河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年1月15日

(令和3年1月15日(金) 11:02~11:35  於:―(オンライン形式))

1.発言要旨


 まず御報告ですが、規制改革案件として、木材加工事業者の共同によるJAS認証取得についてです。中規模から大規模な建造物を木造でやろうという場合には、JASの認証が必要とされているわけですが、工場や事業所ごとに認定をしろということが法律に明示されております。ところが、工場で認証を取得するための費用が品目ごとに約100万円、それから、それを維持するために1品目ごとに年間で40万円ずつぐらいかかるということで、小規模零細な木材加工工場には非常に負担が大きい、なかなかそうした小規模零細の木材加工工場がJAS認証を取れないということがありましたので、三重県からこの小規模零細な事業者の集まりを1つのグループとして、JASの認証が取得できるように制度の見直しをしてほしいという要望が出されておりました。
 私の直轄チームに派遣されていたメンバーがそうした実情を確認して、農水省と交渉しましたところ、実は現行の制度でも、共同でJASの認証を取ることはできるということで、実際に数社の工場を代表した組合が認証を取得しているという事例がある。先ほどの条文に戻っていただきますと、その条文の「工場又は事業所」という言葉は、小規模工場が設立した加工協同組合、中核となる工場の他、川下の販売事業者やプレカット工場等が取りまとめた事業所を含むと読むということでした。
 ところが、そういう解釈で、そういうふうに読むということを明記した文章は存在しないものですから、そういうことができますということはほとんど誰も知られておらず、結果として小規模零細の木材加工事業所はJAS認証が取れなくて困っているということでした。ということで、農水省から各都道府県宛てに、もう来週にも通知を発出して、この文書はこういうふうに解釈して読むということを、まず通知するとともに、都道府県の担当者を集めた林野庁のブロック会議、それから関係課長会議などで周知徹底をするということになりました。また、農水省のホームページには、本日中にそうしたことを掲載するということになりました。
 今後とも自治体からの要望について、直轄チームをはじめ、規制改革・行革の事務局で一つ一つ対応していきたいと思っております。是非メディアの皆様にも、ここはこういう解釈だということを広く報道していただけるとありがたいと思っております。
 2つ目の報告です。一昨日、赤羽国交大臣と「2+1」を開催いたしました。一昨日の「2+1」は平井大臣の部屋でリアルに行いましたが、次からの「2+1」はオンラインでやろうということに一応しております。
 赤羽大臣との「2+1」では、1つはタクシーの利便性の向上、要するにウーバーを導入しようという議論がありましたけれども、今は世界的にウーバーにどんどん規制が入っている。最低賃金を保障しろとか、労働時間に制約を設けろとか、健康保険に加入させろとか、いろんなウーバーに対する制約が入ってきておりますが、それなら、日本は、日本のタクシーの利便性を向上することによって、ウーバーと同じようなサービスを皆さんが享受することができれば良いのではないかということから、タクシーの利便性の向上にしっかり取り組んでいこうということで、まず、ソフトメーターを導入する。あるいは、ソフトメーターの導入ができれば、ダイナミックプライシングの導入もできることになります。それから、今は運転手さんたちの点呼を事業所でやっていますけれども、これはITを用いた点呼ができるようにする。そういうことができるのではないか。
 それから、今は所有者不明の土地に使用権を設定して利用することができるようになっていますが、同じような観点から、例えば出力1,000キロワット未満の再生可能エネルギーの発電事業についても同じようなことができるのではないかということ。
 3つ目に、自動運転に関して、今、自動車を改造して様々な自動運転のテスト走行などをやっておりますけれども、同じ申請者が同じ改造をやっている、つまり同一性があるものまで、今はいちいち申請をし直しているのですけれども、同一性がある場合には実証実験の審査を簡素化、簡略化、基準緩和の手続の簡素化ということをやるべきではないかということ、それから、自動運転の中には、レベルの1つとして遠隔監視、あるいは乗務員が二種免許がなければだめだというルールがあります。例えば、この遠隔で監視をする者が、本当に二種免許が必要なのか、こうした規制は緩和すべきではないかというようなこと、それから、今は自動運転サービスで完全キャッシュレスで運行しようとしているものがありますが、公共交通機関は乗車拒否をしてはいけないというルールで、現金で乗りたい人を拒否できないということだと、この完全キャッシュレスの自動運転サービスができない。完全キャッシュレスに限定した自動運転サービスを認める必要があるのではないか。
