平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年2月9日

(令和3年2月9日(火) 9:27~9:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 私からは、今日閣議決定いたしましたデジタル改革関連法案についてまずお話しさせていただきたいと思います。法案の内容については、先月のこの会見で私から説明をさせていただいているので詳細は省きますが、簡潔に申し上げますと、IT基本法を廃止し、新たに制定する「デジタル社会形成基本法案」、デジタル庁を設置するための「デジタル庁設置法案」、そしてデジタル社会の形成に関する施策を実施するため、個人情報保護制度の見直し等の必要な法制上の措置を行う「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」、預貯金口座を登録いただき、緊急時における給付金の給付等に活用できるようにする「公金受取口座登録法案」、相続時や災害時に預貯金口座の所在を確認できるようにする「預貯金口座のマイナンバー利用に関する法案」のこの5法案が私の担当法案であり、提出させていただきます。なお、総務省所管の「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」についても閣議決定をいたしました。
 本日は、この法案が成立することにより、国民の皆さんの暮らしが具体的にどう変わるかということについて、具体的に紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、マイナンバーカードの機能のうち、電子証明書をスマートフォンに搭載することを可能にします。これまで、マイナンバーカードをスマートフォンにかざすことで実施していた行政手続について、スマートフォンのみで行うことを可能にするというものであります。これにより、将来的に、私がかねてから目標にしております官民の提供する各種の手続がスマートフォンで60秒で完結して、いつでもどこでもワンストップで行うことができるような環境につながっていくと思っています。
 次に、引っ越し手続については、行政機関や民間事業者への住所変更の手続をまとめて行えるようにする引っ越しワンストップサービスの取組を推進してきましたが、今回の法案等でその取組を更に前進させて、マイナンバーカードを使って、マイナポータルから転出届や転入予約をすること等によって、転出元の自治体への訪問を不要とすることや、転入先自治体における待ち時間の短縮等を実現したいと思います。また、金融機関等の民間事業者等の住所変更等の手続についても、本人の同意に基づいてマイナンバーカードの電子証明書を活用することにより、個々の住所変更手続を省略することができるようになります。
 次に、昨年の特別定額給付金における反省も踏まえまして、国民が任意で一人一口座を公金の受取口座として、マイナンバーとともに登録できるようにする。これにより、その口座情報を緊急時の給付金や様々な公金の給付等に活用することで、申請手続の簡素化や、給付の迅速化を図っていくことができると考えています。
 さらに、デジタル庁の設置後においては、生活に密接に関連している国民の期待が高い分野において、緊急的な整備が必要な情報システムについては、デジタル庁と各府省が共同で整備を行うこととします。これによって、今般のコロナ禍において生じているような緊急的にシステム整備が必要となる場面においても、デジタル庁がしっかり関与して適切なシステム整備を進めていくようにしたいと考えています。
 今回の法案は、このように、国民の皆様の利便に資する具体的な施策も含んでおりまして、デジタルによる利便性の向上を国民の皆さんに実感してもらうべく、これらの法案の成立に向けてしっかりと対応していきたいと思います。
 思い返しますと、昨年の9月16日に大臣に就任して、総理からデジタル庁の設置とIT基本法の抜本改正について指示をいただいて以来、まさにスピード、スピード&スピードで今日までやってきました。本当に過酷な環境で、準備室のメンバーの皆さんにも、年末年始返上で頑張っていただきましたし、今思えば、合宿をやったことも思い出されます。また、与党においても、法案の審査のプロセスで大変な御協力をいただきましたし、また法案に対していろいろな御提言もいただき、法案の充実に大変役に立ったと思います。
 これである意味一つの区切りになると思いますが、ここから先は、9月1日のデジタル庁のいよいよ本格的なスタートまで一気にやらなければいけないので、休む暇はないと思っております。国会は何があるかわからないので、何としてでも早期成立に向けて万全を期していきたいと思います。法案に関しては、事務方からブリーフィングをさせていただきますので、また何でも聞いていただければと思います。
 そして、私からもう一つなんですけれども、9月1日からのデジタル庁の始動に向けて、2021年、今年も勉強会を行っていきたいと思います。昨年はデジタル改革の推進を大きなテーマにウエブ会議形式で、有識者の方からインプットに基づく我々インナーの意見交換をやってきたわけですが、今年はより一層国民の関心を高めるという意味で、国民目線に立ったデジタル庁のビジョンや我が国のDX推進策等について、私が直接有識者と対話をすることによって、国民の皆さんへダイレクトに情報発信を行う場にしたいと考えています。今日は第一線の専門家をゲストに迎えて、最近はやりの音声アプリClubhouseを活用した勉強会を開催したいと考えています。
