河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年3月5日

(令和3年3月5日(金) 9:00~9:18  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 今日もいくつかございます。本日の閣議で著作権法の一部を改正する法律案を閣議決定いたしました。放送番組のインターネット同時配信、見逃し配信、追っかけ配信の権利処理を円滑にして、フタかぶせなどをなくすための法改正です。
 放送において許諾なく著作物を利用できることを定める「権利制限規定」というものがありますが、これを同時配信、あるいは追っかけ、見逃し配信にも拡充する。さらに、放送番組での利用を認める際、権利者が別途の意思表示をしていなければ、放送だけでなく同時配信などでの利用も許諾したと推定する「許諾推定規定」を創設することを盛り込んでおります。
 今回の改正法が適切に運用されれば、フタかぶせなどの問題もなくなるはずでございますが、法改正のみならず、更に制度の細部を詰める必要がありますので、規制改革推進会議でも引き続き注視してまいります。
 2件目です。12月4日に一度紹介しておりますけれども、競争的研究費、競争的資金の事務手続のルールの統一、簡素化についてであります。今年、4月1日以降に実施する事業から適用されるルールの簡素化とルールの統一を、井上大臣のもとで行っていただきました。
 競争的研究費を使った時に求められている様々な提出書類の様式ですとか提出期限を統一すること、消耗品などの取扱ルールが各所ばらばらだったものを政府として1つにすること、各種書類の押印の省略、デジタル化、簡素化を徹底すること、あるいは購入した研究機器の譲渡等に関する手続を迅速化することなどを定めました。現在、各府省合わせて100件以上に及ぶ競争的研究費がございますが、この取り扱いを統一することといたしました。
 研究者から寄せられた御意見を基に整理したものでございますが、これが最終形ということではなくて、更に必要があればどんどん改定をしていきたいと思っておりますので、研究者の皆様には御意見をお寄せいただきたいと思います。
 3件目です。三重県から寄せられた要望で、「災害救助法に基づく救助費用の求償手続の効率化」でございます。最近の豪雨とか、あるいは熊本地震などの大規模災害が発生した時に、被災自治体以外の都道府県などが救助の応援を災害救助法に基づいて行っております。
 この時、応援に行った自治体がかかった費用を被災自治体に後日求償することになっていますけれども、求償する時の様式が統一されておらず、今、被災した自治体が独自に作っております。そのために、応援を出した自治体は、行った先が定める様式に合わせて求償の書類をつくらなければいけないということになっています。レシートなど莫大な書類を手作業で分類し、手計算をやり、しかもその書類が大変多い。西日本豪雨の時に援助に行った自治体が出した書類が二千数百枚程度あり、熊本地震の時に熊本県に最終的に集まった証拠書類が引越し用ダンボール箱20箱に及んだというすごいことになっておりますので、救助事務費に関する様式をまず被災自治体にヒアリングした上で、今月中に統一様式を作成します。
 それから、求償事務について、今月中に各自治体にシステムなどに関するアンケートを行った上で、4月以降、全国知事会とも協議を行い、その結果を踏まえてシステム開発を行ってまいります。求償事務を簡素化、効率化していきたいと思っています。
 それから4件目、群馬県からの要望ですけれども、火災や災害が発生した際に消防庁に被害状況の報告をしてもらっておりますけれども、現在、「火災・災害等即報要領」ではその連絡を「FAX等」で報告することとしております。「等」とは何かという内容を書いていないものですから、ほとんどの自治体がFAXで報告をしています。これは、例えば火災ですと死者3人以上、あるいは死者・負傷者合計10人以上の、火災事故・災害が発生した場合に、消防活動や被害状況を市町村の消防本部から都道府県を通じて消防庁に連絡することとなっていますが、これをみんなFAXでやっているので、電子メールでできないかという御要望がございました。
