河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年3月19日

(令和3年3月19日(金) 8:32~8:45  於:参議院本館3階・内閣記者会3)

1.発言要旨


 幾つか報告がございます。まず、国家公務員の超過勤務手当につきまして、1月26日の閣僚懇談会において、私から各大臣に対して、上司が明確な超過勤務の指示を出すこと、業務終了後は速やかに退庁させること、また、超過勤務手当は確実に支払うことというお願いをいたしました。
 各省には早急に対応していただきまして、残業手当はフルにしっかり支払われているという状況になりつつあると考えております。万が一フルに支払われていないという例があるようなら、内閣人事局に御連絡いただきたいと思います。
 ただ、働き方改革は、超過勤務手当を支払ったからということがゴールではなくて、長時間労働を是正して、職員がやりがいを持って仕事ができるというのが最終的なゴールでありますし、効率的に、また、高い成果を上げてもらわなければなりません。それが優秀な人材を霞が関に集めるという次のステップにもつながっていくことですので、それぞれの府省において、今度はマネジメントをしっかりやっていただいて、この長時間労働の要因を分析しながら、必要ならもういらない業務はやめるというところまで含めた業務の見直し、効率化、それから人員の配置の是正、あるいは超過勤務を誰にやらせるかということの分担を含めたマネジメントをしっかりやってもらいたいと思っております。
 必要なところには定員の措置はやりますが、今のままで人手を増やしただけでは、やりがいのない仕事をやらされる若手職員が増えて、結局辞めてしまうという人数が増えるだけですから、まずやりがいを持った仕事ができるようなマネジメントをしっかりやってもらいたいと思います。
 規制改革ですが、物流の生産性向上に資する規制改革について2点報告します。
 現在、いわゆる「繁忙期通達」の中で、お中元、お歳暮の時期に、自家用車による有償の運送ができる旨、期間を決めて時期ごとの申請を求めております。一昨日の規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループにおきまして、国交省から、事業者からの要望を踏まえて、繁忙期通達を改正し、事業者の実情に応じて春、夏、秋、年末の時期から90日の稼働日を任意で選択して1回の申請で手続可能となるように、今年の9月1日から施行予定であるという説明がありました。物流の最終拠点から個々の住宅に配送する、いわゆる「ラストワンマイル配送」に需給のミスマッチがあり、これを解決するのに役立つと期待しております。
 また、同じワーキング・グループの中で、国交省から、今までITを使った点呼は優良事業者だけに認められておりましたが、全ての事業者に拡大すべく、4月に検討会を立ち上げて、実証実験を始めて、少なくとも秋頃を目途に共通ルールの策定を進め、その結果を踏まえてできるものから速やかに実施するということになりました。国交省の素早い対応に御礼を申し上げたいと思います。
 それから、もう一つ規制改革で、チーズの製造に関する規制の見直しについて報告します。2019年のチーズ工房の数は323工房、5年前から3割増だそうです。このうちの半分が酪農家で、酪農家の所得の向上に寄与しているところがあると思いますが、チーズを製造する過程の中で乳清(ホエイ)という水分が出てきます。このホエイを活用することでチーズ工房の利益率を向上させることができるわけですけれども、このホエイは乳酸菌飲料で、乳製品製造業の許可に加えて乳酸菌飲料製造業の許可を取らないといけない。チーズは乳製品製造業ですが、ホエイは乳酸菌飲料製造業の許可をいちいち取らなければいけない。また、2つの業ごとに区画を分けなければいけないとか、小さなチーズ工房には過重負担となって許可が取れないものですから、このホエイを廃棄していて、廃棄処理にもまたお金がかかるということになっておりました。
 今般、厚労省に確認したところ、今年の6月に施行される営業許可業種の見直しにおいて、乳製品製造業が製造できる製品の範囲を拡大し、バター、チーズだけでなく、乳酸菌飲料としてのホエイ製品も乳製品製造業の許可のもとで行うことができることになります。
 厚労省が業界の要望を踏まえて、自発的に見直しを行っていただいた良い事例だと思いますけれども、内容があまり周知されておりませんので、本日開催される規制改革推進会議の農林水産ワーキング・グループにおいて、チーズ工房からの要望とともにこれをお知らせしたいと思いますので、メディアの皆様にもあらかじめお知らせさせていただきます。
 それから、対馬丸の遭難学童遺族特別支出金というのがございますが、最後の受給者でありました方がお亡くなりになりまして、対馬丸学童遺族特別支出金の受給者がいなくなりました。対馬丸事件で亡くなった方々への哀悼の意を表すると同時に、御遺族に改めてお見舞いを申し上げ、この沖縄戦の悲劇の象徴とも言える対馬丸事件をこれからもしっかり後世に伝えていきたいと思います。
 最後にワクチンです。ワクチンの欧州からの第6便として、3月22日(月)に、1,119箱のワクチンが到着予定です。さらに、ワクチンの国内の配送につきまして、これまでファイザー社から箱単位で直接配送する基本型接種施設と、この基本型接種施設から配送を受ける連携型、あるいはサテライト型といわれる施設がございました。
 医療従事者の接種のためのワクチンの配送を効率的に行うために、県内で基本型接種施設を1か所にして、そこへ集中的にワクチンをもらって、それ以外をサテライト、連携と位置付けて、そこから配るという県もありましたけれども、これから高齢者のワクチンが大量に入ってくると、直接受け取らなければいけない施設が増えるということも想定され、連携型から基本型に移行したいという要望がいろいろ都道府県からございましたので、トレーサビリティーがしっかり確保されるということを前提として、柔軟にこの基本型と連携型の種類の変更ができるようにいたしました。できるだけ自治体の柔軟な対応ができるように、我々も対応していきたいと思います。

2.質疑応答

(問)ワクチン第6便について、今、発表されましたけれども、先日、EUは輸出管理措置を6月末まで延長することを決定しました。先ほど発表された第6便を含めて、既に先週発表された今後の供給スケジュールに影響が出ないのか、その見通しをまずお聞かせください。
(答)なかなか見通すのは正直困難ですが、昨日、EUがアストラゼネカ製のワクチンの使用を継続するということになりましたので、ちょっと胸をなでおろしているところであります。
(問)もう一点、今おっしゃられたように、EUは、医薬品当局が、アストラゼネカ製、リスクよりも効果があるとして安全性を担保しましたけれども、それに伴ってファイザー製品の囲い込みにつながるという懸念を大臣はお持ちでしょうか。
(答)アストラゼネカ製は、これまでWHOは常に推奨しておりましたし、EUも常に推奨しておりましたので、EUの各国で、早ければ今日からアストラゼネカ製でも接種を再開すると聞いております。特にそれがファイザーの囲い込みにつながるとは考えておりません。
(問)チーズ製造規制の関係です。御説明で、ホエイの煩雑な作業が取り払われるということは伝わったんですが、これによるいわゆる政策的なインパクトですけれども、これでホエイの利活用が更に図られるということまで見込んでいるのか、それとも工房にとって更に増えていく要因になるというところなのか、その辺りの認識をお聞かせください。
(答)今までホエイを捨てるためにもお金がかかっていたことが、今度は1つの許可でそこまでやれることになりますから、やる気のあるチーズ工房はこのホエイも活用して、更に売上収益を上げられると思っております。そこはぜひ対応してもらいたいと思います。

(以上)