平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年10月20日

(令和2年10月20日(火) 11:02~11:31  於:中央合同庁舎第8号館1階S108記者会見室)

1.発言要旨


 今日は、先週金曜日のデジタル改革アイデアボックスのオープン対話第1回目を開催した報告が一つです。これはマスコミフルオープンにして議論を見ていただきましたが、私ももっといろいろ文句を言われるのかなと思っていたら、応援団が多くてびっくりしました。もっときついと言いますか、否定的な意見があってもおかしくないんですけれども。特にアイデアボックスの中を見ていますと、マイナンバーに関してやっぱり相当期待も集まっているし、このアイデアボックスに投稿する人たちの問題意識というのは、結構物事を前向きに捉えているという全体の流れがあるので、あそこには、反対意見等々というか、あまりよく考えない冷やかしみたいなものが書きづらい雰囲気があるなと思いました。そういう意味で、我々にとっては非常にありがたいと思いますし、この流れを受けて、10月22日に、今度は直接お会いして意見交換をやろうと。ああいう私のやり取りを見ていて、実際、関東圏を中心に自治体の職員の方々が大臣と直接会って話をしたいと言うので、だったらウエブじゃなくて直接会って、やろうかということにしました。10月22日木曜日19時からやろうと考えています。詳細はまた確認をしていただければと思います。
 アイデアボックスは10日で2,000件を超えるアイデア及び4,500を超えるコメントが寄せられています。ユーザー登録も2,200人ということなんですが。私が地元に帰った時に、中学生3人組が緊急提言ということで、彼らもアイデアボックスにいろいろな意見をくれているんですけれども、デジタル庁ということに中学生あたりからも反応しているということが今回よくわかりました。彼らはデジタルネイティブなので、また違った視点でデジタル庁に期待をしているということがわかったので、そういう意見も今後聞いていきたいなと。正に彼らが主役の時代を我々がどう作るかということが大きなテーマだと思いますので、そうしようと思っています。
 次に、昨日ですが、(自民党)デジタル社会推進本部の第1回目に参加をさせていただきました。下村本部長、甘利座長を始め多くの方々、特に若手のデジタル系に造詣の深い先生方が、ほぼ皆さん出席していたように思います。具体的には、IT政策やデジタル庁の創設に向け、国民のためのデジタル化、DXを推進すると。デジタル化を進めるに当たり、現場のニーズと乖離しないこと。デジタル庁の権限は、総合調整ではなく、前例にとらわれない強力な権限を付与することということを、多くの先生方からいただきました。
 デジタル庁は規制改革のシンボルであるとともに、成長戦略の柱というのは私がよく使う言葉ですが、デジタル庁創設を待たずにできるものは進めていくとともに、新しい技術等の登場で陳腐化することがないようなアーキテクチャを推進していくということを、私の方から説明をさせていただきました。
 最後に甘利座長より、デジタル庁に各省の権限をオーバーライドさせる権限を付与する必要があるということを重ねて表明をしていただきまして、大変心強く思います。我々も党での御議論をしっかり受け止めて進めていきたいということですが、来年法案を提出して成立させて、デジタル庁を創設するという、そのスケジュール感も党側と共有できたことは大変良かったと思います。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)サイバーセキュリティのことなので橋本大臣の所管にはなると思うんですが、ちょっとお尋ねしたいと思います。イギリス政府が、ロシアの情報機関が今年3月に東京五輪・パラリンピックの関係団体を狙ってサイバー攻撃を仕かけていたと発表をしました。攻撃対象ですとか被害等の把握している事実関係と、デジタル庁創設を踏まえた今後の対応についてお聞かせください。
(答)まずサイバーセキュリティは、私は所管ではありません。橋本大臣ということですが、ずっと自民党の中でデジタル社会推進特別委員長をやっていたということや、2014年のサイバーセキュリティ基本法を主導してきたという過去の私の経験から今回の話についてお話しすると、まずリオオリンピックの時もそうでしたけれども、オリンピックはいつもサイバー攻撃の最大の標的になります。そして各国、また各国のハッカー等々がいろいろ宣言をするということは、もう既にオリンピック委員会としても折り込み済みの話ですので、特段それが新しい何かとは私自身は感じませんでした。しかし、各国と調整しながら、今いろいろな、CERTとかそういうものも連携して動いているので、政府としても的確な対応をしていただけると思っています。コメントはそのあたりでお許しいただきたいと思います。
(問)今年から年末調整の電子化が始まりますけれども、その中で地震保険料控除について、損害保険業界の準備が間に合わずに、マイナポータルとの連携ができないことになりました。この点について、大臣の受け止めをお聞かせください。
(答)その話ですが、法律的にはもうできるようにしたんですよね、なのにできていないということですから。だから、制度上はデジタル化することが可能であるにもかかわらず、発行する事業者側で対応されていないということがわかったということなので、大変残念としか言えません。
