河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年9月25日

(令和2年9月25日(金) 11:09~11:34  於:中央合同庁舎第8号館1階S106記者会見室)

1.発言要旨


 日曜日に北方領土の隣接地域を訪問したいと思います。北方館には以前行ったことがございますが、「ニ・ホ・ロ」ですとか、電信線の陸揚げ場所、法務局というところは初めて行くことになります。また、担当大臣として、御関係の方々からもお話をじっくり聞きたいと思っております。
 もう一つ、「縦割り110番」ホットライン、鋭意読んでおりますが、少々時間がかかると思いますので、内閣府の「規制改革ホットライン」の方を縦割り110番と改称して、「規制改革及び行政改革ホットライン(縦割り110番)」と、今日の夕方ぐらいに改めてそちらで受け付けをすることにしたいと思っております。
 4,000件、プラスメールホームから1,000件ぐらい来て、5,000件を鋭意読んでいますが、もう全体のどれぐらいまで行っているかもよく分からないという状況と、結構個人的なことを書いてくださっている方が多くて、やや胸を打たれるような文章も結構あったり、あと非常に専門的な御提案があったりということもありますので、とりあえず規制改革、行政改革に関してはホットラインでお受けをして、作業を一早く進めていきたいと思っております。
 これまでお受けした中で、規制改革に関連するものは私の方から担当する部局へ伝えるということにいたしますので、目安箱あるいは私のメールホームからいただいたものについては、規制改革で取り上げるべきと判断したものについては申し送りをしますので、改めて送っていただく必要はございませんが、これから規制改革について御意見をという方があれば、ホットラインのほうに統一して送っていただけたらと思っております。予想をはるかに超えるメールをいただいたことに、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 規制改革についてはそれで対応いたしますが、非常に多い個人的なお話の件というのは、今後どう吸い上げたら良いのかというのは、私は個人的に読ませていただいても、それは感動して終わりみたいな、感動してというか、個人的にあれするだけでは申しわけないので。規制改革でないものについても政府として何かやったほうが良いのか、あるいは、困っていること、お悩み事を吐き出すことで若干、肩の荷が下りるというのは言い方が違うかもしれませんけれども、何となく心が休まるというようなことがあるなら、それはまた何かの形でやらないといけないと思いますが、ちょっと物理的にこれを続けていくのは正直厳しい状況でございますので、対応を今後考えなければいけない部分は考えさせていただくことにして、規制改革、行政改革に関する御意見はホットラインに統一させていただきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)冒頭紹介があった、北方領土の視察に関してですけれども、地元の首長や元島民とも意見交換をされると思うんですが、どのような点に着目して今回視察されるか、意気込みをまずお願いします。
(答)今までは国会議員として北方館などを訪問させていただきましたが、今度は担当大臣として行きますので、まずお話をしっかり伺っていきたいと思います。
(問)過去の北方相で外相を経験されて就任されたという方は初めてになるんですけども、今回、ロシアの北方領土の交渉にも携わってきた当事者として、交渉の経緯を含めて地元に説明されるお考えはありますでしょうか。
(答)交渉の経緯をお話しするつもりはございません。
(問)若年層への啓発とか、返還運動をどう引き継ぐかということも大きな課題になっているわけですけれども。SNSの発信も得意とされている大臣ですけれども、これまでと違ったアプローチでの発信方法を考えていらっしゃるでしょうか。
(答)今、部局の方でいろいろ検討してもらっていますので、しっかりその様子を見たいと思います。
(問)大臣、昨日、全省庁に対して行政手続でハンコを使わないように求められて、ハンコの手続が必要な場合には利用を通達するようにというふうに求められましたが、今後、具体的にどのように進めていきたいとお考えでしょうか。
