河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月2日

(令和2年10月2日(金) 11:10~11:32  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 押印の廃止に関しまして、民間から行政機関に対して行う申請の手続の中で、年間1万件以上のものを9月末まで、それ以下のものは10月9日までに、押印を残すべきものについて理由をつけて提出するように各省庁に求めております。
 年間1万件以上のものが行われている手続につきまして、9月末で締め切ったところ、昨日も申し上げましたが、当初438種類の手続と申し上げておりましたが、添付書類にも押印をしているものがございまして、全体でそれを含めて820種類あるということが分かりました。この820種類につきまして、785種類は廃止を決めました、あるいは廃止の方向にしますという回答でした。存続したいというものが35種類、約4%です。今、その35種類を精査しておりますけれども、要らないだろうと思われるものがその中でも見受けられますので、きちんと精査をした上で発表していきたいと思います。
 法例等に押印を求めると書いてあるというのがありましたけれども、それは法律を変えるなり、政省令を変えるなり、告示の様式を変えるなりすれば済むことですから、それは理由になりませんということは戻してございます。本当に何らかの、印鑑証明とか、あるいは銀行印といったものの中で、どうしても残す必要があるという理由が明確にあるものについては、今回残すということにしていきたいと思っております。
 それから、行政の中で法令に基づかずにハンコを使っているもの、これは9月末までにやはり見直しをして、結果を報告してくださいということを申し上げ、行政の中で法令に基づいてやっているものは10月9日までにとお願いをしてございます。若干法令に基づかないものについては照会をかけるのに落ちがございましたので、そこの関係省庁については締切りを延ばしておりますが、今現在いただいているものの中で、ハンコを残したいというものについては、例えば永年勤続表彰の賞状のハンコ、これはもう残して結構ですということを申し上げました。今のところ、残さなければいけないものはそれぐらいなのではないかと思っております。法令に基づいて行政の中で使っているものの中には、例えば出勤簿とか、そういうものがございますが、これは9日を締切りとしているところでございます。
 様々な手続に関わる民間の利便性の向上、あるいは行政機関の中での事務の軽減といったことに資するようにやってまいりたいと思っておりますし、この次の段階の書類、署名、ファックスといったものについてもつなげていきたいと思っているところでございます。

2.質疑応答

(問)行政の中での方ですが、その永年勤続とか、そういったものがあるというふうにおっしゃっていましたけれども、そもそも行政の中で行っているものの全体の母数は何件ぐらいあって、その中でどれぐらいが残せる、残せないと言ってきて、残すのが永年勤続表彰の賞状だけだという、その全体像を教えていただけますか。
(答)少々お待ちください。把握できたところであれしたいと思います。若干幾つかの役所に照会をかけるのが遅れたりということがあって、これから追っかけで幾つか上がってくるのがあると思いますので、全体像、その他、まとまったところで御報告をしたいと思います。
 現時点で、これは存続しても良いというのが、永年勤続表彰状のハンコというところでございます。ほかに若干残したいと言ってきているものがあるかもしれませんけれども、根拠的にどうなのかという感じがしていると思っています。
(問)関連してもう一個、民間から出してくるものの今回その1万件以上が800余りということでしたけれども、当初、大臣は全部で1万1,000種余りというふうな説明をしていらっしゃっていましたが、おそらくその添付書類そのものを含めるとそこの母数も変わってくると思うんですけれども。
(答)可能性はありますね。
(問)そこの数字等々、いろいろと全体が変わってきているので、そこの全体像を含めて教えていただけますでしょうか。
(答)9日締切りになっていますので、その時点でまた把握していきたいと思います。
(問)地方自治体から要望が出ているハンコの話ですけれども、戸籍関連の、例えば婚姻届とか、あるいは出生届とか、こういうところに必要な印鑑というものは今後どうされるお考えなんでしょうか。
(答)取りまとめた後に発表します。
(問)廃止検討するものにそれも含まれているという解釈でよろしいでしょうか。
(答)取りまとめた後に発表します。
(問)関連して伺います。大臣は、昨日も今も、必要であれば法律、政省令、告示の改正ということも言及されましたけれども、現実に改正が必要なケースのめどは具体的に立っているのかということと、先程の方も言及がありましたが、今後、実際の住民サービスにどう波及させていくか。例えば、一般の皆さんの関心があるのは、一体どういう手続が簡便化できるのかというものだと思います。それの具体例があればお聞かせください。
