河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月25日

(令和2年12月25日(金) 9:41~10:13  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 本日は、今年最後の閣議がございました。冒頭たくさんございます。ちょっともったいない気もしますけれども、最後の閣議なので、ここにあわせていろいろ進めたというものもあります。
 まず1つ目です。在庁時間の調査結果がまとまりましたので、御報告いたします。霞が関の国家公務員約5万1,000人につきまして、10月、11月、在庁時間の調査を行いました。ここで在庁時間というのは、正規の勤務時間外に在庁した時間でございます。職員1人当たりの1日平均在庁時間は、10月は1時間50分、11月は2時間2分ということになっておりますが、平均には正直いうとあまり意味はないのではないかと思っております。職員の4割近くが月の在庁時間45時間を超えております。45時間を超えているどころか、100時間超えも3,000人という状況になっておりますので、非常に長い人は長い、全体で割ると平均は少し薄まるということだと思います。
 それから、年代別に見ますと、30代以下の若手職員の在庁時間が特に長くなっておりますが、20代のI種・総合職の職員で見ると、1日の平均在庁時間が3時間におよびます。平均で3時間です。3人に2人が月の平均在庁時間が45時間を超えているという状況になっております。これまでも霞が関の長時間労働の話はいろいろ出ておりましたけれども、数字で明確になったということ、さらに、若手職員に負担が偏っているという実態が見える化できたと思っております。
 ただ、この在庁時間の中には、当然、食事の時間も入っておりますので、各府省にこのデータをフィードバックして、各府省においてそれぞれの業務の特殊性といったものもありますので、このデータを分析し、必要な対策をとることを求めていきたいと思っております。
 また、臨時国会中の立法府との関係についても調査いたしました。特に、質問通告時間についての調査を行いました。最終通告時間は以前に比べると改善しておりますけれども、平均時間で定時を過ぎている、3分の2は定時以降、夜8時以降のケースも3分の1あったということでございます。立法府において、この通告時間の更なる早期化などについて、御協力を賜れるように努力していきたいと思っておりますが、国会関係の業務の効率化を求めている本府省の職員が内閣人事局のアンケートで4割を占めているということ、それから、その時になるまで残業になるかどうかがわからない。だから、早く帰れたとしても時間の有効な使い方がなかなかできないという問題点は、この平均の在庁時間以外にもあるのだろうと思います。
 そういうこともありますので、引き続き、国会関係業務の実態把握、それから国会だけを理由にしているところがありますけれども、通告の後の質問の割振りその他、答弁の確認作業などを含めた全体のフローの効率化が果たしてできているかということが、これは各府省に問わなければいけない部分だと思いますので、そうしたことを含め実態の把握をしていきたいと思っております。
 また、1月から始まる次期通常国会におきましては、個別の質問通告の状況について、より詳細な実態把握をして、見える化をしていかなければいけないと思っております。そもそも、今回こういう調査をするまで、このような実態が明らかになっていなかったというのは、極めて問題だと思っておりまして、これまで霞が関ではサービス残業が行われていない、つまり、その残業の命令がないのにもかかわらず残っている人間がいるかもしれないけれども、サービス残業はないという建前を横行させてきた人事院には、この結果を厳しく受け止めて、仕事をきちんとやっていただきたいと思っております。
 このデータを見る限り、サービス残業がないということはおよそ考えられない。あるいは、残業を指示されなくても残業をやらざるを得ない状況になっているという実態がないかのごとく建前で振る舞うことはもはや許されないと思っております。人事院については、建前を繰り返すのではなく、本来業務であるものをきっちりやっていただくことを求めたいと思っております。
 内閣人事局といたしましては、この調査を受けまして、各府省に早急に勤務時間管理のシステム化を求めてまいります。また、管理職にマネジメントの研修を義務付け、ただ部外の人を呼んで話を聞いて研修したということではなくて、マネジメントがきちんとできるようなきちんとした研修をやっていただくように義務付けるとともに、この管理職の人事評価について、マネジメントが重点的に評価される仕組みというものを内閣人事局でも検討していかなければならないと思っております。
