河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月13日

(令和2年11月13日(金) 8:57~9:12  於:参議院本館3階・内閣記者会3)

1.発言要旨


 冒頭、幾つかございます。まず、行政手続における押印の見直しで、民間から行政への手続の中で、押印を求めている行政手続が添付書類を含めて14,992種類ありました。このうち14,909種類、全体の99%以上ですが、14,909種類については廃止を決定する、あるいは廃止の方向で準備するということになりました。本人確認、本人認証にならない認め印は、全て廃止ということになります。
 存続というのが、全部で83の手続になりました。83のいずれも印鑑証明が必要なもの、あるいは登記、登録、銀行への届印などであります。詳細が必要ならば、規制改革推進室にお問合せをいただきたいと思います。
 これで民から官への行政手続については一段落いたしましたので、一括法を通常国会に出すような準備をしたいと思います。また、書面を求めているものについては、押印が要らなくなりましたので、書面についてもこれからしっかり見ていきたいと思います。書面の必要がないものはやめていきたいと思います。
 2つ目です。警察における手続のデジタル化につきまして、小此木国家公安委員長、警察庁の御協力をいただいて、進展いたしましたので御報告いたします。まず試行的な取組として、道路使用許可などの一部の手続を対象に、来年度の早い時期から、メールなどによる申請を可能とするよう準備を進めてくださることになりました。たぶん本番の手続はもう少しいろいろあると思うんですけれども、とりあえずメールで申請を出せるようにしようということです。警察行政全般のオンライン化についても早期にできるよう検討していただいておりますので、いろんなものが前倒しになるのではないかと期待しております。
 それから、運転免許を取得する際、指定の自動車教習所における業務で、私もやりましたが、ハンコをもらって段階が上がっていくというそのハンコですとか、卒業証明書、修了証書、その他にハンコを押している。これについても押印を廃止すると同時に、学科教習もオンラインでできる部分というのが相当ありますので、学科教習のオンライン化に向けて関係団体と前向きに調整を進めていただくことになりました。
 小此木国家公安委員長及び警察庁と今後もしっかり連携してまいりたいと思いますが、早い行動に感謝申し上げたいと思います。
 3件目です。私のもとに、地方自治体における法人地方税の申告書、納付書、この送付事務の合理化に関する意見が多く寄せられたところでございますが、総務省に検討をお願いしたところ、対応していただけることになりました。
 法人地方税の申告時期になりますと、それぞれの地方自治体から独自の様式の申告書や納付書が法人に送られておりますが、今はもうほぼ会計ソフトで印刷した申告書で提出して、それを自治体が正規の申告書として認めております。また、電子申告が増えておりますので、地方自治体が印刷して郵送する申告書はほとんど使われずに捨てられております。地方自治体職員の手間とか郵送コスト、印刷コストを考えれば、かなり無駄なことが全国で行われておりますので、総務省から地方自治体向けに、この申告書を送付する事務の見直しについて周知していただくことになりました。
 電子申告が義務付けられている大きな法人、これは資本金が1億円を超えている法人ですが、それからもう既に、前年に電子申告しているそれ以外の法人に対しては、送付する必要がそもそもありません。それ以外のところも含め、申告書の送付事務、それから納付書についても電子納付が進めば、これも要らなくなります。総務省において、この電子納付のシステムの利便性の向上、それから電子納付システムの周知、これもやっていただくことにいたしました。これも群馬県で地方税を担当していた直轄チームのスタッフがしっかりやってくれました。何か御質問があれば、後ほど彼に聞いてください。
 それから、4件目です。国会バッジ、霞が関の職員が議事堂内、あるいは議員会館に入る際には、国会の方から貸与されているバッジを付けなければいけないわけですが、誰が持っているか、個数管理が結構大変だという話を前に記者会見でしたことがございます。
 金融庁の若手のグループが、先般、働き方改革の優良事例として、この国会バッジの貸出の管理簿を電子化する、そういう取組をして貸出手続の効率化というのをやっております。昨日、そのプレゼンを私も受けましたが、国会バッジを確保するために若手職員が奔走する必要がなくなったということで、かなり効果があります。
 こういうシステムを、一つは横展開できないかということで、各省の官房にこういうのがあるというお知らせをしていきたいと思っております。それから、金融庁の若手職員が自分でプログラミングを学んで、彼らが自分でプログラミングをしたシステムです。霞が関をデジタル化する上で、自らそういうシステムをプログラミングして立ち上げるスキルというのが、これから大事になってくると思います。これをいちいち外に発注していると、改善が必要なものをいちいち直さなければいけない。それもいちいち発注しなければいけないということで、お金と手間と時間がかかりますが、これを自分でシステムの修正ができるのだったら、どんどん使いやすいように直せていけるわけで、これは非常に重要なスキルだと思います。
 今の日本は、IT人材の3分の2以上がIT企業に囲われていて、ユーザー側にはほとんどIT人材がいないということが、このデジタル化を遅らせている、そういう指摘がございました。霞が関も自分でこういうことができるようなスキルを向上していく必要があると思います。もちろんデジタル庁ができればそういうことになっていくと思いますが、デジタル庁ができる前に、それぞれ若手職員がこういう取組をやってくれていることは、働き方改革にも直結すると思いますので、ぜひ金融庁の取組にも、皆さんの目を向けていただけたらと思います。