 もう一つ、今は障害者の方の障害者割引がオンラインで全て完結しないということもございましたので、これを今は障害者の方が自治体の福祉事務所などで申請手続をやらなければいけないということで、障害者の方の手続負担を軽減するためには、これは完全デジタル化、オンライン化するべきではないかということを含め議論し、赤羽大臣から非常にどの点についても前向きなことをいただきました。
 ダイナミックプライシングについては、少し調査が必要ということは、我々もそう思っておりますが、そういうことで、特にこの障害者の方にとってより利用しやすい環境整備ができるように、関係者の調整を加速してほしいということも国交大臣に合意いただき、有料道路の問題に限らず障害者割引を導入している各種手続について見直しを図ろうと思っているというコメントもいただきました。そういうことで、国交省に前向きに取り組んでいただくことになりました。

2.質疑応答

(問)今の赤羽さんとのやりとりの関係なんですけれども、何となく方向性は一致ということはわかったんですが、完全に合意に至った点というものがあれば抜き出して教えていただけますでしょうか。
(答)そういう方向でやろうということは、どれも合意をしたと思っていただいてよろしいと思います。あとは具体的な作業を一つ一つ詰めていきたいと思っております。
 タクシーの利便性の向上なども要望案が出てきておりますので、それについて、国交省の局長以下かなり前向きに取り組んでくださっております。スピード感を持って実現できるようにということで、赤羽大臣も前向きに捉えてくださっておりますので、スピード感を持って達成していきたいと思っております。
(問)ちなみに、それに関していつまでにとか、そういったことでは合意されたことはあるんでしょうか。
(答)なるべく速やかにということですので、近いうちに時期についてもお知らせできるようにしていきたいと思っています。
(問)先日、ツイッター上で、大学教員の公募書類が郵送オンリーなところがあるということに関する要望が寄せられて、大臣も反応されていたかと思います。文科省のオンライン化の事務連絡は令和元年に出されているようなんですけれども、いまだにこういった事例があることのボトルネックはどこにあると認識されているのか教えてください。
(答)この件に限らず、大学の事務手続が煩雑で研究者に迷惑をかけているものについては、以前、行革担当大臣をやっていた時に文科省と二人三脚でかなりしらみつぶしにつぶしてきたのですけれども、その後の数年間でまた戻っているところがあります。大学の事務局が研究者の利便性の向上のためにやっているものですから、そういう趣旨を踏まえて前向きにきちんとやれということは申し上げておりますが、今回のオンラインでなく郵送で書類を送れというものは、私の直轄チームで、1つずつしらみつぶしに全部、これはだめだということはやろうと思っております。
 大学がそういう研究者の利便性のことを考える、あるいは教員の利便性のことを考えるという、その趣旨が理解されていないところがあると思いますので、大学の事務方にそういう趣旨の理解の徹底をしていこうと思っております。
(問)冒頭に発言のあったタクシーの利便性についてなんですけれども、例えばソフトメーターの導入についても言及がありましたが、これはゆくゆくは法改正を伴うものになるんでしょうか。
(答)必要な法改正というのは出てくると思います。計量法に基づいたメーターをつけているタクシーとか、あるいはソフトメーターのタクシーとかというのが外側から一目でわかるようなことにしていきたいと思っております。今、もうアプリでタクシーを呼べるというサービスも広く広まっておりますので、そういう場合にソフトメーターで事前に料金がわかるとか、あるいはダイナミックプライシングで、需給のバランスに応じて運賃が変わるというようなサービスを取り入れる部分と、今までどおりの普通にメーターで乗りたいという消費者の方もいらっしゃるでしょうから、そこは選択の余地を残した方が良いかと思っておりますが、計量法に基づいたメーターだけでないソフトメーターを入れて、さらに、それによるサービスを展開していくということができるようにしていきたいと思っております。