 また、若手職員が置かれている状況をしっかりと把握するために、定期的に職場環境に関する調査、それぞれの職員の受止めのようなもの、職場についてどう職員が考えているかというような調査を定期的に行って、職場環境が改善されているのか、悪化しているのか、それが管理職が変わったことによって良くなったのか、悪化したのか、そうしたことがきちんととれるような調査を定期的に行うということを考えていかなければいけないと思っております。内閣人事局としては、マネジメントの研修の義務付け、重点的な評価、それからそのベースになります勤務時間管理のシステム化、そして、定期的な職場環境の調査、こうしたことを各府省に求めると同時に、内閣人事局も必要なサポートをしっかりやってまいりたいと思っております。
 そうしたマネジメントの改善その他、あるいは業務自体の見直しを行った上で、業務量と定員が合っていないと考えられるところについては、大胆な定員の見直しをやってまいりたいと思っております。今年、42年ぶりに、時限を除いた通常定員の増をいたしましたが、必要ならば、今後、業務量に合わせた定員管理、人員の増ということも含め、やっていく必要があると思います。
 一部に、この在庁時間の調査が、実は正確な数字ではないという声も多少というか若干ありますけれども、いずれも私のところに寄せられたものは匿名でありますし、それが真実かどうかは全くわかりません。業務量に応じて定員の管理をやっていくときに、そもそものデータが歪んでいれば、しっかりとした定員管理ができないわけですから、各府省においては正確な在庁時間が記録されていたかどうかをもう一度確認して、もし間違っていれば速やかに修正の申し入れをしてきていただきたいと思っております。今後も定期的にこうした調査を続けていきたいと思っております。
 2件目でございます。会計、人事その他、各府省の内部手続、民間からではなくて府省内の手続における書面・押印・対面の見直しについて、各府省の見直し状況がまとまりましたので、御報告申し上げたいと思います。
 法令等により、各府省に共通して適用される会計、人事などの内部手続のうち、令和2年4月1日時点で押印を求めているものが305手続ありました。このうち、押印を廃止、または今年度内に廃止予定というものが247の手続、全体の約81%でございます。また、書面を求めている手続が566ございますが、オンライン化ができる、あるいはオンライン化可能となる予定であるものがそのうちの約94%、530の手続となっております。これらは全部法令等により定められている手続でございます。
 押印、署名が存続となるものは、押印が43、署名が1とあります。これらは契約書、あるいは印鑑照合を行う必要がある手続であります。若干検討が続いているものが残っております。
 3件目です。地方自治体などから要望が強くございました自家用有償旅客運送の円滑な実施についてでございます。自家用有償旅客運送とは、既存のバス・タクシー事業者によるサービスの提供が困難な交通空白地において、市町村やNPOなどが自家用車を用いて行う旅客運送のことを指します。こうしたものを実施するに当たっては、既存のバス・タクシー事業者を含めた地域の関係者との事前協議を行う手続が必要になります。その際、住民の多くがこの自家用有償旅客運送の実施を望んでいるにもかかわらず、事前協議で一部でも反対者がいると円滑に実施できないという声がございました。
 そうした声を受けまして、国土交通省と調整をした結果、現在、交通空白地について実は定義されておらず、既存の交通事業者などが反対しやすくなっている。それから、法令では地域の関係者の全会一致を求めていないにもかかわらず、全会一致的な運用が行われているという、2つが課題として浮き彫りになってまいりました。
 そこで、国土交通省におきまして、一定の既存の交通が機能していても、交通空白地に該当することを客観的なデータで示せばよいということでガイドラインを作成し、本日、国土交通省のホームページで公表をしていただけることとなりました。また、全会一致的な運用を改める支援を強化するために、実施の議論が硬直化している地域におきましては、国土交通省の本省が必要な提案などを行うアドバイザー制度を創設し、本日、ホームページで連絡窓口を公開していただくことになりました。
 こうした取組をしっかり使うことで、地域のニーズに応じた交通手段の確保が進むのではないか、地域の活性化につながるのではないかと期待をしております。赤羽国土交通大臣をはじめ、国交省の迅速な対応に感謝申し上げたいと思います。
 4つ目、いっぱいあります。昨年の6月、パスポートに旧姓を記載するときに、それまでは旧姓で活動している実績を示す書類を出すことを求めていたわけですが、その書類を求めるのを廃止するということを河野太郎外務大臣として記者会見で申し上げましたが、この度、それが実現する運びとなりました。
 今までは戸籍謄本と、その外国における旧姓での活動の実績を確認する書面の2つを出せということになっていましたが、戸籍謄本については、旧姓が記載されているマイナンバーカード、あるいは旧姓が併記された住民票などでも良いということにされました。また、外国での旧姓での活動実績を示す書類の提出は不要ということになりました。また、旧姓の記載方法も、今までは、今の姓の後に括弧書きで記載しているだけで、旧姓であるということがわからずに、外国のパスポートコントロールで「これは何だ」と言われて説明を求められるということがしばしばあったそうですので、パスポートの記載欄にこれは旧姓だということを記載することになりました。