 Clubhouseは、日本では先月ローンチされたばかりの新しいサービスではあるものの、ユーザーがリアルタイムに様々な対話にアクセスできるという利点があって、今回デジタル改革担当大臣としてはまず使ってみなくてはだめだろうということで、今日やります。
 今日の第1回勉強会は、18時30分より、デジタル改革関連法案ワーキンググループの座長を務めていただいた慶應義塾大学の村井教授をお招きしまして、日本のDX加速への要件、デジタル庁への期待をテーマとして実施したいと思います。デジタル庁の具体的な取組とかDXの推進に当たっての課題について、忌憚のない意見交換をやろうと思っておりますし、今後も多くの皆さんが注目している専門家をゲストとしてお招きして意見交換をやっていきたいと思います。
 取材に関しては、基本、マスコミにはフルオープンですが、Clubhouseのアプリはダウンロードしてもらわなくてはいけないのですが。この中でAndroidしか持っていないという人はいますか。みんなiPhoneなの。Androidの人は、確かClubhouseがまだ対応していないので、それはIT総合戦略室で対応すると思います。Clubhouseは2人しか招待できないとかということもわかってきたので、アプリさえダウンロードしていただければIT総合戦略室の方で皆さんに参加していただけるようにします。
 これから私もTwitter等々でも告知しようと思うんですが、アーカイブが残らないので、ライブで聞くしかないので、多くの皆さんに聞いていただいた意見は、今日はTwitterで受けようかなと思っています。うまくいかなかったらやめるし、うまくいくようだったら使うということにします。
 ただ、これだけ世の中でClubhouseが話題になっている理由が私もまだ今一つ理解できていないんですが、IT業界の社長、大御所から含めて社長達はほぼほぼ全員使っているんですよ。だから、どこが優れているのかというところも私自身の関心事なので、いろんな使い方ができるんだろうと思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭発言でこの半年の振り返りについて言及がありましたけれども、改めてこの法案について、やはり菅内閣の一丁目一番地であることですとか、前回のIT担当相の時には実現ができなかったことも含まれていると思うんですけれども、感慨深さのようなものはありますでしょうか。
(答)やはりデジタル庁ができるということは、一つの大きな、この国の流れを変えると思います。今回、デジタル系で国民の期待に応えられないという事案が結構出てきましたよね。COCOAなんかももうまさにその最たるもので、そう考えると、日本のデジタルの推進のクオリティを上げていかなくてはいけないし、国民にわかりやすい成果を示さなくてはいけないという意味で、デジタル庁にかかる期待も大きいと思うので、そこを含めて考えると、まさにこれからが本当の勝負だと思います。
 この法律によって権限もきちんと明確化されますし、今いろいろなところで声をかけている、また一部もう既に募集もありましたけれども、多くの皆さんが日本のデジタル化に貢献したいという思いでデジタル庁に関心を持っていただいているので、そういう期待を裏切らないように、我々自身も気を引き締めて頑張っていきたいと思います。
(問)関連して、これからマイナンバーカードの普及というのがやはりいろんなサービスといいますか、鍵になってくると思うんですが、この点、改めて。
(答)きちんとマイナンバーカード自身を理解していただければ、国民の皆さんは必ず持っていただけると思うんです。逆に持たない理由がよくわからないです、正直言って。それは、過去の国民総背番号制の時代から、住基、マイナンバーに関するいろいろな訴訟とか、負の遺産といいますか、ネガティブなものを引きずったままマイナンバー制度というものをスタートさせたということがあるんだと思います。本来なら、今の段階でもっと多くの皆さんに「持っててよかったマイナンバーカード」と、唯一のアナログでもデジタルでも使える最高位の身分証明書を、国家が国費で全ての国民に用意をするというプロジェクトで、本来は反対なんかあるはずがないんですよね。
 そういうことですので、私としては、この政策の意図とかカードの安全性とか機能とか、さらにわかりやすく国民に伝える責任があると思っております。
 ついこの間も、またマイナちゃんとPR動画を撮影しましたので、近日公開させていただこうと思っています。
 ただ、明るい兆しとして、ここにきて急激にカードの申請が増えているということですので、我々もこの動きをさらに前に進められるように頑張りたいと思っています。
(問)今日、閣議、閣僚懇がございましたけれども、何か総理から言葉をかけられるような。
(答)今日はありませんでした。
(問)非接触アプリCOCOAのAndroid版の不具合について、落札企業から1次、2次、3次と下請が出されていて、その間に情報共有が十分になされていなかったんではないかという指摘がされております。運用だけではなくて、入札等々にも課題が残ったと思いますが、こういった教訓を今後どのように生かしていくべきだとお考えでしょうかというのがまず1点。
 2点目が、デジタル庁への今後の民間登用についてですけれども、パートタイムの募集というのが既に行われていますが、正規職員としての登用募集に関する開始時期や、人数の規模について、現時点でどうお考えなのかというのが2点目です。
