平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月12日

(令和3年2月12日(金) 9:58~10:19  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 私からは、2月9日にデジタル改革関連法案ワーキンググループの座長である村井慶應義塾大学教授をお招きし、新しい音声型SNSである「Clubhouse」を活用して、国民目線に立ったデジタル庁のビジョンや我が国のDX推進等について議論する勉強会を実施しました。
 勉強会のテーマは、「日本のDX加速への要件、デジタル庁への期待」、情報へのアクセシビリティの重要性、エンジニアとの対話、地方との連携、それと役所としてのサービスの意識等DXの推進において、デジタル庁が持つべき重要な要件について議論をしました。
 最終的に2,600人余りの方に聴取をいただいた中、思ったより高音質な音声だったので、生の議論を聞いていただいたと思います。Clubhouseの特徴を活用して、有意義なものだったともいえるかもしれません。当初予定していた30分を大幅に超えるということになったし、聴講者の多くの方からも一部しか参加していただけませんでしたが、普通の会議よりもたくさん手が挙がるのでびっくりしたなと思います。
 近く第2回をやろうということになっていますけれども、どのようにしたらいいのかというのは今、検討中です。雑談も入ってしまうんですよ、あれは。だから雑談のような会議というところが魅力なのかと思うんですけれども、私としては、次はもう少し話す人を増やして、果たして成立するかを試してみたいと思っています。
 我々がいろいろなところで話している生の話がそのまま出ていくというところは今までと違うなと、その分、私自身としてはリスクも感じました。調子に乗ったらえらい目に遭うなというところも。だけどそのぎりぎりのところで本当のところを理解してもらうという意味で、非常に難しいけれども、可能性は感じました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)COCOAのことで3点ほどお聞きしたいと思っております。
 1点目は、先日の火曜日の会見で、「会見の後、厚労省からCOCOAのことでヒアリングを受ける」と発言されておりました。IT総合戦略室に確認したところ、正確には厚労省付きのCIO補佐官からヒアリングを受けたと聞いておりますが、ヒアリングでどんな報告を受けたのかその内容を教えていただきたいというのが1点です。
 2点目が、一部報道で厚労省はCOCOAの今回の件に関して、省内で調査チームを発足されるという報道があります。大臣自身、田村厚生労働大臣とどう連携されるのか。その調査に対してIT総合戦略室がどの程度関与するのか教えてください。
 3点目が、今後の再発防止に関してですけれども、先日の会見で「発注方法の問題だった」と発言されていて、実際Twitter上で見ていると、多重下請構造ということでやって、情報共有ができていなかったという指摘もあります。
 アプリ自体はパーソルプロセス&テクノロジーに3億円で委託されて、日本マイクロソフトとFIXERに再委託されたと見られていますけれども、デジタル庁発足後は再発防止のために、例えば契約時に過度な再委託を制限するような文言を盛り込むとか、そういった何か対策とかをされる可能性とかはございますでしょうか。
(答)今、厚労省は業務で皆さん大変なので、部局の職員よりはCIO補佐官に聞いた方が私が聞きたいことがわかるだろうということで、政府CIO補佐官から話を聞きました。
 どんな話を聞いたかということですけれども、それは今の、次の質問に全部ちりばめられるような話なので、何を聞いたかというよりも、COCOAのどういう不具合が起きたかということに関して聴取をさせていただきました。これはなるほどと私自身も思いました。
 2番目は、私はあくまでも今回のCOCOAが正常に機能するようにお手伝いすることを一義にしたいと思っています。そちらの方は急ぐと私自身は思っていて、厚労省がどのような形で何を調査するのかというのは、余り聞いていないんです。ですから恐らくそれは厚労省がお決めになることで、調査の中にはCIO補佐官が協力するということになるのではないかと思います。
 こういうことが起きないようにするために、デジタル庁というものを作るということもあるので、私自身、現場の誰の責任がどうだというようなことに関していうと、今の時点では関心はありません。
 下請構造の話、再委託の問題というのは、これは全ての国の発注の業務とかいろいろあるんですけれども、プロジェクトがあり、プロジェクト管理をする人がいて、その能力のある会社が協力をするというような構図は、これはなくならないと思います。
 よくマスコミ報道などに中抜きとか丸投げとかということがありますけれども、もはやそういうことが許されるような状況には、このITの世界ではないと思っています。ですから、全く何の役割もないのにお金だけ取れるということはあり得ないと、ただ、その発注者に能力がなかった場合は、プロジェクト管理から全部を外に出すので、そうすると当然そこからやっぱり下のレイヤーにどんどん仕事が出ていくということなので、デジタル庁を作った目的の一つは、発注能力を高めるということで、自分でプロジェクトを管理できる能力を持つということですから、そうなってくると、今後デジタル庁ではこのような多重構造ではない発注の仕方を最終的に目指していくということになります。