(答)行政の手続の中で、ハンコを求めているものが11,000種類ございます。ところが、そのうち年間100万件以上の申請があるものがおそらく68種類で、かなりの部分を占めるということですので、おそらくそれでもう9割以上の申請を占めることになると思います。それで年間1万件以上の申請のある438種類で99.8%をカバーしますので、この年間1万件以上のものについてハンコが本当に必要かどうかを確認してもらう。
 例えば印鑑登録をしているもので、印鑑証明を添えて出してもらうものとか、あるいは契約書の類いであるとか、あるいは銀行印が必要なものとか、そういうものはこの段階では残しても仕方がないかなと今の段階では思っていますが、ただ押しましたというだけのハンコについては、もう要らないことにしようと。例えば、そういう押印の必要な欄があったとしても、そこは別に印を押さなくても良いという扱いにして、平井大臣に渡して、オンライン化の手続に考えてもらうというようなことにしていかないといけないかと思っています。
 とにかく年間100万件以上の手続があるもの、それから年間1万件以上の手続があるもの、その他、という3つに大きく分けて、分量の多いものからしっかり検討した上で、やめていくものはやめたいと思っております。
(問)関連して、今後、そのハンコ文化の見直しというものが将来的には民間のほうに、今おっしゃったような実印とかはなかなかハードルはあるのかなと思いますけれども、民間のほうにもどのように広げていきたいというふうにお考えですか。
(答)いろいろなものがオンラインでできるようになると、やはりそれは利便性が高まってくると思うんです。行政の関係でオンラインでできるようになれば、民・民のものもオンラインでできるシステムというのが当然に広がっていくだろうと期待をしたいと思いますので、まず、今のところ、行政に関してこのハンコを使わなくて良いものは、ただ押しましたという行為のためのものはやめたいと思います。
(問)今のオンライン化の関連でお伺いしたいのですが、今、早速、ハンコの廃止に取り組まれているということで、次の一手が気になるところですが、書類やファックスの文化の廃止などについて、今後、考えられている取組がございましたら教えていただけますでしょうか。
(答)行政が地方自治体や民間企業やその他に報告を求めているものというのが、結構行政の手続の中でございますが、書面あるいはファックス、あるいは対面を求めているものが結構あります。それについて、本当に書面をファックスでやらないといけないのかというものを見てもらって、別にいちいち打ち出して、正直、紙で打ち出してファックスを流さなければいけないものがあるとは、あんまり私には思えないのですが、どうしてもこれは書面でなければ駄目だというのがあれば、それは言ってきてもらって、それ以外のものはオンラインで良いよということに次の段階でしていきたいと思っております。
 ハンコを押さなければ駄目だと言うと、今、ありますけれども、プリントアウトしてハンコを押してファックスにしなければいけないというのがありますが、ハンコが要らなくなれば打ち出してファックスというのは、あるいは打ち出して郵送というのは要らなくなるのではないかと思いますので、次の段階として、この書面、ファックスをやめたいと思います。
(問)大臣、ツイッターで、地方自治体からの職員派遣の取組の事例を紹介されていると思うんですけれども、この職員を派遣してもらう狙いと、その規模的なもの、今後どういうふうなものにして、どういうことを目指していくのか、彼らに期待することは何なのかというのを教えていただけますか。
(答)国の縦割りが地方自治体にも及んでいるものが結構あるようですし、地方自治体から規制改革の要望が上がってきているけれども、どうもこれまで門前払いで終わっていたという御意見も随分ございましたので、地方自治体から職員を派遣するだけでなく、その職員に規制改革の要望事項を持たせてもらって、それについてしっかり取り上げていきたいと思っております。
 今のところ、都道府県並びに政令市で5人ぐらい、「出すよ」と言ってくださっておりますので、しっかりと地方の要望に応えられるような規制改革をやっていくチームとして活動してもらいたいと思っています。
(問)実際に派遣された職員がその業務に就くのはいつ頃からというものなんでしょうか。
(答)なるべく早くと申し上げておりますけれども、あんまり無理を言っても仕方ありませんので、そこは順次用意が整ったところからスタートしていただきたいと思っています。
