河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月18日

(令和2年12月18日(金) 10:45~11:06  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 まず最初に、「地方公共団体における押印見直しマニュアル」が完成いたしましたので、報告したいと思います。先日、福岡に視察に行った際、福岡市長にお渡ししてございます。
 このマニュアルは、直轄チームで三重県、大阪府、相模原市、福岡市から派遣されている4人の職員がチームになって、中心となって、地方の現場の目線も入れてもらって、できるだけ分かりやすいものにさせていただきました。
 地方公共団体で使いやすいように、国の行政手続の押印99%を廃止した考え方や基準について解説をしました。それから、押印の後の署名をどうするかということについても、自治体から問合せもありましたので、それについてもいろいろと解説をしております。
 福岡市をはじめ、これまで自治体独自でこの見直しを先行して進めている、そういう取組も具体的なものも少し紹介をしながら、これから地方自治体が押印の見直しに取り組む際に必要となるであろう体制ですとか作業手順、判断基準というものをお示ししております。
 今日、内閣府のホームページに掲載することとしており、都道府県、市町村へもこのマニュアルに関して通知を発出していきます。今後も法令改正、その他いろんなことがあれば改定して、常に最新のものにしていきたいと思っております。
 国民の皆様にとって、この行政手続が便利になるためには、国と地方自治体、車の両輪でやっていかなければならない、二人三脚で取り組んでいかなければならないことだと思いますので、自治体がこうしたことをやっていただけることは、非常に効果も大きくなると思いますので、積極的に自治体とコラボレーションしていきたいと思っております。
 担当した4人の親元だけでなく、いろいろな地方公共団体に御意見を聞かせていただき、また21ページには自治体の実際にやられた方の声も掲載させていただいております。文章を寄せていただいたことに感謝したいと思います。また、総務省にも御協力をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。
 このチームはこの後、「書面・対面規制の見直しマニュアル」の作成に入ることになります。4人が来ていますので、ちょっと手を挙げてください。何かありましたら、取材してあげてください。
 2件目です。愛知県から、環境省の所管する法令に基づく県の職員の立入検査証が25種類もあり、立入りに行くときに複数を持っていかなければならなかったり、とにかく引継ぎをしなければいけなかったりということで、何とかならないのかという要望がございました。
 職員の中には、20枚以上の検査証を持って仕事をしているという人もいるようでしたので、立入検査のときに複数の検査証を見せなければいけないとか、いろんな迅速な立入検査の妨げになっていたということでございますので、環境省の方で共管する役所、経産省とか国交省とか、環境省が共管している役所が全部で12省庁あるわけですが、環境省が共管省庁とも相談してくれて、地方公共団体が人事異動をする来年4月を目途に、検査証を統合して、立入りのときにはそれを利用すれば良いという方向で見直しすることになりました。
 スピード感を持って対応してくれた小泉大臣はじめ、環境省の皆様に感謝申し上げたいと思います。担当しましたのは愛知県から来た尾崎さんですので、何かあれば後で質問をしていただきたいと思います。
 3件目です。「縦割り110番」でも御要望がありました、ドローンの高度規制の緩和と許可基準の明確化です。現在ドローンの飛行区域や飛行方法を定めている航空法令には、地面から150メートル以上の高さでの飛行、補助者を配置せずに行う目視外飛行や運搬物の投下を伴う飛行を行ってはいけないなどの規制があります。
 他方、インフラの点検とか、物流のドローンの活用が期待される中、煙突とか鉄塔といった高い建築物があり周囲に有人の飛行機が接近して飛ぶようなことがない所、あるいは有人航空機と衝突の恐れのない山間部で、山がこうなっているとドローンもそれに合わせて飛ばなければいけないということは、これは何とかならないかという規制の緩和、それから、ドローンを飛ばすときに、民有地との関係で許可基準が明確でないというような声が寄せられておりました。複数の関係者へ許可申請をする、あるいは複数の関係者との調整が必要だということで、ドローン運航者の大きな負担になっておりました。
