平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年3月16日

(令和3年3月16日(火) 9:15~9:38  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 私からは、第2回の勉強会の開催について。先般、2月9日に勉強会として村井純慶應義塾大学教授をお招きして、新しい音声型SNS、「Clubhouse」を活用して、国民目線に立ったデジタル庁のビジョンや、我が国のDX推進等について対話を実施しました。初めての取組にも関わらず約2,600名余りの方に聴いていただいて、その反響も非常に良かったということもあるので、今日18時より第2回の勉強会を、前回同様Clubhouseを活用して行おうと思っています。
 今回の勉強会は、前回も参加いただいた村井純先生をモデレーターとしてお迎えし、加えて、一般社団法人日本IT団体連盟会長のヤフーの川邊さんと、私と同郷である東京大学の松尾教授をお招きして、UXとかAIとか最先端の話ができる2人だと思っています。複数人のディスカッション形式をすることで、デジタル庁の具体的な取組やDX推進に当たっての課題について、忌憚のない意見交換を行いたいと思っています。今回はハッシュタグをつけてSNSに投稿いただくことで、一般参加者からの感想や意見も確認する工夫もしてみたいと思っています。今回はまたClubhouseを使いますが、他の仕組も活用して、さらに様々な分野の専門家をゲストとしてお招きして意見交換を行い、勉強会をオープンにしていきたいと思います。
 取材に関しては、基本マスコミフルオープンですが、前回同様、Clubhouseへの入り方の詳細はこの会見と同じタイミングで公表を行っているので、そちらを御確認いただいて、不明点があれば事務方にお問い合わせをしていただければと思います。
 通常の対談をいろんなメディアでやったりとか、対談、鼎談をやったりするけれど、このClubhouseみたいに雑談がそのままオープンにできるというのはあるようでないんですよね。ですからiOSでなければできないし、まだまだやはり問題もあると思うんですけれども、短時間でそれぞれのお話する方が自由に自分の意見を言えるという意味では、一つの方法なのではないかと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)デジタル改革関連法案のミスについてお伺いします。先週、内閣委員会で再発防止チームを作って検証されるとお話しされていましたけれども、これは既に作られたのかということと、どんなメンバーで検証を行って、まとめた先には公表をされるのか教えてください。
(答)今般、資料に誤りが生じた一因として、参考資料の確認が不十分であったことは明らかだと思います。要綱、参照条文等の法案の参考資料については、資料の管理の見直しや、確認作業における法案担当者以外の職員や、大臣官房部局等のさらなる関与などの体制の整備、強化等を今のところは指示をしています。再発防止の徹底を図るために、これは週内に私と藤井副大臣の関与の下で、具体的には藤井副大臣をトップにしまして、今回の事案を検証する再発防止チームを設けて、業務の在り方、国会への報告の在り方、具体的な改善策について早急に検討して、今月末までに再発防止策を取りまとめて公表したいと思っています。
(問)どんなメンバーでチームは構成されることになるのでしょうか。
(答)これは、藤井副大臣を座長に、準備室の実質上の責任者であった向井審議官、それに内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室審議官、同参事官、内閣総務官室参事官、内閣官房副長官補室参事官、内閣府大臣官房総務課長といったメンバーということになります。
(問)結果は公表される御予定ですか。
(答)公表します。基本的には、国会で公表するわけですから。
(問)オリパラのアプリに関してですが、報道ベースですけれども、海外からの観光客とか観客は招かない方向だと言われていますが、実際アプリ自体の開発計画というのは、変更等考えていることはありますでしょうか。
(答)これは、観客を入れるか入れないかの判断は私ではないので、ただし、入れないとなったときには当然必要な見直しをするので、予算等も含めて見直しになると思います。今のところは、テストも含めて当初計画したスケジュールどおりに開発は動いているということです。
