平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月23日

(令和2年10月23日(金) 13:41~14:08  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 まず、昨日私と河野大臣、赤羽大臣との2プラス1を開催したので結果を報告します。今回は私から不動産売買など重要事項説明の脱対面書面原則によるデジタル化、国交省所管の国家資格のデジタル化及び資格証とマイナンバーカードとの一体化、建設業許可などの行政手続のオンライン化、新車登録や車庫証明などの自動車保有に係る申請届出等について、どこからでもスマホでワンストップで完結できるようにしていただくということで検討を開始することで同意しました。
 この国交省所管の国家資格のデジタル化及びそのマイナンバーカードとの一体化は、まずは来年厚生労働省関係のことを法律的にも出そうと、準備が整い次第、今度は国土交通省の方にお願いするという、順次やっていこうということでございます。
 また、小此木大臣の方から、国家公安委員会委員長として行政手続等における押印の廃止をする方向で検討し、年内に必要な規制等を改正する準備を進めていく旨の発表がありました。
 2プラス1を受けて積極的に動いていただいていることに感謝をしたいと思いますし、これに関し、例えば警察関連の手続である車庫証明に関するシステムは国交省所管と聞いておりますので、これを機に赤羽大臣と小此木大臣の連携協力を進めていただくことをお願いしたいと思っています。
 2プラス1の取組もいろいろと成果が出始めているんですが、今後とも河野大臣と連携してやりたいと、来週もやろうと思っています。大臣は調整中ということです。
 昨日、デジタル改革アイデアボックスのオープン対話第2回目、皆さんにもオープンで開催しました。「国と地方の連携」をテーマに、アイデアボックスに投稿をいただいた自治体職員の方々6名から直接アイデアをお伺いして意見交換を行いました。
 私が持ち合わせていない自治体職員ならではの視点というのは、これからのデジタル改革というのは正に国民との接点のところを変えなくてはいけないということですから、大変役に立ちました。そして、第3回目につきましては、「No one left behind」をテーマに、人気のあるアイデアを投稿いただいた方々に声をかけてフルオープンで行う予定です。
 アイデアボックスは開設以降2週間で2,300件を超えました。そして、コメントも5,500を超えておりますし、2,500人以上のユーザー登録がありました。これに関して、皆様方から何かこちらがお願いして書いてもらっているようなイメージさえあるような書き込みが多いんですが、これは本当に我々が想像している以上に真剣な書き込みが多いし、このアイデアボックスのポイントは何かというと、書き込まれた内容もそれに対する意見も全部フルオープンにしているわけです。ですから内容まで全部オープンにしてやるというのは、今回のデジタル庁のデジタル化のプロセスを透明化するという一つの方針にかなうものだと思います。
 もう1つは、13日の会見でも触れましたが、IT基本法の改正とか、デジタル庁の創設の議論に関して、国民目線に立った発想やITを前提とした業務改革の必要性などについて理解を深めるために定期的な勉強会を開催しています。
 先週の会見においてお尋ねがあった本勉強会の取材について、次の月曜日、26日に講師の方から御了解をいただいたので、冒頭取材ということですがお受けさせていただくことになります。
 26日は朝8時から、厚労省保健医療分野AI開発加速コンソーシアム座長でもありますソニーの北野さんに来ていただいて、「社会のデジタル化への期待、健康・医療・介護とデジタル・AI」をテーマとしたお話をしていただく予定であります。
 この勉強会の内容を一部、私のYou Tubeでも、ちらっとお見せしていますが、内容的には非常に我々の意識を高める意味でも非常にいいと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)データ戦略についてお伺いします。先ほどタスクフォースの第1回が開かれて大臣も御出席されたとお伺いしているんですけれども、今回まとめるデータ戦略の意義と、年末までには大方の方向性ということで聞いているんですけれども、データ戦略としてまとめたい時期の目途などありましたら教えてください。
(答)丁度、閣議と経済財政諮問会議の間だったので、私も少しだけ顔を出すことができましたが、今回の「データ戦略タスクフォース」というのは、非常にこれからデジタル庁がある意味社会全体のデジタル化を進めていく上で重要だと思います。
 その場でも私はお話させていただいたんですけれども、2016年に官民データ活用推進基本法を議員立法で成立させていただいて、自治体とか、民間にもデータの利活用をお願いしていたんですが、データがうまく使えない理由というものも幾つか明らかになり、そういうものを1個1個、今回のタスクフォースは、なぜうまくデータが使えなかったか等々をきちんと分析した上で、新しい戦略を作るという方向になっています。
