河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年3月9日

(令和3年3月9日(火) 8:59~9:19  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 今日はいろいろあります。まず、魚の養殖ですが、我が国は平成30年に養殖の出荷額が約3,232億、その3%に当たる約90億円の魚病の被害が出ています。ところが、魚病に詳しい獣医師の免許を持っている方が全国で20人ぐらいしかいない。それから、獣医師さんに加えて、魚類防疫員という方も魚病を診ていらっしゃいますが、詳しい獣医師さんは20人ぐらいしか全国にいない。そこで、オンライン診療でできるようにしようという話をしたところ、農水省から初診は対面でというガイドラインが出そうになったので、いやいや、ちょっと待ってと。ブリの診察をするのに今日はいかがですかと、いきなり初診は対面でというのは、それはおかしいだろうということで、それと、遠隔診療をするなら、その遠隔診療計画を求めるというガイドラインが出そうになりました。ちょっとそれは変だろうということで、規制改革推進会議・農林水産ワーキング・グループが介入して、そういうガイドラインはやめようということで、遠隔診療計画の策定は不要、初診からオンラインでよいということになりました。魚病の対応をしっかりやれるようにしていきたいと思っております。
 2つ目です。去年、京都府知事から、「地方税のクレジットカード払いというのができるけれども、どういうわけかクレジットカードで払っても納税証明書を即時に発行できないため、これを何とかして欲しい」という話がございました。これまで総務省の通知を見ると、地方税をクレジットカードで払った場合、カード会社から自治体の口座に入金が確認できるまでは、納税証明書の発行とか、あと一番深刻なのは自動車税の納付確認システムへの登録ができないということになっておりました。
 どこで買い物をしても、クレジットカードで買い物して、入金があるまで領収書は出さないというお店は、もう今はないわけですから、これはルールとしていかがなものかという話をしたところ、それまでは、納税証明書が出るまで数週間かかるので、車検の時期間際だと自動車税をクレジットカードで払うと車検に間に合わないということが起きていて、車検の時期近くになったらクレジットカードで払うことはやめてくださいというようなことをやっておりましたが、あまりにばかばかしい話なので、総務省に検討してもらった結果、カード払い即納税証明書の発行、あるいは自動車税の納付確認システムへの登録ということができることになりましたので、地方税をクレジットカードで払ってもよいということになりますし、納税証明書もすぐ出ますので、納税者にとっては非常に便利な対応になりました。総務大臣をはじめ、総務省の皆様に御礼を申し上げたいと思います。
 それから、昨日、話題になりましたが、宇治徳洲会病院で特殊な針を使ったらファイザー社のワクチンが1瓶7回分とれるということで、これは大いにやっていただきたいと思っております。ただ、打つ際に、皮下脂肪の厚さが云々という話がございますので、接種を適正にやっていただく必要はあろうかと思いますが、こういう創意工夫はどんどんやっていただきたいと思っております。
 ファイザー社も、別に薄め過ぎることがなければ問題ないし、理論上7回とれる分の液は入っているので、それがきちんとできれば7回採取も否定することではないということでございます。
 それから、昨日、アナフィラキシーとして報告された事例が5件ございました。経過観察だけで症状が改善した方、それから治療で改善した方、いずれも症状は改善されております。
 今後、詳しい情報を審議会で評価することになりますが、有識者の中から、このアナフィラキシーという評価が、今の報告の定義が適切なのかどうかも含め、検討しなければいけないという話も出ているようでございますので、これは審議会でしっかりと評価していただきたいと思っております。最初の審議会のところまで、とにかく淡々と報告された情報については、発表していきたいと思っているところでございます。

2.質疑応答

