平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月27日

(令和2年11月27日(金) 11:32~12:03  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 1つはもう既に皆さんも報道していただいていますけれども、昨日の第4回デジタル改革関連法案ワーキンググループについてであります。
 10月15日に第1回目の会合を開催してから1か月半という非常に短い期間でありましたが、構成員の皆さんがワーキンググループ以外の方も自主的に意見交換を重ねていただいたこともあって、これまで通常ではあり得ないスピードで検討を進めることができたと考えています。そして昨日の会合では、デジタル社会の将来像とそれを実現するためのIT基本法の見直し及びデジタル庁の考え方を取りまとめることができたと思います。正に今後のデジタル社会の憲法と言うべき基本法とか、デジタル社会の強力な司令塔になるデジタル庁のあり方を様々な角度から御議論いただき、まとめることができたと思います。
 今回の取りまとめの内容につきましては、年内に策定する基本方針に反映して、次期通常国会に提出する関連法案につなげていく考えであります。特にこのデジタルの10原則については、今回の取りまとめの前提となるデジタル社会の大原則となることから、アイデアボックスでも国民の意見を募っていくということにします。誰一人取り残さず、人に優しいデジタル社会の実現にこれからも邁進してまいりたいと思います。
 2番目が、先ほどデジタル・ガバメント閣僚会議の下に設置されている、マイナンバー制度及び地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループの第5回が開催され、私も出席して取りまとめの議論に参加をさせていただきました。
 会議においては、具体的な議論としては、公金の受取手続の簡素化・迅速化に向けてマイナンバーとともに振込用口座の登録をいただく制度とか、災害時や相続時に国民を支援する仕組みと合わせ、預貯金口座へのマイナンバーの付番の実効性を確保するための方策を含む、6月に整理された33項目の課題に関する工程表の取りまとめについて活発な意見交換がなされました。
 有識者の皆様からいただいた意見を踏まえて、国民の皆様にデジタル化で便利になったといち早く感じてもらえるように改めてできるものから早く取り組む必要があると感じたところであります。
 なお、本ワーキンググループの今後の日程としては、次回第6回の開催を12月に予定しておりまして、今回の議論を踏まえて年内に策定するデジタル社会実現の基盤となる基本方針と併せて工程表を取りまとめていきたいと考えています。
 3点目はアイデアボックスによる「デジタルの日」、10原則等に係る意見公募についてであります。今日から12月11日まで、約2週間ですが、デジタル改革アイデアボックスにおいて新規にアイデア募集を行いたいと考えています。
 1つ目が昨日最終回として開催されたデジタル改革関連法案ワーキンググループでの有識者提案を踏まえた「デジタルの日」創設に向けたものであります。
 デジタル化の進展を実感する、デジタルを盛り上げる、言わばデジタルの祝祭の日としての「デジタルの日」の候補日を示した上で、国民の皆さんに投票・コメントをいただくとともに、何をやるかというようなコンテンツについてのアイデアを募集したいと考えています。
 2つ目は政府有識者会議で議論してきたデジタル改革の方向性について、国民の皆さんに意見を募るというもので、具体的には昨日のデジタル改革関連法案ワーキンググループにおいて議論した、「デジタル社会を形成するための基本原則(10原則)」、昨日のデータ戦略タスクフォースにおいて議論した「データ戦略の第一次取りまとめ案」、そして3つ目が今日のマイナンバーの制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループにおいて議論している検討課題5分野の3つであります。参加型のデジタル改革への積極的な参加をお願いしたいと思っておりますし、詳細はIT総合戦略室にお問い合わせをいただけたらと思います。