 委託事業などは、会計法令を遵守していればできるんです。そうではなくて、ケースバイケースでやっていかなくてはいけないと思っています。
 今回のCOCOAで起きたようなことは、あまり専門家がいないんです。通常、公共のベンダーさんにも、公共事業というか国の仕事を受けているベンダーさんにもいないし、政府にもいないし、結局今回はAPI連携のところが不安定だったということで、そこのチューニングというか、設計の問題だったと思います。
 そういう意味で、ここはこれからこういうこともあると思っていて、結局、私は前回の時にお話ししたと思うんですけれども、デジタル庁はAppleやGoogleと直接やりたいという話をしたと思うんですけれども、今回もAppleとGoogleが共同開発した「Exposure Notification API」これの使い方を誤ったということに尽きるんです。
 ここはもっと詰めたコミュニケーションをしているとパラメータの調整で失敗することはなかったんだと思っています。こういうものを人任せにしたらだめな分野だということをつくづく感じました。
(問)COCOAについてなんですけれども、今、大臣はお手伝いするという言い方をされていましたけれども、COCOAの立て直しに向けての、立て直しは必須だと思うんですけれども、今後、主導権を厚労省からIT総合戦略室に移すという考え方というのは。
(答)COCOAは、これは機能するようにするんですけれども、パラメータの設定とかというのは、やはり保健の所掌を持っている厚労省でないとできないです。HER-SYSと連携しているので、保健所と連携しているので、運用の面に関して言うと勝手にできるようなものではないんです。
 ですから、HER-SYSの追加予算として発注されていることですから、予算の形も変わらないし、最終的な運用に関しても厚生労働省の現場抜きでは動かせないということなので、そこをサポートすると、乗り込んでいってサポートをするということになると思います。
(問)では技術的なサポートが中心ということですか。
(答)そうです。運用はIT総合戦略室側ではしてはいけないものなので、特にそこのその部分は。こういうものは難しいですよね。技術的な支援ということになると思います。
(問)今、Android版の不具合が言われていますけれども、それ以外で例えばiOSとかでも一部不具合があるのではないかという指摘もありますが、現時点での認識はいかがでしょうか。
(答)前回、ここであまり出来がよくないと言った理由は2つありまして、1つは幾ら何でもバグが多すぎるというのが1つ。それと、API連携のところで、ここまでトラブルというのは普通あり得ないのではないかと思ったわけです。ここの出来の悪さというところは、これはもっと細かく見ていればできたと、きちんとできたと思うんです。ずっと人が張り付いてやっておけば。そういうところが今回やっぱり反省点だったのではないかなと思います。
 厚生労働分野というのは大変です。やはり現場があるので、ITだけで完結するというものがないんです。V-SYSも、ワクチンも、COCOAも、もう全部現場があるので、そういう意味ではITだけでは解決できないということはしみじみと感じました。今後はやっぱり業務の在り方も含めて全部もう一回見直さないと。法定受託事務で地方に投げてしまって、全部地方が行う、全部任せる形になっているんです。そうなってくるとやはりいろいろな問題がそれぞれのいろんな地域で出てくる可能性があるし、国の限界というものがある中で、こういうシステムを導入するということの難しさを今回つくづく感じました。
 他の不具合の可能性は十分にあるので、そこも含めて今回見ています。だから今回、APIのところがはやり一番肝だなと、そこのパラメータのところが一番難しかったんだろうと。
 最初昨年の6月ぐらいでしたか、最初はうまく動いていたんですよね、これは確か。GoogleとかAppleがAPIの仕様というか何かを変えたがために、それに引きずられていろんな問題が出てきたと聞いていますけれども、この手の新しいアプリみたいなものを世の中に出していくという時、今まで国の発注ではないゾーンのもので、普通お金を出して、できたとなると国の場合は今までは終わっていたんですけれども、これは常に触り続けなければいけない、永久に完成しないというものに今まで国は付き合ったことがないんです。今までの国のシステムの発注とは違う種類のものであったということも今回はあると思います。それは今回、我々できっちり見ようと思っています。
(問)今回の起きた不具合だけではなくて、COCOA全体に関して抜本的に見直すというところで、IT総合戦略室で関わっていくということでしょうか。
(答)いや、COCOA全体を見直すということは、根本的な仕様書から見直すということはもうできないので、当初考えていたCOCOAの機能が発揮できるようなところまでやると。将来、こういうものに対応して何かを作るというのであれば、デジタル庁がスクラッチで議論を始めて作るという方がいいと思います。

(以上)