(問)冒頭発表の件で2点伺います。まず魚病の件ですが、今回の問題の改善に至った経緯、「縦割り110番」への相談等があったのかというのと、資料を拝見しますと局長通知の発出とありますが、これは今日付で出されるのか。役職は何になるのか。農水省の局長かと思いますが、事実関係をまずお聞かせください。
(答)規制改革のフォローアップです。局長通知について、詳細は後ほど事務方からお知らせしたいと思います。
(問)もう一点ワクチンの件で、先ほど言及があった宇治徳洲会病院の件ですけれども、インスリン用の注射器、皮下脂肪の厚さと、筋肉注射用の針に比べて半分程度の短さが課題かと思います。この点を克服すれば、全国的に横展開ができるとお考えなのか。また、政府としてこのインスリン用注射器の調達を進めるお考えがあるのか、見通しを含めてお聞かせください。
(答)もともと今回のファイザー社製のワクチンは筋肉注射ですが、この宇治徳洲会が使ったものは皮下注射用の短いものですので、皮下脂肪が厚いとできないだろうと思います。そういう意味で、適切な接種ができるということは、それぞれの医療機関で確認していただかなければいけませんけれども、うちもそういえばそういう針があるというところは、やっていただいて全然構わないと思います。
 政府としても、こういうオプションがあるということがわかりましたので、1瓶で7回とるのか、6回で使うのかというのは別として、調達についても、調達することができるのか、これはインスリンの注射用に使用頻度は結構高いという話も聞いておりますので、そういう方に御迷惑をかけないように、余剰分があれば調達も考え得ると思って指示をしているところでございます。
(問)今の7回接種の件ですけれども、これは田村厚労大臣と協議された上での今の御発言でしょうか。
(答)そのとおりです。
(問)今後は地方自治体に推奨されるような通知というものは出される予定とかはありますか。
(答)特には考えておりませんが、話題になっておりますので、たくさん持っている病院がどれぐらいあるのかわかりませんけれども、もし使えるのであるならば、それはやっていただいても構わないと思います。
(問)冒頭の魚病の件ですけれども、年間の被害総額というのはどれぐらいでしょうか。
(答)養殖の産出額が約3,000億円で、その3%、90億円ぐらいの魚病被害が出ているそうです。
(問)競争的研究費の事務手続統一の件でお伺いします。3月6日に河野大臣のブログ「研究者の皆様へ」というところで、4月1日より競争的研究費の事務手続を統一されるということ、簡素化するということを言われていらっしゃいます。こちらの背景と、これによる研究への効果はどういったものを期待されているか、お願いします。
(答)各府省の競争的研究資金を合わせると相当な数になるそうですが、役所によって、あるいは資金の内容によって、様々なルールがばらばらで、書類の様式が違ったり、提出期限が違ったり、消耗品の扱いが違ったりということで、いろいろな研究機関、大学を含め、システムで管理ができない。1件ずつ手作業で書類を書いたりしなければならず、非常に不便だとか、あるいは、システムでやろうとしているところは、一番厳しいルールに合わせてやらないとシステムに乗せられないということで、ルールが本当はそんなことをしなくてもよいのに、大学のローカルルールで厳しくしなければいけないとか、結局、研究者の限られた時間をそのルールのためにとられてばかばかしいと、研究の時間がどんどん減っていくということで、強い要望がたくさんありました。井上大臣と相談して、井上大臣のもとでルールの簡素化と、一番緩いところに合わせるということと、とにかく統一する、全部同じルールでやるということにして、それぞれシステムでも管理ができるようにしようということで今回やりました。
 これは、5年前に私が行革担当大臣だった時に、各国立大学からローカルルールがひどくて研究者が困っているという話がありましたので、ローカルルールを廃止しろということで、各大学にいろいろ言いましたけれども、5年経つうちにローカルルールがまたはびこっている。それから、ローカルルールではなくて、各府省のルールもばらばらになっているというところがありましたので、今回、これを統一して、ローカルルールを廃止させることで、研究者の事務手続が簡素化・効率化されて、研究に使うことができる時間というのが増えるのではないかと思っています。
