結果を取りまとめましたのでご報告申し上げたいと思います。
 昨年11月に公表したのは、民間から行政への手続全体で押印を求めている行政手続が1万4,992種類でしたけれども、添付書類などで押印を求める手続を総ざらいして、結果、1万5,611種類、1万4,992は2018年度末の数字でございましたが、2019年度末時点で調査を更新したところ619種類増加して、1万5,611種類となりました。このうち1万5,493、99.2%は押印義務を廃止する、あるいは廃止したということになります。1万5,493の押印を廃止する、あるいは廃止する予定のうち、1万5,188種類は先週の水曜日、3月31日までに政省令の改正など必要な措置を完了いたしました。
 もう一回分かりにくいので言いますと、全部で1万5,611の行政手続に押印が必要になりますが、そのうち1万5,493は廃止または廃止する。そのうち、1万5,188は3月31日までに必要な措置が取られました。残りの305については、今後、速やかに廃止する予定で、その中にはデジタル整備法案での改正事項も含まれております。
 その結果、存続させる押印の手続は118種類、全体の0.8%となりましたが、この118はいずれも印鑑登録をした登記・登録印、銀行への届出印ということで、認印はございません。
 その次です。自動運転に関する規制改革でございます。まず、昨年12月に開催をしました規制改革推進会議でのフォローアップです。愛知県から要望を受けておりました自動運転車両の基準緩和に関する手続の合理化が1点目でございます。遠隔操作などによる自動運転車を公道で走らせるためには、保安基準の緩和認定を受ける必要がありまして、これまでは実証実験ごと、車両ごとに、同じような審査を受けなければなりませんでしたが、ワーキンググループでの議論を踏まえて、昨年12月28日から、同じシステムを搭載し、使用方法も同じであると想定される車両の場合には、審査を繰り返す必要がなくなりました。
 2つ目です。無人の乗り合いバスの完全キャッシュレス化を認めるということでございます。無人の自動運転で乗り合いバスなどのサービスを提供するという動きがありましたが、道路運送法第13条に運送引受義務が規定され、支払い方法による乗車拒否はできないと解釈され、完全キャッシュレスで現金は駄目というのがこれに引っ掛かるのではないかというのが問題になっておりました。
 直轄チームが国交省と調整をした結果、事前に完全キャッシュレスである旨を周知徹底するなど、利用者に配慮がされていれば、この道路運送法第13条に違反しないという解釈をしていただくことになりました。今月中にこの解釈に関する通達を発出すると同時に、利用者への配慮の仕方などについても国交省から出していただくことになります。
 3つ目です。乗り合いバスなど、移動サービスカーの自動運転について、ドライバー以外の保安要員の同乗をどういうときにしなければいけないかという条件がこれまで不明確でした。そこで、車両の装置やドライバーなどで安全確保が可能な場合には保安要員の同乗は不要とする旨を、3月26日に国交省から地方運輸局などに周知徹底していただきました。
 さらに自動運転に関して申しますと、今、並行輸入自動車の審査を独立行政法人自動車技術総合機構が行う場合、海外の自動車メーカーが技術基準等適合証明書、これにサインをして提出をしなければなりませんが、これは紙で行われておりましたので、海外のメーカーに送ってサインしてもらって、また送り返す無駄な時間がかかるということですので、今年の6月までにオンラインによる電子署名を可能といたしました。
 最後、これが一番重いと思いますが。今、自動運転の技術を高めるためには、自動運転の試験自動車が実際に公道を走って、様々なデータをたくさん取得するということが必要です。公道のリアルな場面で、様々な環境で、走行データをどれだけたくさん集められるかというのが、この自動運転技術の開発の勝負を決めると言っても過言ではないと思っております。今、日本では、国交大臣の認定を受ければ保安基準に適合しない試験自動車を公道で走らせることができるようになっておりますが、この実施をする自動車メーカーが自分のところのテストドライバーに運転してもらうのか、あるいは第三者に運転してもらう場合でも運行管理など運転者の管理を厳格にする必要があって、結果として試験自動車の走行を制約していると。そのため、日本の試験走行は限られた場面、限られた環境、つまり、いわば無菌状態のような所でのテスト走行しか行えず、海外と大きな差が出ているという指摘がございました。
 そこで、直轄チームと国交省で調整をした結果、多くの試験自動車をコネクテッド技術を使って公道を走らせる、つまり通信で自動車と外をつないだ状況で走らせる、そういう技術を活用するという前提で運転者の遠隔管理による試験走行制度を抜本的に見直すことにいたしました。
 見直しを実効性のあるものにするために、どのような具体的な要望、具体的な事例があるのかということをしっかりと集めて、それに基づいて実効性のある規制改革をやりたいと考えておりますので、自動運転を開発しようというメーカー、これは自動車メーカーに限らず他業種でも構いませんし、スタートアップのようなところでも構いませんし、ソフトウェアの会社でも何でも構いませんが、具体的な要望を直轄チームあるいは国交省の自動車局などに対してお寄せいただきたいと思います。寄せられた要望に対しては、柔軟かつ迅速に制度の見直しをしていきたいと思っております。
 気になっておりますのが、こういうリアルな公道での試験走行に関する要望でこれまでお寄せいただいているのは海外の自動車メーカーばかりで、国内からはこうした要望がほとんど上がってきておりません。恐らく近い将来、自動車というのは自動運転が主流になるのではないかと思います。その際、日本で自動運転技術がしっかり開発されていくかどうか、これがいわば日本の自動車産業や製造業の未来を担うことになるのではないかと思っておりますが、どうも状況を見ていると、あまり国内でそうした自動運転に関する要望が上がってきていないということで、ちょっと心配しております。是非自動車メーカーに限らず日本企業に頑張っていただきたいと思っておりますので、これに関しては規制改革で柔軟に対応できるようにしてまいりたいと思っております。
 その次は、「縦割り110番」に雇用保険の給付金申請時の添付書類を見直してほしいという要望が寄せられておりまして、厚労省と直轄チームで検討をしたところ、対応いただけることになりました。企業が従業員の雇用保険給付金をハローワークに申請をする際に、様々な添付書類を求められておりますが、従業員の銀行の通帳とか運転免許証など、個人のプライバシーに関する証明書が多く、これを企業の担当者が出勤してスキャンやコピーをしている。事務の負担も大きいし、そもそもテレワークがこの結果できないという声が寄せられておりました。
 今回、厚労省で見直しをしていただいて、まず銀行の通帳のコピーですけれども、多くの企業は給与システムに登録している振込先情報を申請書に機械的に転記しておりますので、間違いが起きる恐れがないということで、原則不要にしていただきました。申請書を手書きで出す場合には、転記のミスの可能性があるのでコピーを付けていただきたいのですが、給与システムから転記する場合には不要ということになりました。また、高年齢雇用継続給付の初回申請時に、年齢確認のために運転免許証のコピーや住民票の写しを付けていただきたいということですけれども、これは雇用保険を加入する時にマイナンバーを届けておりますので、ハローワークで年齢確認はできるということで、添付は不要ということにしました。
 これからリーフレットを作成し、5月から周知を行いながら、業務取扱要領を改正し、8月から実施いたします。
 

