平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月20日

(令和2年11月20日(金) 9:47~10:13  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 今日はまず自民党の提言に対する所感について少しお話しします。
 18日に自民党デジタル社会推進本部の下村本部長、甘利座長を始めとする議員の皆さんにお越しいただいて、「デジタル庁創設に向けた第一次提言」をいただきました。
 第一次ですから、年内に第二次の提言があると考えています。これは全てオープンになっているのでご覧になっていただいていると思いますが、デジタル庁の機能・予算・組織に関するいろいろな提言、また人材の確保・育成に関することとか、地方公共団体のシステム、マイナンバー、データ、個人情報保護、セキュリティなど非常に多岐にわたる項目について詳細に記載されていました。
 週4回のペースで会合を開いて取りまとめていただいた皆さんに心から感謝をしたいと思いますし、デジタル改革を党の立場で強力に後押ししていただいているという意味で大変ありがたい提言であったと思います。
 我々も年末までには基本方針を取りまとめていかなければいけないので、それぞれ各項目について結論を出していきます。そういう意味で、自民党からの提言に関しても前向きに取り入れる方針で、年末に向けての検討を加速していきたいと考えています。それが一点です。
 そして、次は昨日夕方、武田総務大臣と一緒にマイナンバーカードの取得促進に向けたイベントとして、マイナンバーローカルサミットウェブ会議を開催しました。これもマスコミオープンでやらせていただきましたが、都城市池田市長、三田市森市長、加賀市宮元市長に、本当に市を挙げていろんな取組をしていることを御紹介いただいて、意見交換しました。
 首長のリーダーシップもさることながら、土日であるとか、出張のサービスとか、非常に行政として前向きな総合的な取組に心から敬意を表したいと思います。
 11月下旬からマイナンバーカードの未取得者に対して、スマホなどから申請可能なQRコード付きの交付申請書を送っていくと、持っていない方々約8,000万人ということになると思うんですが、これが一気にマイナンバーカードを交付するためのラストチャンスと言っていいかどうかわからないですけれども、大きなチャンスであると思います。
 昨日の会議の模様はウェブで公開する予定なので、各自治体の皆さんにも見ていただきたいと思います。
 一方でマイナンバーカードの申請数の増加によって、交付までに期間を要しているという指摘もあるんですけれども、これから早期かつ円滑な交付に向け、市区町村の支援をしていかなければならないと考えています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先日パスワード付きZIPファイルのことで新たな展開を御提案されて、非常に喜ばしいことだと思っているんですけれども、今、多くの文書がPDFで公開されているんですけれども、それがA4の用紙に印刷することが前提で、もう今は誰も印刷して読まない時代にそぐわないような状況ができあがっていると思うんです。
 スマホでも読みにくいですし、少なくともそれを作ったオリジナル、例えばWordとか一太郎とか何でも構わないんですけれども、オリジナルのファイルで公開すれば、それを読む人は自分の好きな文字のサイズとか、印刷する人なら用紙のサイズとかを選んで再フォーマットして熟読することができると思うんですが、PDFの現状に関してお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。
(答)ZIPファイル、PPAPの話は、次回の記者会見あたりで、どこまで徹底してやめられるかということについてお話をさせていただこうと今、思っていました。
 今、そのほかにもDropboxの使い方であるとか、PDFの問題もそうですけれども、このアイデアボックスの中に出していただいて、それが圧倒的な支持を得たので、今回もZIPファイルのことをやろうと。我々も何かで意見の収れんをしたものを受けて組織として動こうということですので、今の個別のいろいろな問題の御指摘は大変ありがたいとは思いますが、できればアイデアボックスに書いていただいて、その中で圧倒的な支持をいただいた御提案であれば、それは実行にすぐに移したいと思います。
(問)パスワード付きのzipファイルのことでお聞きしたいと思います。先日霞が関で廃止をするんだということを宣言されたと思うんですけれども、廃止の後の代替手段はどういったものを考えられているのかというのが1つ。
 あと、ネットの反応とかを見ていると、結構多くの民間企業でこのいわゆるPPAPというのは社内ルールで運用するようになっているんだという企業もあるようで、そういった企業に対して国としてどういった方法を推奨していくのか、そのあたりをお聞かせください。
(答)例えば、マネーフォワードさんでしたか、freeeだったか忘れたけれども、freeeか、12月1日からもう一切使わない宣言をされるというようなニュースとか。霞が関で使わないということに関しては、これから来週あたり、具体的にどういう手順でやるかということについては発表をさせてもらおうと思っているんですが、この件はやはり民民の話もあるし、民間の話もあるので、ここはちょっとヒアリングをさせていただこうと考えています。ただ、我々がこの問題を提起したことを受けて、各民間企業でも同じような対応をされるところが増えてきているので、ここは要するに今後のやり方も含めて前向きな意見をこれからどんどんお聞きしたいと思います。