(問)ハンコのところなんですけれども、様々な規制改革がある中で、まずなぜハンコから手をつけようというのか、コロナのテレワークとかあったかもしれませんけれども、そこの理由をお伺いしたいのと、その回答がなかった場合でも何があっても廃止したいというふうにおっしゃいましたけれども、そもそも大臣にその権限があるのか、それをどういうふうにやっていこうというふうにお考えなのか、お聞かせください。
(答)結局、ハンコを押さなければいけないと言われているので、プリントアウトをしなければいけませんという状況になっているものがどうもあるようですので、まず、そのプリントアウトを何のためにするのというと、ハンコを押すからというもの。それから、もう一つあったのが、書類に署名をするのに万年筆、ボールペンというのが決まっているというのがあって、例えば、タブレットで指でサインをしても良いというもの。最近、クレジットカードなんかでもそういうのがありますけれども、オンラインで契約をしようと思ったら、万年筆、ボールペンで署名しろと書いてあるからできないというものがあったりしましたので、まず、そのプリントアウトをしなくて済むためにどうしたら良いかというと、何のためにプリントアウトが必要なのかというところを見ると、ハンコを押さなければいけないからというのが結構多かったので、そこはまずそれをやめれば、次の段階として書面、ファックスでなくても良いというところにつながっていきますので、その順番でやりたいと思っております。
 もう一つ、万年筆、ボールペンで署名しろというのも、紙でないならそれを限定する必要はないと思いますので、それも少し視野に入れていきたいと思っております。そういう意味で、何か正当の理由のない行政手続については、もうハンコをやめろというのは押し倒そうと思っています。
(問)押し倒そうというのは、明確な権限が無くてもそれは各閣僚に対して強く申し入れていくという理解でよろしいですか。
(答)そういうことです。
(問)もう一点、平井さんとは連携してというふうにおっしゃいましたけれども、週1回平井さんと会いながらというふうにツイッターでもおっしゃっていましたが、具体的にどういうことをしていこうというふうにお考えなのか。そして、なぜ平井さんなのかということをお聞かせいただけますか。
(答)行政のデジタル化というのは、今、非常に喫緊の課題だと思っておりますが、そのデジタル化する、オンライン化するためには、それを妨げている規制が、要するにハンコを押せというのがルールで決まっているとなかなかオンライン化できないわけですから、私のところでその規制をとっ外して平井さんに渡し、平井さんが最適な形でデジタル化、オンライン化をする。あるいは、それを活用していろんなことにつなげていくということになると思いますので、私の方で先に走って道を開いたら、後ろからフェラーリなりポルシェなりが走ってくるという。道が開けないとどんなに速い車でも止まってしまいますので、そこはしっかり前さばきをして、後ろにつなげていくということにしていかないといけないかと思っています。そういう意味で、スピード感というのが大事なのだろうと思います。
(問)ハンコだったり、手続のオンライン化だったり、書面をなくすとかなんですけど、まず、大臣が着任されて、内閣府としてはその辺の取組はどういうふうに進んでいるとお考えなのか。また、どういったところに課題があるとお考えなのか、お願いします。
(答)内閣府も当然この対象に入っていますので、期日までに内閣府の手続でどうしてもハンコを残さないと駄目ですというのは持ってこいということにしています。別に他の省庁と区別するつもりはありませんので、9月いっぱいできっと出てくるだろうと思っています。
(問)他のところに呼びかけている立場上、特に内閣府については何かスケジュールを前倒しするように指示しているとかは。
(答)特にありません。
(問)「縦割り110番」の件なんですけれども。今回、新しい方の「縦割り110番」、これも大臣自ら目を通されるんでしょうか。
(答)どれぐらいの量が来るかにもよりますけれども、規制改革、行政改革に関する御提案をいただいた場合には、もう役所のプロセスにまず乗せたいと思います。「私が読みます」と言うと、そこで止まってしまいますので、そこはもう流した上で、必要なものについては目を通していきたいと思っております。