(答)法律の改正については、一括法でやるようなことも考えられるのかとは思っております。押印が要らないというだけで個別の法律の改正をするのも大変でしょうから、押印廃止の一括法みたいなことでやることも検討していく必要はあるかと思っています。どれぐらいの法律かというのは、これは調べた上で後ほど申し上げたいと思いますが、もうやめますという中には、当然そういうのもたくさんあるだろうと思いますので、それは、いずれ役所からやめるものの中で法律改正が必要なものというのは、数をそろえていきたいと思っています。
 手続の中でハンコが要らないといえば、押す手間がなくなるというのが直近ではございますけれども、今、書面で郵送してくださいとか、対面で出してくださいとか、ファックスで送ってください、あるいは印刷をして、押印をして、スキャンして送ってくださいとか、そういうものが要らなくなるというのが、その次の利点だと思います。その次に、オンラインのフォームにするとか、いろいろデジタル化の対象になると思いますので、すぐに効果が出るのは、いちいちハンコと朱肉を探さなくても良いという程度に留まるかもしれませんけれども、そこから先にいろいろつながる第一歩だと思っています。
(問)ハンコの関係なんですけれども、天皇陛下の御璽についてはどのようにお考えですか。
(答)対象になっておりません。宮内庁は対象になっていないわけではなくて、宮内庁の出勤簿というのは、これは当然対象になっておりますけれども、御璽については対象にしておりません。
(問)重ねてその理由も伺えますか。
(答)これはもう陛下の国事行為ですから。
(問)昨日、萩生田大臣が沖縄にいらっしゃって、西普天間地区なんですが、琉大病院の建設予定地になっておりますけれども、そちらを視察した際に、琉大病院の施設で感染症専用の入り口を設けるようにという趣旨の要望をされたということで、琉大側に萩生田大臣がそういう要望を伝えたということを記者団にお話しされていて、これは、所管は内閣府になっているかと思うんですけれども、この報告とかそういうものはございますでしょうか。
(答)すみません。聞いていないので、今の時点でよく分かりません。
(問)大臣は先週の金曜日に規制改革推進会議の投資ワーキンググループに出席されたと思うんですが、他のワーキンググループも含めて、できるだけ出席されるという意向でよろしいでしょうか。
(答)そのつもりです。
(問)今まで、副大臣が出席したと思うんですが、大臣自ら出られる狙いについて、改めてお願いします。
(答)北村大臣も国会とかとかぶっていない時には出席していたのではないかと思いますが。
(問)では、過去の経緯は一旦置いておいて、大臣自ら出られる、そこの思いのところお願いします。
(答)規制改革に関して、それぞれやってこられた有識者の方々が議論される場ですから、非常に有意義な場にしていきたいと思います。
(問)霞が関の働き方の点でお伺いします。在庁時間の調査の指示を出されたと思うんですが、霞が関では、深夜の質問通告待ちといった国会対応が長らく長時間労働の温床と言われてきました。もし、調査でこうした実態が浮き彫りになった場合、国会の慣習の改革にまで踏み込む覚悟はおありでしょうか。
(答)まず実態をきちんと調べた上で見える化するというのが一歩だと思いますので、順番にしっかりやっていきたいと思います。
(問)覚悟の関連なんですが、つまり国会のことは国会でというのが今まで行政府としてのスタンスだったと思うんですが、もし、仮にこれがリンクしているのであれば、そこまで手を入れるべきだとお考えでしょうか。
(答)調査をして、実態をまずきちんと調べたいと思います。
(問)先ほどの押印の関係で、一括の法案という言及もあったかと思うんですけれども、もしそういうものを出すとすれば、例えば来年の通常国会とか、そういった時期的なものは何かお考えはありますでしょうか。
(答)いや、まだ、そういうやり方もあるかというだけでございますので、もう少々調べさせてください。
(問)別件なのですが、昨日のグループインタビューでも、平井大臣とこれから緊密に連携して取り組んでいきたいというようなお話があったと思うんですけれども、今日、一部報道で、オンライン教育のあり方をめぐって、萩生田文科大臣と意見交換をするというものがあったと思うんですけれども、詳しくは文科大臣の所掌になるとは思うんですけれども、教育現場におけるデジタルの活用について、規制改革という観点から、今、どのような認識をお持ちでしょうかというのをお聞かせください。