 来年の4月1日に申請されるものからこのルールが適用されるということになります。茂木大臣をはじめ外務省の御協力に感謝申し上げたいと思います。
 5件目です。今日の4時から、第2回の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」を実施いたします。再生可能エネルギーの促進に向けた農地の活用をテーマに取り上げる予定でございます。規制改革推進室のYouTubeチャンネルにおいて生配信することとしております。
 最後、6件目でございます。27日(日)から30日(水)にかけて、シンガポールを訪問いたします。シンガポールのヘン・スイキャット副首相の招聘をいただきまして、まず28日、再生可能エネルギーやマイクログリッドで先駆的な試みを行っているウビン島を、ヘン・スイキャット副首相の御案内で視察した後、チャン・チュンシン貿易産業大臣兼公共サービス担当大臣と規制改革、行政手続の改善について意見交換をいたします。また、その後、公共サービス局で公務員制度の在り方、それから保健省でオンライン診療などについて説明を受けると同時に意見交換を行う予定にしております。
 29日は、「GovTech HIVE」(ガブテック・ハイブ)といわれる日本のデジタル庁のようなところの参考になる取組を視察、ヒアリングするほか、交通に関する規制について、オン・イーカン運輸大臣、それからスマートシティの規制の在り方については、バラクリシュナン外務大臣兼スマートネイション構想担当大臣と意見交換を行います。また、情報通信メディア開発庁で情報通信関連の規制、それから教育省でオンライン教育について、様々なヒアリングと意見交換を行ってくる予定でございます。
 PCR検査を受けて、向こうでも2度、PCR検査と抗原検査を受けて、帰国後はPCR検査を受けて、2週間公共交通機関に乗らないということになっております。

2.質疑応答

(問)2点、在庁時間について伺います。先ほどは言及がありませんでしたが、調査結果では20代総合職の3割が月80時間の過労死ラインを超えているという実態が浮き彫りになりました。率直にどう捉えているのか。また、大臣が以前にブログで指摘されていた若手の退職者数の増加、この要因という認識なのか、これをまずお聞かせください。
(答)10月が32%、11月も31%、これは20代の総合職ですけれども、3人に1人は80時間を超えております。これは、多分、2か月連続している人も結構いると思います。かなり厳しい状況であるというのは間違いないと思いますし、長時間労働が早期の離職につながっているということでございますが、それが裏付けられた形になったのではないかと思います。
(問)もう一点関連で、先ほど各省庁に今後必要な対策を求めるということでした。具体的な勤務管理のシステム化等もありましたが、大臣から期限を区切って具体的な改善策の提示を求めていくお考えはあるのか。また、先ほど厳しい指摘をされた人事院の具体的な対応を含めて、大臣としての今後の取組、改善に向けた意気込みを改めてお聞かせください。
(答)いつまでにというのは、各府省と相談をしながらお尻を切って対応していただきたいと思っておりますし、また、引き続き、こうした調査を内閣人事局から各府省と連携をしてやっていくということも当然必要になってくると思います。当然、対策を打った後の、どれぐらい改善されたかというのは見なければいけないと思っていますので、そういうことはやってまいりたいと思っております。
 この数字を見る限り、サービス残業が恒常的に行われていると言わざるを得ない実態が浮き彫りになったのではないかと思っております。人事院において、本来そういうことがないように厳しく見ているはずでございましたが、非常に長時間労働が行われているという実態がはっきりしたわけですから、人事院には厳しい反省を求め、今後やるべきことをきっちりやっていっていただきたいと思います。
(問)同じく在庁時間の調査の関係ですけれども、大臣からも発言ありましたが、国会業務の改善というのが肝要になっていると思うんですけれども、立法府に対してはどのように働きかけをしていくおつもりでしょうか。
(答)質問通告時間がそもそも終業時間後に行われれば、残業になってしまうということでございますので、これは国会並びに各会派にこうした状況について御説明申し上げ、改善に対する御理解をお願いしていきたいと思っているところでございます。
 ただ、もちろん質問通告が終業時間後になってしまえば残業になってしまうのですが、通告の後の処理について改善する余地がある部分もあろうかと思いますので、そういうところについては、やはり各省内で一度見直しをしてもらう必要はあろうかと思います。
(問)各省で処理について見直す部分があるということでしたが、大臣は、外務省だったり、防衛省だったり、今はここだったりでされていて、大臣はあまり答弁とか文の読上げをしないこともあると思うんですが、そういった意味で見直しというのはどういったことが考えられるんでしょうか。