(問)先ほどのワクチンの7回採れるという話に戻ってしまうのですが、今は6回分がとれるシリンジと針の確保を進めていると思うんですが、その確保の計画などに影響を与えることはあるのでしょうか。
(答)ありません。
(問)基本は、その6回採れるものの確保を進めていくということですか。
(答)はい。
(問)調達ができるかどうかも考えるということでしたけれども、今後、より研究して、自治体に7回採る方法というのを推奨していくようなことはあり得るのでしょうか。
(答)今のところは考えておりません。
(問)7回接種の件に関してお伺いします。これに関しては、政府内でこれまで、例えばアイデアベースでもいいんですが、何か議論になったことがあるのかということと、ある意味これはコロンブスの卵みたいなもので、民間の病院の柔らかい発想から生まれたものだと思うんですが、その点に関して大臣はどのようにお考えですか。
(答)私の知る限り、これまで政府で7回採ろうという話はなかったと思います。7回採れるという話はありましたが、5回か6回かという話をしていたので、7回の針を調達しようということは、私の知る限り政府内ではありませんでした。
 このワクチンのプロジェクトをやるに当たって、やはりこのようなアイデアをどんどん出していただいて、自治体が自由に柔軟性を持ってやっていただくのが一番良いと常々申し上げておりましたので、非常に良い例ではないかと思います。全ての医療機関でそれができるかどうかは、針の調達の具合とか在庫の具合とかというのがあるから難しいのかもしれませんけれども、いろいろなことを考えてやっていただきたいと思っております。
(問)今のお話との関連で確認です。通知などは、今後、国として出すお考えはないということだと思うんですけれども、各医療機関ですとか接種会場ごとで、接種対象者を見て判断していくということになるのでしょうか。
(答)皮下接種用の針で短いわけですから、皮下脂肪が厚かったら筋肉注射にならないというところはたぶんあるのだろうと思います。しっかりと適切に接種ができるということを担保しながらやっていただきたいと思っています。
(問)7回接種の話ですが、V-SYSの設定とかを統一したりする必要というのは特にないんですか。
(答)昨日からV-SYSをどうしようか悩んでいます。
(問)「悩んでいます」と大臣に言われてしまうと、自治体もどうしたらよいのかというのが、医療機関とかもあると思うんですが、そのあたりは。
(答)頑張ります。
(問)7回接種の件で加えて質問ですけれども、接種対象者を見て判断ということですけれども、厚労省が、例えば腕の周りの長さは何センチですとか、そういったガイドラインというか基準のようなものを示すということはあるのでしょうか。
(答)もう宇治で適切に接種されていますから、要らないのではないでしょうか。それぞれの医療機関でしっかり判断してやっていただければよいと思います。
(問)別件で、コロナ室の長時間労働問題です。西村担当大臣は、テレワークの導入で当面の改善を図る考えを示していますが、これで十分とお考えか。また、内閣人事局の対応を含めて、大臣は国家公務員制度担当として、どう改善に取り組むべきとお考えか、お聞かせください。
(答)一義的にはコロナ室で対応していただくものだと思っております。
(問)今週の木曜日で東日本大震災から10年を迎えます。これまでの復興の歩みと、大臣はエネルギー政策にも取り組んで来られましたが、この10年間の原発政策を見て、大臣はどのように考えているか、教えてください。
(答)復興については、復興庁にお尋ねください。エネルギーについては、経産省にお尋ねいただきたいと思います。
(問)コロナ室の残業の件について、確認ですが、今回、300時間以上の残業をしていた職員に対しては、きっちりと超過勤務手当が払われるという理解でよろしいでしょうか。
(答)払われたと理解しています。
(問)既に払われたということですか。
(答)はい。
(問)基本的なワクチンのことでお伺いしたいんですが、2月17日に医療従事者の先行接種が始まって、明日で3週間になると思うんですけれども、3週間ごとに打つという計画でいうと明日から2回目が始まるかと思いますが、予定どおり明日から始まるかというのと、現時点での実績等がわかれば教えていただけますか。
(答)最初、初日に125人が打っていますから、明日3週間目で125人が対象になると思います。

(以上)