2.質疑応答

(問)ハンコの件で伺います。来年の通常国会での一括法改正を目指されるということですけれども、以前おっしゃられていたように、個別法の改正だと煩雑さがあるという点を考慮されたのか、その理由と、あとは以前に大臣がおっしゃっていた横展開のための全国へのマニュアル配付、これの進捗状況をそれぞれ伺いたいと思います。
(答)押印を廃止するということで、共通で括れるものについては一括法でやりたいと思っております。一括法の範囲をどの程度にするか、今後しっかり相談していきたいと思っております。これで民から霞が関等行政手続で押印が必要なものが83と決まりましたので、マニュアル化を進められると思いますので、スピードアップしていきたいと思います。
(問)国会の記章の話なんですけれども、そもそもそれが必要なのはおそらく国会議員に呼ばれての説明だったり、そういうことだと思うんですが、国会議員の方からそういう呼ぶ機会を減らすとか、呼び方を変えるとか、そういった要請をされていると思いますけれども、進捗はいかがでしょうか。
(答)自民党の方でオンラインレクというものに取り組んでくださっておりますので、どこかの段階で、どれぐらいそれが進んでいるかというのは見ていきたいと思います。まだ国会は始まったばかりですので、今後どういうふうになっていくかというのを調べた上で、来年の通常国会に向けて様々な準備をしていきたいと思います。
(問)学科教習のオンライン化ですけれども、改めてメリットと、可能であれば導入時期をいつ頃と想定されていらっしゃるかということについていかがでしょうか。
(答)導入時期については、警察の方で今、関係団体と相談をしてくれているところですので、今の時点でいつからということは申し上げられませんが、もうその場に行かなくてもオンラインで受講することができるわけですから、受講者のメリットは非常に大きくなると思っています。
(問)閣議の後、井上大臣と総理の所で残っていらっしゃいましたが、これは日学関係でしょうか。それともどういった案件でしょうか。
(答)官邸の中の件は内緒です。
(問)押印の関係ですけれども、政令でできるものはもうそれぞれやっていかれるのかという点と、あと83残ったものなんですが、どういったものが残って、どうしてそれが廃止できなかったのかという理由も教えて下さい。
(答)政省令でできるものはどんどんやってもらおうと思います。法律改正の必要のないものについては、そういうことで対応していきたいと思います。残っているものは、印鑑証明が必要なもの、個人の認証、確認が必要なもの、あるいは口座振替の時の銀行の届出印のような、今の時点ではなくせないというものです。1つずつ見ていって、どうしてもこの印が必要だというものについて、手続そのものをなくしてしまえと言ってなくしてしまったものもありますので、当面この83でいきたいと思いますが、デジタル化が進んで電子認証ということになれば、またいろんなことが考えられると思います。
(問)行政手続で必要な押印に関してなんですけれども、先ほど、大臣は民から官への行政手続の押印というのは一段落したということですけれども、改めてやり終えたというか、やり遂げたことに対する御所感と、これをやり切ったことに対する意義を改めて教えて下さい。
(答)よく考えれば認め印というのは個人の確認にはならないということを続けていたわけですから、そこの合理化というのはしっかりやれたと思いますし、書類にハンコを押すという行為がなくなれば、その手続は次に書面でなくオンラインでできるようになりますので、もうやり切ったということではなくて、いよいよ本丸の手続をオンラインに移していくということに取り組んでいかなければならないと思っております。
 今でも、書面で郵送を求めていたり、ファックスだったり、あるいは対面だったりというものがありますけれども、少なくともこの認め印を廃止したものについては、書面、対面の必要はないだろうと思いますので、これのオンライン化に向けて動いているところです。
(問)今のオンライン化の話ですけれども、このオンライン化の対象になるのは、この14,992が対象になるということでよろしいんでしょうか。
(答)全ての手続を最終的にはオンラインに移していきたいと思っておりますが、少なくともこの認め印の押印が必要なくなったものについては、オンライン化を考えることはできると思っております。
(問)では、法人登記とか商業登記とかについては、とりあえずオンライン化の対象とはしないということでよろしいですか。
(答)何かを特に外すということは考えておりませんが、認証している印鑑が必要だったり、登録印が必要だったりというもののオンライン化をどういうふうにやるのかというのは、これはまた考えていかなければいけないと思います。

(以上)