 最後が、今のClubhouseの勉強会についてですけれども、Clubhouseは応録音、記録を禁止ということとにされていて、書面での了承を得ない限りは、例えば書き起こしとかそういうことができないことになっているんですけれども。今回の場合はどういう扱いになるのかも教えてください。
(答)まずCOCOAに関しては、いろんな問題があると思っていて、HER-SYSと同じところに発注したとも聞いているし、その下請の話はよく私自身は知らないんですが、マスコミで報道されている金額等々を見ると、とてつもなく高いと思うし、余りできの良いアプリではなかったと思います。ですから、私はこの間、問題点は運用の管理体制と言いましたけれども、そもそも発注自体にも問題があったと言わざるを得ないと思います。
 オリンピックが開催される時に、入管で使うアプリとこのCOCOAは両方機能させようという方針もあり得ますので、何とかCOCOAを立て直さなくてはいけないと思います。それに私がどう関与するかは、これから考えたいと思っています。
 デジタル庁の募集に関しては、今回、この間30人募集したんですけれども、法案が通らないと雇えない役職が結構あって、9月からは民間の皆さん100人以上の体制でやりたいと思っています。
 ただ同時に、例えば今回、ワクチンの河野大臣、そして小林補佐官を支えているのも、IT総合戦略室といいますか将来のデジタル庁のスタッフ等々ですし、COCOAのような国民の皆さんが使うアプリを今後デジタル庁が運用も含めてやっていくとなると、やはりその人材も確保していかなくてはいけないと思っています。そういう意味ではデジタル庁は最新のテクノロジーを使った国民とのタッチポイントにおけるいろんなアプリ等々に関しては、自らが作っていくという方針です。
 アプリの話というのは、完成形がないというのが基本ですよね。ですから、常にバージョンアップし続けるということになると思いますが、そういうことができる機能を持つのもやはりデジタル庁だと思います。
 今までのIT投資というものは、政府の役人の皆さんも、本業はある、その片手間にやるような人が多かったと思うんですね。実際の業務の内容に詳しいということは非常に重要なことではあるんですが、専らそういうシステム開発やUI/UXや国民の期待に応えるということを考えている時間があまりない人たちがシステム担当であったという事実もあると思うんです。デジタル庁ができると、逆転の発想で動いていく役所ですから、そういうことはないと思います。
 Clubhouseに関してみれば、やってみなくてはわからない。割と窮屈なことをいうんですよね、録音駄目とか。だけど、どうなんでしょうか。私個人としては、録音だめ、書き取りだめとなると、マスコミの皆さんだって、私が口が滑った時等々が一体どういう扱いになるのかもわからないし、おもしろいんじゃないですか。そこのところも今事務方が整理をしていますので、問い合わせていただければ、報告させていただくということになると思います。
(問)今回、私的な勉強会なのかどうかわからないんですが、政策の決定過程が残らないということに対する懸念みたいなものは、持たれていますか。
(答)いやいや、そうではなくて、今回の村井先生とのやり取りの要旨は作って皆さんにお渡ししようと思っているし、結局、こっちは本当は残したいんですが、Clubhouse側が私自身あんまりよくわからないので、全部だめというのはいくら何でもやり過ぎ感はあるんだけれども、とりあえずそういうことです。本来我々がオープンにしたいという意向ですから、違うものを使ってでもオーケーだと私自身は思っているので、今回はとりあえずClubhouseを使ってみるというところではないでしょうか。
(問)COCOAの関係ですけれども、これを振り返ってみると、導入時が結構ばたばたしていたと思うんですね。そもそも民間のアプリを複数走らせるところからスタートして、AppleとGoogleが共同開発するといったら、それに乗って一国一アプリまでと。運営者が公衆衛生当局に限るということで、仕切りが厚労省に移ったということですけれども、今後同様のものを作る場合というのは、今大臣がおっしゃった話を聞くと、デジタル庁が作るということなので、そもそもAppleとかGoogleとかに頼らずに自主開発するという。だから仕切りがもともとIT総合戦略室とかが中心でやっていたのが、そういう公衆衛生当局になったから厚労省に移るとか、そんな混乱は起きないと。
(答)デジタル庁として、今後AppleとかGoogleとはダイレクトに、本国とこのような問題に関しては協議したいと思っています。今回はあくまでもHER-SYSにプラスして作ったという厚労省の形になっていますよね。
(問)予算的にも。
(答)予算もそうだし、HER-SYSと連携して作ったりとか。そういうことで、実はこの会見が終わってから厚労省からヒアリングをしつつ、どうするかをこれから検討しようと思っているんですが。アプリの開発をすることと、いろんなプラットフォームでそれを広げるということとはまた違うことなので、そのあたりのことに関しては、今後どうやればうまくいくかを考えなくてはいけないと思います。少なくとも、デジタル庁が今後アプリを開発したとしても、現状ではiOSとAndroidのどちらからでもダウンロードしていただけるようにしなくてはいけないということには当分変わらないと思うので、今後の進め方についても、デジタル庁としてきちんと国を代表する形で協議をしていきたいと思っています。

(以上)