2.質疑応答

(問)自動運転についてです。大臣は先ほど運転者の遠隔管理による試験走行制度の抜本的見直しとおっしゃいましたが、実際に見直しはいつ完了させる予定なのかというのと、国産自動車メーカーの出遅れも指摘されていました。そういった方々の意見を今後はどう吸い上げて、現場のニーズに合った世界と戦える自動運転の開発につなげる考えかを、まずお聞かせください。
(答)これはどういう要望があるかを寄せていただいて、それが実現できるように、都度速やかに対応をしていきたいと思っております。何か期間を決めて取りまとめを集めていると、それだけで遅れますので、なるべく速やかに対応できるようにしていきたいと思っております。これまで海外メーカーからは積極的に直轄チームにも声が寄せられておりますが、国内メーカーからは割と静かなものですから、ちょっと正直不安になっています。
(問)もう一点、ワクチンの件です。大型連休での接種を希望している自治体、市区町村かと思いますが、全ての市区町村1,741のうちの1割強が希望した計算になるかと思います。傾向として都市部が多いのかどうかというのと、幾つか具体的な自治体名をお示しいただければというのと、今回のこの194の市区町村が連休中の接種を希望した理由や背景を大臣はどう分析されているんでしょうか。
 
(答)すいません。どこの自治体というのは対外的には申し上げないことにしておりますので、そこはお許しをいただきたいと思います。
4月26日から各市区町村に1箱お配りをした上でゴールデンウイークに突入することになりますので、高齢者向けの接種をそのままゴールデンウイーク中も続けたいという自治体が200弱あるということで、そこは我々としてもしっかり供給できるようにしてまいりたいと思っております。
 
(問)今のゴールデンウイーク中の接種についてなんですけれども、今まで4月26日の週に1箱と4,000箱を配送するとおっしゃっていたと思うんですが。ゴールデンウイーク中にやりたいというふうに言っているこの194の自治体に配るのは、それとはまた別のワクチンを配るということになるんでしょうか。
 
(答)4月26日の週に1,741の市区町村に1箱ずつお配りをするとともに、5月9日までの間に4,000箱を送り出します。ゴールデンウイーク中に接種を希望している自治体については、その4,000箱の中からゴールデンウイーク中に必要といわれている数を送り出します。
 