 ですから、ここが非常に今後デジタル社会を健全に進めていく上で非常に重要なポイントだと思うんですけれども、やはりおかしいものは皆さんで見直していこうと。その上で、ではどういうアイデアが一番次の時代にとってふさわしいかは、これもみんなのアイデアを出していただいた上で柔軟に対応しながらベストの方法を探していくという意味で、これも広く皆さんの意見を募集したいと思います。
(問)これはアイデアボックスで募集したいと。
(答)アイデアボックスで募集したいと思います。
(問)自民党の提言の中にも、「霞が関の組織の文化とか前例にとらわれることなくデジタル庁を」というのが入っていると思います。平井大臣もかねてから全く新しい組織にするとおっしゃってこられましたけれども、この2か月いろいろとやってくる中で、意外に前例を打破して新しい組織をつくるというのは、それなりにまだまだ結構壁が高いのか、それとも結構いろいろアイデアボックスとかをやっていけばそれなりにできるのか、そこら辺の今の感触というのをちょっとお聞かせいただければと思います。
(答)感触的にいえば、一言でいうと、壁はめちゃめちゃ厚いということを日々感じています。
(問)具体的にどういう壁ですか。
(答)というかやはり省庁の縦割りですね。つまり、各省からデジタル庁に人が集まったとしても、恐らくその前の省庁の文化をやはり縦の形で残してしまう可能性がこのままだと非常に強いと思います。だからそこを一回御破算にする方法をこれから考えなくてはいけないと思って。ある程度の人数各省から来てしまうので、そうなると上下関係がそのまま来てしまうわけで、そういう意味では全く別の会社で雇用されていて、そしてそこの中の組織、序列の中で仕事をしていた人たちが、一つの新会社に移ったときにではどういう指揮系統でどう動いていくのかというのは非常に何かやはり難しいんだなというのを最近つくづく感じています。
 そこに民間の方々が今回は入っていくわけで、霞が関の文化をそのまま継承している組織に民間の人が入っていくと、これは結局また同じようなことになるんではないかと思って、そこのところを今ちょっとどうしようか迷いながら考えています。
(問)来年までにちゃんと解は見つかりそうですか。
(答)というか、もう強引でもやらなくてはいけないのは、来年はもう4月以降は人も具体的に異動させていこうと考えているので。準備の段階でですよ。そうなってくると、最初に作る組織の文化というのは非常に重要だと思うので、そこは私の頑張りどころだと思っています。
(問)自民党の一次提言で、採用に関して「早い段階で人事部に当たるような組織を立ち上げて、そこから専門人材を獲得して立ち上げに向けて」というお話でしたけれども、具体的に大臣の中でいつごろにそういった部隊というか、組織を立ち上げて中にどんな人を実際に採用するのかという腹案とかはありますか。
(答)もう来年の採用になるので、今年の段階からある程度動いておかないと。それは皆さん家族もある方ばかりだろうと思いますし、前の会社での仕事もあるだろうとも思うし。今、そういう採用のプロの皆さんの民間側のそういう方々の御意見も伺いながら、アドバイスもいただきながら検討しているというところです。ですから、当たり始めたということですかね、それぞれ。
(問)立ち上げとしては年内は難しいという感じ……。
(答)結局まだ法律的な根拠も何もないんですよ、まだデジタル庁は。法律を作る準備室しかないわけで。法律が通った段階だとそういう具体的な組織の中にそういうものを置けますが、あくまでも準備の段階ですからそれは組織ではないんです、作ったとしても。だからそういうアドバイスをいただきながら、最終的にそういうものを組織の中に作っていこうとは思っています。
(問)ではその採用に当たる人は、霞が関の官僚の人をその人事部のようなところに入れるか、それとも民間から呼んでくるかとかそのあたりもこれからの検討ですか。
(答)採用に当たっても民間の力を借りようと考えていて、要するに霞が関と民間の混成チームになるわけです、スタートの段階で。ですから、霞が関の中でのリクルーティングと、民間とのリクルーティングをうまく融合させつつ組織を作っていくということになると思います。
(問)先ほどの質問で「準備の段階から異動をさせていく」とおっしゃっていましたけれども、今の準備室を4月とかにかなり拡張するような御予定を持っていらっしゃるんでしょうか。
(答)徐々に増えているんです、何だかんだ言いながら助っ人が。ですから、提出する法案も予定よりまた増えそうな感じにもなりつつあるし、いろんなところに協力を仰ぎながらと。準備室はそういう形になっていると思います。
(問)自民党の提言でも話題になっていた総務省が補正で計上するという情報システムの予算なんですけれども、これはプロセスとか中身を含めて、大臣として何か今、問題があると考えていらっしゃるか教えてください。
(答)最終的にどんな形になるのかわかりませんが、今後やはり国と地方のシステムをこれから再構築していくということになると、一定の予算が必要なことは明らかで。ただ、どういう予算の計上の仕方がシステムを構築していく中でよいのか、これはもういろいろと考えなくてはいけないと思います。