 具体的な内容としては、まず、他の分野でもそうなんですが、法人や土地などの頻繁に参照される社会の基本的な情報、これを我々はベースレジストリと言っていますが、このベースレジストリの整備が全くできていなかったということが非常に大きいと思います。
 デンマークのデジタル化とかいろいろと各国を見ていても、まずこのベースレジストリの整備というのに相当労力をかけているということですので、我々もここはきっちり今回やり切りたいと思います。そして、データガバナンスという言い方もするんですけれども、様々な分野を跨いで、データをきちんと安全にルールに基づいて流通させるというためには、いろいろな決め事が必要だということだと思っています。
 そういう意味で、官民のデータ連携によって新しい価値を創出するということは非常に重要なことだと思っているし、今回このデータ戦略というのはずっとやり続けなきゃいけないことだと思うんですけれども。とりあえず我々のデジタル庁設置法にもものすごく関係をしてくるわけで、デジタル庁の機能としてデータに関してどこまでのことをやるのか、データオーソリティとしてどこまで法律に書き込むのか、そこについても御検討をいただこうと思います。
(問)昨日、公募を締め切っていると思うんですけれども、情報通信技術戦略調整官、民間から公募を出していた、結局何人公募に応募されたとかその辺りをお聞かせください。
(答)昨日、受付を終了したということで、正確には知りませんが、駆け込みで最後どうなったのかというのを確認していませんが、40名程度の方々が応募いただいたと聞いています。
 皆さん、今回非常に高い志を持ってチャレンジしていただいたので、まずはそのことに感謝を申し上げたいと思っていて、11月の上旬に採用すべく行っていきたいと思います。
 これと同時に、これまた後日発表させていただきますが、私の下にアーキテクチャ等の研究会を作っておりまして、ここに対する委員というものを委嘱しようと思っています。
 この委員の方々にいろいろアドバイスをいただこうと思っていて、これは10数名の方々に、特にアーキテクチャのところが一番重要だと思っているので、そのような形をさせていただこうと。それはまた追って発表ということになるのではないかと思います。
(問)40名程度という方の属性というか、どういう方かというのと、11月上旬に採用ということですけれども、これはこの後に面接とか……。
(答)そうですね。全員の属性に関してはまだ。事務局で聞いていただければと思いますが。幾つかの条件を書いたんですが、本当にそういう能力があるのかどうなのかも含めて、思い、パッションの人も多いわけですから、ここは選考をしていただいてということになろうと思います。
 11月までに私が面接するわけではありませんが、今、必要な方々、こちらが望むべきパーツといいますか、埋めたい人材にうまくマッチするように選考をしてもらおうと考えています。
(問)昨日のアイデアボックス投稿者とのオープン対話についての御質問です。2回目が開かれまして、自治体職員から活発な意見が交わされて、大変役に立ったというお話なんですけれども、改めて大臣としてどういうアイデアが印象に残ったのかということと、このデジタル庁に地方自治体と常に対話するプラットフォームを作るという話題が上がりましたけれども、自治体とのデジタル化を巡る課題を共有していくという持続的な仕組み作りの面で、何かお考えがありましたらまずお聞かせください。
(答)きちんとした仕組みはこれから考えるんですけれども、結局、システム設計を今後いろいろしていくに当たり、現場の声を最大限聞こうと。そのことがやっぱり今まで足りなかった。それがUI/UXというものも、実際使う方々から見たら不十分だったということだと思います。
 ですから正に、現場の方々の意見を聞きながら。今後のシステムは正に実際使う方ですね、使う人、そして住民と接する方々の意見も十分聞かなくてはいけないという意味で、昨日は非常に我々は考えさせられたし、一番やっぱり印象に残った点というのは何かというと、行政サービスというものがデジタルだけで完結しないということを彼らが一番よくわかっているということです。デジタル化によってわざわざ足を運ばなくていい、直接住民に接しなくてよくなれば、その分もっと手厚く対面できちんとお世話できるという時間が増えると。そのことを彼らは望んでいるというのは、正に行政の質の向上という意味だし、正にこれはデジタルの本質だと思います。
 デジタル化によって、新たにセーブできる時間をもっと違う形で使っていくという意味で、昨日の職員の皆さん方の考え方はとてもすばらしいし、それが正しいデジタル化だと思っています。そこが一番印象に残ったということです。
(問)こうした対話というのも継続してやりたいという思いというのはあるんでしょうか。
(答)継続するというか、聞かなきゃいけないと思っていますので、それをどういう形で、彼らも有志の方々なので、もっときちんと組織化していただいた方がいいのか、その辺りも含めてコミュニケーションはずっと続けていきたいと考えています。
(問)本日は午前に経済財政諮問会議がございましたが、その中で菅総理から、官民のデジタル化を成長のてこにする考えというものが示されました。