 デジタル化の問題を常に考えたときに、官だけではやはりだめですね、民間の協力が不可欠ということで。年末調整というのは言わば国民や事業者に大きな負担があるということも考えますと、早期に対応していただけるように関係省庁を通じて働きかけていきたいと思います。せっかく、元々のデータはデジタルですが、それをわざわざ紙にしてということになるんですよね、こういうものは全て。ですので、うまく連携できるように御検討をしてもらいたいというか、進めてもらいたいと思います。
(問)本日、文部科学省の方で、学校が保護者に求める押印の見直しや連絡手段のデジタル化を求める通知を出すと伺っております。先日、デジタル改革アイデアボックスにもこうした学校のデジタル化を求める声が届いておりまして、教員や保護者からも歓迎する声があるのではないかと考えておりますけれども、こうした対応やスピード感について、大臣の御評価を聞かせていただけますでしょうか。
(答)学校と家庭の間の効率的なコミュニケーションのあり方というのは、一部の父兄なんかは、いろいろなものを使ってやっています。これはもう、さらに加速化してもらいたいと思います。デジタルという言葉が、オードリー・タンさんが言うように、つながるということが一番のメリットなので。特に学校現場は、父兄や子供たち、そして先生方がつながるということが一番重要なのではないでしょうか。その意味で、これはすごいスピードで加速してほしいと思いますし、世の中の時代の変化に、現場は柔軟に対応してもらいたいと思います。
(問)本日、自民党の税制調査会がキックオフして、デジタル化を柱にした税制改正の議論が本格化していくことになると思います。一方で、ドコモ口座の問題とかで、デジタル化でいろんな組織がつながることによって、セキュリティの問題だとか不祥事においての責任の取り方など、いろいろ課題が浮き彫りになってきています。行政のデジタル化における課題について、大臣はどのような認識を持っているかを改めてお聞かせください。
(答)ドコモ口座の話というのは、私の方から見ると、あれはデジタル化ではないと思っています。ああいうKYCでつないでいくということ自体が、まず基本的なデジタル化の考え方ではないと思っています。データの利活用とやっぱりプライバシー、個人情報の保護という問題はセットなので、それがセットで初めてデジタル化と私は言えると思っています。
(問)行政のデジタル化の課題をどういうふうに。
(答)行政のデジタル化の課題というのは、デジタルで完結するということと、国民や事業者が圧倒的に便利になるというようなことだと思います。ですから、行政のデジタル化というのは、今の仕事のやり方をそのままデジタルにするというのは、これはデジタル化ではないと私は定義しているんですが、そういうことが非常に多かったので、基本的な考え方を改めてもらわなければならないと思っています。手段であるデジタル化を、あたかも目的のようなデジタル化は間違いで、国民に安全で快適なサービスを提供して、社会全体の生産性を上げていくということが非常に重要なのではないかと思っています。
 行政のデジタル化というものは、もう一つ、民間事業者との接点も非常にあるんですね。我々が進める行政のデジタル化によって、民間側のデジタルトランスフォーメーションのきっかけとなり、それを後押しできるものになれるようにしたいと思っているし、税調の甘利先生が、どこかで発言していたのを聞きましたけれども、それは、つながらないデジタルは税制優遇の対象にしないと。恐らく、つながることを前提に、DXを進めるものを対象にするんだと思います。それは行政のデジタル化と同じ歩みで進んでいくものではないかと思います。
(問)アイデアボックスを拝見して、非常に生産的な議論が展開されていたかと思うんですけれども。先ほど、登録者数2,200人という数字がありましたけれども、その数字が、多いか少ないかというところの大臣御自身の受け止めと、より生産的な議論、反対意見も含めた議論というものがより進むにはどうしたらいいかということのお考えをお聞かせいただければと思います。
(答)私自身がやっぱり直接対話をするということも一つの方法だと思っています。何人かで一緒に話すと、その中で恐らく意見の違いとか、反対の意見も一緒に聞けるのではないかなと思っているし、このデジタル化には常に光と影があるので、光の部分だけ議論をしてもだめだと思っています。さっきのセキュリティの話なんかもそうですし、そういう意味で、そのあたり、光も影も全部含んでデジタル化だということを、もう少し議論できればよいと思います。
 この人数が多いか少ないかということですが、我々にとってはこれでも全部見るのが大変だと思っていますし、その中のコメントのやりとりまでやっぱりチェックしないと。コメントの件数が倍以上あるわけですよね。そういう意味で、そこで書き込んでくださった皆さんのフラットな感覚での意見のやり取りも、我々には大変参考になると思います。
 また、テーマごとに、自動的にワーディングで仕分けするシステムを我々は使っているので、それ自体の分析というのも非常に役に立つと思います。
(問)話題変わりまして、今後のスタートアップ企業への活用についてお聞きしたいんですが、準備室のスローガンも「ガバメント・アズ・ア・スタートアップ」と打ち出されていますが、今後政府のデジタル化投資を進める立場として、スタートアップへの発注、活用についてどのようにお考えでしょうか。また、積極的に活用する考えがあるとすれば、特にどの分野が考えられるか教えてください。