(問)接触確認アプリCOCOAについてですが、COCOAのAPIモードがGoogle、Appleの最新バージョンに対応していないということが弊社の報道で明らかになったわけですけれども、この件に関する大臣の見解と今後の対応方針をお聞かせください。
(答)御社の今日の一面、新聞を読ませていただいたんですが、一つだけ、本件の最新仕様というのがGoogleとAppleが共同開発したAPIであってOSではないので。
(問)そうです。OSの最新仕様で、あれはAPIのつもりで書いて。OSの最新仕様と最初はなっていて、それを変えてもらって、APIとわかっているつもりで書いているんです。
(答)そこがまず誤解がない方がいいと思いました。COCOAでは、接触確認及び通知機能を実装するため、GoogleとAppleが共同開発したExposure Notification APIを利用しており、そのバージョンはバージョン1なんですね。だから我々は、昨年の6月19日のバージョンをまだ使っているわけです。両社はその後APIのバージョンアップを行っており、例えばGoogleでは昨年10月にリリースされたバージョン1.72が最新で、今年1月の1.8はまだベータ版、非公式だろうと思います。最新バージョンのAPIは、接触リスクの計算アルゴリズムが向上しており、電池の持ちも良くなっていて、Googleからはバージョン1.5以上へのバージョンアップを強く推奨されていると。内閣官房IT総合戦略室と厚生労働省の連携チームで、今後のCOCOAの開発運用を担うということになっていますので、APIのバージョンアップの対応は非常に重要なテーマだと思います。ただし、APIのバージョンアップに当たって不具合が生じることがないよう、十分なテスト、検証を行う必要があると考えておりまして、連携チームでは検証方法等の総合的な対応を今検討していると。契約が丁度新年度で切り替わるので、当然この内容を含んだ新しい契約の条件になると考えています。COCOAのソースコードは、もう技術者コミュニティには完全に公開しているので、現在使われているAPIのバージョンは、技術者であれば誰でも確認ができる状況になっていて、いろいろなアドバイスもいただきつつ、検証チームは次の一手を検討しているということです。
(問)今大臣がおっしゃったように、その中で、1.5以上へ強く、Googleの例を出されていましたけれども、強く移行することを推奨しているというのにもかかわらず、はやり検討チームができるまでなかなか着手できなかったという点については、どのようにお考えですか。
(答)1.5にバージョンアップする以前のところでひっかかっていたので、その余裕はなかったということだと思います。
(問)今回厚労省と内閣官房IT総合戦略室と連携チームが2月25日に立ち上がって、今度こそは、体制は変わりますけれども4月から。
(答)だから、今回業者も代わるということなので、そういうような、調達仕様をどのような形にするかという、最終の詰めをやっている。
(問)今のCOCOAの関係で1点なんですが、これは今パーソルさんとの契約だったと思うんですけど、その発注先を見直すことについて、これはもう決定ということですか。
(答)保守管理と一部開発が契約に入るわけで、いっぱいぶら下がる形になっていたものをすっきりさせてもいいのかと私は思っていますので、これはこれからです。急いでやらないともう日にちがないので。
(問)これから公募をしてということですか。
(答)これから調達仕様を決定します。
(問)冒頭の御発言のClubhouseのところで、大臣は利点をおっしゃっていたかなと思うんですが、「短時間で自由に御自身の意見を言うということができる」というのは、他のSNSとかでもそういう利点はあるのかと思うんですが、大臣が考えるClubhouseの持つ利点をもう少し詳しくかみ砕いていただけると。
(答)普通は、人が話している時に割り込みづらいんですよね。だから順番に話を回すというのが、一般的なオープンなカンファレンスであったりシンポジウムのディスカッションだったりするんですが、これは人が話しているときに勝手に割り込めるし、割り込みながら全体の流れが変わっていったりとか、思いついた時にすぐ一言挟めるし、そういうことは音声だけだからできるんだろうと思います。
(問)話題が変わって、今日で菅政権が発足して半年というところで、政権の重要な政策を抱えられる大臣としてこの半年の振り返りと、自己採点があればお伺いしたいんですが。