 それに関連する所感と、先日も大臣が、いわゆるベンチャー企業を含めた民間の投資の必要性に関連して、ガバメントピッチの話をされておりました。ベンチャー企業のアイデアを地方自治体の地域課題に結びつけるという取組について、改めて課題認識と今後の対応についての必要性について、所管外でしたら申し訳ないんですけれども、よろしくお願いします。
(答)経済財政諮問会議の中で、新浪議員が出されたペーパーが一番やっぱり考えさせられるペーパーだと思います。つまり日本企業というのは、デジタル化投資が欧米の企業に比べても圧倒的に少ないというのが明らかになっていて、そのことが今後の成長率を考えた時に、潜在成長率という意味で生産性がやっぱり低いというのはそこだと、はっきりペーパーが示していると思います。
 皆さんも考えていだくと、Amazonなんかはこの20年全然配当もしていないわけです。全部次の投資に投資に。だからそういう次への投資をどんどん進めていくということをやれていなかったと。内部留保は溜まったけれども、次の時代への投資はできていなかったということが大きな反省点だと思います。
 このデジタル庁自ら、今回は政府のシステムをまず皮切りに、デジタル・トランスフォーメーションに取り組んでいこうということは、これはおのずとやっぱり民間の皆さん方にも一緒にやっていただこうということになろうかと思いますので、そういう意味で今日の諮問会議の内容は非常に良かったのではないかと思います。
 また、ガバメントピッチというのか、自治体ピッチというのか、日本は特にベンチャー企業でUI/UXを非常に得意にしているところがあります。そういうところは、これからどんどんいろんな意見を聞きながら一緒にやっていきたいと思っています。
(問)今朝の経済財政諮問会議の方で総理から平井大臣の方に指示もあったかと思います。各関係省庁と連携をしてということだったと思うんですが、年末のデジタル庁で目指す1つに、IT関連の予算の一元化というのもあると思うんですが、その辺り、大臣としてどのように、来年度の予算編成についての考え方を改めて伺えますでしょうか。
(答)来年度の情報システム関連予算の概算要求については、徹底した国民目線で行政サービスを使いやすくするということが必要で、そのためには、各省ばらばらのシステム整備をやめて共通的な基盤や機能の利用のほか、情報システムやデータの連携等を進めなければならないということです。
 現在デジタル庁の設置に向けて検討を行っている段階ですけれども、デジタル庁が立ち上がった時に方向性の異なるような従来どおりの予算が執行されるのは困るんです。ですので、今からでもできることは進めていくという考えで、令和3年度の予算要求の内容を改めて精査して、そしてこれは、財務当局と各省にお願いしているんですが、おかしなものはやめてもらうということにしたいと考えています。
(問)国交省、2プラス1の時の話をお伺いしたいんですけれども、この課題というのは、警察庁との連携が必要だということになりますでしょうか。
(答)車の新車登録の車庫証明、そうですね。
(問)ほぼワンストップ化が国交省ではやられているということなんですけれども、どの辺がまだまだ足りないとお考えか、もしあれば教えてください。
(答)要するに、警察もやる気になっているし、国交省もやるということですが、結局ワンストップに今なっていないというところをどうするかということをこれから考えるということです。
(問)デジタル庁としては、スマホを使ってどこでもできるというのは外せない要求というか、希望ということになりますか。
(答)それが一番便利ですよね。パソコンでというよりはスマホでと全ての行政手続を考えていますので、そうなります。ですから道路使用許可とかもそうですし、今回の車の方もそうなんですけれども、全部スマホで簡単にできるようにしたいと思っています。
(問)昨日の自民党のデジタル社会推進本部で、デジタル庁の議論に関してマイナンバーの普及、システム生成と方法論が前のめりになっているんではないかと少し厳し目の御意見も飛んだとお聞きしています。
 大臣御自身が共通基盤なりのグランド・デザイン、あるいは要件定義というところをどのようにお考えなのか改めてお願いします。
(答)その会議ではその方法論を議論したんだと思うんですけれども、我々はそれ以前に、ワーキングチームで次のデジタル社会がどうあるべきかということに関して、本当に積極的に議論をしています。
 ですからデジタル化もそうですし、システムも全部そうなんですけれども、それは手段であって目的ではありません。ですので、その会議でそういうことの議論をしなかっただけだと思います。ただ、本部の方では、包括的に全部やっていただけるということになっているし、まず、デジタル庁の話もそうですし、システムの話もそうなんですけれども、結局どういう社会を作るかということをまず国民ときちんと共有しないとこの話は進まないと思っていて。後日発表しますけれども、デジタル化の10原則であるとか、それをどのような形で法案の中に示していくのか。アメリカ流でもない、中国流でもない日本の目指すデジタル社会像というものがそこではっきりするわけで、そこの指摘はそういう議論の場でなかったということだったと思います。

(以上)