平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月21日

(令和2年12月21日(月) 11:47~12:10  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 まず、本日の閣議において令和3年度予算が閣議決定されたことから、先日閣議決定された第3次補正予算の内容と併せて、私から改めて説明させていただきたいと思います。
 まず、第3次補正予算では、IT総合戦略室として、国民にわかりやすく使いやすいUI/UXの検討、ガバメントクラウド等のデジタル化基盤整備推進事業、デジタル社会の形成に向けた広報体制整備事業などに必要となる経費として136億円。また、番号制度担当室として、マイナンバー制度の普及に向けた周知・広報に必要となる経費として2.7億円を計上しました。加えて、総務省が地方自治体のデジタル基盤改革にかかる経費として、新たに設置する基金1,509億円などを計上しており、今後この施策についても、総務省と連携しながら進めてまいります。
 次に、令和3年度予算としては、まず8月末までの間、IT総合戦略室として一括して予算を計上することとしている、各府省共通システムの整備等や、デジタル庁設立のための準備などの経費として、2,721.1億円。また、番号制度担当室として、マイナンバー制度の推進などの経費として2.4億円を計上しました。そして、9月以降のデジタル庁としてUI/UXやベースレジストリの整備に係る検討、デジタル庁に一括して計上する情報システム整備などの経費として368.1億円を計上しています。
 なお、先日財務大臣と折衝を行い、認めていただいた81.3億円も、令和3年9月以降のデジタル庁の予算に含まれております。
 さらに、デジタル庁の人件費については、各省からの振替や新規増員により所要の定員を確保するとともに、非常勤の採用も含めて、発足時の実人員は500人程度を想定しております。新規増員が160人、そして振替が233人ということですね。
 かねてから、デジタル庁は小さく生んで大きく育てると申し上げてまいりましたが、デジタル庁はこの予算を基に船出することとなります。我々にとって重要なのはまさにこれからで、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を実現するための第一歩を踏み出すのに必要な予算と考えています。引き続き、歩みを止めることなくデジタル改革を強力に進めてまいりたいと思います。予算に関しての詳細はIT総合戦略室に、後ほどこれもまた1時から記者ブリをやると思いますので、詳しく聞いていただければと思います。わかりやすい資料も用意をしていると聞いています。
 それでは、デジタル・ガバメント閣僚会議について。先ほど閣議終了後にデジタル・ガバメント閣僚会議を実施しました。今回の主な議題は4点あります。
 まず1点目は、目指すべきデジタル社会の将来像や、IT基本法の抜本的な改正、デジタル庁の考え方等についての政府方針となる「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」、2点目は、デジタル・ガバメント推進のための具体的な施策を盛り込んだ計画である「デジタル・ガバメント実行計画」の改定、3点目は、我が国初の総合的なデータ戦略となる「データ戦略タスクフォース第一次取りまとめ」についてお諮りし、4点目は、デジタル改革関連法案ワーキンググループでの有識者提案を踏まえて、創設を検討している「デジタルの日」について報告をしました。本日の閣僚会議での了承等を踏まえまして、今後は、月内には「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」、「デジタル・ガバメント実行計画」を閣議決定し、また、「デジタルの日」について閣議で御了解をいただく予定です。
 大臣に就任して以来、様々な課題を同時進行で検討してまいりました。私も可能な限り直接議論に参加して、相当大変な作業も多かったのですが、とにかくこれまで前を向いて突っ走ってきて、本日やっと一つの節目を迎えられたと思っています。他方、予算のところでも申し上げましたが、我々にとって重要なのはむしろこれからでありまして、クリアしなければならない課題がまだまだ山積しているので、引き続き私自身が先頭に立って、デジタル改革を推進したいと考えています。閣僚会議の模様も事務方からブリーフィングする予定です。