 本日、消防庁から事務連絡を発出し、報告先のメールアドレスを地方自治体に周知いたします。後日、「火災・災害等即報要領」を改正し、電子メールで報告できるということを明示いたします。群馬県からの要望を直轄チームでしっかり対応してもらいました。
 今回は電子メールでも報告してよいということにしますが、最終的にはデジタル化で、FAX等を使わずに全部デジタル化するべきだと思っておりますので、当然に第2弾があると思います。

2.質疑応答

(問)冒頭発表で2件伺います。まず消防庁への報告の電子化の件ですが、これは、群馬県から「縦割り110番」に要望が寄せられたという理解でよいのかと、他の都道府県や市町村からも同様の要望がなかったのか。また、この今日の事務連絡の発出をもって、もうメールでの報告を認めるという理解で良いのか、これらの事実関係をお願いします。
(答)これは「縦割り110番」ではなく、自治体から派遣された職員が持ってきた案件でございます。
 実は、これは今でも「等」でできることになっていると思いますが、「等」が何なのかということが明示されていないので、みんなFAXでやっているということで、おそらく何でFAXなのだろうと思っている自治体は他にもあったのかもしれませんが、群馬県から明示的な要望がございました。
(問)今日から可能ですか。
(答)今までも実は可能だったのですが、やっていなかったということですので、今日、それを明示的に電子メールでも報告できるということと、受け先のメールアドレスを周知いたします。
(問)もう一点です。競争的研究費の件ですけれども、大臣は、昨年、科研費の内定通知の2か月前倒しも発表されました。今回の措置と合わせて、具体的にどういった点が国内の研究活動の後押しになると期待されているのか。また、こうした大臣の取組が国産のコロナワクチンの研究開発にも寄与するとお考えか、それぞれ見解をお願いします。
(答)コロナワクチンの研究には、「風が吹けば桶屋が儲かる」というよりはもうちょっと短いかもしれませんが、研究者が必要なのは予算と時間と、その他にもいろいろなものがあると思いますけれども、とにかくばかばかしい事務手続で研究者の時間がどんどん削られていたという現実がございます。各府省の競争的研究費のルールが統一されていないものですから、それぞれの研究機関で、システムで管理することができずに、手書き対応になっていたところが、たぶんほとんどだと思います。システムで対応すると一番厳しいルールに合わせなければいけないので、本当はそのようなことをしなくてもよいのにそれに合わせなければいけない、そうでないとシステムで集計できないというようなことになっていて、多くの研究者から非常に強い要望が寄せられておりました。井上大臣とお話して、井上大臣のもとで、とにかく全部の資金について1つのルール、1つの様式でやっていただく。研究者の研究時間を削らないということになると思いますので、研究時間が増える分、いろいろなところにプラスの影響があって、そのうちのいくばくかは新型コロナワクチンの開発にも寄与することにつながらないことはないと思います。
(問)今のお話でも、今までもできることになっていたものが明示されていなかったというお話ですが、これまで大臣が取り組んできた中で、大抵こういうものが多くて、ずっと続いているんですけれども、これは今後もこうやって一つ一つつぶしていかないといけないのか。それとも、もう役所なりにそういったものをさっさと指示を出せということを言うのか、いかがでしょうか。
(答)どれが気付いていないものかがよくわからないというのが問題だと思います。先日もクリーニング屋さんがロッカーを使えないという話がありましたけれども、あれは、よくよく厚労省に聞いたら、いや、そのようなことはないと。厚労省が出している通知には、できないようなことが書いてあるけれども、これは別に強制しているわけではないという話がありましたので、できるのに気付いていないとか、できるけれどもあたかもできないように役所が装っているようなものまで、結構根っこは深いと思っています。
 これは、やる気のある首長さんに、もう明示的にだめだと言われていないものはやってしまえと言っていますが、そうはいってもという部分がありますので、今後どのようにしていくかは考えていきたいと思っています。
