河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月2日

(令和3年2月2日(火) 9:40~9:59  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 ワクチンの供給スケジュールについて、最初に接種が始まるファイザーのワクチンですけれども、ファイザー社はヨーロッパとアメリカに製造工場があり、ヨーロッパで製造されるワクチンについては、現在のEUの輸出規制、あるいは輸出透明性・承認メカニズムの対象になります。そのため、現時点で供給スケジュールがまだ確定しておりません。
 昨日の朝、EU大使館を訪問しまして、フロアEU大使にお目にかかりまして、この規制に関して、また、在日の外交団及び外国人への接種についての意見交換をしてまいりました。
 また、昨晩、茂木外務大臣がEUのドムブロウスキス欧州委員とEPAの合同委員会の会議の中で、この問題を提起し議論していただきました。EU側からは、最大限の配慮をするという話はございますが、依然として供給スケジュールが確定していないというのが現状でございます。
 自治体におかれては、なかなか供給スケジュールを明確にお伝えすることができず申し訳なく思っておりますが、日本政府として、今、EU及び各企業とこの問題について非常に積極的に交渉しているところでございますので、供給スケジュールが確定し次第、速やかに国民の皆様にお知らせしたいと思っております。
 次でございますが、明日3日午後5時半から、第4回「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」をオンライン形式で開催いたします。議題は、「電力の需給逼迫、価格高騰問題」及び「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた需要家の選択肢の拡大」の2つを取り上げます。
 規制改革推進室のYouTubeチャンネルでこれまでと同様に生配信しますので、ご覧いただきたいと思います。また、個別分野の規制改革の進展に関しましては、この後、事務方より事前のブリーフィングをさせていただきますので、御参加いただきたいと思います。
 もう一つです。近年、民間事業者の間で、利便性の高さから、「クラウド型」、あるいは「立会人型」と呼ばれる電子署名サービスを利用した電子契約が広がっているところでございます。他方、国や地方公共団体の会計手続では、会計法令上、こうしたクラウド型電子署名サービスを利用することができませんでした。
 このため、規制改革推進会議のデジタルガバメントワーキング・グループで議論し、それを踏まえ、昨年12月4日に財務省令の「契約事務取扱規則」、先日1月29日に総務省令の「地方自治法施行規則」をそれぞれ改正し、この「クラウド型」、あるいは「立会人型」と呼ばれる電子署名サービスを利用した電子契約を利用することが、国、地方公共団体の会計手続でも可能になりました。
 規制改革推進室で全ての役所がクラウド型の電子署名サービスを活用できるように、関係府省と協議の上、会計手続におけるクラウド型電子署名サービスの活用に当たっての考え方を取りまとめて、本日、各府省に発出いたします。
 各府省、更には地方公共団体において、必要な本人確認等を確保しながら、こうしたサービスを積極的に利用していただきたいと思っているところでございます。

