平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年12月15日

(令和2年12月15日(火) 12:02~12:15  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 まず私からは、預貯金口座への付番の趣旨と意義について。12月11日、12日の一部報道にあった「政府は金融機関が収集した個人番号を利用し」、「国民が保有する金融資産の把握などにつなげる」という記載は事実と異なるものでありまして、また、国民、世論をミスリードする可能性が非常に高いので、これは訂正を求めたいと思います。
 12月11日(金)に行われたマイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループの取りまとめにおいて示された、預貯金口座への付番の趣旨・意義を改めてここで御説明させていただきますと、国民の皆さんが、自らの判断で一回の付番の申出を行うことにより、本人が他の金融機関にお持ちの口座についても、個別に申出をする必要なく、預金保険機構を通じて自動的に付番がなされ、サービス提供側の効率化だけでなく、利用者側のメリットとして、相続時や災害時の口座の所在を的確に確認できるようにすることで、相続時、災害時における利用者の手続における負担軽減などを実現し、国民の皆様の利便性を向上させることが目的であります。
 政府は、災害時や相続時の負担軽減や、公金振込の迅速化のための制度を検討しているのであって、国民の金融資産を把握する制度を検討しているという事実は全くありません。また、現行制度において、政府が法律に基づき、国民の金融資産を調査する場合には、金融機関における預貯金付番の有無に関わらず調査対象となるものでありまして、ここが誤解をされているのではないかと思いますので、国民の皆さんに正確な情報をお伝えできるように、是非、皆様方に御協力をいただきたいと思っています。報道各社には、訂正記載の申し出をさせていただいているところでございます。
 次は、昨日、業務ソフトベンダーを中心として活動されている電子インボイス推進協議会の方々から、我が国における電子インボイスの普及を通じた業務デジタル化に向けた提言をいただきました。
 御提言は、2023年10月の消費税「インボイス制度」の導入を契機に、受発注から請求・支払い、会計や税務処理に至るまでのバックオフィス業務におけるシームレスなデータ連携を実現し、効率化を図る観点から、電子インボイスに係るデータや通信方式の標準仕様を策定する必要があり、「Peppol(ペポル)」という国際的な標準規格をベースに進めるべきという内容でありました。
 このPeppolについては、欧州を中心に30か国以上で採用されておりまして、採用している各国においては、ユーザーの利用コストを抑えることができ、かつ操作もシンプルであることから、中小・零細事業者であっても導入のハードルが低い、その導入によって各業務プロセス間でのシームレスなデータ連携が可能となり、業務コストを削減することが可能となるなどの点が評価されていると承知をしております。日本においても、このPeppolをベースとして電子インボイスの仕様が標準化され、その利用が進むことで、特に中小・零細事業者の方が、負担のない快適なUI/UXで業務プロセスのシームレスなデータ連携が可能となり、圧倒的な業務効率化という恩恵を受けることができるのではないかと考えております。
 デジタル化を通じたバックオフィス業務の効率化の実現は、非常に重要な課題でありますので、デジタル庁の設置を待たずして、官民連携の上、早急に進める必要のあるデジタル化のフラッグシッププロジェクトだと考えております。今回の民間からの提言も踏まえまして、政府としてもPeppolをベースとした電子インボイスの標準仕様について、2022年秋の運用開始を目指し、民間の皆様と連携して、その策定に向けた取組、運用管理のための体制整備などの必要な対応を、工程表を作ってしっかりと進めていきたいと考えています。
 ちょうどインボイス制度スタートの1年前にはもうリリースをするということでありますし、もうスタートしますけれども、この仕事はデジタル庁が引き継ぐということになると考えています。
 次は、明日、12月16日16時より、IT戦略本部の下、港湾の電子化(サイバーポート)推進委員会の第5回会議を開催します。2018年11月に本委員会を立ち上げ、これは私も前回の大臣の時に立ち上げに関わりましたが、それ以後、港湾物流に関わる民間事業者間の情報連携を促進する「港湾関連データ連携基盤」の構築を、内閣官房IT総合戦略室と国土交通省が連携して進めてまいりました。この12月にシステム構築を終えまして、接続テストを経て、2021年よりシステム稼働を迎えるところまで進捗しています。
 この港湾関連データ連携基盤の稼働によって、これまで個々に最適化されていたシステムで、事業者間の情報の連携はファックス、メール、PDF等で行われてきたものが、このデータ連携基盤を介して電子的に行うことが可能となりまして、情報伝達における再入力作業や、伝達ミスの削減といった港湾物流業務の効率化に加えて、基盤内のデータを活用した新たな取組による生産性等の向上が期待されています。
 明日の会議では、データ連携基盤の構築状況の報告も踏まえて、今後の利用促進方策等を議論しますが、このデータ連携基盤の効果を発揮するためには、多くの港湾物流関係者に利用いただくことが非常に重要だと思います。私と港湾を所管する赤羽国土交通大臣より、関係団体からなる会議の参加者にこのデータ連携基盤の積極的な利用を呼びかけるつもりでおります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日、総理に面会されたと思うんですが、その内容とやりとりについて、差し支えない範囲でお願いいたします。
(答)年末に基本方針等を決定する予定ですので、デジタル・ガバメント閣僚会議に向けての内容の説明ということでございます。
(問)よくある質問で恐縮なんですけれども、今年1年を1文字であらわすと、大臣、どうなりますでしょうか。
(答)「挑」ですかね、「挑戦」の「挑」。まさに全く新しい役所を立ち上げるというような、こんなチャレンジングな仕事はあまりないと思うので、まさにチャレンジングという意味で「挑」という漢字がいいのではないかなと思います。
(問)間もなく大臣就任から3か月になります。2か月の時に、省庁の縦割りについて、「壁はめちゃめちゃ厚い」とおっしゃっていましたけれども、改めて、短期間で新しい行政組織を作るというこれまで例がないことをやられているんですが、そのあたりの難しさについてお聞かせください。
(答)例がないということは設計図がないわけで、そういうものから試行錯誤しながら作って、年内に基本計画を作って、それに基づいて法律を出すと。法律の概要も大体見えてきましたけれども、来年の国会は、これ重要広範議案になると思うので、非常に大変だなと思っています。その上で9月にデジタル庁を立ち上げるということですから、もうすぐ3か月、16日で、明日で3か月ですけれども、何か1年以上やっているような感じがします。ある意味で、私の今回の所掌は、デジタル化をまさに中心とした担当大臣ということで、この3か月間、全集中で仕事ができたなと、振り返っても思います。ただ、これから後、さらにスピード感を持って進めないと、恐らく歴史的にも初めての挑戦だと思いますので、まさにこれから山また山だということは覚悟をして、最近いろんなところで言っていますが、「覚悟に勝る備えなし」という気持ちでこれからも行きたいと、そんなふうに思います。

(以上)