 なお、「デジタルの日」の創設に向けての候補日は1月1日、10月10日、11月11日、その他とさせていただきたいと考えています。それぞれ、元旦であったり、11月11日は中国の独身の日であったり、10月10日はかつて体育の日と我々の年代は考えたりするんですが、1と0の組み合わせがやはりデジタルにふさわしいだろうと考えているのと、なぜこういう祝祭と言いますか、デジタルの日が必要かというと、デジタルというのはやはり目に見えませんのでデジタル化が進むことによって何がどう変わったか、何がどう良くなったかを国民の皆さんに感じていただけるようなイベント等々をやっていきたいし、また、中国の独身の日ではありませんが、仕掛け方によっては非常に経済効果の大きい祝祭にできるし、恐らく日本はそういう方向に走っていかなくてはいけないと。官民挙げてそのデジタルを推進していくという一つの記念日にしたいと思います。1月1日だと、なかなか来年の1月1日というのも間に合わないんですけど、デジタル庁の発足と合わせてそういう日をまた前に進めていくこともできるのではないかと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回審議前の質問通告など国会議員とのやり取りで、Zoomを解禁するとIT総合戦略室とNISCが連名で通知をされているようなんですけれども、これについて事実関係と背景、狙いをお伺いできればと思います。
(答)国会議員へのレクにおいてZoomを利用する際の留意点について、内閣官房IT室及びNISCが連名で全省庁に対して事務連絡を出させていただきました。これは25日付けで出しています。
 今月18日の国会質疑の中で、国会議員へのレクにおけるZoomの利用について利用条件を明らかにすべきというような問題提起があったことを踏まえたものでありまして、当該事務連絡を踏まえて各省庁がそれぞれのセキュリティポリシーに基づいてZoom等のウェブ会議システムを利用することで、国会議員へのレクが効率的に行われるようになるということを我々は期待しています。
 そういう事務連絡を送ったので、これからそういう形で進めますが、Webexを使う人もいれば、いろいろではないかなと思います。
(問)本日、政治資金収支報告書の解禁日で、その関連について2点お伺いいたします。
 政治資金規正法では、国会議員関係団体にはオンラインシステムの利用提出というのを努力義務として規定していますが、一方で利用率というのは、システム運用から10年が経っていますがほぼない、低調な状況です。
 専門家も政府が国民に行政手続のデジタル化を促すのであれば、国会議員自身が率先して活用すべきだと指摘しています。これについて大臣の見解と、今後広く利用を促す考えがあるのか。また大臣御自身の政治団体についてですが、今回の収報の提出においてこのオンラインシステムというのを利用されているのか否か。もしされていないのであれば、理由と今後利用する考えがあるかどうかお聞かせください。
(答)これは日本のデジタル化という言葉のやはり大きな問題だと思います。
 要するに、そのデジタル化というのはやはりエンド・ツー・エンドで、途中のプロセスを改善しないと実はほとんど使えないということだと思います。これ、直接所管をしているわけではありませんが、利用者とその行政機関のフロントエンドのところだけではなくて、バックオフィスも含めたエンド・ツー・エンドで、デジタルを前提とした業務プロセスの再構築、UI/UX、これもやはり変えていかないと使われないと思います。
 私自身、自分の事務所に確認しましたけれども、オンラインは使っていません。その理由ははっきりしていまして、膨大な領収書のコピーをとってそれをわざわざPDF化しなくてはいけないということとか、会計事務所に提出する作業があるのと、対面で選管に提出するので、その場で不明な点の質問をすることができるというようなこともあり、オンラインでやる方が甚だ作業量が多くなってしまうので。だから領収書が紙で存在しているという、これは他のことも全部一緒だと思います。そういうことを大幅に改善しないと多分事務作業的に却って増えるので、それでは本当の意味でのデジタル化、オンライン申請ということにはならないのではないかと思います。
(問)ではこのオンライン提出については、政治資金規正法で努力義務として規定をされていること、さらに、システム運用からこれまで20億のコストがかかっていて、ランニングコストとしても毎年6,000万円ずつかかっているというのが現状です。これでもし例えばその使い勝手が悪いのであれば改善するなり、もしかしてこのシステムを廃止するなり、そういったもののお考え、何かありますでしょうか。
(答)当然それは、この国が全てのシステムに関してBPRも含めたデジタル化を進めていくという中で、極端にそれを使われていないということに関しては、これは大きな問題だと思いますので、それは当然検討しなければならないと考えています。結局使われないデジタル化というのはもうやっても意味がないので、そういうものに関しては抜本的な見直しが必要だと思います。