 国交省で検討していただきまして、高度が150メートル以上であっても、有人航空機が飛行する可能性が低いケースについては、許可手続なしで飛行できるよう、来年の夏頃に所要の制度改正を行うということ。それから、目視外における150メートル以上の飛行や物件の投下、今は物件を投下できずにいちいちドローンを着陸させることになっていますが、リスクが低い場合には補助者の配置が要らないとするように、これは今年度中に許可基準を明確にする。それから、飛行場付近の物件管理者との事前調整についても、航空法上の許可を出す際の必須条件ではない、つまり、飛ぶ下を全部調整しなければいけないのかというと、それは必須条件ではないということを明確にするように、今月中に飛行マニュアルを改正するということになりました。国交大臣はじめ国交省航空局、その他の皆様の迅速な対応に、感謝申し上げたいと思います。
 また、申請をする際に、ワンストップで申請ができる一元的なシステムの構築をしようと思っております。これは民間企業、携帯会社などの民間企業が関わりますので、行政だけではできませんが、そういうワンストップの申請システムに向けて、行政と関係企業を集めて、それをやるというキックオフミーティングを直轄チームで主催することになっております。日本がドローンについて世界最先端の飛行環境となるように、しっかり規制緩和をやっていきたいと思っております。
 4件目です。「縦割り110番」にこれも寄せられていた、統計のデータ・フォーマットの統一を行うことになります。今まで政府統計のデータ・フォーマットは、フォーマットがばらばらで、なおかつルールも明確でなかったので、研究者が複数の統計データを組み合わせて分析しようとすると、いちいちフォーマットを揃えなければいけない、あるいは、機械で読み込みができないなど、事前の処理に莫大な手間がかかっているということでございました。総務省を中心に各府省と共同で統計の統一的なデータ・フォーマットについて検討を行って、事務レベルで各省協議会を行ってもらって、本日、決定いたしました。
 元号のみで記載するようなことはだめと、元号を使っても良いのですが、その際は必ず西暦、または時間軸コードというのがありますが、西暦、または時間軸コードを別のセルに併記する。あるいは、数値データの中に、例えば1,000円というときに、「円」という単位を数字と同じセルに書かないとか、あるいは、1,000円と表記をするときにカンマを打たない。あるいは、マイナスを意味する「▲」を使わず、マイナスは「-」を使うとか、セルを統合してはいけないとか、非常に丁寧にルールを決めました。意見募集をしたところ353件の意見が寄せられましたので、それらも反映をして、本日決定いたしました。
 武田大臣はじめ総務省の皆様に、迅速な対応を感謝申し上げたいと思います。統一ルールは原則として、1月から公表する全ての統計について適用されることになります。ただ、既にもう業者に委託をして作業が進んでしまっているものについては、最初の発表は今やっているままになりますので、若干の例外はありますが、基本的に1月から公表される統計は、新しいデータ・フォーマットで行うことになります。
 最後に5件目です。明日、明後日にかけて、長野県長野市、京都府精華町及び滋賀県草津市を訪問いたします。明日の長野市の訪問は、「信州地域デザインセンター」、それから善光寺の「表参道」、「セントラルスクゥエア」を視察し、信州地域デザインセンター長や阿部知事と意見交換をさせていただこうと思っております。明後日は、京都精華町で大阪大学のロボット研究者の石黒浩教授と意見交換をさせていただくつもりです。それから、滋賀県草津市の立命館大学の「BKC(Biwako Kusatsu Campass)インキュベータ」に入居しているベンチャー企業の皆さんと意見交換をして帰ってこようと思っております。

2.質疑応答

(問)ドローンの件で伺います。政府は既に2022年度中に、有人地帯上空ですか、目の届かない範囲を自律飛行するレベル4なるものを実現させる考えで、今、進めていますけれども、今回のその規制緩和が、先ほどは山の稜線に沿って飛行しなければいけない、それを緩和するんだというお話がありましたけれども、具体的にその緩和によっての成果はどういった点を期待されているのか、具体例とあわせてお聞かせください。
(答)例えば、山小屋に物を持ちあげるときにドローンを使いたいのだけれども、稜線から150メートルに沿って飛ばなければいけないというと、かなり燃料も使わなければいけなかったり、あるいは、もう山林の中だけれども、目視外になるときには補助者を立てなければいけないというと、これはなかなか現実的には厳しいという話もありました。
 それから、鉄塔の周りをドローンが飛んで安全性の確認をするとか、様々な検査をするというようなニーズがこれから高まってくる中で、そうしたことができるように。また、今まではドローンを着陸させないといけない、物件を投下してはいけないということでしたが、かなり低いところまでドローンを下ろしてきた上で投下をすることができるというようなことにもなりますので、物流にこのドローンが活用されることになってくると思います。