(問)今まで見てきたこの4,000件ですか、まだ全ては見ておられないということですけれども。感覚的には、実際、規制改革、行政改革に関わるものはどれぐらいの割合でありましたか。
(答)これまで拝見している中では、おそらく数十件は来ていると思います。それ以外にも、要望という形のものはたくさんございますが、具体的なこの規制を、というのはもう少し少なくなるかと思います。そういう意味で、これまで拝見している中での100件ぐらいについて、そこに限れば、結構良い線をいっていたのだと思うんですけども、それ以外に、何か私の気持ちを伝えたいというメールがその何十倍も今まで拝見している中ではいただいたということのようです。
(問)その数十件は、実際に担当部局の方に伝えられているんですか。
(答)それは順次伝えていきたいと思います。何らかの形でまとめて渡したいと思います。
(問)大臣が全省庁にハンコを使わないように要請したことを受けて、早速、今朝から小泉環境大臣や田村厚労大臣など、閣議後官邸でのぶら下がりなどで称賛する声が相次いでいます。例えば小泉大臣は「環境省は育休を取得するときのハンコ、これ廃止です」と強く明らかに言っているんですけれども、それについて御所感をお聞かせください。
(答)規制改革は、これはもう菅内閣の優先課題ですから、私は各省の大臣をしっかりサポートしていかなければいけないと思っております。各省の大臣がそれぞれの担当のところで規制改革を進めやすいように、こういう規制が問題になっていますということを伝えたり、その裏にはこういう議論がありますということを伝えて、各省の大臣がやっていただくというのが一番きれいだと思っていますので、そういう意味で各省の大臣にいろいろなアイデアだったり、あるいはこういう規制が問題になっているというのが分からないと、どの規制をどう改革して良いか分からんということになると思いますので、そういうことを伝えたり、それはこういう理由でこの規制が始まっているけれども、こういう理由でこの規制は要らないのではないかというようなことをきちっと伝えて、各省の大臣が頑張っていただくというのが一番良いと思いますので、そういうことはしっかり続けていきたいと思います。
(問)1つ前の話題に戻ってしまうんですけれども、「縦割り110番」の方で大臣が規制改革のもので担当部局に伝えようと思われた具体例などが、もし御紹介可能でしたらお聞かせ願えればと思います。
(答)例えばさっき申し上げた契約というか書類にサインをしないといけないときに、万年筆、ボールペン等指定をされているとか、あるいは、契約書というか、手続に関わる書類が書面でなければならないと書いてあるからオンラインでできないとか、そういうのは複数既に見受けられていますので、そういうこともあって、次はきちっとこの書面の問題に取り組んでいきたいと思っています。
(問)冒頭の北方領土の視察の関連で、交渉の手続をお話しされないと先ほど御答弁されましたけれども、理由について。
(答)交渉の中身を言えるわけはないのではないですか。
(問)これは今後も地元民に対して説明するつもりはないですか。
(答)もちろん、交渉の内容は誰にも言えません。今、茂木大臣がやっていらっしゃるわけですから、その内容について、私が外へ漏らすようなことはありません。

 すみません、1つだけ。ハンコをやめようというのは、これは行政手続に関しては利便性を高めるために、オンラインに移行するためにはハンコが要らなくなりますけれども、ハンコというのは別に三文判だけではありません。例えば、私は蔵書印とか外国に手紙を出すときに封蝋とかを使ったりしていますので、やはりハンコの文化というのは日本の国の中で結構いろいろと親しまれてきた文化だと思いますので、このハンコを行政の手続からなくそうというのが、世の中からハンコがなくなるというのとは少し切り分けねばいけない。むしろ、行政手続なんかで三文判を使わないようにするのであるならば、やはり蔵書印とかいろんなハンコを、むしろそこに光をあてていくということは大事なことなのではないのかと思っていますので、ぜひ世の中の多くの人が、ハンコとか、いろんな種類の印に少し目を向けていただいて、そういうところを自分でも個人的に使ってみようということになると、このハンコの文化というのがしっかりと続いていくのではないかと思っております。多くの人がこのハンコの文化というのをもう一回見つめ直していただく、そういう機会にもなったら良いなと思っているところでございますので、つけ加えさせていただきます。

(以上)