(答)教育にデジタルオンラインを取り入れていくというのは、もう今は世界中でかなり速いスピードで進んでいます。コロナが後押しをしたというところはあると思います。大学、高校で、オンラインで授業が行われるということで、学生・生徒にフラストレーションがたまっている部分というのは当然ありますけれども、自宅でそういう教育を受けられるというほかに、学校でもこのオンラインを活用して教育の質を上げる。あるいは、よくティーチングからコーチングと言われますけれども、先生が生徒にもっと有効に時間を割くことができるようになるとか、様々なメリットがあると思いますので、それぞれ可能性をいろんな学校がいろんなふうに使えるようにしていくというのは、社会から見てもプラスの要素が非常に大きいのではないかと思っています。一時、学校の先生もなかなか残業時間が長くてブラック化しているなんていう話もありましたけれども、そういうものの対策にも活用できるだろうと思いますので、いろいろプラスの面は大きいと思います。
(問)先生は2008年ぐらいから活躍されてきて、もう3年目ぐらいの挑戦と思いますが、過去に中曽根さんは行革から総理になられて大きな仕事をされましたが、これだけ注目を浴びているわけですけれども、今の規制改革とかそういうのを改組して、新たな、臨調とは言いませんけれども、DX改革ですね、そういう何かより体系的に大きな土俵でやると、そういうお考えは。ハンコというのは大事ですが、やっぱり岩盤は登記制度ですとかそういうことがあるわけで、やはりもうちょっと大きな枠組みがないと本当に動かないと思うんですが、そういう辺りはどうお考えになりますか。
(答)別に枠組みがなくてもやれることはあると思います。
(問)昨日の東証のシステム障害についてお伺いします。東京を国際金融シティにすることを目指していく上で、今回の件の経済損失をどう捉えているかということと、あとデジタル化は大臣所管の規制改革とも密接に関わる分野だと思いますが、日本経済の起爆剤としてデジタル化を掲げている中で、こうした脆弱性やデジタルリスクへの対応をどうしていくか、お考えをお聞かせください。
(答)昨日の東証のところは、金融庁をはじめ様々なところが原因究明、あるいは対策は行うことになると思います。デジタルの安全性については、平井大臣にお聞きいただきたいと思います。
 ただ、私から申し上げなければいけないのは、過剰な安全性に関する規則ということで、経済の発展が妨げられるようなことになってはいけないと思っています。
(問)今のに関連して、大臣は昨日のインタビューで、まさに利便性と表裏というふうにおっしゃいました。その安全性の担保と早期の復旧性など、今後どう両立を図っていくべきなのか、当然、サイバー、電子戦を含めて、防衛大臣としての御経験もあると思いますけれども、今回の事案に対する認識をお聞かせください。
(答)デジタル化、あるいはオンライン化、サイバーの世界というのは、こうしたことが起きる可能性は常にあると思います。安全性をしっかり担保すると同時に、いざ、事が起きたときの復元性のための冗長性といったものを常に確保しておくということは必要だろうと思います。
 ただ、だからといって、安全のためのルールを過剰に課して、責任逃れのようなことになって、民間の経済活動を妨げるというようなことは避けなければいけないと思っています。そのバランスは非常に難しいと思っておりますから、そこは試行錯誤というところもあると思いますけれども、過剰にルールをつくって、やるべきことができなくなるということは避けなければいけないと思います。
 他方、安全性に疑念があれば、そうしたシステムは使われなくなるわけですから、そこのところは、必要な対応はしっかりするということなのだろうと思います。
(問)行政のデジタル化に関してなんですけれども、新型コロナウイルスが感染拡大する中で、閣議をテレビ形式でやったりしたんですけれども、こういう閣議とか官邸の会議なんかのデジタル化、オンライン化についてどのようにお考えでしょうか。
(答)確か1回、閣議だったと思いますけれども、小泉大臣が提唱されてやったような気がしますが、必要なことはやれば良いと思いますけれども、無理やりやる必要はないと思います。
(問)2件お伺いしたいのですが、まずハンコの件で、永年勤続表彰のハンコに関しては残しても良いんじゃないかというふうにおっしゃられていまして、その理由を教えていただけますでしょうか。
(答)これは長年働いてこられた方に感謝の気持ちをあらわすものですから、それは賞状なりをもらう方が、ハンコがついてある賞状をもらいたいということであるならば、それは人事の人が押すことになるでしょうけれども、手間だというのなら、永年勤続なんてやめれば良いわけで、それをやる以上、やはり表彰される人の気持ちに沿ったほうが良いのではないかと思います。
(問)2点目なんですが、リモート化、オンライン化が進む中で、民間の企業などでは、一部でリモートハラスメントといわれる働き方への影響というものが少し話題になっていますが、この点、今日、大臣は働き方のワーキングチームの第1回もされますが、どのようにお考えになっていますでしょうか。
(答)霞が関でそのようなことにならないようにしたいと思います。
(問)先ほどのデジタル障害に関連してなんですけれども、先程、大臣の方から、過剰な安全性を妨げるようなルールは避けなければならないというような話がありましたが、現状、そのようなものがあって、それを取っ払う必要があるというふうにお考えでしょうか。
(答)そういうことになってはならないということを申し上げたわけです。

(以上)