平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日

(令和2年11月24日(火) 9:30~9:46  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 まず私から、自動暗号化ZIPファイルの廃止について報告します。以前お話ししたとおり、アイデアボックスで投票数が第1位であった自動暗号化ZIPファイルの廃止については、先週17日の会見で、内閣府、内閣官房で廃止する方向で検討を進めているとお話ししましたが、明後日26日に廃止をする予定ということになりました。明後日からということですね。内閣府、内閣官房で採用していたZIPファイル送付と同じ経路でパスワードを自動で送る方式は、セキュリティ対策の観点からも、受け取る側の利便性の観点からも、適切なものではないと考えています。
 一方で、個人情報等の気密性の高い情報を含むファイルを送信する際には、例えばファイルにパスワードをかけるとともに、全く別の経路でパスワードを知らせるということが、まずは適切な対応ではなかったのかと思います。
 他省庁の状況についても、NISCと連携しながら実態調査を進めており、その結果を踏まえて、ZIPファイル送信、送付と同じ経路でパスワードを自動で送る方式については廃止するということを促したいと思っています。
 このような取組は、政府内だけでなく、民間にも影響のあるものと考えておりまして、民間企業の対応なども注視しつつ、今後どのようなセキュリティ向上策をとっていくことが望ましいのか、これも実際にいろんなところで仕事をされている民間の方々に、アイデアボックスの中にでもまたアイデアを送っていただきたいと思います。
 このような例は利用者目線でデジタル改革を進める、そして国民の利便性を実現していくという意味では重要ではないかと思っています。ZIPファイルは以上です。
 次は、もう11月も下旬となりましたけれども、今週は26日木曜日に、デジタル改革関連法案ワーキンググループの第4回、データ戦略タスクフォースの第3回を開催する予定です。デジタル改革関連法案ワーキンググループでは、これまで3回の議論なども踏まえて、ワーキンググループとして、IT基本法改正及びデジタル庁の考え方について取りまとめをいただく予定にしています。この取りまとめが年内に決定する基本方針の重要な要素になることは言うまでもなく、そういう意味で、今回のワーキンググループはデジタル改革にとって非常に重要な通過点になると考えています。
 また、データ戦略タスクフォースでは、法人や土地など、他の分野でも頻繁に参照される社会の基本的な情報、これをベースレジストリと呼んでおりますが、整備方針などについて議論してきました。今回はデータ戦略第1次取りまとめ案について御議論をいただく予定です。
 また、そのほかに、マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループを開催すべく準備を進めておりまして、次回は取りまとめに向けての議論を行う予定です。これらデジタル改革に関連する会議は、全て年内の取りまとめを目指しています。これらの動きを収れんして、社会全体のデジタル化を進める土台を完成させるため、残り1か月しかありませんが、全力で取り組んでいきたいと思っています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭にあったZIPファイルについてお尋ねしたいと思います。26日から廃止ということですけれども、26日以降内閣府と内閣官房からはどういった形式でファイルの送信をされるのでしょうか。
(答)それはまだ決まっていません。いろんなやり方を考えなければいけないと思うんですけれども、セキュリティ上、今のZIPファイル、その運用というのは非常にまずいと思います。かえって危険性が高いと思っているので、そこはこれから検討するということですし、お話ししたとおり、実際いろんなファイルのやりとりを民間の方々も頻繁にやっておられますので、民間の方々の知恵も是非投稿していただければありがたいと考えています。
(問)やり方が決まるまで、暫定的にパスワードとかを付けずに送るということになるんですか。
(答)それは、パスワードを送るとしても、要するに今は同じルートで送っていましたよね。さっきお話ししたとおり、それは絶対にやってはだめと。ですから電話で教えるとか、そういうことにならざるを得ないんじゃないですか。
(問)それか、メールで送るとしても、別のメールとかアドレスとか。
(答)御社は専門家なので、是非アドバイスをください。
(問)木曜のデジタルワーキングで議論されている、基本方針に向けてのIT基本法の改正案について確認したいんですけれども、大臣は以前から誰も取り残さないという大きな大方針のお話をされていますが、中で、やはりデジモノを触わったことがない人への支援みたいなところの重要性がすごくあると思うんですけれども。総務省の事業になるのですが、「デジタル活用支援員」の実証実験が今年度から始まっていて、御地元の高松市もやられていると思いますが、その重要性を改めてと、それをいかに全国に広げるかというところのお考えを教えていただければと思います。