(問)4,000箱の中からということですか。
 
(答)はい。
(問)関連して、今の194の自治体なんですが、これはもう最終決定という理解でよろしいのかというのと、あと市区町村全てがこれに入っているのかというのが、細かいのですが伺いたいです。
(答)どこの自治体がというのは申し上げませんけれども、一応先週の金曜日で締め切りましたので、194という数字になると思います。194の中には来るなら検討したいというところもありますので、検討した結果やっぱりやめますというところがあるかもしれません。
(問)もう一件、別件なんですが。法務大臣との2プラス1で公証人の話も出ていたと思うんですが、具体的にいつ頃までに実現したいとか、そういう話は出たのでしょうか。
 
(答)かなり法務大臣は前向きにいろいろと取り組むことで合意をしていただきました。これは法務大臣のほうから定期的にフォローアップの2プラス1をやりたいというお話をいただいておりますので、定期的にフォローアップしていきたいと思っております。
(問)ワクチンの話に戻りまして恐縮ですが、冒頭でも発言がありましたが、現時点で医療従事者への接種についてなんですが、全体の4分の1以下しか1回目の接種でも終わっていないということでよろしかったでしょうか。その医療従事者への接種が4分の1しか進んでいない中で、来週から高齢者接種も始まりますが、医療機関や自治体の準備というのは順調に進んでいるんでしょうか。
 
(答)四百数十万人の医療従事者全員が高齢者のワクチン接種をするわけではありませんので、そこは自治体でいろいろと工夫をされているのだろうと思っております。
(問)重ねてお伺いします。高齢者接種がいよいよ来週からということで、改めて大臣のほうでどのような点を課題に感じていらっしゃるか教えてください。
(答)まず来週からスタートしますけれども、これまでも申し上げているように、システムが順調に機能しているか、システムがしっかり使いこなせているか、予診の時間が想定の範囲内なのかどうか。あるいは、肩を出すところの時間などを含めた接種の時間が想定内なのか、様々自治体のほうで検証をされると思いますので、大きな問題があるようであれば、しっかり対応できるように我々としても準備をしておきたいと思っております。
 
(問)高齢者接種に向けて、東京等、自治体で予約が始まりましたけれども、一方で、ネットでやっても固まってしまって予約ができないだとか、コールセンターに電話がつながらないといったような声も上がっております。当初は細く始めるということでしたけれども、なかなかつながらないという一般の方のジレンマに対して、どういうふうに対応していこうとお考えなのか。また、当然、その自治体のコールセンターとかも限りがあると思うんですが、そういった中で政府として、どういうふうに1,700の自治体に対してサポートをしていきたいとお考えでしょうか。
(答)何かのコンサートの切符を予約するのと違って、売り切れるということはありません。確実に接種できるわけですので、そこは焦らないでいただきたいと思います。また、自治体のほうには、コールセンターの回線数などに配慮して段階的に接種券を発送していただければ、何時間も電話をかけてもつながらないというようなことが起きませんので、その辺の接種券の配送についてはしっかりとご配慮をいただきたいと思っております。ワクチンが3,600万人分いちどきにどんと来るわけではありませんので、年齢なりなんなりで分けていただく、65歳以上の高齢者というふうに最初に線を引いているのも、ワクチンにまず入ってくる限りがあるから、65歳で線を引いているわけですので、65歳以上の方全員に同時に接種券が届く必要は全くないと考えております。予約システムなどの制約を考えながら、接種される方になるべく負担がないような形で接種券の配送計画を立てていただければと思います。
 
(問)ゴールデンウイーク中に194の自治体が接種したいというところに関してなんですが。先ほど大臣はファイザーとこれから調整をしたいというふうにおっしゃっていましたが、これは別に4,000箱を当初予定されていたものから出すわけであって、4月中は大体2,618箱が毎週来るかと思うんですが、そこに上積みして調整するということではなくて、そこの4月中のファイザーから入ってくる供給量自体は特に変わらないという認識でいいんですか。
(答)ゴールデンウイークの前半に打つところ、後半に打つところ、おしなべて打つところ、いろいろな自治体があるようですので、きちんと期日までに間に合うように届けられるように配送計画をしっかりファイザーに立てていただくように調整をしてまいります。
(問)ということは、今までの当初の予定より上積みされる可能性もあるということですか。
(答)いや。数は4,000です。
(問)ワクチンのことからちょっと離れるんですけれども。菅首相が「こども庁」の創設について意欲的な姿勢を見せられておられます。河野大臣は、「こども庁」の必要性はどういった部分にあるというふうにお考えなのか、ちょっとお考えがあれば。
(答)「こども庁」については、党のほうで議論をするようですから、党の議論を見たいと思います。
 
(問)また、行政改革の観点から見ても、庁を作ることに関してはどういうふうなお考えをお持ちでしょうか。
 
(答)どういう庁になるのかも含め、党のほうで議論をするようですから、それをまずしっかり注視していきたいと思います。

(以上)