 この間、対話集会の中でもお話ししましたが、地方のシステム担当者とそしてこの我々、国側の我々ですね、それを意見交換のプラットフォームを早めに立ち上げようと思っていて、国が計画してみんな「それに従え」という形にしたくないので、それは共創すると、共に創造するという形のプラットフォームを早急に立ち上げて、地方から見て勝手に押し付けられたということにならないように。なおかつ、それぞれの地域のシステムの更新時期とか、そういうものとうまく整合性が取れるようにこれをうまく進めていくというのは、多分デジタル庁が取り組む仕事の中でもしかしたら一番難しいのかなと思っているので、一気に予算を使い切れるというような簡単な話ではないんですね。なので、補正で予算を積むということに、やはりもうひと工夫が必要ではないかと思っています。
(問)話題変わりましてマイナンバーカードについて伺いたいんですけれども。先ほどの冒頭の発言の中でも、申請数が増加しているという話もありましたが、今、交付率で22%を超えて、申請でいうと25%も超えてきていると思うんですけれども。以前と比べてだいぶ速いペースになっていると思いますが、目標としている2年半後の全国民というところからするとまだまだという部分もあるかと思います。
 それは大臣、今この交付申請の伸びや現状をどのように評価されているのか、お聞かせいただけますか。
(答)今すごいスピードで申請数が増えていて、それをやはりこのきちんと本人にお渡しする時間をできるだけ短くしていかなくてはいけないと思っています。申請時来庁方式、これが非常によくて。要するに、申請の時、出前でもいいんですよ、どこかでイベントでやるのでもいいんですが、申請時に本人確認して、要するに最後のカードのお届けは郵送と、このスタイルをもっと広げたいなと思います。
 取りに行くときの時間を予約したりするのではなくて、申請時来庁方式、申請時本人確認方式という言い方がいいと思うんですけれども、これをもっとやっていただけるように自治体にお願いしようかなと思っています。これは相当効くと思います。
 そして、今回11月からQRコード付きのはがきを送るというのも、ここが引き金になると思うんです。本当は土日、市町村、自治体には土日を使ったりしてもっとやってもらいたいので、そういうことも。先行している3市の取組は、窓口のスタッフの充実と休日の使い方と申請時来庁方式やアイパッドを使った職員のアシストとか、国民に対して非常に利便性の高いやり方をやっているところはやはり申請数が急に増えているということで。マイナンバーカードを持ってもらうと、これはデジタル時代のパスポートですけれども、それを持ってもらうまでのプロセスは極めてアナログ的なサポートが必要なんだろうと思っています。
(問)ちょっと話題が変わるんですけれども、所管外だと申し訳ないんですが、19日に国内のコロナの感染が最多の2,371人ということで更新をされております。
 今後、その感染症と共存する社会経済活動というのが求められる中で、感染症に関するこのデータをオープンデータを整備・分析して国や自治体の政策に役立てたり、または人が集まるイベント、スポーツイベントなど、3密回避対策にデータを生かすという対応が求められていると思うんですけれども。そうした中で、既に官民データ活用推進基本法などの動きもありますけれども、改めて今後デジタル庁の創設に向けてデータの利活用というところで、大臣の見解と今後の方向性について伺えればと思います。
(答)今回のパンデミックに対する対応でも、オープンデータとかCocoaのようなオープンソースみたいなのは、非常に役に立つということがよくわかったなと思います。
 一方で、厚労省が突貫で作ったHER-SYSについては、やはりいろいろなUI・UXも含め問題はあったと思います。
 我々は、やはりこのデジタルのいいところは迅速性と正確性、その情報共有だと思うんです。そこのところはデジタル庁においても、インフォメーション・シェアリングのシステムというようなものについて主導していきたいとは考えています。
 ただ今回いろんな経験をされたので、皆さん一生懸命今やられていると知っていますが、一番デジタル化が威力を発揮するところですよね、特にオープンデータとか。ここらあたりはデータ戦略の中を今作っていますが、さらに明記をしていきたいと思うし、取り組んでいきたいと思います。
(問)アイデアボックスのオープン対話なんですが、4回目は予定はあるんでしょうか。
(答)検討中というか、常設にするに当たって、さらにどういう機能を拡張して、アイデアボックスのUI・UXをもっとよくするにはどうしたらいいかみたいなことを今、考えていて。私自身時間がある限りオープン対話をしたいと思っているし、オープン対話をする中で非常にすばらしい人たちに出会うので、そういう人たちにデジタル化のエバンジェリストみたいなものをお願いしようかなとも思ったりしています。
 デジタル化を進めるに当たって、すばらしい人材を発掘するにもアイデアボックスはいいなと思い始めました。
(問)2プラス1なんですけれども、以前大臣は文科省とか総務省とやりたいというお話があったと思うんですが、現時点の御予定は。
(答)スケジュールが全然合わないので、もう国会がそろそろ終わるとできるのかなと。日程が合わないんで2プラス1はないですが、それぞれの大臣とは個別に打合せはさせてもらっています。

(以上)