 次は、民間人材の募集についてであります。本日より、デジタル庁の創設に向けて、来年4月に採用する民間人材の募集を開始します。概要は、記者へデータで配付済みと聞いておりますし、この後記者へはブリーフィングを行います。先行プロジェクトの推進を行うエンジニア等と、デジタル庁で民間人材採用の全体戦略を担うリクルーターを、合わせて30名程度採用する予定です。デジタル庁の理念や価値観に共鳴し、デジタル庁の新しい組織文化や、デジタル改革推進に向けた機運を一緒に形創っていく想い・覚悟のある人材を確保したいと思っています。なお、デジタル庁発足時には、デジタルの専門知識や経験が重要なプロジェクトや、組織のマネジメントをする職務についても、局長級、審議官級、課長級などの管理職級以上の責任を有する立場で民間人に就いていただくことを予定しておりまして、これは、別途4月以降に採用するということになります。これについても、IT総合戦略室にお問い合わせいただければと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、基本方針と実行計画が策定されましたけれども、与党の方からも、また有識者の方からも、誰一人取り残さないと、デジタルデバイドの対策の重要性の声が上がっております。改めて大臣の見解としてその重要性と、予算を含めてこの先どのように取り組みたいか教えてください。
(答)デジタルデバイドですね。デジタル改革には、誰一人取り残さないという視点が不可欠だと考えておりますし、このため、高齢者や障害がある方、デジタルに苦手意識がある方にとって、使い勝手、UI/UXがよい行政サービスに刷新していこうと考えています。
 先ほどのデジタル・ガバメント閣僚会議で了承いただいたデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針においても、誰もが参画できて、個々の能力を創造的・最大限に発揮できる包摂性・多様性あるデジタル社会の形成を図る、そのためにアクセシビリティの確保、年齢・地理的条件や、経済的状況等に基づく格差の是正等によって、全ての国民が公平・安心・有用な情報にアクセスする環境の構築を図ると記載しておりまして、これに基づいて取り組んでいこうと思っています。
 デジタルデバイド対策に関する取組としては、先般に15か月の予算の一環として閣議決定された第3次補正予算において、デジタル活用の理解やスキルが十分でない高齢者等に対して、企業や団体、自治体が支援を行う事業に対する補助に約11億円、そして、自治体がサテライトオフィスの設置や運用等を支援するための交付金に約100億円などを政府として計上しておりまして、来年度予算においてもこうした事業に関連した予算が計上されているものと認識しています。そしてこれらの実施によって、地元のIT企業でのパソコン教室や携帯ショップ等の身近な場所で、身近な人からIT機器サービスの活用を学べる環境づくりや、デジタル化の地域的格差の解消を推進していこうと考えています。ありとあらゆることをやらなくてはいけないと認識しておりますので、適正な予算の執行を行いたいと思います。
(問)今回、政府はデジタル化を大きく進めることになりますけれども、これまでもIT化・デジタル化は政府のテーマとしてあった中で、これだけスピード感を持って大きく変わることができた理由、むしろこれまで進んでこなかった理由も含めて、今後どのように変わっていくのか教えてください。
(答)これまで歴代内閣において、このデジタル化が最優先課題になったことはなく、今回このコロナの影響でいろいろな問題点が顕在化した中で、これは日本の遅れというものを相当認めざるを得ない状況で、こういう組織を作るということになりました。デジタル化は現状を大きく、根本的にやり方を変えていくという意味で、マインドセットの変更まで求めるので、組織として相当強い権限とリーダーシップがないとだめだということで、そういう意味で、思い切った方針としてデジタル庁の創設があると思います。デジタル庁の創設もできるだけ早くということで、多分来年9月1日にスタートというのは最短のコースだと思います。人材の確保も含めて一気にやりたいと思っておりますが、一方で、デジタル庁というものに対する知名度といいますか認識度は、私が思っている以上に非常に高いものがあるので、デジタル庁は来年9月からスタートしますけれども、それに先行して、いろいろ有益な情報発信に努めていきたいと考えています。