(問)アイデアボックスで2点お伺いしたいんですが。まず、確認なんですけれども、「デジタルの日」の方は、この候補日、投票と書いてありますけれども、最終的にはこれは一番投票数が多いものに、単純にそういうふうに決めるのか。
(答)参考にということですね。どの程度の差が出るかがわからないし、これもできればアイデアボックスにかかわらず、皆さんが読者にどの日がいいのか聞いていただいてもいいんですけれども。
 要は結局、これはもう全くフリーハンドです。ただ、デジタル庁に関心を持っていただいている方が今アイデアボックスにいろいろな意見を聞いていただいているので、このデジタルのことを考えて、どの日がいいかアドバイスをいただける方々がたくさんいるだろうということでアイデアボックスを使います。一般の方々にどんどん書いていただくのも全く問題はなくて、最終的には総合的にその判断をすると。また、これは元々落合陽一さんを含む有識者の皆さん方の要望を受けての我々の検討ということですから、また有識者の皆さんにも最終的に意見を聞いてもいいかなと思っています。
(問)政府会議の方のデジタル改革の方向性でも意見を募るということですけれども、基本原則とか、10項目とかが出ていますけれども、皆さんから募集をして、そういった意見をこういった3つのテーマにどう落とし込むイメージなんでしょうか。
(答)私はかねてよりデジタル庁創設に向けて、また今後もデジタル庁自身がやはり大事にしなくてはいけないのは、プロセスの透明化と、要するに通常ならこういうものは敢えてまたここで聞くというようなことはやらないんですが、それぞれ皆さん違った問題意識を持っておられる方で、我々にとっても新しい気付きがあるかもわかりませんので、結構資料が多いので読むのは大変だとは思うんです。ですけれども、読んでいただける方の御意見はどなたの御意見でも大切に伺いたいと思っているからであります。
(問)2つお伺いしたいんですが、1つは「デジタルの日」についてですが、これは官民連携でデジタル技術サービスを利用した祝祭ということですけれども、大臣としてもう少しどんなことをやりたいという具体的なイメージがあれば伺いたいというのと。先ほど経済効果とかデジタル化の実感というお話だったんですが、そういう意味では祝日法を改正して休日にするということは考えないのでしょうか。
(答)祝日法の改正というのは、これはなかなか難しいのかなと私自身は思っています。ただ、この候補の中で、例えば10月10日だと次が日曜日なので、1回目には狙い目と個人的には思っていますが。1日だけにするという必要も実はなく、例えば10月10日、11日と欲張っていくとまたがってできたり、1と0の組み合わせだったり。要は当然eコマースの皆さんにはその日に向けてそれぞれイベントも考えてもらいたいし、それぞれデジタルの日、今いろいろな自治体は行政サービスでいろいろ独自に考えていることもあるし、デジタルを使って国民やそこの市民や、そういう皆さんとの接点を何か増やせるような日をつくるというのは非常に意義があると思っています。
 そういう日でもないと、本当にデジタルというのは普段意識しない。我々が目指しているのも、デジタルを意識しないデジタル社会を目指しているんですが、その過程においてはやはり私もちょっとスマホの勉強をしようかしらとか、ちょっとした手続に関して誰かに聞いてみようとか、リカレント教育のきっかけになったり。これはもういかようにもできると思うんです。できれば私は国民的な運動ができるような日にしたいし、経済効果が上がるような日にもしたいと考えています。アイデアは広く募集していこうと考えています。
(問)もう1点が地方自治体とのプラットフォーム、この検討状況を進んでいれば教えていただければ。
(答)既にもう進めていますが、自治体のシステム担当の非常に改革に取り組んでいる皆さんとの対話集会をやりました。
 ここのところ、私のところには指定都市、中核市、その他マイナンバーに積極的に取り組んでいる市、その他いろいろなシステムを自分では今後やりたくないという小さな自治体、いろいろな自治体の皆さんの話を聞く中で、この情報共有の仕方というのは少しひと工夫がいると。1,700以上あるわけですから、そこの仕組を考えるということですが、できるだけ早く、同じような要望とか、考え方の自治体を括っていくというような形でやろうかなと。思っているのは、恐らくガバメントクラウドに収れんするというようなことも、もう1つでは絶対無理なので、それぞれのやはりサイズや規模やそういうエリアになるのかどうなのか、これもこれから検討なんですけれども、そういう同じような立場とかニーズとか、要望のある自治体は1つ括りにしていった方がいいのではないかと今考えているところです。
 いずれにしろ既にいろいろな自治体の皆さんとのコミュニケーションは、事務方の方でスタートしていると聞いています。