2.質疑応答

(問)冒頭で言及がありましたEUからのワクチン供給の件で2点伺います。輸出時にその加盟国の承認を義務付ける制度が1月末に導入されましたけれども、改めて、今、大臣が受け止めている日本への影響と、先程も言及がありましたが、円滑な供給に向けて大臣は具体的にどのように対応するお考えか、お聞かせください。
(答)金曜日の夜にEUでこの輸出透明性・承認メカニズムというものが決められまして、日本の供給スケジュールにも影響が出ているところでございます。
 EU側が先行投資をしたにもかかわらず、ワクチンが確保できないという事情は我々も了解しておりますが、まず、医療従事者向けの接種から日本はスタートするという事情を説明し、日本でも、ワクチンが感染拡大防止、あるいは重症化防止、医療に対するプレッシャーを弱める切り札と考えておりますので、不公平な取り扱いがされないようにというところは議論をしているところでございます。
 また、なかなか詳細を申し上げることはできませんが、後追いでこうした規制が入ってきて供給に影響が出ているわけですから、そうした日本の事情に鑑みて、日本が企業と契約している分については速やかな輸出の承認を求めていきたいと思っております。
 我が方の大使館、あるいは茂木大臣をはじめ、外務省には非常に御尽力いただいております。私も電話や、あるいは在京のEU大使と緊密にコンタクトしながら、早期に供給スケジュールの確定につながるように努めていきたいと思っております。
(問)確認ですが、大臣は、今、影響が出ているとおっしゃいましたけれども、現時点でその供給スケジュールが確定できない、こういった点に影響が出ているという認識で良いのかというのと、自ら働きかけるというお話がありましたが、具体的に、そのEUの欧州委員会委員長ですとか、WTO、WHOといった関係機関、あるいは製薬会社に大臣自らどのように交渉して、円滑な供給に向けて働きかけるお考えかを改めてお聞かせください。
(答)輸出規制というより、輸出透明性・承認メカニズムといった方が正確なのかもしれませんが、供給スケジュールの確定ができていないというのが現実でございます。EU本体とは、茂木外務大臣をはじめ外務省に努力をしていただいているところでございます。
 各ワクチンのメーカーとは、私の方でも情報交換をさせていただいております。また、EU大使をはじめ、私の方でも協調して意見交換ができるところはしっかり情報交換していきたいと思っておりますし、我々の要望を強く伝えていきたいと思います。これは、EUの規制でございますので、EUとしっかり協議するというのが大事なのだろうと思います。
(問)関連してなんですけれども、先方からは最大限配慮するという回答があったという理解でよろしいでしょうか。
(答)「日EU間の良好な関係に鑑み、企業との契約に基づき、日本への円滑なワクチン輸出を確保するよう最大限努力する」旨の話が先方からあったと報告を受けておりますが、いずれにせよ、供給スケジュールの確定には至っておりません。
(問)今のお話の関連です。先週の金曜日、ダボス会議のオンライン会議が行われた中でも、このEUの規制強化の動きについて、大臣は懸念を示されていたと思うんですけれども、こういった動きに対して、これから各国としてどう向き合うべきかについて、改めてお考えをお聞かせください。
(答)ワクチンの供給が当初の予定より大幅に未達になっていて、EUが危機感を感じているという話はございましたが、少なくとも、それまで決まっている供給スケジュールに影響を出さないようにしてほしいというのが私の本音でございましたが、こういう事態になりました。
 おそらく、この新型コロナウイルスのワクチンというのは、1回限りではない可能性があるのだろうと思います。そのような時に、ワクチンナショナリズムということに各国が陥らないように、やはり、様々な調整するメカニズムというのが必要になるのではないかと思います。
 オンラインの会合の中でも、各国の首脳がこの問題についてしっかり話し合う必要があるということは申し上げさせていただきました。
(問)冒頭に紹介があった電子署名についてお伺いします。省令改正をしたということなんですけれども、電子署名を広げていくに当たって、今までどんなことが壁になっていて、どのような点を改正されたのか、少し具体的に教えてもらって良いでしょうか。
(答)詳細については事務方からお話ししますが、この「立会人型」と呼ばれているものが使えるのかどうかというところに疑義があったものですから、みんななかなか手が出せなかったということで、今回、そこは明確にいたしました。
 また、このサービスを使って良いのかというのは、ノーアクションレターみたいなもので、それぞれ個々に、これは大丈夫ということをきちんと対外的にお知らせするメカニズムが動いていて、こういうサービスを提供している企業が既にそういう動きを始めていると聞いておりますので、今後はこのサービスはきちっと認めているということが関係府省、自治体、企業はわかるようになると思いますので、非常に使いやすくなるのではないかと思っております。
(問)関連で、立会人制度と聞くと、アメリカの公証人制度のようなものをイメージするんですけれども、そういったものが念頭にあって、これから日本でもそういうものを広げていくというお考えなんでしょうか。
(答)1対1で同じシステムを持っていてガッチャンコというのは、同じシステムがなければだめですけれども、このサービスというのは、こちらからこう手を出して、こちらからこう手を出して、真ん中でパンと電子スタンプみたいなものを押して認証するという、かなり大ざっぱな言い方ですが、特に同じシステムなどがなくても、間に立ってこれは認めますというようなことを立会人がやるという感じです。全部電子の世界ですが、そういうサービスですので、その立会人型のサービスがしっかりしたものだということであるならば、非常に使いやすい電子契約方式になると思いますので、これを使って広がっていくことを期待していきたいと思っています。
(問)話題が変わりまして、沖縄県が向こう10年の新たな沖縄振興計画についての骨子案を先週発表しました。内容について、確認されていれば、大臣の受止めをお願いします。
(答)まだ骨子案と聞いておりますので、特に何か申し上げることはございません。いずれ文書、本文というのが出てくれば、そこはしっかり見ていきたいと思っています。
(問)大臣は過去にもデータとエビデンスというような表現を使いまして、しっかり計画を磨いてほしいというようなお話があったと思うんですけれども、改めて、全体が出来上がるまでに、要望といいますか、沖縄県に求めることがあればお願いします。
(答)具体的な目標を立てて、それを達成するために何をやったら良いのかというロジックモデルをきちっとつくっていただきたいということと、今までやっていた事業で、効果があったもの、効果がなかったもの、今、私のところでも、担当部局に、これまでの事業を少ししっかりと見て、効果が見られたものと効果があったと言いがたいものに分けようと。効果があったところにきちんと予算を集中するというようなことをやって、効果がないものに予算を投入してもあまり意味がないのではないか。その際、効果を測るためのアウトプット目標、アウトカム目標がしっかりしていないものがやはり見受けられました。
 そうすると、成果があったかどうかが測れないということになってしまうと、なかなかこのEBPMというわけにもいきませんし、このPDCAサイクルを回すこともしづらくなってくると思いますので、やはり次はロジックモデルをきちんとすることと、このアウトプット目標とアウトカム目標をきちんとレビューできるように設定していただくというのが、非常に重要なのではないかと思っておりますので、そこのところはしっかりやっていただきたいと思っております。
(問)ワクチンに関してお伺いします。大臣は金曜日のダボス・アジェンダでも、本当に必要なところに届ける必要があるのではないかということを発信されました。日本は世界的に見て感染者数が少なく、感染者数の多いところよりもワクチンを確保しているというようなことが、日本だけではなく各国に指摘が出ているような状況ですが、公平な分配というのと、ワクチンを買い占めているというように見られないようにするために、どのような発信が必要だと思いますか。
(答)日本も、途上国などにワクチンを届けるメカニズムというものには積極的に協力してきておりますし、我々もそういうことをやるべきだと、例えば知的所有権を製薬会社から買い上げたり、一時的に借り上げたりということをやってでも、しっかりやるべきだというような提案を国際会議でもやってまいりました。
 今回のEUの輸出透明性のメカニズムでも、国際的に途上国へ協力しようというメカニズムは対象から外してくれておりますので、そこはありがたいと思っておりますが、結果として、イギリスや日本とか、そういう国々に対する承認が大きな問題としてクローズアップされてきております。
 日本としても、きちんとこのワクチンの接種をやった上で、日本に必要でないものについては第三国への協力に回すというようなことをいずれやることになろうと思います。

(以上)