(答)通告を受けてからの割振りに時間がかかっていたり、答弁が作成された後、上司、管理職のチェックを受ける時間とか、そういうところに無駄がないかというのは、これはしっかり見てもらわないといけないと思っております。
(問)それは、各省庁の官僚の方が考えることなのか、それとも、答弁される政治家が考えることなのか、どちらが大きいですか。
(答)両方、それは当然あるのだろうと思います。
(問)もう一個、在庁時間なんですが、平均時間とものすごく在庁時間が長い人と、かなり差があるんですけれども、これは仕事量が多いという問題なのか、それとも省内で割振りがうまくいっていないということなのか、大臣はどちらが大きいとお考えでしょうか。
(答)そこは各省がこれから見ていただかなければいけないと思います。マネジメントがうまくいかずに仕事が属人化していたり、特定の人に仕事が集中していれば、その人の在庁時間は当然長くなると思います。そういうマネジメントがきちんとできた上で、なおかつ業務量が課題であるならば、ここは定員を増やすことを考えていかなければならないと思っております。
(問)オンライン診療で伺いたいんですが、3大臣でこれまで協議されて、合意内容なんかも発信されてきたと思うんですけれども、10月末ぐらいに、田村大臣の方から、かかりつけ医を対象に初診から原則解禁するというような発信があったと思うんですけれども、この合意内容については、大臣も合意されているという理解でよいかという確認をしたいんですが。
(答)今後、例えばかかりつけ医がいない新入生とか新人社員とか、引っ越した先がどうなのか、かかりつけ医がオンライン診療をやっていないときはどうするのか、これから詰めなければいけない様々なことはあろうと思いますけれども、基本的に3大臣で合意をしております。
(問)今のオンライン診療のところで関連なんですが、当初、厚労省の方で年内に方向性を取りまとめるという話だったんですが、コロナが拡大している状況も踏まえて、半年ほど先延ばしになったかと思うんですけれども、それに対する受止めを教えていただけますでしょうか。
(答)コロナはこういう状況ですから、それはやむを得ないと思います。
(問)行革担当大臣としてお伺いしたいんですけれども、来年の1月で今の中央省庁になってから、再編されてからちょうど20年になります。今までいろいろな省庁で大臣もされてきたと思うんですけれども、現在の省庁の体制についての評価と課題が何かあるとお考えであればお願いしたい。また、以前10月にグループインタビューをした際に、大臣は厚生労働省の分割再編については慎重なお考えをお示しになられたと思うんですけれども、改めてそのようにお考えになる理由についてというのと、あと現在の省庁全体について、改めて再編の必要性があるかどうかというのをお尋ねしたいと思います。
(答)もう20年もたつのかというのが最初の感想でございますが、世の中は変わるわけですから、当然、中央省庁も不断の見直しをしなければいけないということはあろうかと思います。厚生労働省は、社会保障を抱え、あるいは労働法制、雇用関係を抱え、予算から見ても突出しているという状況にありますが、コロナ禍で厚労省がかなり忙しい中で、今、省庁再編を厚労省について何かやるかというと、私は否定的です。まず、コロナに集中するべきだろうと思います。
 こういう特殊な状況ではありますけれども、コロナが落ち着けば様々なそういう議論をテーブルに乗せるということは、これは不断にやらなければいけないと思っています。
(問)在庁時間の関連の質問なんですけれども、まず1つは、やはり20代の総合職の在庁時間が80時間、100時間を超えている人が多いというようなこの結果について、国家公務員は労働基準法が適用されない部分はありますけれども、今後、どういうふうに改めていくのか。
 あと、今月の上旬に民間の有識者が、10時から翌朝5時は完全閉庁してくださいというような提言を提出されましたけれども、来年国会が始まる前に、各省でそういった動きというのは実際に出てくる予定はあるのか、具体的な改善のためのアクションとしてどんなことができるかということを改めて伺いたいです。
(答)ちょっと今年中に何かやるというのは難しいと思いますので、年明け、各省でしっかりと業務の見直しに着手してもらいたいと思っております。タイムスケジュール、その他については、内閣人事局の方で各省と相談していきたいと思っております。
 やりようはいろんなところがあるのだろうと思いますし、各省がそれぞれ抱えている課題は違うと思いますから、まず各省がそれぞれ自分の業務を見直した上で、必要な是正をしてもらいたいと思っております。
(問)シンガポールへの出張ですけれども、コロナについてはPCRとかをやるということでしたけれども、先日、シンガポールでも変異種が確認されたりしているんですが、そういったことを踏まえた上での対応というのは考えているのでしょうか。それとも、それは出る前の対応のままで今は考えているのでしょうか。
(答)シンガポールとは、様々な情報交換をしております。現在、市中感染ではないということですので、そういうことも行くぎりぎりまで情報交換をしながら決めていきたいと思います。

(以上)