(問)今のお言葉にもありましたが、人材の確保について、今日も3点目で30名ほど採用を始めていくとありましたが、改めて大臣の方から、今民間の間でもこのコロナをきっかけに、いわゆるデジタル人材の競争が激しくなっているかと思うんですが、そういった中で、政府としてそういった高度な人材を確保していく秘策と言いますか、どういったところを訴えられてこの30人、100人以上とも言われていますが、獲得につなげていきたいとお考えか、お願いします。
(答)これから政府が、デジタル庁を中心として取り組もうとしているプロジェクトがいかに重要なプロジェクトであるかということを、民間の皆さんに認識をしていただく努力をします。その上で、今までとは違う能力が必要だということも理解していただいた上で、デジタル庁は、常に最新のテクノロジーを活用することに関して躊躇しないつもりです。ですから、今までのような発注の方法も変えようと思っておりますし、民間の人たちにとって、いかにプロジェクトが重要であってやりがいのある仕事であると、そしてそういう場で能力が発揮しやすい環境であるということを、これから多くの皆さんにPRしていこうと考えています。
(問)先ほどデジタルの日について言及があったと思います。これ、いつにというのは閣議で決定するということで、今日はあくまで創設の方針だけ確認したということでしょうか。
(答)そうです。創設するということ、その方向で検討していることを閣僚会議で報告をしたと。次の閣議で了承をいただく予定です。次の閣議で了承をいただいて、すぐに日にちを発表したいと考えています。次の閣議と言ったら、皆さん大体、もう最後の閣議ですから、その日に一気に発表のイベントもやろうと思っています。
(問)かねてから大臣がデジタル社会のパスポートとおっしゃっていたマイナンバーカードなんですけれども、足元だと交付率23%ぐらいまで来ているかと思います。今年10万円の給付金とかマイナポイントとかありましたけれども、現状、この年末、2割超えたところまできたということをどう評価されているかと、来年以降の、全員持ってもらうところへの課題というのを改めてお願いします。
(答)11月以降に新たなQRコードを載せたはがきが、持っていない方に順次届いているので、今申し込みの件数が1日5万件を超える程度まで増えています。ですので、できるだけ早い配布をしていきたいと考えているし、加速度的に今カードの所持者が増えると考えています。少しずつマイナンバーカードが、アナログの世界でもデジタルの世界でも、この国の一番、最高水準の身分証明証であると、それに代わるものが今ないんだという認識も徐々に広がってきているので、身分証明証として、利便性はともかくマイナンバーカードを持とうという方が確実に増えていると思います。
(問)目標ではないとしていたと思うんですけれども、意外と全員とるのは、もしかしたら少し早目に全員とるまでいきそうですか。
(答)いやいや、そんなに甘くはないと思っていて、令和4年度中に多くの方々にやはり持ってもらいたいと思うし、広報関係もやはり工夫をしながら、やっと一部の方にはマイナンバーカードの中には情報が溜まらないということも理解されてきましたけれども、まだまだ足りないと思っておりますので、マイナンバーカードの普及に対するいろいろな広報活動は、これからも知恵を絞ってやっていきたいと。ちょうど今はがきが届くころですから、今がチャンスだと思っています。
(問)先ほど、予算とかデジ・ガバの計画とか突っ走ってきて、本日が節目だとおっしゃっていましたけれども、反対に、来年9月の設立までの一番の課題というのはどういうところにあるとお考えでしょうか。
(答)まずそれは何と言っても、法律を早く通すということです。新法だけでも5本、6本あるわけで、あと関連法案も含めて、くくる法律ですから、これは相当大型法案になるんですね。そういう意味で、国会の対応も大事ですし、法案が通らないと正式に人を雇うこともできませんし、デジタル庁は船出できないわけで、まずは法案を通すこと、これが最優先だと思います。
 (マイナンバーカードは)1日に今6万交付しているらしいです、平均で。1日の申請が3.6万。相当増えてきたなと思います。これが12月7日から11日の間の平均。正確に言いますと、1日の申請が3万5,765で、1日の交付が6万4,129、これが7日から11日の間の平均ということです。
(問)民間人材の募集についてですが、今日30人採用する、公募を始めるということですが、以前総理が100人程度デジタル庁に入ってきてもらうという話をされていましたが、これは、100人と30人は別と考えていいんでしょうか。
(答)結局、常勤・非常勤、そして局長級とか審議官級、課長級とある程度給料の高いところも来年発足してから雇いますし、トータルだと優に100人は超えるということになります。だからその人数も含まれます。

(以上)