(答)スタートアップというのは、その機動性とチャレンジ精神で、イノベーションを牽引するプレイヤーになることは間違いありません。大企業がなかなか取り組みづらくてリスクを伴う新しい分野に積極的に取り組んで、新しい価値を作っていく。デジタルトランスフォーメーションの推進とかニューノーマルへの変革において、そこで恐らくスタートアップの皆さんがいろいろなイノベーションに取り組んでいくというふうに考えています。
 我々は、特に最近進歩が著しいというか、多くの若い企業がそこで非常に優位性なり競争力を発揮しているのは、UI/UXの分野ではないかと思っています。そういう意味で、そういう皆さんの知見とかアイデアをこれから行政サービスをさらに国民が使い勝手を良くするように取り込めるようなやり方を今考えています。ですから、スタートアップが政府調達などに参入しやすくなるような仕組みは必要だと思います。
 今SBIRの法律まで改正したんですけれども、そういうものがうまく機能するかどうか、私自身、自民党のスタートアップ振興議連の会長もしているという立場でもありますので、次の時代、デジタル化がさらに推進していく流れの中にあって、必ず新しいプレイヤーが出てくるし、スタートアップの皆さんに対する我々の期待も非常に大きいと考えています。
(問)関連しまして、新しいプレイヤーが出てくるということでしたけれども、スタートアップの政府発注というのは、有力企業の育成にもつながると思いますけれども、今後、出てくる予算枠に対して一定程度そこに充てたいとか、今大臣のお考えがありましたらお願いします。
(答)アメリカのこと、SBIR等々のことが念頭にあるんだと思うんですけれども、IT調達の一般の仕組みを今後検討するに当たっても、調達ルールの公平性とか中立性というのは非常に重要ですが、スタートアップがいかにすれば参入できるのか。恐らくは、アジャイルで一緒にやるのが非常に向いているんだと思うんですね。そういうものは、国に限らず、地方自治体の皆さんも、そういう企業にチャンスが与えられる仕組みができたらいいということで、検討を開始したところであります。
(問)昨日行われた自民党本部でも、デジタル庁に強力な権限を持たせるべきだという意見が多かったと認識しています。これを踏まえて、今、大臣の考える中で、デジタル庁に強力な権限を持たせる上で、障壁となると思うものは何でしょうか。
(答)障壁。前例がないということに対して、霞が関全体としてどう考えるかということと、恐らく、今までの定数の管理とかそういうことから言うと、今回のデジタル庁は完全にはみ出してしまう存在であるということ。それと、各役所から定数と予算と権限をデジタル庁に移すわけですから、各省側から見れば、明らかに今までの権限、予算をとられるということになるわけですね。そういう過去の縦割り行政を正面から変えようということなので、反対されるというよりも、やったことがないので、皆さん、多くの方々がやっぱり躊躇するという気はしないでもありません。
 一方で、この日本の閉塞感を打ち破って新しいデジタルガバメントを作っていくためには、誰かがどこかで力を結集して取り組まなければいけないだろうということは、多くの皆さんが感じています。ですから、そういうものを乗り越えて作れるかどうかが、つまり「敵は自分の心の中にあり」ということではないかと思います。
(問)各省庁の意識改革を促すというような。
(答)ですから、今までのマインドセットを完全に変えないと、このデジタル庁というのはうまく機能しないと思っています。
(問)先週おっしゃっていた国土交通大臣との2プラス1の日程とテーマが決まっていたら教えてください。
(答)まだ日程調整ができていなくて、今テーマを洗っています。厚労大臣ともう1回やろうと思っていて、前回3人で2プラス1をやって以降、いろいろなことがそれぞれで検討されているので、はっきり決まったものをもう1回検証した上で発表できるようにしたいということで、これも近々セットしようと思っています。ですから、1回で終わらないので、もう1回やろうということも出てくると思います。
 国土交通省に関していうと、所管が非常に広いのと、これは規制改革側のテーマが結構多岐にわたるので、デジタル化という観点との接点も含めて、テーマを今洗っているので、今週中にできたらいいとは思っています。
(問)今上っているテーマって、大体どんなイメージのものでしょうか。
(答)今はちょっと言えません。私が持っていても、それがテーマになるかどうかわからないものがあるので、それはもう少し時間をいただければと思います。
(問)先ほど少しお話がありましたDX企業への税の優遇について、大臣の直接の所管ではないかもしれないんですが、受け止めをお願いします。
(答)これは所管じゃないので、私の私見と聞いていただければと思うんですけれども、このDX推進で、今までいろんなところから、私もデジタル社会の特別委員長として陳情を受けていたのは、例えば電子帳簿保存法、それを事前の届け出をなくしてくれというようなことですね。これもテーマに挙がるのではないかなと思います。
 そして、民間のDXを推進をするということで言えば、どんな形の税制支援になるのかわかりませんが、今回のコロナ禍で、多くの企業が赤字に転落している状況の中での税制支援というのがどうあるべきかというのが一つのテーマになると思っていて、DXを促進すれば、将来、恐らく企業の経営状態が反転してプラスになっていくという可能性があるから投資をするということだと思うので、そのあたりを税調でうまく調整していただければと期待しています。

(以上)