(答)この話は、もう4年ぐらい前からやってほしいということを自民党の方から何度も何度もお願いしていたというか提案していたんですね。やっと実証も幾つかやってみて効果があるということなので、一気に広げると思っていて。結局デジタル化の恩恵を全ての国民にということになると、特に今の時代は絶対に必要な、私は措置だと思っています。エストニアが最初に一気にデジタル化に踏み切ったときも社会全体でサポートする人たちがたくさんいたということで、このデジタル支援員のみならず、助けられる人が助けるというようなことが一番重要で、支援員を契機に、一つの社会全体のそういうムーブメントになったらいいと思います。総務省の方には予算をとってさらに広げていただくように、私からもお願いをしたいと思います。
(問)お話が別になるんですけれども、マイナンバー制度ワーキングの次回取りまとめ議論ということですが。その中で、以前から大臣が問題視されている名前の読み仮名の議論があったと思います。改めてそれの重要性と、今のところ出てきているスケジュール案だと、どうしても法制審とかを通すので2年後、3年後というスパンになっておりますけれども、その辺のスピード感についてはどのようにお感じか教えてください。
(答)最終的に戸籍の中で公証するのかどうするのか、最終的に法務省で考えていただかなければいけないことですが、全体のデジタル化のスピード感とベースレジストリとしての名前の読み方の重要性を考えると、恐らくそのスピード感ではだめではないかと思います。できるだけ早く検討していただかなければ、この問題は国民にとってやはり大きな不利益になりかねないので、ここは私からも要請をしたいと思います。皆さんもそう感じられると思うんですが、読み方が確定していないということは、言わば名前が確定していないということです。これはやはり非常に社会を不安定にさせてしまうし、自分で自分の権利を守っていく上でも非常にやはり大きな問題だと思います。銀行口座の今の紐付け、突合にしても、口座番号と片仮名の名前の読み方の情報を、誰かと同一かどうかということを確認するというのは、非常にリスクが高いというか手間がかかると考えているので、ここは国民の理解は得られると思います。あとは政府がそれをどのような形で安定化させていくかということがこれから重要になると考えます。
(問)マイナンバーワーキングで、少し前の話になってしまうんですが、前回の11月上旬の際に、マイナンバーの基本4情報の住所などの情報を、銀行などに本人の同意があれば提供するということを、来年法律改正して実現に向けて進めるということでありました。これについての大臣の所感と、今後、引越しワンストップなどを進めていくに当たって、今回の改正というのがどういう形でさらにつながっていくのか、どんなところに意義があると感じられているか、改めてお願いします。
(答)銀行口座とその口座が誰のものかというのが、本当にある意味非常に重要なというか、これから行政手続の電子化を進める上ではもう最重要な課題の一つだと思っています。今御指摘の話は、10日に開催した「第4回マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ」の話で、総務省から説明があったと承知しています。これはマイナンバーカードを持っている人の本人同意を前提に、銀行等に最新の住所等を提供できる仕組みとして法整備に取り組んでいるということです。
 これは、住民の方の手間の軽減だけではなくて、銀行を始めとした金融業界の事務負担を軽減できるという、言わば非常によい取組だと思いますので、できるだけ早くこういうものから制度を整えるべきだと思っています。
(問)これまで大臣はデジタル庁のトップには民間人材の登用を考えたいと繰り返し述べてこられていますけれども、いわゆる復興庁型の組織だと、トップは総理になるわけです。となると、事務方のトップに民間人を置くという、そういう認識でよろしいですか。
(答)そうですね。総理がトップというか、組織としては総理直轄ということになるわけですよね。そしてそこには、それを所管する大臣はデジタル庁を所管するという権能を持つわけですが。そこに今ある政府CIOに代わるポジションの人間を置くという理解でいいと思っています。
(問)民間人。
(答)民間人。これ、民間人ではなくてもいいんですけれども、私自身は民間人が望ましいと考えています。
(問)その理由というのは、民間人をということについて。
(答)今までのやり方を根本的に変えるということ、そして新しいアーキテクチャとかテクノロジーというものに相当の理解がないといけないわけで、それは今残念ながら、今の役所の中から、公務員の中から見つけるのは無理だと考えています。ですから、システムを部分最適化するのならいいんですが、今回は抜本的に変えていこうということですから、そういうことに対する理解と、できればある程度の経験のある方、そしてそういう人材を使える人でないとだめだろうと思っています。

(以上)