(答)半年経ったんですかね。もうあっという間だったということと、9月にデジタル庁を発足させなくてはいけないということで、一心不乱にやってきましたが、思わぬ、法案の本文ではなくて参考資料といえどもミスが出てしまったということで、結局、デジタル庁と言えども国会対応であるとか法律の問題からは逃れられないということを改めて感じたので、そういう機能を少ない人数の中でどうやって担保していくかというようなこと。それと同時に、今までの霞が関の組織文化とか仕事のやり方に引っ張られると、デジタル庁を作った意味がなくなるんではないかという心配もあります。
 いずれにせよ、官と民がうまく協働できるというのは誰も経験していないことなので、ガバメント・アズ・ア・スタートアップと最初に思ったとおりだなと、最近つくづくそのように思います。ですから、道なき道を行くという意味で、これから法案が通って人を集めて、そして具体的なプロジェクトを動かして成果を上げるためには、まだまだいろんなハードルがあると思うし、これからやはりデジタル庁は、自分がやるべき仕事をやるためには、当然法律の改正ということにも取り組まなくてはいけないということなので、非常に難しい仕事にチャレンジしているということは改めて痛感をしました。
 ただ、世の中全体に関するデジタルに対する理解は徐々に進んできていますし、マイナンバーカードに関しても、ここに来てやっと本格的に国民の皆さん方が持とうと思い始めたということで、これはある意味では潮目が変わったなと。結局、デジタル化の問題というのは、やはり日本が遅れていることだけはさらに明らかになってきているので、やはりスピード感は緩められないと思います。自分の仕事に対する自己採点はわかりません。ただひたすらやるだけということだと思います。
(問)先ほどのCOCOAに関して2つお伺いしたいです。まず1つは、最新のAPIに対応するということと、これまでいろいろな不具合があったと思うんですが、これはやはり、今までの不具合に対応する方をリスクが高いと評価して優先付けしていたという理解でよろしいでしょうか。
(答)それはバージョン1.5にできなかったということですか。だから、それはもうこれからやろうと。とりあえず、最初に行ったバージョン1.0で動かなくなる事態を長い間放置してしまったことに対する改修というのが、一番最初のミッションになっていて、1.5のバージョンアップはあくまでも推奨なので、1.5に対応できるように。しかし1.5に対応すると、またこれは不具合が出るのも間違いないんです、APIのバージョンアップ。その検証をきっちりできる体制を、今度は契約しなくてはいけないので。だからそういうことを含めて、今やっているということです。ですからあの当時いきなり1.5に変えると、さらに事態は収拾つかない状態になってしまうので、これはステップ・バイ・ステップで、やむを得なかったと思います。
(問)これが発覚したのはいつで、厚労省とIT総合戦略室との連携が始まってすぐにその情報は共有されたのかということと、最新仕様未対応という点で、実際の不具合の報告というのはないと考えてよろしいでしょうか。
(答)時系列の問題は今わからないので、事務方に聞いたらきちんと教えてくれると思います。
 まずは、厚労省は自分で不具合に対応されていたということで、我々がいつかの時点で協力体制に入って、連携チームができたという段階ですので、最初の段階では全く我々は入っていないので、厚生労働省さんが何が起きたのかということを検証なさって、できるだけ不具合がないように、動くようにしようとされていたということだと思います。我々は後から参入しているので。
 しかし、以前私がお話ししたように、今後は不具合に関してもこちらで責任を持つということです。
(問)このAPI未対応に起因する不具合というのはあったんでしょうか。
(答)APIのバージョンアップに無関係とは思えないですね。しかし、新しいAPIに対応していたら、結局パラメーターの設定とかそういうのはシステムとは関係ない話で、それぞれの厚労省の現場とかそういうものは指示しなきゃいけないということだと思います。そういうものを要するに2つのプラットフォーマーにそれぞれ対応しなくてはいけなかった時点はあるんですよね。そこができていなかったということとか、原因はいろいろあるんだと思いますけど、単純に新しいAPIのバージョンに対応していなかったからだめだったということではないと思います。

(以上)