 また、これまでは、ドローンを飛ばすときに下に民有地があれば、調整が必要だというようなことで進んでおりましたけれども、それは必須条件ではないということを明確にするということもやっていただけますので、ドローンを物流その他、安全点検とか、いろいろと産業に活用することができるようになってくると思っております。
(問)もう一点です。週末の出張について、日曜日に石黒教授と意見交換されると思います。大臣は、この間、ロボットやAIの活用によって、人に寄り添い、ぬくもりを大切にする社会、これの実現を目指しているとおっしゃっていますが、協議の場をどのような施策に反映したいと考えているのか。また、今、コロナ禍で「aibo」といったいわゆる癒しロボットの売上げが、前年同月比で倍を記録するなど好調です。こうした部分も含めて、今後、具体的にロボット技術をどういった分野に活用すべきとお考えか、お聞かせください。
(答)特に何か想定をしているわけではありませんけれども、これまでも申し上げているように、やはり人に寄り添っていく、ぬくもりを大切にするということを人口が減る中でしっかりやろうとすれば、人間がやらなくても良いものはAIやロボットに任せようということを常々申し上げておりました。また、その一方で、最近はいろんな形のアバターで、あたかも人間がやりとりをする、人間が寄り添っているようなことも、いろいろ開発が進んできております。
 石黒さんは、人型アンドロイドの権威で、おそらく最も人間に近いロボットの開発を、今、されているのではないかと思いますので、そのような技術を使って、ぬくもり、人に寄り添うというようなことがおそらくできるようになるだろうとも思っておりますので、いろんな将来の可能性というものについて、少し見識を深めてまいりたいと思っております。
(問)冒頭に御紹介のあった押印のマニュアルについてお伺いします。通知に関しては、今日、各都道府県とかに通知されたということなんですが、これの進捗状況に関して、国としてはどのように把握されるおつもりなんでしょうか。
(答)特に自治体の進捗状況を把握しようとは、今、思っておりません。国がこれだけ手続で押印をやめることにいたしましたので、今まで先進的な自治体も、国のルールでできないものはできないと言って残して来られましたので、国が改めた分、さらに、自治体でも押印が廃止されて、様々なデジタル化ができるようになると思います。
 国の方も、今、22,000ぐらいの手続の中で、おそらく20,000弱オンライン化ができていないわけで、今、5年以内にオンライン化ができそうもない手続はどれぐらいあるのかということを、各府省に調査をかけております。
 そういう意味で、その次の段階で様々な手続をオンライン化することができるようになると思っておりますので、そのためには自治体もオンライン化に向けた準備をしていただく必要があろうかと思っております。そこは、自治体にある面お任せをしたいと思っておりますが、利便性を高めるためにもしっかり取り組んでいただきたいと思っております。その最初の支援策の形でマニュアルをつくりましたので、今まで先進的にやってくださっていたところも、今まで全く手をつけられなかったところも、国がルールを変えましたので、自治体でそれに沿ってやっていただけることを期待したいと思っています。
(問)大臣は、先日の福岡での講演で、デジタル化について、もっと多くの方に理解してもらう努力をしないといけないということをおっしゃっていました。今、規制改革とかを進める中で、ハンコについても業界から反発があったり、なかなか医療のオンライン化でも医師会の方で全部というわけにはいかなかったり、そういう反発もあると思います。そういった方への理解というのは、大臣が直接説明するようなことというのはお考えでしょうか。それとも、各省庁でやっていただくという、そういうことでしょうか。
(答)講演で私が申し上げたのは、何のためにデジタル化をしようとしているのかということで、人口が減る中で、人に寄り添う、特に子供や高齢の方を中心に人に寄り添う、あるいはぬくもりを大切にする社会をつくる、そのためのデジタル化という目的を、広く国民の皆様に知っていただく努力を私としてはしていきたいと思っております。
(問)御自身で説明されるということは、今のところは考えていないのですか。
(答)そういったことをいろんな講演でも申し上げておりますし、様々な寄稿を頼まれたときとか、ブログでの発信とか、そういうことは積極的にやっていきたいと思っております。
(問)菅内閣の一員としてお伺いいたします。菅総理の大人数での会食をめぐり、与野党から批判が出ていることなどを受けて、総理が謝罪する事態となりましたが、この件についてどう感じられたかと、会食に当たって大臣自身が何か気をつけていることなどがありましたら教えてください。
(答)食事をするときには、広く言われているような安全策をとっております。総理の件については、総理にお尋ねいただきたいと思います。

(以上)