(問)別件になりますが、先日、大臣から紹介があった霞が関のテレワークの取組についてお聞かせください。内閣人事局として各省庁に通勤者の7割減に努めるように要請したという御紹介がありましたけれども、現時点での各省庁の取組状況というか、達成状況がわかれば教えていただきたいというのと、今後、達成状況を、各省庁に報告を求めるようなお考えはありますでしょうか。
(答)現時点では要請をしているところでとどまっております。まだまだ7割に達していない部分というのもあるのだろうと思っていますが、先日、緊急事態宣言が出されてまだ日も浅いということで、今の時点で状況を調べるということは考えておりませんが、先々どうなのかというところはしっかり見ていきたいと思っています。
 それから、もう一つは、今はコロナに関係する緊急事態宣言ということでテレワークをお願いしておりますけれども、霞が関の職員の中で子育て、介護、その他のニーズが増えている中で、平常時もテレワークができるというのは大事だと思っておりますので、テレワークができる環境整備というところにも力を入れていきたいと思っております。
 そうなると、例えば平常時でテレワークがどれぐらいできるようになっているのかということも、各省庁にそのうち聞いてみたいと思っております。
(問)1点だけ追加でお聞かせください。この辺り、役所としてはかなり国会対応の業務が多くてテレワークがなかなか導入できないというような実情もあろうかと思いますけれども、そういった観点で、国会や与党・野党に対して何か働きかけを今後行っていくようなお考えはありますでしょうか。
(答)立法府の御理解もいただかなければいけない部分はあると思っております。先般、自民党の国対委員長には、働き方改革に関する取組について、現状の御説明をしてきたところでございます。
(問)話題は少し変わりまして、大臣、週休3日制についてお伺いします。一部報道で、自民党の方から既存の週休2日を維持しつつ、希望者が週休3日制を確保できるように、選択できるように民間企業に促すとともに、それを中央省庁公務員にも導入して、週休3日制を浸透させていくようにと政府に求めるという声が上がる動きがあるようです。大臣は国家公務員制度の御担当でいらっしゃいますが、週休3日制に対する御自身のお考えと、これを公務員に導入することに対してどうお考えか、お聞かせください。
(答)すみません、ちょっとその要望について承知しておりませんので、とんちんかんになってしまうかもわかりませんが、企業が週休3日でもやれるというなら、それは企業の自由なのだろうと思います。国家公務員について、週休3日の導入についてはまだ何も全く考えておりません。
(問)行政のオンライン化について伺います。日本は国連の世界電子政府ランキングで14位、OECDの行政オンライン利用率で、30か国中30位と先進国中最下位となっています。昨年、大臣はハンコの廃止を進められて、それはあくまで第一歩であると、本丸はオンライン化だというふうに話されていましたけれども、その日本の現状に対する認識と、今年はどう取り組むかという意欲の部分を改めてお願いします。
(答)片方が14位で片方が30位という違いは何だかよくわかりませんけれども、いずれにしろ日本が最先端を走っていないのは間違いないところだと思います。ハンコ、それから書面については、一括法をこの国会に出す予定にしております。そのほか、今、オンラインに対応していない行政手続については、量の多いものからオンラインに移行していただくように各省庁に働きかけをしているところです。
 昨日、平井大臣と少しオンラインで打合せをしましたけれども、マイナポータルを通じて、公的個人認証がしっかりできれば、様々な個人が行政に対して行う手続というのは進むのだろうと思いますので、各省庁にこのマイナポータルを活用してオンライン化を進めていく、促していくということをやろうと。
 それからもう一つ、企業については、今は企業を網羅的に、企業の公的認証ができる仕組みというのがなかなかないものですから、それについて平井大臣のところで、今、検討を進めておられます。また、おそらくそこには様々な団体も入るのではないかと思いますが、企業、団体用のポータルとマイナポータルを利用して行政手続がオンラインでできるように、ここは平井さんと二人三脚で強力に進めていきたいと思っております。
(問)もう一点お願いします。今、霞が関でテレワークを推奨されていると思いますけれども、役所の側で、公用端末で使って良いウェブ会議のソフトが限られているとか、各省のセキュリティーポリシーが制約になっているということがあるようです。こうしたルールを見直していく考えというのはありますでしょうか。