(問)今回、三重県や群馬県とかの要望もあったと思うんですけれども、三重県とか群馬県は、今まではそういったことを国に伝えていなかったんですか。
(答)出されている要望の中で、今までも出されていたものはあると思います。それがどこかで雲散霧消していたのだと思いますが、今回、直轄チームでしっかりフォローしてくれておりますので、結果につながっているのだろうと思っています。おっしゃるとおり、これは一個ずつやっていったら、何千個、何万個あるかもしれないということなので、どのようにするかは、一つずつ見ながらも考えていかないといけないというのは本音のところです。
(問)規制改革の関連で、今日の発表とは直接関係ないんですけれども、選択的夫婦別姓について先日の予算委員会でも質問が出ていたと思います。規制改革推進会議の場で、委員の人から議論したいという声があるということを御紹介されていたと思うんですけれども、今後、その規制改革推進会議でどのように議論をしていくか、お考えをお聞かせください。
(答)規制改革推進会議のメンバーが橋本大臣のところに一度伺っております。今後、どのようにするか、推進会議のメンバーと相談していきたいと思っています。
(問)求償手続に関して、これは3月中に作成ということですが、いつから全国で利用できるようになるのかということと、システムの開発ですけれども、これはIT総合戦略室が主導してやっていくのかという、2点伺いたいのですけれども。
(答)おそらく平井大臣のところでシステムをやっていただくことになるのではないかと思います。様式の統一を図った上で、新しい様式でやっていただくということになりますので、様式ができればいつからというのは自動的に決まってくると思います。
(問)話題が変わってしまい恐縮なのですが、個性的なマスクをたくさんお持ちの河野大臣にお伺いします。先日も、地元茅ヶ崎の、河野大臣の顔がマスクについているものを着用されていました。そのマスクをつけるに至った経緯や狙いを聞かせてください。また、今後どのようなマスクを着用する御予定か、ありましたらお聞かせください。
(答)いろいろな方からいただいたマスクですが、こういうコロナの時期に地元を何らかの方法で盛り上げられるのに役立てば良いかということで、いただいたマスクを着けています。どちらかというと、私の地元2市2町の中では、茅ヶ崎と大磯が、大きく「茅ヶ崎」とか「大磯」とか主張していますが、今日は「Hiratsuka」と、珍しく平塚が主張していますけれども、二宮町のように、二宮で採れたオリーブの葉っぱで染めたという、わかっている人は「二宮のオリーブで染めたマスク」とわかるけれども、わからない人には、ただのベージュ色のマスクみたいなところもあって、自治体の個性が出ているか、という気がします。せっかくいただいたマスクですから、折々にしていきたいと思います。
(問)関連でお伺いします。昨日、理研がスーパーコンピューター「富岳」を使って、二重マスクの飛沫の効果について、ウレタンマスクと不織布マスクの二重重ねと、不織布マスク1枚とでは、飛沫防止の効果がほぼ変わらないという研究結果を発表しました。大臣は本日も二重マスクをされていらっしゃいますが、この結果についての受止めをお願いします。
(答)いただくのは布とかウレタンが多いので、その下に不織布を着けておけば効果があるかと思ってやっています。
(問)効果がもしかしたら変わらないかもしれないということでも。
(答)いえ、布マスクやウレタンマスク1枚より、二重マスクにした方が、効果があるということですから。
(問)「富岳」が発表した研究結果では、あまり変わらないと。
(答)不織布でも布マスクでも変わらないということですか。
(問)そうです。
(答)不織布が、一番効果があって、ウレタンは効果がないという話だったので二重にしていました。
(問)今後はどうなされますか。
(答)考えます。いろいろな情報が出てきてよろしいのではないかと思います。
(問)大臣のマスクの関連で1つ伺いたいんですけれども、今、国会がテレビで中継されている中で、大臣の顔がついたマスクを見た視聴者の方からは、ネット上で「答弁が入ってこない」というような声も聞かれるんですけれども、それについては、率直にどう受け止めていらっしゃいますか。
(答)マスクに負けない答弁をやっていきたいと思います。

(以上)