(問)ガバメントクラウドのところで、現状進めている自治体クラウドとの整合性というのはどう考えていらっしゃるか、お聞かせください。
(答)今まで進めていった自治体クラウドというのは、エリアでやったり小さなところが集まったり。この間も中核市がクラウドを考えているということだったので、今進んでいる自治体クラウドというものと、このガバメントクラウド、これをうまく取り込めるような形を我々自身としては考えています。
 そうでないと、これから費用負担の問題等々もあるので、できるだけ自治体のクラウドに関する費用を下げられるようにしたいという思いもあるので、そのあたりは既に進んでいるところも含めてこれからコミュニケーションを図って進めていきたいと考えています。
(問)マイナンバーと預貯金口座の紐付けなんですけれども、一時期義務化をするという検討があったと思いますが、今回は義務化は見送って基本任意で進めるということでいいでしょうか。
(答)これはいろいろ前から議論があるんですが、まず個人の希望に沿ってやるということは基本的には変わっていません。
(問)義務化はしないということですか。
(答)国民に対して義務化はしません。
(問)先ほどマイナンバーの話に関連して、今朝、官房長官からも「こちらを進めていかなければならない」という話がありましたが、具体的な時期ですとかそういったお話は今日あったのでしょうか。
(答)次期国会に法律は出すべく、今、準備をしているところです。それ以外、また一部システムの改修等々もあるので、年内に工程表を取りまとめようと考えています。
(問)1つはPPAPについてなんですけれども、先日の大臣の会見で「代替案は決まっていない」とか、「電話でパスワードを共有する」とか、そういったものがネットで一人歩きをしてしまいまして、若干炎上しております。
 改めてまして、昨日から始まった新ルールで、内閣府と内閣官房がどのような運用をしているのか具体的に教えていただきたいというのと。今後実態調査をするということなんですけれども、いつまで、どのように調査を行って、アイデアボックスで募集中の代替案が決まるまでは他省庁に対しても内閣府と同じ運用を求めていくことになるのか、今後の方針を教えてください。
 2点目が、AWS(アマゾンウェブサービス)のことについてですけれども。昨日、AWSに大規模な障害が起きました。日本政府も政府共通プラットフォームにAWSを一部導入していますけれども、こういった障害が頻発するのであれば、政府のシステムにも影響が出るかと思います。どのような対策を講じていくのか教えてください。
(答)まずZIPファイルの話ですが、ZIPファイル送付と同じ経路でパスワードを自動で送る方式については、セキュリティの対策の観点からも、受け取る側の利便性の観点からも適切なものではないことから内閣府・内閣官房において26日に廃止しました。
 実は既に24日付けでいろいろな指示は出しているんですけれども、政府のセキュリティ対策の詳細については、本当はここで言いづらい話です。一般的には個人情報等の機密性の高い情報を含むファイルを送信するときには、ファイルにパスワードをかけるとともに、別の経路でパスワードを知らせる等の方法があり、内閣府・内閣官房においても情報の機密性に応じて適切な対応を行うよう、これは内閣府サイバーセキュリティ・情報化推進室から関係各所に周知したと聞いています。
 アイデアボックスでも募集をしています。今、メールの添付ファイルの取り扱いの状況について、各省からIT総合戦略室に対して回答をいただく形で既に調査を進めておりまして、これは近日中に回答内容の集計精査が終わります。各府省のセキュリティレベルを下げるようなことを申し上げるつもりはもちろんないんですが、ZIPファイル送付と同じ経路でパスワードを自動で送る方式については、御社も指摘しているようにサイバーセキュリティの観点から言っても非常に危ないというのも明らかです。
 いずれにせよ、誰が考えても適切ではないので、廃止するという方向を促したいと考えています。
 今回のAWSのシステム障害が政府の情報システムに重大な影響を与えるものとは考えていませんが、クラウドサービスを利用するに当たっては、業務継続性を確保できることが極めて重要だと考えています。今回の障害は北米リージョンのデータセンター、政府は国内のデータセンターを使っているということもありますが、デジタル庁ではシステムの安定的、継続的な稼働によるサービス保証とか有効性・効率性等の観点から、政府等の情報システムに対する監査に関する基準を策定するほか、必要に応じて自ら検証等を実施することも想定しておりまして、クラウドサービスの利用に当たっても、こうしたBCPの配慮を確保していきたいと考えています。

(以上)