(答)なるべくテレワークがやりやすいような環境にしてあげたいと思っておりますので、そこはいろいろ端末が足りないところとか、しっかり調査をしていきたいと思っております。また、役所の中には補正予算等で端末整備の予算が組まれているにもかかわらず、あまり要求が出てきていないところがありますので、そういうところはどうなっているのかというのを改めて調べていきたいと思っています。
(問)大臣、改めてになってしまうんですが。緊急事態宣言が出て1週間がたちまして、今回もこのようにZoomで会見するなど、オンライン化を進めていて、かつ大臣室もテレワークが進んでいると伺っていますが、改めてこういった環境で業務に取り組むことのメリット、そしてデメリットについてお伺いしたいと思います。
(答)昨日は、私の大臣室もおそらくテレワークが7割達成できていると思います。おそらくテレワークがやれる部分というのは相当あると思っています。対面の打合せ、それから会議、いろんなものができております。デメリットはちょっと腰痛が怖いというところがあります。あとついつい甘いものに手が出るとか、何となくオンラインでは話をしているけれども、リアルに人と会っていなくて寂しいとかというのはありますが、業務の上で、今のところは、デメリットはあまりないような気がしています。
 メリットとして、本当にこれができるようになれば、子育て、介護のニーズ、あるいは霞が関で勤務する人を引きつけるのに地方の人も採用できるようになってくる。あるいは、地方から霞が関で働こうという優秀な人に手を挙げてもらえる。おそらく将来的には様々なメリットが考えられるのではないかと思います。
(問)来月7日の北方領土の日に合わせて毎年東京で開催している返還要求全国大会についてお伺いします。今年は緊急事態宣言の期間中に入るんですけれども、人数的には制限対象には入っていませんけれども、開催についてどのような構えでいるのか、大会の意義もあわせて大臣のお考えをお聞かせください。
(答)たぶん、実行委員会のところでどうするか、今は検討されているのだろうと思いますので、どういうふうにされるのか判断を待ちたいと思っております。
 こういう大会もそうですし、交流事業も昨年はなかなかできませんでしたので、今年はこのコロナ対策をしっかりやって、やれるところはきちんとやれるようにしていきたいと思っております。
(問)確認ですけれども、開催に向けて努力をされているという認識でよろしいんでしょうか。
(答)これは、実行委員会でまず御判断いただくことだと思っておりますので、検討を待ちたいと思っています。
(問)大臣、今回の会見と話題が違うんですけれども、一部報道、インタビューで、東京オリンピックの開催について、どちらに転ぶかわからないと。オリンピック委員会はプランB、プランCについて検討しなければならず、生易しい状況ではないと御発言されたと報じられております。具体的にプランBですとか、プランCというのは、開催の再延期や中止も含めて検討すべきという、そういう御趣旨の御発言だったでしょうか。
(答)今、オリンピックについては組織委員会をはじめ関係者が最大限の御努力をしていただいているところで、政府としてもしっかりとした大会ができるような準備を進めております。
 ただ、こういうコロナの状況ですから、何があるかわからない。様々な事象に対して、当然バックアッププランというのは、組織委員会なりIOCなりで考えられているだろうということを申し上げたわけでございます。政府としては、オリンピック・パラリンピックがしっかりできるように準備を進めているということだと思います。
(問)今の御発言に関しましてなんですけれども、日本政府の方からオリンピック委員会、組織委員会に開催の可否に関しまして、例えば、こういう条件だったら再延期すべきだとか、何か要望をされているということはあるんでしょうか。
(答)所管の大臣にお聞きください。
(問)週休3日制について伺います。自民党がまとめた週休3日制度の試案によりますと、子育てや介護、そして大学院の学業や副業などに充てる時間を増やす狙いがあるというふうに書かれていまして、最近、若い職員が途中退職するというような話がよく言われていますけれども、その週休3日制があれば、退職しなくてもパラレルにやりたいことができるといったメリットや、また、中高年については退職後の職業や自分のやりたい活動について、生産年齢人口のうちに様々なことに挑戦できるということですけれども、改めてその週休3日制度に対する大臣の御認識、また、実現可能性などについて御所感があればお聞かせください。
(答)その自民党の提言というのを全く見ていないものですから、ちょっとコメントのしようがございません。

(以上)